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【社労士監修】「若年者等正規雇用化特別奨励金(終了)」(雇入れ)とは?背景や目的を解説

【社労士監修】「若年者等正規雇用化特別奨励金(終了)」(雇入れ)とは?背景や目的を解説

2024.05.31

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

10年以上も前のことですが、リーマン・ショックや東日本大震災は、就職難やフリーター・ニートの増加を促しました。そのような社会背景で創設されたのが、「若年者等正規雇用化特別奨励金」です。この記事では「若年者等正規雇用化特別奨励金」の内容や創設された背景などを詳しく解説します。


※本記事で解説する「若年者等正規雇用化特別奨励金」「若年者雇用促進特別奨励金」や参考として記載する「介護基盤人材確保助成金」はすでに終了していますので、現在は申請できません。本記事は過去の助成金への理解を深め、人材確保や企業成長のための教訓にするものとしてご活用ください。

「若年者等正規雇用化特別奨励金」(雇入れ)とは

「若年者等正規雇用化特別奨励金」とは、フリーターや内定取り消しとなった学生の雇用を促すために事業者向けに設けられた奨励金です。2009年2月に創設されたもので、厚生労働省によると、以下のように定義されています。

「年長フリーターおよび30代後半の不安定就労者」または「採用内定を取り消されて就職先が未定の学生等」を平成23年度末までに正規雇用した事業主が、その後も引き続き、正規雇用している場合、一定期間ごとに奨励金を支給します。

引用元:厚生労働省|フリーター等の常用雇用を支援します (若年者雇用促進特別奨励金のご案内)(※終了)

なお、介護基盤人材確保助成金など廃止された助成金の代替として、活用されることもありました。

参考記事:【社労士監修】介護基盤人材確保助成金(終了)とは?介護未経験者確保等助成金(終了)との関係も解説

参考:株式会社ブレインコンサルティングオフィス|かいけつ!人事労務 若年者等正規雇用化特別奨励金(※終了)

「若年者等正規雇用化特別奨励金」が設けられた背景

「若年者等正規雇用化特別奨励金」が設けられたのは、どのような背景からでしょうか。

2008年9月の米国で発生したリーマン・ショックとその後世界規模の金融危機により、世界経済は深刻な景気後退に陥りました。さらに、2011年の東日本大震災の影響で、日本の若年者の就職環境はますます悪化します。一般的に、景気が後退すると、需要が減り、生産性が低下し、労働力需要も比例して下がる傾向です。実際に、平成24年の雇用政策研究会の資料では、未就職卒業者数が平成22年平成23年と2年連続7.5万人と急増していることがわかります。

「若年者等正規雇用化特別奨励金」(雇入れ) 出典:厚生労働省|平成24年 雇用政策研究会 第1回 資料

また、同資料では、フリーター・ニートについても言及されています。平成22年から平成23年にかけて、フリーターの数は2万人増で176万人、ニートの数は3万人増で60万人となりました。

「若年者等正規雇用化特別奨励金」(雇入れ) 02出典:厚生労働省|平成24年 雇用政策研究会 第1回 資料

このような社会状況でも労働力不足に悩むのが中小企業です。若年者の雇用環境を改善するには、若年者と中小企業とのマッチングを促進することが重要な課題となります。そこで政府が推進したのが「若年者等雇用化特別奨励金」などに代表される若年者の雇用促進支援です。

また、内定取り消しは、リーマン・ショック後(2009年3月卒業)や東日本大震災後(2011年3月卒業)などに代表される災害や経済危機の際に増える傾向があるため、奨励金では内定取り消し者についての対応も盛り込まれていました。

参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構|中小企業における若年者雇用支援施策の利用状況(採用担当者ヒアリング調査報告)
参考:厚生労働省|平成24年 雇用政策研究会 第1回 資料
参考:WEB労働時報|内定取り消し136人 今春卒、9割コロナ影響 2年連続高止まり

「若年者等正規雇用化特別奨励金」は平成24年3月31日廃止

若年者等雇用化特別奨励金は、時限的な措置であるため、平成23年3月31日で廃止されました。なお、平成24年4月1日以降に支給申請期間を迎えることから、最終年度は2か月の支給期間延長がされています。

参考:ビジネスガイド2012.8|助成金・奨励金の新設・改廃総まとめ

「若年者等正規雇用化特別奨励金」活用における雇い入れのパターン

ここからは、厚生労働省「フリーター等の常用雇用を支援します (若年者雇用促進特別奨励金のご案内)(※終了)をもとに、奨励金が活用できる雇い入れのパターンを4つ解説します。

トライアル雇用活用型

トライアル雇用活用型は、ハローワークの紹介という形で「トライアル雇用」で雇い入れるパターンです。厚生労働省によると、トライヤル雇用とは「職業経験の不足などから就職が困難な求職者等を原則3か月間試行雇用することにより、その適性や能力を見極め、期間の定めのない雇用への移行のきっかけとしていただくことを目的とした制度です。」とされています。

「トライアル雇用活用型」は、トライアル雇用が終わった際に、引き続き同一事業所で正規雇用する場合に活用できます。以下に該当することが条件です。

  • トライアル雇用開始日前1年間に雇用保険の一般被保険者でなかった人
  • トライアル雇用の対象者とする者
  • トライアル雇用開始日の満年齢が40歳未満の人

トライアル雇用活用型では、平成23年度末までにトライアル雇用を開始しても、正規雇用が平成24年4月1日以降の場合は活用できません。

直接雇用型

直接雇用型は、ハローワークに奨励金の対象となる求人を出し、ハローワークの紹介で正規雇用するパターンです。活用する場合、以下に該当することが条件となります。

  • 雇い入れ日現在の満年齢が、25歳以上40歳未満の人
  • 雇い入れ日前1年間に雇用保険の一般被保険者でなかった者、その他、職業経験、技能、知識等の状況から、奨励金の活用が適当であると安定所長が認める人

有期実習型訓練修了者雇用型

有期実習型訓練を終了した者を雇用する場合に活用できるパターンです。有期実習型訓練とは、正規従業員経験が少ないパート・アルバイトなどの有期労働者を正規従業員への転換を目的に、ジョブ・カードを活用してOJTによる実習とOff-JT(座学など)を組み合わせて行う訓練のことです。以下の条件に該当する場合に活用できます。

  • 有期実習型訓練修了後の雇い入れ日(有期実習型訓練を受けさせていた事業主が、その訓練生を 正規雇用した場合は、訓練開始日)現在の満年齢が、25歳以上40歳未満の人

ただし、既に雇用している対象短時間等労働者に対して実施した有期実習型訓練の場合、実施事業所において正規雇用に転換された者については、奨励金の対象となりません。

内定取り消し雇用型

ハローワークに奨励金の対象となる求人を出し、ハローワークの紹介という形で採用するパターンであり、直接雇用型との違いとして採用内定を取り消され就職先が未定の新規卒業者を正規雇用する必要があります。さらに、以下の条件に該当する場合に活用できます。

  • 雇い入れ日現在の満年齢が、40歳未満の人

「若年者等正規雇用化特別奨励金」の奨励金

対象者1人につき、中小企業は100万円、大企業は50万円支給されます。奨励金は3回に分けて支給され、決められた期間経過後の1か月以内に申請が必要です。ただし、前述したとおり、最終年度は2か月の支給期間延長が設けられました。

期間 支給金額 申請手続き
第1期 大企業:25万円

中小企業:50万円

正規雇用開始日から6か月経過後、1か月以内に申請
第2期 大企業:12万5千円

中小企業:25万円

正規雇用開始日から1年6か経過後、1か月以内に申請
第3期 大企業:12万5千円

中小企業:25万円

正規雇用開始日から2年6か経過後、1か月以内に申請

「若年者等正規雇用化特別奨励金」の活用における留意事項

奨励金を活用する場合、目的を達成しているか確認するため、留意事項が設定されています。詳しく見てみましょう。

対象となる中小企業事業主について

奨励金を活用できる中小企業については、事業ごとに以下のとおり詳しく規定があります。

事業主 事業の規模
小売業(飲食店を含む) 「常時雇用する従業員数 50人以下」または

「資本または出資の額が5千万円以下」

サービス業 「常時常用する従業員数 100人以下」または

「資本または出資の額が5千万円以下」

卸売業 「常時雇用する従業員数 100人以下」または

「資本または出資の額が1億円以下」

その他の業種 「常時雇用する従業員数 300人以下」または

「資本または出資の額が3億円以下」

さらに、支給対象の事業主となるためには、若年者の正規雇用化を目指すという目的を果たすため以下のような要件も満たす必要があります。

  1. 雇用保険の適用事業の事業主であること
  2. 雇入れ対象者を6か月以上継続的に正規雇用する事業主であること
  3. 雇入れ日の前日から起算して6か月前の日から労働局長に対する支給申請日までの間に、事業所で雇用する被保険者を事業主の都合により解雇等をしていないこと
  4. 雇入れ日の前日から起算して6か月前の日から労働局長に対する支給申請日までの間に、特定受給資格者となる離職理由で離職した者が3人を超えず、かつ、雇用を開始した日における被保険者数の6%に相当する数を超えていないこと
  5. ハローワークから対象者の紹介を受ける前に、その対象者を雇用することを約していないこと など

    引用元:厚生労働省「フリーター等の常用雇用を支援します (若年者雇用促進特別奨励金のご案内)」(※終了)

正規雇用について

奨励金支給において、正規雇用についても、以下のように雇用形態や労働時間に詳しく規定が設けられました。

  • 雇用期間の定めのない雇用であって、1週間の所定労働時間が通常の労働者と同程度である労働契約を締結すること。
  • 雇用保険の一般被保険者(ただし1週間の所定労働時間が30時間未満の者を除く)として雇用する場合であること。

奨励金を活用し企業の成長を促進

若年者等正規雇用化特別奨励金は、フリーターやニートが社会問題になった時代に創設された若年層の雇用促進のための支援でした。時代に応じて、政府はさまざまな奨励金や給付金を設けています。

企業はこのような施策を活用し、人材を効率的に採用し、長期的な活躍を目指すことが重要です。人材採用では、福利厚生が充実していることも企業の魅力をアピールするポイントになります。エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」などの食の福利厚生なども導入しつつ、企業の成長に欠かせない人材を採用しませんか。

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