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社会保険適用拡大とは?対象企業や必要な対応をわかりやすく解説

社会保険適用拡大とは?対象企業や必要な対応をわかりやすく解説

2024.05.01

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2024年10月から社会保険適用拡大の対象企業が広がります。この変更により、これまで社会保険へ加入する必要のなかったパートやアルバイトも、一定の要件を満たすと企業の厚生年金や健康保険へ加入する必要が出てきます。これにより企業にはどのような対応が求められるのでしょうか?わかりやすく解説していきます。

社会保険の適用拡大とは?

もともと社会保険が適用されるのは、フルタイムの従業員か週所定労働時間と月所定労働時間がフルタイムの4分の3以上の従業員のみでした。

社会保険の適用拡大とは、もともと社会保険が適用される従業員に加えて、一定の要件を満たしたパートやアルバイトといった短時間労働者にも社会保険を適用することです。

対象となる従業員の要件

社会保険適用拡大によって対象となるのは、以下の要件を満たす従業員です。

  • 週所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金8万8,000円以上(年収106万円以上)
  • 2カ月を超える雇用の見込み
  • 学生ではない

2024年10月の社会保険適用拡大で変わること

社会保険適用拡大は段階的に対象企業が広がっています。2024年4月時点の対象企業は、従業員数101人以上の企業です。2024年10月の社会保険適用拡大によって、どのような点が変わるのでしょうか?

対象となる従業員数とは

社会保険適用拡大の対象企業は従業員数によって定められています。この従業員数は、現時点で厚生年金保険の適用対象者となっている従業員の人数です。

従業員数51人以上の企業が対象

2024年10月から、社会保険適用拡大の対象企業は、従業員51人以上に広がります。2024年9月までは、従業員が100人以下であれば、要件を満たしていてもパートやアルバイトは企業の厚生年金や健康保険へ加入する必要はありません。

これが2024年10月からは変わるため、従業員51人以上の企業では新たに手続きが必要になります。

従業員数50人以下は労使合意により対象

従業員数50人以下の企業はこれまで通り、パートやアルバイトが要件を満たしていても、厚生年金や健康保険へ加入する必要はありません。ただし労使が合意すれば、任意で社会保険適用拡大の対象企業となることも可能です。

社会保険適用拡大の対象企業がすべきこと

2024年10月からの社会保険適用拡大の対象企業では、以下の手順で準備を進める必要があります。

  1. 対象者を調べる
  2. 社会保険の法律改正を社内へ周知する
  3. 書類を作成し届け出る

それぞれのステップについて見ていきましょう。

対象者を調べる

まず行うのは、2024年10月から社会保険へ加入する必要のあるパートやアルバイトを把握することです。

1週間の所定労働時間が20時間以上で、月8万8,000円以上の給与を支給し、2カ月を超えて雇用する見込みがある、学生ではないパートやアルバイトを洗い出します。

社会保険適用拡大について社内へ周知する

2024年10月から社会保険適用拡大により、パートやアルバイトで要件を満たす人は、新たに厚生年金や健康保険へ加入する必要があることを社内で周知しましょう。

全体向けの説明会を実施する他、対象者へ個別に面談を設けることもポイントです。社会保険へ加入するメリットの説明や労働時間の相談・キャリアアップの提案などを実施します。

書類を作成し届け出る

新たに社会保険適用拡大の対象企業となる、従業員数51~100人の企業には、2024年9月上旬までに対象となる旨の通知が届きます。

その後「被保険者資格取得届」を作成し、事務センターまたは管轄の年金事務所へ提出しましょう。オンライン申請も可能です。

社会保険適用拡大のデメリット

社会保険適用拡大には従業員の手厚い保障につながるメリットがあります。保障の手厚さを魅力に感じる人材の採用につながるかもしれません。

一方で、企業にとっては保険料が上がることによる負担の増加が懸念されます。厚生年金や健康保険の保険料は企業と従業員で折半しているため、社会保険の加入者が増えるとその分企業の支払う保険料が増えるためです。

また従業員にとっては、将来の年金額が増える半面、社会保険料が天引きされることで手取り収入が減るデメリットがあります。このデメリットを避けるために働き控える従業員が出てくることもあるでしょう。

社会保険適用拡大で利用できるキャリアアップ助成金

社会保険適用拡大により、パートやアルバイトとして働く従業員の中には、手取り収入の減少を避けるために働き控える人が出てくる恐れがあります。

働き控えのデメリットを避けるために、要件を満たす企業に対して、対象の従業員1人につき最大50万円の助成金を受けられるのが、キャリアアップ助成金の「社会保険適用時処遇改善コース」です。

助成金を活用して社会保険適用拡大に対応したいと考えている企業の参考になるよう、厚生労働省の「キャリアアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コース」を参考に、助成金について解説します。

参考:厚生労働省|キャリアアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コース

「社会保険適用時処遇改善コース」のメニューは3つ

キャリアアップ助成金の「社会保険適用時処遇改善コース」には「手当等支給メニュー」「労働時間延長メニュー」「併用メニュー」の3つのメニューがあります。3つのメニューの要件をチェックしましょう。

メニュー

要件

1人当たりの支給上限額

手当等支給メニュー

●1年目:社会保険適用促進手当などとして賃金の15%以上分を従業員へ追加支給すること

●2年目:社会保険適用促進手当などとして賃金の15%以上分を従業員へ追加支給するとともに、3年目以降に以下の取り組みを行うこと

●3年目:基本給を18%以上増額すること。 ※労働時間延長との組み合わせも可能

●1年目:10万円×2回

●2年目:10万円×2回

●3年目:10万円×1回

労働時間延長メニュー

以下のいずれかの取り組みを6カ月継続すること

●週所定労働時間の延長4時間以上

●週所定労働時間の延長3時間以上4時間未満・賃金5%以上増額

●週所定労働時間の延長2時間以上3時間未満・賃金10%以上増額

●週所定労働時間の延長1時間以上2時間未満・賃金15%以上増額

30万円

併用メニュー

●1年目:社会保険適用促進手当などとして賃金の15%以上分を従業員へ追加支給すること

●2年目:労働時間延長メニューの要件を満たすこと

50万円

助成金は期間限定

キャリアアップ助成金の「社会保険適用時処遇改善コース」は時限措置として設けられた制度です。対象となるのは、2023年10月~2025年度末までに、対象となる従業員へ社会保険を適用し要件を満たした企業に限られます。

対象となるのは新たに社会保険へ加入した従業員

キャリアアップ助成金の「社会保険適用時処遇改善コース」の対象となるのは、2023年10月以降に社会保険の被保険者となった従業員です。

さらに社会保険の加入日から6カ月間継続して雇用されていること、社会保険の加入日から過去2年以内に同事業所で社会保険に加入していないことも満たしている必要があります。

併せてメニューごとに以下の要件を満たしていなければいけません。

メニュー

要件

手当等支給メニュー

・社会保険加入日から1年経過時点で労働時間の延長ができる見込みである

労働時間延長メニュー

・社会保険加入日から2カ月以内に週所定労働時間を一定時間延長できる

併用メニュー

・社会保険加入日から最長2年間の手当等の支給後の働き方について労使で話し合う予定がある
・社会保険加入日から1年経過時点で労働時間の延長ができる見込みである

関連記事:【社労士監修】年収の壁対策はキャリアアップ助成金を活用!待遇改善に役立つ福利厚生も

扶養内での勤務を希望する従業員の待遇改善

社会保険料の天引きにより手取り収入が減ることを避けるために、働き控える従業員が出てくる可能性があります。

この働き控えへの対策には、キャリアアップ助成金の「社会保険適用時処遇改善コース」を活用可能です。ただし助成金を活用するために基本給を上げると、今後も扶養範囲内での勤務を希望している従業員は勤務時間を減らさなくてはいけない可能性があります。

そこで役立つのは福利厚生による待遇改善です。時給アップとともに、要件を満たすことで給与として扱われない福利厚生を導入すれば、扶養内で働く従業員の働き控えを抑えられる可能性があります。

例えばエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、契約後に届くICカードを配るだけで要件を満たす食事補助を提供可能です。手間を抑えつつ、実質的な収入アップにつながる福利厚生を従業員に提供できます。

関連記事:食事補助は課税される?給与にしないための非課税限度額

社会保険適用拡大に対応しよう

2024年10月から社会保険適用拡大により、厚生年金保険の対象となっている従業員数が51人以上の企業は、要件を満たすパート・アルバイトも社会保険へ加入することとなります。

対象企業は10月に向けて準備を進めなければいけません。

中には扶養内での勤務を希望する従業員もいるでしょう。このような従業員の待遇改善や、実質的な手取り収入アップには、福利厚生の活用がおすすめです。

中でも食事補助を提供できるエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、最小限の手間とコストで満足度の高いサービスを導入できます。公平に提供しやすい福利厚生サービスを検討してみませんか。

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