監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)
新入社員の離職防止にはどのような対策が役立つのでしょうか?これから離職を防ぐ取り組みを始める企業に役立つよう、新入社員の離職理由や、新入社員の離職が企業に与える影響について見ていきましょう。福利厚生による待遇改善についても紹介します。
新入社員の離職率を確認
新入社員の離職率はどのくらいあるのでしょうか?厚生労働省の「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」で確認しましょう。
離職率の計算方法
任意で決めた期間内に離職した従業員の割合が離職率です。計算式「離職者数÷あるタイミングで働いている従業員数×100」で表されます。以下のケースで離職率を計算してみましょう。
- 2024年4月1日に入社した新入社員数:10人
- 2025年3月1日までに離職した新入社員数:2人
- 新入社員の離職率の計算:2人÷10人×100=20%
このケースでは、新入社員の離職率は20%と分かります。
新規学卒者の離職率
「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」によると、新規学卒者のうち3年以内に離職するのは3人に1人以上です。2020年に新規学卒者として働き始めた新入社員の3年目離職率を学歴別に見ていきましょう。
学歴 |
3年目離職率 |
中学卒 |
52.9% |
高校卒 |
37.0% |
短大卒 |
42.6% |
大学卒 |
32.3% |
大学卒の新入社員を10人採用すると、3年後にも働き続けているのは6~7人と予測できます。
新入社員の離職理由
新入社員が離職を選ぶのはどのような理由なのでしょうか?代表的な離職理由をチェックしていきましょう。
ミスマッチが生じている
新入社員が離職を選ぶときには、ミスマッチが発生している可能性があります。「入社前に考えていた雰囲気と違った」「仕事の内容が思っていたのと違った」「こんなに厳しい仕事だと思わなかった」などの、入社前と入社後の差によって生じるものです。
企業説明会や面接などでは、自社の魅力を積極的に伝えようとする企業が多いでしょう。ただし魅力のみを伝えていると、仕事の大変な部分や、社内の雰囲気などが伝わりにくくなる恐れがあります。
理想のキャリアにつながらないと感じている
配属された部署の仕事が、思い描いているキャリアにつながらなさそうと感じると、新入社員は離職を選ぶ可能性があります。
新入社員の配属先を決めるときに、本人の希望をヒアリングしているでしょうか?希望と異なる配属先の場合には、その理由を説明しているでしょうか?
納得のいかないまま希望と異なる配属先で働いていると「この企業にいてもキャリアの目標を達成できそうにない」と感じ始め、離職を選ぶ新入社員もいるでしょう。
給与に不満がある
「同級生と比べて給与が低い」「仕事の大変さに対して給与が低い」「税金や社会保険料を引かれると給与が思ったほど残らない」というように、給与への不満がきっかけで離職を選ぶ新入社員もいます。
特に給与形態や昇給についての説明が不足していると「このまま給与が上がらないかもしれない」という先々の不安から、より給与の条件が良い企業への転職に向けた離職につながりやすいでしょう。
待遇に不満がある
給与以外の待遇の悪さが離職の原因になっている可能性もあります。例えば同程度の給与を受け取れる2社のどちらへも入社できるとしたら、福利厚生が整っている高待遇の企業を選ぶ人が多いでしょう。
新入社員として既に働いている場合でも、より待遇の良い企業へ転職できる可能性がある場合には、離職を選ぶかもしれません。
仕事がきつくストレスを感じている
「ノルマが厳しくなかなか達成できない」「残業の日が多く体力がもたない」「仕事量が多すぎて毎日いっぱいいっぱい」というように、仕事がきついと感じている場合にも、新入社員の離職につながる可能性があります。
ぎりぎりの人数で仕事に取り組んでいる場合には、十分な研修やフォローを受けられないまま、自分なりに仕事を進めなければいけないケースもあるでしょう。このような状況では、ストレスから離職を選ぶこともあるかもしれません。
新入社員の離職による影響
新入社員の離職によって、企業は短期的にも長期的にも影響を受けます。具体的な影響について見ていきましょう。
採用のコストと手間が増える
採用や入社後の教育にはコストと手間がかかります。新入社員が離職すると、その分のコストと手間が無駄になる上、不足する人材の採用にさらにコストと手間をかけなければいけません。
積み重ねによって大きな損失につながることもあるでしょう。
人手不足になる
日本国内は少子高齢化が進行しています。これに伴い16~64歳の生産年齢人口は減少傾向です。今後も減り続ける予想がされている中、新入社員が離職しても、新たな人材を採用できない可能性があります。
リクルートの「就職白書2024」によると、2024年卒の新入社員を「計画通り採用した」「計画より若干多く採用した」「計画よりかなり多く採用した」と回答している企業は、36.1%です。
新入社員を計画通りに採用できていない企業が多数派となっている中、新たな人材の獲得は難しいことが予想されます。
次世代の育成が間に合わなくなる
現時点で十分な人材がいるとしても、新入社員が離職して定着しないままでは、次世代を担う人材の育成が間に合わないかもしれません。
現場で働く人材はもちろん、経営層や管理職も育成する必要があります。責任あるポジションで働く人材には、早い段階でさまざまな経験が必要です。教育を開始してから離職すると、新たな人材に一から教育し直さなければいけません。
離職が続けば、世代交代のタイミングで十分な人材が育っていないという事態も起こり得ます。
イメージダウンにつながる
新入社員が入っても離職が続くと、企業に何かしら続かない理由があるのではないか?とイメージダウンにつながることもあります。1度悪いイメージがつくと、採用活動に取り組んでも、なかなか応募が集まらないかもしれません。
併せて顧客からの評判の低下につながり、売上や業績にも影響する可能性があります。
新入社員の離職防止につながる対策
新入社員の離職は企業にさまざまな影響を与えかねません。状況によっては経営に大きなダメージを受けることもあるでしょう。そのような状況を避けるには、事前の対策が必要です。ここでは新入社員の離職防止対策を紹介します。
事前に仕事のマイナス面を伝える
企業説明会や採用ホームページで企業の魅力を伝えることは大切です。ただしマイナス面を全く見せないまま魅力ばかりを伝えていては、新入社員のミスマッチにつながります。
仕事はやりがいがあり楽しいことばかりではないでしょう。日々の業務が地味な積み重ねであることや、入社後すぐは専門知識を身につけるために絶えず勉強が必要なことなど、大変なことも伝えておく必要があります。
先輩従業員のインタビューを掲載したり、実際に仕事をしているところを見られる職場見学を実施したりするとよいでしょう。
大変な部分もあると知った上で、魅力を感じて入社を希望する新入社員を採用しやすくなります。
研修を充実させる
新入社員向けの研修を充実させることも重要です。教育を現場のOJTに任せていると、部署によって教育の質に差が出る可能性があります。忙しい時期には新入社員の教育にまで手がまわらないこともあるでしょう。
部署によらず必要なビジネスマナーや、企業の事業に関する基本的な知識などは、入社時研修を実施すると全ての新入社員に同じ知識を伝えられます。
忙しい現場でも新入社員の教育がスムーズに進むよう、マニュアルを用意するのもよいでしょう。教育担当の先輩従業員が手を離せないタイミングでも、マニュアルを見ながら業務を進められる体制をつくれます。
フォロー体制をつくる
入社後のフォロー体制も必要です。新入社員は社内の人間関係が構築できていないこともあります。困っていることや不安なことがあっても相談相手がおらず、1人で抱え込んでいるかもしれません。
相談できないまま離職する新入社員を減らすには、面談の機会を設けるとよいでしょう。入社から一定期間が経過したあと、何か困っていることはないかヒアリングすると、悩みや不安の解消により離職防止につながります。
メンター制度の導入を検討するのもよいでしょう。他部署の先輩従業員をメンターとすることで、直属の上司には相談しにくい悩みや不安を解消しやすくなることが期待できます。併せて社内で横のつながりをつくりやすくなることも期待できる方法です。
キャリアをサポートする
新入社員のキャリアをサポートすることも、離職防止につながります。サポートをするにあたって、まずは新入社員がどのようなキャリアを希望しているかヒアリングしましょう。
希望のキャリアを自社で実現する方法にはどのような方法があるか、実現に向けて今何ができるか、などをアドバイスしていきます。新入社員がイメージを持ちやすいよう、将来的な目標に加えて短期目標を設定するのもポイントです。
夢や希望に向かうために今すべきことが明確になることで、新入社員のモチベーションを上げ離職を防ぎやすくなります。
評価制度を改善する
公平で納得できる評価制度を設けることも重要です。誰が何をどのように評価しているのかが不明瞭な制度や、評価する人によって結果が変わるような制度では、新入社員のやる気を奪いかねません。
「頑張っても評価されない」と感じた新入社員は、頑張りが評価される企業へ転職するために離職を選ぶでしょう。
評価制度は評価する人が誰であっても、同じ結果となるように設計する必要があります。併せてどのような取り組みが評価されるのか、従業員へ周知することもポイントです。
何が評価されるか分かっていれば、適切に努力することで高評価を獲得し、モチベーションが高まる好循環をつくれます。
マネジメント層向けの研修を行う
マネジメント層はベテランぞろいで、新入社員とは親子ほど年の差があることも珍しくありません。世代による価値観の違いにより、新入社員から見るとマネジメント層の指導が威圧的で非合理的なものに見えることもあります。
新入社員の離職防止に取り組むには、マネジメント層向けの研修を実施するとよいでしょう。これまでのやり方で進めるのではなく、時代に合わせた指導スキルを身につけられるよう、マネジメント層に働きかけましょう。
給与を見直す
新入社員が離職するのは給与が原因のこともあります。同業他社より自社の給与が低いとしたら、給与の見直しが必要かもしれません。
2024年の春闘では、物価高へ対応するために多くの企業が賃上げを行いました。賃上げの動きは大企業だけでなく中小企業へも広がっています。新入社員の離職を防ぐためにも、給与の見直しを検討しましょう。
関連記事:2024年の賃上げを表明した企業一覧。第三の賃上げについても解説
福利厚生を手厚くする
福利厚生の充実度アップも新入社員の離職防止に役立つ取り組みです。マイナビキャリアリサーチLabの「2025年卒 大学生 活動実態調査(4月)」によると、就活生が大手企業の選考に参加した決め手は、福利厚生の充実度の高さだそうです。
例えば育児や介護のための休暇制度や、フレックスタイム制・テレワークなどが整っていれば、ライフステージの変化に対応しながら働き続けられるでしょう。
社宅や食事補助などがあれば、日々の出費を減らすことで、実質的な手取り額が増えます。長く働き続けることを見据え、新入社員は福利厚生が充実していて働きやすい環境の整っている企業を選ぶ傾向があるため、福利厚生を整備することも離職防止のポイントです。
参考:マイナビキャリアリサーチLab|2025年卒 大学生 活動実態調査(4月)
新入社員の離職防止対策に役立つ「チケットレストラン」
新入社員の離職防止に向けて福利厚生を充実させようと考えているなら、エデンレッドジャパンの提供する食事補助サービス「チケットレストラン」がおすすめです。
使い勝手の良いサービスの導入で、従業員の実質的な手取り額を上げつつ、離職防止につなげられる可能性があります。サービスの特徴をチェックしましょう。
第3の賃上げにつながる
エデンレッドジャパンでは、第1の賃上げである定期昇給、第2の賃上げであるベースアップに対して、福利厚生サービスの利用による実質的な手取り額アップを第3の賃上げと位置づけました。
第3の賃上げでは、一定の要件を満たして導入すると、課税対象外となる福利厚生を活用します。給与として同額を支給すると税金がかかりますが、要件を満たした福利厚生であれば税金がかからないため、その分従業員の実質的な手取り額が上がります。
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は一定の要件を満たしている食事補助サービスです。企業は導入するだけで第3の賃上げを実施できます。
関連記事:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト
全従業員が公平に使える
福利厚生によっては利用する機会のない従業員もいます。例えば慶弔見舞として結婚祝いを支給している場合、結婚しなければ受け取れません。不公平に感じる従業員もいるでしょう。
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は全従業員が公平に使える福利厚生サービスです。全国に25万店舗以上ある加盟店で食事を購入できるため、オフィスへ出社している従業員はもちろん、テレワークで働く従業員や、毎日異なる現場で働く従業員も利用できます。
コンビニやファミレスなどの全国チェーンで使えるため、利用範囲が広いのもポイントです。
少ない負担で導入できる
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は導入の手間が最小限に押さえられている点もメリットです。導入時に行うのは契約後に届くICカードを従業員へ配る作業のみで、パソコンに専用ソフトをインストールするといった手間はかかりません。
継続に必要なのも、1カ月に1回行うチャージ作業のみです。福利厚生の管理を行う担当者の手間を増やすことなく、使い勝手の良い食事補助サービスを従業員へ提供できます。
新入社員の離職防止に「エデンレッドジャパン」を活用しよう
新入社員は3年以内に3人に1人以上が離職するそうです。離職する新入社員に対して何も対策をせずにいると、採用のコストが増えている割に人手不足は解消せず、将来企業を担う人材の育成も難しくなります。
離職防止に取り組むには、入社前にミスマッチが起きないよう対策することや、新入社員が働きやすい職場づくりを行うことが重要です。そのためには研修の充実や、フォロー体制の構築、給与の見直しなどを行います。
新入社員の離職を防ぐ方法として福利厚生の充実度アップを検討しているなら「チケットレストラン」を導入するとよいでしょう。全従業員が公平に利用できる食事補助サービスで、実質的な手取り額を上げ、待遇改善につなげられます。