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【税理士監修】ベースアップの計算方法は?定額・定率の違いと事例をわかりやすく解説

【社労士監修】ベースアップの計算方法は?定額・定率の違いと事例をわかりやすく解説

2025.06.02

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

ベースアップの計算方法は、企業が賃上げを検討する際の大切なポイントです。この記事では、ベースアップにまつわる「定額」「定率」の2つの計算方式をシミュレーションとともにわかりやすく解説します。併せて、ベースアップの基礎知識や最新の実施率・引き上げ額など、賃上げ気運の中で企業が知っておきたい情報を網羅していますので、ぜひ参考にしてください。

ベースアップとは?|定期昇給と並ぶ代表的な賃上げ手法

「ベースアップ(ベア)」とは、「定期昇給(定昇)」と並び、企業が行う賃上げ手法のひとつです。まずは、ベースアップの定義や仕組み、定期昇給との違いについて整理していきましょう。

ベースアップの定義と仕組み

「ベースアップ(ベア)」は、企業がすべての従業員の基本給水準を一律に底上げする賃上げ手法です。個人の評価や勤続年数には関係なく、全従業員が同じように給与増額の対象となり、定期的に見直しがおこなわれます。

たとえば、月給30万円の従業員に月5,000円のベースアップを実施すると、翌月からの月給は30万5,000円となり、これを基準に賞与・退職金・社会保険料も算出されます。

このように、ベースアップは単なる給与増額にとどまらず、企業全体の人件費構造に恒常的な影響を与える施策です。

なおベースアップは、春闘にて労働組合が要求額を提示し、それに対して企業が交渉・検討するという流れで行われるのが一般的です。

定期昇給との違い

「定期昇給(定昇)」は、主に勤続年数や評価制度に基づき、個別に昇給を行う賃上げ手法です。

多くの企業では、人事評価や勤続年数に応じた「号俸」の進行に従い、年に一度のペースで実施されています。これは個別のモチベーション維持やキャリア形成を目的とした制度で、組織全体の給与水準の底上げを目的としたベースアップとはそもそもの目的が異なります。

春闘では、企業の賃上げ姿勢を示す指標として「定昇+ベア」がセットで語られるのが一般的です。

項目 ベースアップ
(ベア)
定期昇給
(定昇)
対象 全従業員一律 個別(評価・勤続年数などに応じて)
賃金の上がり方 基本給の水準を
恒常的に底上げ
号俸やランクに沿った
段階的な昇給
実施頻度 春闘などを通じて
不定期に実施
年1回など制度により
定期的に実施
目的 企業全体の給与水準の底上げ・物価対応 従業員の処遇改善・
モチベーション維持
主な交渉主体 労働組合・経営側
(春季労使交渉)
人事制度の運用として
社内で自動進行することが多い

他社はどのくらい実施している?ベースアップの最新動向

近年、人手不足の深刻化や物価上昇を背景に、ベースアップを実施する企業が急増しています。ここでは、実際にベースアップを実施する際のヒントとして、最新の企業規模別の実施率や、平均引き上げ額をわかりやすくまとめました。

ベースアップ実施率は一般職で約8割、急拡大傾向に

厚生労働省の「令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」によると、令和6年に「ベアを行った・行う」と回答した企業の企業規模別割合は以下の通りです。

企業規模 管理職 一般職
5,000人以上 68.3% 78.5%
1,000~4,999人 66.4% 76.8%
300~999人 50.4% 58.8%
100~299人 44.0% 47.2%

この調査結果からは、企業規模が大きいほどベースアップの実施率が高いことがわかります。企業規模は一般的に資金の余裕に比例することから、資金的な余裕の有無が、ベースアップの可否を左右する大きな要因であることが読み取れます。

参考:厚生労働省|賃金引上げ等の実態に関する調査

賃上げ額の水準は?平均15,281円・ベアは1万円超えに

連合(日本労働組合総連合会)が公表した2024年春闘の最終集計によると、平均賃金方式による賃上げ額(定期昇給+ベースアップ)は15,281円(賃上げ率:5.10%)と、33年ぶりの高水準となりました。

このうち、ベースアップ相当分のみが明確に把握できた組合(3,639組合)に限ると、平均ベア額は10,694円(賃上げ率:3.56%)でした。前年の平均ベア額が5,983円(賃上げ率:2.12%)であったことから、金額ベースでは約1.8倍、率でも1.44倍と、前年度からいずれも大幅な上昇となっています。

この結果から、2024年は社会的な賃上げ気運が高まり、定期昇給にとどまらず、実質的な給与水準の底上げ=ベースアップに踏み切る企業が増加した年であることがわかります。

参考:連合|労働・賃金・雇用 春季生活闘争

中小企業でも賃上げの動きが拡大

従業員数300人未満の中小組合においても、ベースアップを含む賃上げの動きは着実に広がっています。連合の集計によれば、中小組合全体の平均賃上げ額は11,358円(賃上げ率:4.45%)でした。

また、ベースアップ相当分が明確に判明している中小組合に限ると、その平均賃上げ額は8,256円(賃上げ率:3.16%)にのぼり、前年の4,982円(賃上げ率:1.96%)よりも着実に上昇しています。

この結果からは、人材確保や定着のため、財務負担を抱える中小企業においても、賃上げは避けて通れない経営課題として浸透していることがうかがえます。

ベースアップのメリット

ベースアップは、企業にとって大きな財務上の負担をもたらす一方で、多くのメリットをもたらす施策でもあります。ここでは、企業がベースアップを実施することで得られる主なメリットを紹介します。

人材獲得・定着における競争力の向上

人手不足が深刻化する中、給与水準の引き上げは、採用市場での競争優位性につながります。特にベースアップは、企業の業績や成長性の象徴として求職者に評価されやすく、採用力の強化に直結するものです。

また、既存従業員にとっても給与改善は「評価されている」という実感につながり、モチベーションやエンゲージメントの向上、離職率の低下といった効果が期待できます。

社会的評価・ブランディングへの寄与

ベースアップは、単なる給与改善にとどまらず、企業の社会的責任(CSR)や人的資本経営の実践としても注目されています。

昨今は「人的資本の情報開示」が投資家や市場から求められており、適切な賃上げはESG(環境・社会・ガバナンス)評価の「S(社会)」要素として評価されます。

ベースアップの実施は、企業の持続可能性や価値観を対外的に示す有効な手段となるでしょう。

ベースアップのデメリット

ベースアップによって得られるメリットは、生じるデメリットと表裏一体です。ここでは、ベースアップの実施が企業にもたらす主なデメリットについて解説します。

恒久的なコスト増と柔軟性の低下

ベースアップは、一度実施すると基本的に元へ戻すことができません。基本給の水準自体が上がることで、賞与や退職金、社会保険料にも波及し、固定的な人件費負担の恒久的な増加を招きます。

将来的に自社の業績が悪化した場合、深刻な経営圧迫要因となる可能性もあります。特に人件費比率の高い中小企業では、財務上のインパクトが大きくなりやすい点に留意が必要です。

評価制度の形骸化による従業員のモチベーション低下

成果主義に基づく評価制度を導入している企業にとって、ベースアップの一律昇給は、評価制度との整合性を損なう恐れがあります。

評価と昇給がリンクしていないと感じた従業員は、業務に対するモチベーションが低下する可能性が否定できません。これはパフォーマンスの低下、ひいては業績の低下につながるものです。

優秀な人材が流出する原因になる可能性もあることから、定期昇給や評価制度とのバランス設計が重要です。

ベースアップの計算方法とは?仕組みと考え方を解説

ベースアップを実施する際は、主に「定額方式」と「定率方式」のいずれか、あるいはその組み合わせが採用されます。ここでは、それぞれの仕組みと特徴、そして実際のシミュレーション例を交えながら解説します。

定額方式|一律でわかりやすい計算方法

定額方式とは、全従業員の基本給に対して同じ金額(たとえば5,000円など)を一律で上乗せする方法です。月給が25万円の従業員にも35万円の従業員にも、同じく5,000円を加算します。

この方式は非常にシンプルでわかりやすく、全従業員に対する公平感を生みやすいのが特徴です。特に職種や役職ごとの給与差が小さい企業や、従業員数の少ない中小企業で導入されやすい傾向があります。

【シミュレーション】

  • 月給30万円の従業員に対して、定額5,000円のベースアップを実施した場合
     → 新しい月給は30万5,000円に
     → 年間では5,000円 × 12か月 = 6万円の増加

なお、このベースアップ額はその後の賞与・退職金・社会保険料の計算にも反映されるため、単純な月額給与の増額以上に、企業の人件費全体へ影響が及ぶ点にも注意が必要です。

定率方式|給与水準に応じた柔軟な昇給設計

定率方式とは、各従業員の基本給に一定の割合(たとえば3%など)を乗じて昇給額を決定する方法です。基本給が高い従業員ほど増額額も大きくなるため、給与構造に一定のメリハリがつくのが特徴です。

この方式は、等級制度や職務給を採用している企業、大企業のように多様な職種が混在する企業で導入されやすい傾向があります。従業員一人ひとりの給与水準に応じて柔軟に対応できるのが利点です。

【シミュレーション】

  • 月給30万円の従業員に対して、3%のベースアップを実施した場合
     → 30万円 × 3% = 9,000円の増加
     → 新しい月給は30万9,000円に
     → 年間では9,000円 × 12か月 = 10万8,000円の増加

定額方式と同様、定率方式によるベースアップも賞与・退職金・社会保険料の算出基準に影響します。高い給与水準の従業員ほどコストインパクトが大きくなるため、導入にあたっては全体の人件費シミュレーションが欠かせません。

ベースアップが難しいときの代替策|「第3の賃上げ」という選択肢

ベースアップの重要性は理解しつつも、すべての企業が対応できるとは限りません。特に中小企業や急成長フェーズにある企業では、原資や制度の制約から、直接的な賃上げが困難なケースも多く見られます。

こうした中、注目を集めているのが、福利厚生を活用して実質的な手取りを増やす「第3の賃上げ」という考え方です。

福利厚生を活用した実質的な手取りアップ

エデンレッドジャパンが定義した「第3の賃上げ」とは、定期昇給(第1の賃上げ)、ベースアップ(第2の賃上げ)に続く新たな賃上げ手法として、実質的な手取り増加や家計負担の軽減につながる福利厚生を通じ、従業員の生活支援にアプローチする施策を指します。

たとえば、食事補助や住宅手当といった福利厚生は、一定の条件を満たせば所得税の非課税枠が活用できるため、同額のベースアップを行うよりも効率的に手取り額を増やすことが可能です。

企業側にとっても、福利厚生費は経費として計上できるため、法人税の削減につながるなど、財務上のメリットもあります。こうした仕組みを活用すれば、限られた予算の中でも、従業員満足度の向上や離職防止に効果を発揮できます。

3,000社以上が導入する「チケットレストラン」

福利厚生による実質的な賃上げを実現する具体策として、導入企業が年々増加しているサービスに、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」があります。

チケットレストラン」は、従業員のランチ代の半額を企業が補助する食事補助の福利厚生サービスで、全国25万店以上の加盟店で利用できます。利用可能な店舗のジャンルは、コンビニ・三大牛丼チェーン・カフェ・ファミレスなど幅広く、業種や勤務形態を問わず柔軟に導入できるのも魅力です。

運用は月1回のチャージで完結するシンプルな仕組みのため、バックオフィスの負担もありません。導入企業数はすでに3,000社を超え、給与だけでは補いきれない生活支援策として、多くの企業から支持を集めています。

関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も

制度の限界を越える柔軟な発想を|ベースアップとその代替策の選択肢

人材確保や従業員定着が深刻な経営課題となる中、ベースアップは企業が経営の安定性と従業員をサポートする姿勢を同時に示す効果的な手段のひとつです。

一方で、恒久的なコスト負担がハードルとなり、特に中小企業では実現できないケースも少なくありません。

そんな中、注目度を高めているのが「チケットレストラン」をはじめとする福利厚生を活用した「第3の賃上げ」です。

たとえベースアップが難しくても、福利厚生という形で従業員の生活を支えることは十分に可能です。制度にとらわれず、自社のフェーズや財務体力に応じた柔軟な人材戦略の推進こそ、今後の人的資本経営に求められる視点といえるでしょう。

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参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~
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