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賃上げ2023|基礎知識からおすすめの制度まで紹介!賃上げ事例も

2023.11.14

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2023年に入り、賃上げを発表する企業が増えています。そんな状況に鑑み、自社の賃上げを検討している経営者も多いのではないでしょうか。本記事では、2023年に賃上げが進んでいる理由や、実際に賃上げを行った企業・自治体のトピックなど、2023年の賃上げにまつわる情報をまとめて解説します。合わせて、賃上げの代替案として人気の福利厚生サービス、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」についても紹介します。

「賃上げ」の基礎知識

「賃上げ」は「定期昇給」と「ベースアップ」の2種類に分かれ、それぞれに内容が異なります。まずは、その詳細から整理していきましょう。

定期昇給(定昇)

「定期昇給」は、企業が独自に定めた基準に従って行われる定期的な昇給です。通常、勤続年数や年齢・仕事で挙げた成果や評価をもとに昇給額が決まります。

一般的に、定期昇給は年に1〜2回行われますが、必ず実施されるとは限りません。定期昇給制度は、あくまでも昇給の機会があることを示すものです。タイミングや内容については、企業の判断で独自に定められています。

ベースアップ(ベア)

「ベースアップ」は、全従業員を対象に一律で行われる基本給の底上げです。企業の業績や社会情勢を踏まえて一律支給されるため、定期昇給のように勤続年数・年齢・仕事での成果や評価は考慮されません。例年、春闘において争点となっているのがこのベースアップ(ベア)です。

つまり、定期昇給とベースアップとの違いは、個人に紐付いて行われるのか(定期昇給)・企業に紐付いて行われるのか(ベースアップ)にあります。

日本で賃上げが進まなかったのはなぜ?

世界規模で見てみると、日本は長期にわたり、際だって賃上げが進まなかった国のひとつです。日本で賃上げが進まなかった主な要因について、賃上げの背景とともに解説します。

賃上げは「定期昇給」が基本

賃上げには「定期昇給」と「ベースアップ」の2種類がありますが、日本での賃上げは慣例的に「定期昇給」を中心に行われてきました。その2つの理由を紹介します。

理由1:ベースアップが企業に与える負担の大きさ

ベースアップと定期昇給は、ともに従業員の給料を増やす賃上げの施策です。しかし、企業に与える負担の大きさという点において、両者の間には大きな違いがあります。

定期昇給は、基本的に年功序列で昇給が行われます。若い世代を昇給させても、その分ベテラン世代が定年退職を迎えるため、従業員全体の勤続年数や年齢は一定の水準に保たれ、大きな変化はありません。人件費の総負担額は維持したまま、従業員一人ひとりのキャリアに応じた賃上げが可能です。

一方でベースアップの場合、全社員を対象とした一律の基本給の底上げとなるために、実施に必要なコストは決して少なくありません。ある程度の企業体力があり、なおかつ将来的に安定した経営の見通しが立って初めて実施に踏み切れるのがベースアップです。

理由2:労働契約法における「不利益変更禁止の原則」

日本の賃上げが定期昇給を中心に行われてきたもうひとつの理由に、労働契約法における「不利益変更禁止の原則」があります。

労働契約法は、労働者にとって不利益となる就業規則の変更を、労働者との合意なく行うことを禁止しています。これを「不利益変更禁止の原則」といい、この規則により、一度ベースアップを行えば、従業員との合意のないままに給料を引き下げることは難しいでしょう。

このように、先行きの見えない中、ベースアップで賃上げを行うことは企業にとって大きなリスクです。日本企業の多くが、従業員への利益還元を賞与や一時金の形で行い、ベースアップには反映させませんが、ますが、これも将来の経営リスクを踏まえ、ベースアップを避けようとする慣例によるものです。

参考:e-Gov法令検索|労働契約法 第9条

リスクマネジメントを重視する経営姿勢

日本の大半の企業は、思いがけない業績悪化や社会情勢の変化に備えてベースアップを避けてきました。

実際の業績や社会情勢の変化がどうあれ、「利益は内部留保に回し、人件費等には回さない」というのが、日本企業の基本的なスタンスだったといえます。

厚生労働省が公表した「令和5年春季賃上げ集計」によると、日本企業の賃上げの妥結額は、1993年(平成5年度)の11,077円以降、2022年(令和4年度)まで約30年にわたり1万円を超えることはありませんでした。

平行して賃上げ率も下がり続け、1993年の3.89%以降、2022年まで2%台から1%代を推移しています。これらの数字は、日本企業における賃上げのハードルの高さを如実に表したものといえます。

参考:厚生労働省|第2表 民間主要企業における春季賃上げ状況の推移

世界の平均賃金と日本

日本における賃上げの実情をより深く理解するためには、諸外国との比較が役立ちます。

下記に示す表は、OECD(経済協力開発機構)のデータをもとに、1991年・2022年における「日本」「アメリカ」「OECD加盟国平均」の平均賃金(単位:米ドル)とその伸び率を一覧にしたものです。

  1991年 2022年 伸び率
日本 40,379 41,509 2.8%
アメリカ 52,224 77,463 48.3%
OECD加盟国平均 40,312 53,416 3.3%

出典:OECD|平均賃金 (Average wage)

1991年当時、それほど開きのなかった日本とアメリカの平均賃金は、この30年ほどの間に大きな差がつきました。伸び率の違いを見ても、その差は圧倒的です。

また、この30年ほどで、日本の平均賃金は加盟国平均からも大きく差をあけられるようになりました。慣例的に賃上げを敬遠する日本企業、ひいては日本社会の体質がもたらした結果といえそうです。

2023年|賃上げの動きが急拡大

日本企業の多くが、長期にわたり賃上げに対し消極的な姿勢で臨んできました。しかし、その流れが大きく変わりつつあります。2023年に急拡大しつつある賃上げの動きについて、背景を含めて解説します。

2023年春闘における連合の賃上げ要求方針

2022年12月、連合(日本労働組合総連合会)が、翌2023年の春闘において5%の賃上げを要求する方針であることを正式に決定すると、大企業を中心に国内で賃上げの機運が高まりました。

経団連が発表した2023年春闘第1回集計では、大企業で平均1万3,110円の引き上げ(アップ率3.91%)、中小企業では平均7,864円の引き上げ(アップ率2.94%)という結果が出ました。これは、実に約30年ぶりの高水準です。

参考:厚生労働省|令和5年度春闘 各機関別賃上げ集計状況(加重平均)

84.8%の企業が賃上げを実施

東京商工リサーチが2023年8月に行った調査(※有効回答5,460社)によると、「今年度、賃上げを実施しましたか?」との質問に対し、「実施した」と回答した企業が84.8%(5,460社中、4,634社)を占める結果となりました。これは、前年度の82.5%を2.3ポイント上回る数字で、かつ調査を開始した2016年以降の最高値です。

また、賃上げを「実施した」と回答した企業を対象に「実施した内容」について尋ねたところ、以下のような結果となりました。

  • 定期昇給:75.3%(3,462社)
  • ベースアップ:56.4%(2,592社)
  • 賞与(一時金)の増額:43.3%(1,992社)
  • 新卒者の初任給の増額:23.5%(1,082社)

約半数の企業が、通常であれば敬遠しがちなベースアップを選んでいるところを見ても、賃上げに対する企業の意識が大きく変わりつつあることがうかがえます。

参考:東京商工リサーチ|~2023年度「賃上げに関するアンケート」調査~

2023年に賃上げが進んだ背景

2023年になって、急速に賃上げが進んでいるのはいったいどうしてなのでしょうか。その背景を解説します。

物価の上昇

2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻すると、世界規模でエネルギーや原材料費の価格が高騰しました。パンデミックの収束にともなう需要の急増も相まって、日本国内においても、あらゆる物やサービスの値段が高騰するインフレに突入したのです。

物価が上昇すれば、同じ金額で購入できる物やサービスの量が少なくなります。つまり、これまでどおりの給与を支給されていたとしても、実質的な給与は減少していくのです。

こうした状況を踏まえ、従業員の生活を支えるためには金銭的な補助が必要だと判断する企業が続きました。なかには一時金の形でインフレ手当を支給する企業もありますが、一時金の場合、継続した支援ができません。そこで、インフレの長期化を予想した企業は、選択肢としてベースアップなど賃上げの形で生活補助の支給を決断するに至っているのです。

物価高に対する緊急経済対策

2023年10月18日、立憲民主党は、長期化する物価高を克服するための緊急経済対策を提言しました、

同党はこの対策の中で、中間層を含む全世帯の6割ほどを対象に、1世帯あたり3万円の「インフレ手当」の直接給付を求めています。

この動きは、物価高が続くインフレが家計に与えている負担の大きさが、広く懸念されていることを示したものといえそうです。

参考:立憲民主党|物価高を克服するための緊急経済対策

人手不足

少子高齢化が続く日本では、多くの企業が慢性的な人手不足に陥っています。同業他社に負けることなく優秀な人材を獲得すべく、あれこれと手を尽くしているのが実情です。

そんな中で、積極的に賃上げをすれば、求職者が自社に目を留める可能性が高まります。少しでもよい条件の企業を選びたいのが求職者の本音であることを考えると、賃上げは人手不足を解消するための効果的な手段です。

さらに、賃上げを実施すれば、既存の従業員の企業に対する帰属意識や貢献意欲を高め、仕事へのモチベーションが向上する効果も期待できます。

人件費は増加するものの、ある意味でそれ以上に得るものの多い施策といえそうです。

賃上げにまつわる政府の支援策

2023年10月24日、岸田首相は、衆院代表質問の中で「賃上げが物価上昇に追いつくまで政府による支援が必要」との見方を示しました。賃上げは政府が推奨する施策でもあり、賃上げを進める企業にはさまざまな支援策が用意されています。以下、その内容を詳しく見ていきましょう。

「賃上げ促進税制」

物価高が続く国内の状況を踏まえ、政府も「賃金引き上げ特設ページ」を開設し、企業の賃上げを積極的に推進しています。

なかでも2022年4月1日に施行された賃上げ促進政策「賃上げ促進税制」は、企業が賃上げに踏み切る大きな後押しとなっています。

「賃上げ促進税制」では、企業規模によって異なる税制支援が用意されています。以下、それぞれの内容を紹介します。

大企業の場合

大企業向け賃上げ促進税制では、継続雇用者給与等支給額が前事業年度より3%以上増えている場合、控除対象雇用者給与等支給増加額の15%が、法人税額もしくは所得税額から控除されます。

加えて、継続雇用者給与等支給額が、前事業年度より4%以上増えている場合、税額控除率が10%上乗せされます。さらに、教育訓練費の額が前事業年度より20%以上増えている場合、税額控除率が5%上乗せされる仕組みです。

中小企業の場合

中小企業向け賃上げ促進税制では、雇用者給与等支給額が前年度と比べて1.5%以上増加している場合、増加額の15%が法人税から控除されます。

2.5%増加させた場合、さらに15%が上乗せで控除されます。さらに、教育訓練費を前年より10%以上増額した場合には、最大40%の控除を受けることが可能です。

大企業向け・中小企業向け、それぞれ2022年4月1日~2024年3月31日までの期間内に開始する事業年度が対象です。

参考:厚生労働省|賃金引き上げ特設ページ
参考:経済産業省|大企業向け「賃上げ促進税制」ご利用ガイドブック
参考:経済産業省|中小企業向け「賃上げ促進税制」ご利用ガイドブック

2023年|賃上げに向けた企業や自治体の取り組み

賃上げが進む2023年ですが、実際にはどのような取り組みがなされているのでしょうか。企業や自治体による主な取り組みを紹介します。

株式会社 ファーストリテイリング

ユニクロやGUの運営で知られる『ファーストリテイリング』は、2023年3月より国内社員の年収を最大40%引き上げることを発表しました。

株式会社オリエンタルランド

東京ディズニーリゾート(TDR)の運営で知られる『オリエンタルランド』は、2023年4月より管理職・パート・アルバイトを含む従業員約2万1800人の賃金を平均で約7%引き上げると発表しています。

デクセリアルズ株式会社

電子部材メーカーの『デクセリアルズ株式会社』は、2024年度より新入社員の初任給を引き上げる方針です。大卒で12%、大学院修士卒で9%程度の引き上げが予定されています。

群馬県人事委員会

群馬県人事委員会』は、2023年10月10日、2023年度の県職員の月給について、平均0.78%(2879円)引き上げるよう山本一太知事と県議会に勧告しました。ボーナスも0.1カ月分引き上げ、4.5カ月分を支給するよう求めています。

2024年以降はどうなる?春闘に向けた連合の動き

連合は、2023年10月19日のプレスリリースにおいて、2024年春闘の基本構想として「賃上げ分3%以上、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め5%以上の賃上げを目安とする」方針を固めました。

なお、2023年春闘の方針は「賃上げ分を3%程度、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含む賃上げを5%程度」でした。数字こそ変わらないものの、よくよく比較してみると、2024年のほうがより強い表現が選ばれていることが分かります。

各企業の賃上げの動きが進んだことにより、2023年の賃上げ率は、30年ぶりの高水準となりました。しかし、消費者物価指数を見てみると、依然として4%台〜2%台後半で推移しています。現状の賃上げでは不十分との判断がなされた結果が、2024年春闘の基本構想に反映しているといえそうです。

参考:総務省統計局|2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)9月分

賃上げが難しい企業ができる対策は?

従業員の生活を支えるためにも、安定的に人材を獲得して人手不足を解消するためにも、賃上げは今や企業にとって欠かせない施策となっています。

一方で、賃上げには一定のコストが必要です。企業によっては、賃上げをするだけの企業体力がなく、賃上げに踏み切れないというケースもあるでしょう。そんなときはいったいどうするべきなのか。おすすめの対策を紹介します。

福利厚生で賃上げの代替を

「従業員の生活を経済的に支えたい」「人材確保に寄与する施策を取り入れたい」そんなとき、賃上げの代替案として利用できるのが福利厚生です。

福利厚生には、法律によって提供が定められた「法定福利厚生」と、企業が独自に提供する「法定外福利厚生」があります。このうち「法定外福利厚生」を利用して、従業員の生活を支え、また求職者にとって魅力的な施策を用意すれば、賃上げの代替案として十分に機能するでしょう。

なお、福利厚生は、ある一定の条件が整えば経費として計上できます。法人税の節約ができるのも、福利厚生を活用することで得られる大きなメリットです。

また、新たな就職を探す求職者にとって、福利厚生の充実度は重要なチェックポイントです。というのも、法律で義務化されていない法定外福利厚生を充実させている企業は、その分「従業員を大切にしている企業」だと考えられるからです。

従業員を大切にしている企業は働きやすい企業であることが予想されるため、求職者からの人気が高い傾向にあります。

新たな福利厚生を賃上げの代替案として導入することは、企業にとってメリットの大きい施策といえます。

食の福利厚生として日本一「チケットレストラン」

では、実際に賃上げの代替案として導入する福利厚生にはどのようなものを選べばよいのでしょうか。

新たな福利厚生を検討する企業の中で、近年人気を集めているサービスに、食の福利厚生として日本一の実績を持つエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」があります。

なぜ、賃上げの代替案として食の福利厚生が人気を集めているのでしょうか。

エデンレッドジャパンが2023年5月に行った調査によると、2023年6月に集中した値上げの影響で、節約を意識している人の割合は全体の9割に達しました。さらに、具体的な節約項目としてもっとも多かったのが「食費」でした。

つまり、物価高の現状において、食事補助の福利厚生を提供することは、非常に効果的な施策といえます。

「チケットレストラン」はどんなサービス?

チケットレストラン」は、専用のICカードを使って利用する福利厚生の食事補助サービスです。

サービスを導入した企業の従業員が、加盟店での食事の支払いに専用ICカードカードを利用すると、食事代が半額で利用できる仕組みです。

チケットレストラン」の加盟店数は、ファミレス・コンビニ・カフェ・有名チェーン店など、全国に25万店舗にものぼります。リモートワークや出張中でも、近場の加盟店が利用できるほか、ジャンルが幅広いため、利用する人の年代や嗜好を問いません。

また、勤務時間内であればいつでも利用できるため、ランチはもちろんのこと、休憩時におやつを購入したり、お弁当にサラダなど1品追加するといった活用の仕方もできます。

こうした数々のメリットが評価され、「チケットレストラン」は食の福利厚生として日本一の実績を持つサービスとなっています。

自社に適した方法で賃上げに対応しよう

2023年に入り、これまで賃上げが進まなかった日本の企業がこぞって賃上げを進めています。この急速な賃上げ傾向に対し、自社の方向性をどうすべきかに頭を悩ませる経営層は少なくありません。

実際のところ、多くの企業が賃上げに踏み切っている状況ですが、施策がうまくいくかどうかは企業規模にもよります。エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」のような福利厚生を活用するなど、自社に合った方法で無理なく対策を進めましょう。

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