資料請求
English

エデンレッドブログ

-働く人と働きたい人のための福利厚生ブログ-

春闘とは?流れや時期・目的などをわかりやすく解説。近年の動向も

春闘とは?流れや時期・目的などをわかりやすく解説。近年の動向も

2024.11.18

春闘とは毎年春に行われている労使交渉のことです。労働組合が企業に対して、賃上げや労働条件などの要求を行う流れで実施されます。春闘は具体的にどのような流れで進むのでしょうか?2025年の賃上げ動向とともに確認していきましょう。

春闘とは

春季闘争のことを略して春闘といいます。労働組合が企業に対して行う、賃上げ・労働時間の短縮・休日数の増加などの交渉のことです。

企業と従業員の立場は企業が上になりやすいでしょう。このような状況でも、労働条件について対等な話し合いができるよう、憲法において労働者には団結権・団体交渉権・団体行動権の労働三権が認められています。

春闘は労働三権に基づいて行われている交渉です。

参考:e-Gov 法令検索|日本国憲法

関連記事:
春闘2025年はどうなる?今後の賃上げの予想や企業の動向をチェック
【2023春闘まとめ】そもそも春闘とは?争点は賃上げ?2023の動向や回答と結果をまとめて紹介!

春闘が始まる時期はいつ?

3月にピークを迎えることから春季闘争と呼ばれている春闘ですが、準備は半年ほど前から始まります。労働組合の全国中央組織である連合(日本労働組合総連合会)では、毎年8月ごろから翌年の春闘に向けてどのような要求を行うか検討し始めているそうです。

12月上旬に決定した全体方針を連合が発表すると、1月には産業別労働組合が方針を決定して、各企業の労働組合と企業との交渉が2~3月に行われます。

春闘の目的

春闘の目的は、労働者の働きやすい環境づくりです。待遇改善に向けて、賃上げ・教育訓練の充実度アップ・福利厚生の拡充・災害補償の実施・雇用形態の違いによる格差の是正などの交渉を行います。

中でも重要度が高いのは、賃上げに関する交渉です。全体の水準を引き上げるベースアップと、年齢や勤続年数に応じて上がっていく定期昇給の合計からなる賃上げは、毎年注目されています。

関連記事:
【社労士監修】定期昇給とベースアップの違いとは?負担少の賃上げ法
「賃上げ」は給与のこと?種類や実現の理由とは?賃上げ以外の従業員支援策も紹介

春闘の流れ

春闘は以下のように進むのが例年の流れです。

  1. 連合が要求内容の検討を行う
  2. 連合が全体方針を発表する
  3. 政府から経団連へ働きかける
  4. 産業別・企業別労働組合が交渉内容を決める
  5. 交渉が始まる
  6. 企業が回答し妥結する

それぞれの段階で何が行われているのかを見ていきましょう。

連合が要求内容の検討を行う

連合は毎年8月ごろから、翌年の春闘に向けて、要求する内容を検討し始めます。単に大企業の動きに合わせた要求を行うのではなく、全ての労働者にとって働きやすい環境づくりの実現を目指すための要求に向けた検討です。

関連記事:【春闘2024】要求内容を3つのポイントで解説!企業ができることは?

連合が全体方針を発表する

12月ごろに連合は春闘の全体方針を発表します。例えば2024年春闘は「みんなで賃上げ。ステージを変えよう!」というスローガンの下、5%以上の賃上げを求めることを発表しました。

2025年春闘に向けては、2024年10月18日に「2025 春季生活闘争基本構想」が発表されています。全体方針に先駆けて発表される基本方針は、2024年と同程度の賃上げ要求を目指す内容です。

参考:
日本労働組合総連合会|【重点分野-2】2024 春季生活闘争方針
日本労働組合総連合会|2025 春季生活闘争基本構想

政府から経団連へ働きかける

12月ごろには、政府から経団連へ賃上げに関する働きかけが行われることもあります。2024年春闘に向けては、岸田元総理が「物価高を上回る賃上げの実施」を求めました。

参考:首相官邸|物価高を上回る所得増へ

産業別・企業別労働組合が交渉内容を決める

1月ごろには、連合の発表した全体方針に基づき、産業別労働組合や企業別労働組合が交渉内容を決定します。

関連記事:賃上げを表明した企業一覧。2025年春闘の動向や第3の賃上げも解説

交渉が始まる

各労働組合の決定した交渉内容で、企業との交渉が始まるのは2月ごろです。労働組合が企業へ要求を提出すると企業が回答する、という形で交渉が進みます。

企業が回答・妥結する

企業の回答が集中する「ヤマ場」は3月ごろです。労働組合の要求に対して満額回答するケースもあれば、交渉が行われて妥結に至るケースもあります。

2024年春闘では、満額回答や要求を上回る回答を行う企業が多くありました。

関連記事:2024年春闘の結果は?連合の回答集計や企業ごとの回答をチェック

近年の春闘の動向

2021年後半ごろから始まった物価高に合わせるように、春闘による賃上げ率は高い水準になってきています。近年の春闘はどのような傾向があるのでしょうか?動向を見ていきましょう。

賃上げ率の推移

近年の春闘の動向を見ていくにあたり、まずはこれまでの賃上げ率の推移をチェックします。

賃上げ率

2006年

1.79%

2007年

1.86%

2008年

1.88%

2009年

1.67%

2010年

1.69%

2011年

1.71%

2012年

1.72%

2013年

1.71%

2014年

2.07%

2015年

2.20%

2016年

2.00%

2017年

1.98%

2018年

2.07%

2019年

2.07%

2020年

1.90%

2021年

1.78%

2022年

2.07%

2023年

3.58%

2024年

5.10%

2.00%前後で推移してきた賃上げ率が、2023年・2024年で一気に上がっています。2024年に5%を超える賃上げ率となったのは33年ぶりのことです。長く続いていた経済の低迷期から抜けつつあると考えられるでしょう。

参考:日本労働組合総連合会|労働・賃金・雇用 春季生活闘争

2024年は賃上げ率5.10%

連合の最終集計によると、2024年春闘の結果、平均賃上げ率は5.10%でした。ただし賃上げ率が5%を超えたのは、従業員数1,000人以上の企業のみです。従業員数999人以下の企業の賃上げ率は5%を下回っており、企業規模による格差が浮き彫りとなっています。

参考:日本労働組合総連合会|33 年ぶりの 5%超え!~2024 春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果について~

関連記事:【2024春闘】賃上げ率5.10%を達成!持続可能な賃上げ戦略とは

名目賃金に反して実質賃金は低下

2024年には歴史的な賃上げが行われたことで、名目賃金は上がりました。賃上げの動きはパートをはじめとする非正規雇用で働く従業員にも広がりつつあります。

ただし実質賃金の推移を見ると、名目賃金の上昇に反して減少している状況です。

毎月勤労統計調査令和5年分結果速報の解説」で実質賃金・名目賃金・消費者物価指数の推移を見ると、名目賃金が上がっているにもかかわらず、消費者物価指数の上昇により実質賃金が下がっているのがわかります。

春闘2025_1出典:厚生労働省|毎月勤労統計調査令和5年分結果速報の解説

エデンレッドジャパンの実施した「ビジネスパーソンのランチ実態調査2024」では、この実質賃金の減少を反映し、ビジネスパーソンの約8割が「家計が苦しい」と回答しています。

節約のために3人に1人がランチ代を減らしており、4人に1人がランチを食べないこともあるとも回答しました。欠食率は26.7%となっており、2022年の23.7%、2023年の25.3%と比べて上がっています。

関連記事:歴史的賃上げでも…8割以上が「お小遣いが増えていない」!「ビジネスパーソンのランチ実態調査2024」

2025年春闘はどうなる?

連合は2024年10月18日に「2025 春季生活闘争基本構想」を発表しました。2025年春闘に、連合はどのような姿勢で臨むのでしょうか?「2025 春季生活闘争基本構想」の内容をもとに、2025年春闘を予想していきます。

参考:日本労働組合総連合会|2025 春季生活闘争基本構想

賃上げの動きは続く見込み

日本の経済状況は長らく停滞しており「賃金は上がらないもの」「物価は上がらないもの」といった考えが浸透しています。ただし2021年後半ごろから、物価が上がり始めました。

続いて2023年・2024年には、これまで2%前後で推移していた賃上げ率も上昇しました。さらに個人消費を増やし、経済の好循環を作り出すには、実質賃金を上げる賃上げが欠かせません。

連合では賃上げを定着させるために、2025年も2024年と同水準の賃上げ率となるよう、取り組むことを表明しています。

また賃上げは人材確保の視点からも必要不可欠です。全体の賃金水準が上がる中、賃上げを実施しないままでは、同業他社との待遇差から人材が集まりにくくなってしまいます。よりよい待遇を求めて、今いる従業員が転職することも考えられるでしょう。

実際に2025年に向けて、サントリーホールディングスは人材確保を目的に賃上げを表明しています。少子高齢化で労働生産人口が減る中、スムーズな採用や離職防止のためにも、賃上げの動きは継続するといえるでしょう。

賃上げの格差是正に向けた提案が行われる予想

賃金は企業規模・雇用形態・性別などによって格差が存在しています。例えば賃金や賃上げ率は企業規模が大きいほど高いケースが多いため、大企業で働く従業員ほど賃上げを実感しやすい状況といえるでしょう。

実際に2024年春闘の賃上げ率は、以下の通り従業員数の多い企業ほど高い結果でした。

従業員数

賃上げ率

~99人

3.98%

100~299人

4.62%

300~999人

4.98%

1,000人~

5.24%

このような格差是正に向けて、連合は具体的な賃上げの目安を提示しました。全体としては5%の賃上げを交渉しつつ、中小労組に向けては6%の賃上げを求める考えです。

さらに年齢ごとに到達すべき賃金の最低到達目標水準も、以下の通り定めています。

 

中位数

第1四分位

35歳

30万3,000円

27万9,000円

30歳

25万2,000円

23万8,000円

加えて非正規雇用で働く従業員の賃金引き上げにより、雇用形態による格差是正も目指す計画です。具体的な数値目標として、経験年数5年以上で時給1,400円以上を目指します。

賃金の底支えを目的として、全ての従業員に対して時給1,250円以上での締結を目指す方針も打ち出しました。

参考:日本労働組合総連合会|33 年ぶりの 5%超え!~2024 春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果について~

関連記事:
2024年春闘|大企業と中小企業の賃上げ率格差、その解消への道
【非正規春闘2024】非正規労働者の賃上げに有効な対策と福利厚生

従業員の手取り額アップには第3の賃上げも検討を

エデンレッドジャパンでは、定期昇給を第1の賃上げ、ベースアップを第2の賃上げとしたとき、福利厚生を活用した実質的な手取り額アップの仕組みを第3の賃上げと定義しました。

コストを抑えつつ取り組みやすい第3の賃上げについて、仕組みやメリットを見ていきましょう。

関連記事:パート・アルバイト・契約社員 にも「第3の賃上げ」を!ラウンドテーブルを開催~“年収の壁”を抱える非正規雇用にも、福利厚生で実質手取りアップを実現~

福利厚生を活用する第3の賃上げの仕組み

福利厚生とは、従業員やその家族の暮らしがよりよいものとなるよう支給する報酬の一種です。報酬には原則として課税されるため、従業員が受け取れる報酬は税引き後の分のみとなります。

ただし福利厚生の中には、食事補助や社宅などのように、要件を満たすことで非課税となるものもあります。

例えば従業員に借り上げ社宅を提供するケースで考えてみましょう。企業が賃貸住宅を契約し、従業員へ貸し出す借り上げ社宅の仕組みを利用すると、家賃の一部を現物支給という形でサポートできます。

現物支給する金額を給与から差し引くと、社会保険料額や税額が減るため、従業員の手取り額アップにつながる仕組みです。

関連記事:
【社労士監修】 福利厚生とは何か?種類別に分かりやすく意味を解説
【税理士監修】福利厚生費は全て非課税?導入時には課税・非課税の要件をチェック

コストを抑えつつ手取りアップが可能

福利厚生を活用した第3の賃上げを実施すると、コストを抑えつつ従業員の手取り額アップを実現できます。賃上げをしたいけれど十分に行うには予算が心もとないと考えている企業でも、取り入れやすい方法です。

同額の賃上げより手取りアップを実感

賃上げを行うと毎月の給与が上がるため、従業員は社会保険料や税金の負担が増えます。額面が上がっていても、実際に受け取る賃金はそれほど上がらないというケースもあるでしょう。

加えて物価高の影響で、生活の実感としては「前より苦しくなった」と感じていることも考えられます。

福利厚生を活用した第3の賃上げは、従業員の社会保険料額や所得税などの税制が優遇されます。その結果、現金支給より多く支給額を受け取れるため、従業員は手取り額アップを実感しやすいでしょう。

パート・アルバイトの待遇改善も実現

非正規雇用で働く従業員の中には、扶養内での勤務を希望するケースもあります。福利厚生を活用した第3の賃上げは、賃金や勤務時間に影響を与えません。実質的な手取り額を上げつつ、扶養内で働き続けられるため、パート・アルバイトなどの待遇改善にも向いている方法です。

第3の賃上げ導入には「チケットレストラン」がおすすめ

定期昇給やベースアップによる賃上げと併せて、福利厚生を活用した第3の賃上げを実施するなら、エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」がおすすめです。

導入することで、従業員の税負担を増やすことなく支給するための要件を満たしつつ、実質的な手取り額を増やせます。

また「ビジネスパーソンのランチ実態調査2024」によると、ランチ代を節約するために、欠食するビジネスパーソンは4人に1人いるそうです。そのうち半数以上が、ランチを食べないことで「集中力の低下」や「イライラの増加」など、仕事への悪影響があると回答しています。

食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」でランチ代をサポートすれば、節約目的で欠食する従業員を減らせるでしょう。従業員のパフォーマンス低下による生産性の低下を避けられます。

実際に「チケットレストラン」を導入した企業の中には、従業員の食事の質が高まり、健康経営につながっている事例もあるそうです。

詳細な導入事例はこちら:SKソリューション株式会社

関連記事:歴史的賃上げでも…8割以上が「お小遣いが増えていない」!「ビジネスパーソンのランチ実態調査2024」

春闘の流れや目的を知り、自社の賃上げを検討しよう

春闘とは労働者の働きやすい環境を求めて行う交渉のことです。主な焦点に賃上げがあります。2023年・2024年と賃上げ率は上がっており、連合は2025年も5%の賃上げ率を要求する意向のようです。

実質賃金の上昇や人材確保を目的に賃上げに取り組むときには、定期昇給やベースアップの実施に加えて、福利厚生を活用する第3の賃上げも検討してみてはいかがでしょうか。

非課税で支給できる福利厚生を導入することで、従業員が手取り額アップを実感しやすくなる方法です。企業にとっては少ないコストで始められるメリットもあります。

エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」で、第3の賃上げに取り組んでみませんか。

資料請求はこちら