資料請求
English

Workers Bistro

-働く人と働きたい人のための福利厚生マガジン-

2024年の最低賃金引き上げの動向は?企業への影響や対策をチェック

2024年の最低賃金引き上げの動向は?企業への影響や対策をチェック

2024.08.22

New call-to-action

2024年の最低賃金引き上げでは、過去最大の引き上げ額の目安となる50円が示されました。具体的に各都道府県の時給はいくらになる見込みなのでしょうか?また今回の最低賃金引き上げによる影響についても見ていきましょう。企業が利用できる助成金や補助金といった支援策も紹介します。

2024年の最低賃金引き上げ額は過去最高

中央最低賃金審議会において、2024年の最低賃金引き上げ額の目安は、過去最高額の50円が提示されました。全国の都道府県で目安どおりに最低賃金が引き上げられれば、最低賃金は現在の全国加重平均1,004円から、1,054円になります。

物価高が続く中、2024年春闘では大幅な賃上げを実施する企業が続出しました。ただし全ての企業で賃上げが実施されたわけではありませんし、雇用形態によっては賃上げにつながらなかったケースもあるでしょう。

2024年の最低賃金引き上げでは、高まる賃上げの機運に取り残された人の暮らしを支える効果があると考えられています。

参考:厚生労働省|令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について

関連記事:2024年春闘|大企業と中小企業の賃上げ率格差、その解消への道

2024年版 都道府県別の最低賃金

都道府県別の最低賃金もチェックしましょう。目安として提示された50円の賃上げを全ての都道府県が実施した場合の最低賃金です。

都道府県

2024年改定後の最低賃金

現行の最低賃金

引き上げ額

北海道

1,010円

960円

50円

青森

948円

898円

50円

岩手

943円

893円

50円

宮城

973円

923円

50円

秋田

947円

897円

50円

山形

950円

900円

50円

福島

950円

900円

50円

茨城

1,003円

953円

50円

栃木

1,004円

954円

50円

群馬

985円

935円

50円

埼玉

1,078円

1,028円

50円

千葉

1,076円

1,026円

50円

東京

1,163円

1,113円

50円

神奈川

1,162円

1,112円

50円

新潟

981円

931円

50円

富山

998円

948円

50円

石川

983円

933円

50円

福井

981円

931円

50円

山梨

988円

938円

50円

長野

998円

948円

50円

岐阜

1,000円

950円

50円

静岡

1,034円

984円

50円

愛知

1,077円

1,027円

50円

三重

1,023円

973円

50円

滋賀

1,017円

967円

50円

京都

1,058円

1,008円

50円

大阪

1,114円

1,064円

50円

兵庫

1,051円

1,001円

50円

奈良

986円

936円

50円

和歌山

979円

929円

50円

鳥取

950円

900円

50円

島根

954円

904円

50円

岡山

982円

932円

50円

広島

1,020円

970円

50円

山口

978円

928円

50円

徳島

946円

896円

50円

香川

968円

918円

50円

愛媛

947円

897円

50円

高知

947円

897円

50円

福岡

991円

941円

50円

佐賀

950円

900円

50円

長崎

948円

898円

50円

熊本

948円

898円

50円

大分

949円

899円

50円

宮崎

947円

897円

50円

鹿児島

947円

897円

50円

沖縄

956円

896円

50円

全国加重平均

1,054円

1,004円

50円

2023年の最低賃金改正では最低賃金が1,000円を上回ったのは8都府県でしたが、2024年の最低賃金改正では16都道府県が最低賃金1,000円を超える見込みです。

参考:厚生労働省|地域別最低賃金の全国一覧

引き上げられた最低賃金の適用はいつから?

2024年の最低賃金改正により引き上げられる新しい最低賃金は、10月上旬に適用されます。詳しい時期は都道府県ごとに異なりますが、2023年の改正時には10月1日から適用される都道府県が多くありました。

最低賃金引き上げが企業に与える影響

最低賃金の引き上げによって、企業にはどのような影響があるのでしょうか?予想される影響を事前にチェックして、対策に役立てましょう。

人件費の増加

現状の給与を最低賃金か最低賃金に近い金額に設定している場合、2024年の最低賃金引き上げに伴い給与を上げなければいけません。これにより人件費全体の増加が懸念されます。

人件費が増加すると、これまでと同じ売上があっても利益が減り、収益が悪化するかもしれません。設備投資によって利益減少をカバーできない企業も出てくる可能性があります。

扶養内で働く従業員の労働時間が減る可能性

従業員の中には「扶養範囲内で働きたい」という人もいるでしょう。最低賃金の引き上げにより、このような従業員の時給が上がると、扶養内で働ける時間が減ります。

例えば年収100万円まで働きたいと考えている人は、時給1,000円なら1年間に1,000時間働けます。1カ月あたり約83時間です。最低賃金の引き上げで時給が1,050円に上がると、1年間に働ける時間は約950時間、1カ月あたり約79時間になります。

1人あたり1年間で約50時間の労働時間が減れば、不足する労働力を補うために新たな人材を採用しなければいけない企業も出てくるでしょう。

関連記事:【税理士監修】扶養から外れる年収の壁をわかりやすく解説。期間限定の措置も確認

最低賃金引き上げを実施する企業への支援

最低賃金の引き上げにより、企業には人件費の増加や労働力の不足といった影響が考えられます。これらに対応するには資金が必要ですが、小規模な企業では自社で用意できる資金のみで対応するのが難しいかもしれません。そのような企業が利用できる助成金や助成金を紹介します。

業務改善助成金

業務改善助成金とは、事業場内の最低賃金を30円以上引き上げた上で、生産性向上につながる設備投資を行うと、設備投資にかかった費用の一部を受け取れる制度のことです。

最低賃金の引き上げを行うと労働力が不足する可能性があります。この労働力不足に対応するための設備投資を実施しやすくなる制度です。

生産性向上のヒント集」によると、以下のような取り組みが助成金の対象となります。

  • バキュームクレーンの導入による作業負担の軽減・作業時間の短縮
  • 冷凍自動販売機の導入による作業時間の短縮・休日数の増加
  • 温室の環境管理システムの導入による労働時間削減・品質向上
  • 農薬の散布や農作物の運搬を行う機械設備の導入による生産性向上
  • テイクアウト注文のオンライン化や店内改装による作業の効率化

事業場内最低賃金によって定められている助成率は以下の通りです。

事業場内最低賃金

助成率

900円未満

9/10

900円以上950円未満

4/5 ※生産性要件を満たすと9/10

950円以上

3/4 ※生産性要件を満たすと4/5

また助成額の上限額は最低賃金の引き上げ額と引き上げる人数によって以下のように定められています。

コース区分

事業場内最低賃金の引き上げ額

引き上げる人数

助成上限額

事業場規模30人未満の事業者

左記以外の事業者

30円コース

30円以上

1人

60万円

30万円

2~3人

90万円

50万円

4~6人

100万円

70万円

7人以上

120万円

100万円

10人以上※特例事業者のみ対象

130万円

120万円

45円コース

45円以上

1人

80万円

45万円

2~3人

110万円

70万円

4~6人

140万円

100万円

7人以上

160万円

150万円

10人以上※特例事業者のみ対象

180万円

180万円

60円コース

60円以上

1人

110万円

60万円

2~3人

160万円

90万円

4~6人

190万円

150万円

7人以上

230万円

230万円

10人以上※特例事業者のみ対象

300万円

300万円

90円コース

90円以上

1人

170万円

90万円

2~3人

240万円

150万円

4~6人

290万円

270万円

7人以上

450万円

450万円

10人以上※特例事業者のみ対象

600万円

600万円

例えば事業場内最低賃金が時給950円の事業所で、対象となる8人の従業員の時給を1,000円へ上げたとします。このとき320万円の設備投資を行ったとすると、受け取れる助成金の金額は240万円です。

参考:
厚生労働省|令和6年度業務改善助成金のご案内
厚生労働省|生産性向上のヒント集

キャリアアップ助成金 賃金規定等改定コース

キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースは、有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額し、実際に従業員の給与を増額した場合に受け取れる助成金です。

従業員1人あたりの助成額は以下の通りで、1年間に1事業所あたり100人を上限に申請できます。

企業規模

賃金引き上げ率3%以上5%未満

賃金引き上げ率5%以上

中小企業

5万円

6万5,000円

大企業

3万3,000円

4万3,000円

中小企業で4%の賃金引き上げを30人を対象に実施した場合、助成金の金額は150万円です。また賃金規定等の増額改定を行う際、職務評価の手法を活用すると、中小企業20万円・大企業15万円の加算額もプラスされます。

助成金を受け取るには、労働者・事業主ともに要件を満たしていることが必要です。

参考:厚生労働省|キャリアアップ助成金のご案内(令和6年度版)

最低賃金引き上げにはメリットもある

最低賃金の引き上げは、企業の経営状況に直接関わります。人件費が増える分、利益が縮小する可能性がある一方、メリットもある取り組みです。具体的にどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

従業員の暮らしを安定させられる

第一にあげられるメリットは、従業員の暮らしを安定させられる点です。物価高が続く中、給与が据え置きでは実質的には減給されているのと同じ状態になってしまいます。そのままでは従業員は暮らしの質を下げなければいけません。

最低賃金引き上げを実施すれば、従業員はこれまでと同じ労働時間でも賃上げ分だけ多く給与を受け取れます。これまでの生活水準をキープしやすくなることで、従業員は生活に関する不安を抱えずに済むでしょう。

不安や悩みがない状態で、仕事に集中しやすくなることも考えられます。

雇用形態別の賃金格差を解消できる

最低賃金の引き上げは、パート・アルバイト・契約社員など非正規雇用の従業員の給与アップに直結します。

同一労働同一賃金が原則なっていても、正規雇用の従業員と非正規雇用の従業員との間には、賃金格差があるケースもあるでしょう。最低賃金の引き上げによる給与アップが、この賃金格差の解消につながります。

これにより非正規雇用の従業員のモチベーションアップも期待できます。企業全体の一体感を醸成しやすくなるのがポイントです。

人材確保につながる

少子高齢化に伴う人手不足の影響で人材確保の難易度は上がっています。最低賃金の引き上げにより給与アップが実現すれば、人材確保がしやすくなるでしょう。

同業他社の同職種と比べて、より高い給与になるよう賃上げを行えば、採用時に応募が集まりやすくなることも期待できます。

また適正な給与水準は、今いる従業員の離職防止にも重要です。「給与が上がればこのまま働き続けたい」と考えている従業員を引き止められるでしょう。経験やスキルを持つ従業員が長く働き続けることで、商品やサービスの質を維持向上しやすくなります。

最低賃金引き上げとともに実施するとよい施策

最低賃金の引き上げは、従業員の生活を安定させる取り組みです。加えて人材確保にもつながります。ただし賃上げのみで待遇改善を実施すると、負担が大きくなりすぎる企業もあるでしょう。

また従業員にとっては、給与が増えた分だけ税金や社会保険料の負担が増えてしまい、賃上げを実感しにくいかもしれません。

このような状況の改善につながるのが、福利厚生を活用して実質的な手取り額を上げる「第3の賃上げ」です。

関連記事:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト

福利厚生で実質的な手取り額が上がる理由

福利厚生の中には、要件を満たすと従業員の税負担を増やすことなく支給できるものがあります。この仕組みを利用すると、同額を給与として支給するときよりも、福利厚生として支給した方が、税金がかからない分実質的な手取り額アップが可能です。

この仕組みは正社員はもちろん、パートやアルバイトなどの非正規雇用にも適用できます。扶養内の勤務希望している従業員に対しても、待遇改善を実施しやすい方法です。

関連記事:パート・アルバイト・契約社員 にも「第3の賃上げ」を!ラウンドテーブルを開催~“年収の壁”を抱える非正規雇用にも、福利厚生で実質手取りアップを実現~

第3の賃上げに活用できる福利厚生「借り上げ社宅」

企業が従業員へ社宅を提供するとき、定められている要件を満たすよう従業員が一定の家賃を負担すれば、第3の賃上げに活用できます。

これは企業が保有している社宅を従業員に貸し出すときはもちろん、賃貸物件を企業が借り上げて従業員へ貸し出す借り上げ社宅のときにも同様です。

借り上げ社宅を活用した第3の賃上げを実施するときには、freee福利厚生を利用するとよいでしょう。借り上げ社宅を提供するにあたり、必要となる物件契約や従業員説明会などを任せられます。

制度設計から支援を受けられるため、スムーズに従業員の待遇改善が可能です。

参考:
国税庁|No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
freee福利厚生|コストをかけずに従業員の手取りが増やせる

第3の賃上げに活用できる福利厚生「食事補助」

食事補助も定められている要件を満たした上で導入すると、従業員の税負担を増やすことなく支給できる、第3の賃上げに活用可能な福利厚生の一種です。

要件を満たして制度を導入するには、エデンレッドジャパンが提供している食の福利厚生サービス「チケットレストラン」が役立ちます。専用のICカードを使い、全国にある25万店舗以上の加盟店で食事を購入できるサービスは、利便性の高さから従業員満足度93%の実績があります。

導入や運営に手間がかからないのもポイントです。契約後に届くICカードを配布すればすぐに利用できますし、その後は月に1度のチャージ作業のみで利用し続けられます。手間とコストを抑えつつ、従業員に喜ばれる福利厚生を提供可能です。

資料請求はこちら

参考:国税庁|No.2594 食事を支給したとき

最低賃金の引き上げに備えよう

2024年10月から50円を目安に最低賃金の引き上げが行われます。最低賃金が引き上げられれば、人件費が上がり利益が縮小する企業や、扶養内で働くパートやアルバイトが働く時間を制限するケースが出てくるでしょう。

これらに対応するには、コストや手間がかかることが予想されます。業務改善助成金やキャリアアップ助成金などの制度を活用し、変化に対応していきましょう。

従業員の待遇改善には、賃上げに加えて福利厚生の充実度アップが役立ちます。要件を満たすと従業員の税負担を増やすことなく支給できる、社宅や食事補助などを活用するとよいでしょう。

食事補助を提供するなら、エデンレッドジャパンが提供している食の福利厚生サービス「チケットレストラン」がおすすめです。従業員満足度の高いサービスの導入を検討してみませんか。

資料請求はこちら

New call-to-action