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【税理士監修】「150万の壁」とは?企業に求められる取り組みを分かりやすく解説

【税理士監修】「150万の壁」とは?企業に求められる取り組みを分かりやすく解説

2024.05.13

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監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)
「150万円の壁」は、配偶者特別控除の適用が変わる重要な節目です。この壁を超えると、配偶者の所得税や住民税の負担が増加し、手取り額に影響を与えることがあります。

企業は、従業員のモチベーション維持と優秀な人材の確保のために、150万円の壁への対策を検討しなければなりません。本記事では、年収150万円の壁が従業員に与える影響と、福利厚生による支援策について詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

年収の壁とは?6つの壁について解説

年収の壁とは、パートやアルバイトなどで働く非正規従業員の年収が、一定の金額を超えることで税金や社会保険料の負担が発生し、手取り額が減ってしまう境目のことです。年収の壁には、100万円・103万円・106万円・130万円・150万円・201万円の6種類があり、それぞれ非正規従業員の働き方に大きな影響を与えます。

150万円の壁への理解を深めるための参考として、まずは六つの年収の壁について簡単に整理していきましょう。

年収
(以上)
住民税 所得税 社会
保険料
配偶者
控除
配偶者
特別控除
100万円以下 かからない 対象
100万円 かかる かからない
103万円 かかる かからない 対象
106万円 かかる場合あり
130万円 かかる
150万円 段階的に減少
201万円 対象外

【税金の壁】100万円の壁・103万円の壁

・100万円の壁

年収が100万円以上になると、住民税の支払い義務が生じます(金額は自治体によって異なる)。ただし、本人が未成年者であり、年間所得135万円(年収約204.4万円)未満の場合には非課税です。

・103万円の壁

年収が103万円以上になると、所得税の支払い義務が生じます。同時に配偶者控除の対象外となるため、扶養者(配偶者や親など)の税負担が増える可能性があります。

【社会保険の壁】106万円の壁・130万円の壁

・106万円の壁

年収が106万円以上で、以下に挙げる加入要件のすべてに該当する場合、扶養者の扶養から抜けて厚生年金保険や健康保険へ加入しなければなりません。

  • 1カ月の収入が8万8,000円(年収約106万円)以上
  • 週あたりの労働時間が20時間以上
  • 2カ月以上の継続勤務
  • 学生ではない
  • 事業所の従業員数が101人以上(2024年10月以降は51人以上)

参考:日本年金機構|短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内

・130万円の壁

年収が106万円を超えた時点で社会保険の加入要件に該当しなかった人も、年収が130万円以上になると扶養から外れなければなりません。勤務先の社会保険を利用する、もしくは自分自身で社会保険へ加入して保険料を負担する義務が生じます。

【配偶者控除の壁】150万円の壁・201万円の壁

・150万円の壁

後述します

・201万円の壁

年収が201万円を超えると、配偶者特別控除の対象外となります。配偶者の所得控除がなくなるため、世帯の税負担が増加します。

年収の壁が企業へもたらす課題

手取りの減少や扶養から抜けることを避けるため、年収の壁を超えることがないように就業調整を行う非正規従業員は少なくありません。

しかし、就業調整が行われれば行われるほど、企業が実質的に活用できる労働力は減少します。少子高齢化が深刻化する中、人手不足に拍車をかける非常に大きな問題といえるでしょう。

人手不足は、生産性の低下、ひいては業績の悪化の原因ともなります。年収の壁を気にせず働ける環境を非正規従業員へ提供することは、多くの企業にとって喫緊の課題といっても大げさではないのです。

「150万円の壁」とは何か?配偶者特別控除との関係

「150万円の壁」は、六つある年収の壁のひとつで、配偶者特別控除に大きく関係しています。

年収103万円以内の配偶者がいる労働者は、所得税と住民税から一定額が控除されます。これが「配偶者控除」です。

配偶者の年収が103万円を超えると、配偶者控除の対象外となります。しかし、控除額は突然ゼロになるわけではありません。以降年収150万円までは配偶者特別控除が適用され、扶養者は配偶者特別控除を最大38万円受けられます。

配偶者の年収が150万円を超えると、控除額は段階的に減少し、201万円を超えた時点でゼロになります。つまり、配偶者の年収の増加に伴い、扶養者である配偶者の税負担が増えることになるのです。

配偶者(特別)控除額

出典:国税庁|家族と税

150万円は本当に働き損なのか?

年収の壁に関連する情報の中で、しばしば見聞きされるのが「年収150万円は働き損」という言い回しです。実際のところはどうなのか、詳しく見ていきましょう。

150万円が働き損といわれる理由

「年収150万円は働き損」といわれる理由を理解する上で、重要な役割を果たすのが「130万円の壁」です。

年収130万円を超えた非正規従業員は、みな社会保険への加入が義務づけられ、保険料を負担しなければなりません。勤務先の社会保険へ加入できる場合、負担額は勤務先企業と折半ですが、加入できない場合には全額自己負担です。

以下、年収131万円の非正規従業員が自分自身で社会保険へ加入した場合の負担額について、「令和6年 東京都」の保険料をもとに呈示します。

  • 国民年金保険料:16,980円(令和6年度)|年額約20万円
  • 国民健康保険料:10,978円|年額約13万円

このケースでは、年金と健康保険を合わせ、年間約33万円の自己負担です。年収130万円までは社会保険料の負担がないため、年収が1万円増えることによって、手取りが32万円減ることになります。

なお、年収131万円の人が勤務先の社会保険へ加入した場合、以下の計算によって年間の負担額は約20万円です。

  • 厚生年金保険料:10,065円(20,130円の半額)|年額約12万円
  • 国民健康保険料:5,489円(10,978円の半額)|年額約7万円

参考:協会けんぽ|全国健康保険協会|令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)|抜粋
参考:国民年金保険料|日本年金機構

年収150万円が働き損と言われるのは、130万円の壁を超えて以降、年収150万円前後まで手取り額が逆に減ってしまい「働いただけ損をする」と感じる状態が続くからです。

実際に、年収130万円の場合、社会保険料は発生しませんが、年収150万円になると、年間約21万円の社会保険料(勤務先の社会保険へ加入した場合)が給与から天引きされます。その結果、20万円も年収が増えたのに、手取りはほぼ変わらないという状況が生まれます。このジレンマこそ「150万円は働き損」といわれるゆえんです。

働き損ゾーンからの脱出

年収150万円あたりを境に、働き損ゾーンを脱出し、働けば働くほど手取り額は増えていきます。

手取り収入の変化

出典:厚生労働省|「年収の壁」への当面の対応策

年収150万円の壁を超えることへの不安はあるかもしれませんが、長期的な視点で考えれば、壁を超えることは決して損ではありません。特に、将来もらえる年金額(厚生年金)が増えることを考えると、150万円の壁は気にしすぎる必要のない壁だといえるでしょう。

「150万円の壁」を超えるメリット

非正規従業員が年収150万円を超えると、配偶者特別控除の対象外となり、配偶者の税負担が増加します。しかし、年収150万円を超えることには、それを補って余りあるメリットが存在します。詳しく見ていきましょう。

手取り増加と将来の年金アップ

「150万円の壁」を超えて働けば、その分だけ手取り額が増えていきます。たとえ社会保険料の負担が発生しても、年収アップのメリットの方が大きいのです。

また、社会保険に加入することで、将来受け取れる年金額(厚生年金)も増加します。老後の生活を支える公的年金を手厚くできるのは、150万円の壁を超えて働くことの大きなメリットです。

社会保険の各種給付が受けられる

短時間労働者が社会保険に加入することで、傷病手当金や出産手当金など、健康保険の各種給付が受けられるようになります。

傷病手当金は、働くことができなくなった日の4日後から、給与の2/3相当が最長1年6カ月にわたり支給されます。また、出産手当金が支給されるのは産前42日〜産後56日までの期間で、こちらも支給額は給与の2/3相当です。

国民健康保険にはないこれらの手厚い保障は、短時間労働者にとって大きな魅力です。

参考:厚生労働省|パート・アルバイトのみなさま | 社会保険適用拡大 特設サイト|厚生労働省

社会保険加入のその他のメリット

このほか、社会保険に加入することで、失業時に受給できる失業等給付(基本手当)や、介護が必要になったときに利用できる介護保険のサービスも利用可能となります。働きながら将来に備えられるのは、150万円の壁を超えるメリットのひとつです。

「150万円の壁」を超えるデメリット

「150万円の壁」を超えることで得られるメリットがある一方で、いくつかデメリットも存在します。中でも重要なポイントについて解説します。

配偶者の税額増加

「150万円の壁」を超えると、配偶者特別控除が減額されるため、扶養する側の税額が増加してしまいます。

ただし、配偶者特別控除は段階的に減少していく仕組みのため、150万円をわずかに超えた程度であれば、税額増加の影響は限定的です。「150万円の壁」を超えることで得られるメリットを考えれば、許容範囲内のデメリットといえます。

社会保険料の負担増

「150万円の壁」をはじめ、収入が増えれば増えるほどに社会保険料の負担が増加します。社会保険料は将来につながる重要な負担ですが、目の前の収入を考えると、やはりデメリットに感じられるかもしれません。

ただし、保険料を多く負担するということは、将来受け取る年金額の増加など、大きなメリットを得られるということでもあります。社会保険料は「支払うべきもの」として割り切ることも大切です。

年収の壁を補う福利厚生の重要性

近年、年収の壁に伴う手取り額の減少を補う方法として、福利厚生が注目を集めています。福利厚生を活用する重要性やメリット・おすすめのサービスについて解説します。

年収の壁の補填に福利厚生が選ばれる理由

「150万円の壁」をはじめ、年収の壁に伴う手取り額の減少や税負担をカバーするため、企業にできる対策としてまず挙げられるのが、賃金アップや手当の支給による補填です。

しかし、賃金アップや手当の支給のように現金で補填した場合、補填分もまた課税対象となってしまいます。所得税や住民税が支給額から天引きされるため、補填額をまるっと従業員へ届けることはできません。

支払うコストに対し、従業員へ与えるメリットが限定的になることから、賃上げや手当の支給に踏み切る企業は少数に留まるのが現状です。

その点、福利厚生は、賃金や手当とは異なり経費として計上できるため、課税対象となりません。つまり、所得税や住民税が引かれることなく従業員へ届けられるため、従業員の実質的な手取りを増やせます。

さらに、企業の利益からも控除できるため、企業側の法人税も抑えられます。

企業側のコストは最小限に、従業員へ最大の利益を提供できる方法こそ、ほかならぬ福利厚生なのです。

関連記事:【社労士監修】非正規雇用の賃上げは課題だが年収の壁問題も!福利厚生が救世主に

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関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も

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年収150万円の壁と企業の福利厚生戦略

「150万円の壁」は、配偶者控除や配偶者特別控除内で働く非正規従業員にとって大きな関心事です。

この壁を超えることを避けるために行われる就業調整は、企業の生産性や業績を悪化させる要因ともなりかねません。他の年収の壁と同じく、企業が向き合うべき喫緊の課題です。

「年収の壁」に伴う手取りの減少等を補填する方法としては、福利厚生の提供が注目されています。充実した福利厚生は求職者へのアピール度も高いことから、人手不足の解消に大きく貢献するでしょう。

「150万円の壁」への取り組みを機に、従業員の未来を支援する体制を整えることが、これからの企業の人事に求められる戦略といえそうです。

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