「従業員満足度」は、企業の生産性や採用活動の効率性にも関連する重大項目として、企業や経済団体が注目しています。従業員満足度の定義や平均値、従業員満足度の高さが与えるメリットや従業員満足度の要因を解説します。従業員満足度向上に向けた活動のステップや導入におすすめの福利厚生サービス、また福利厚生を利用し従業員満足度向上を叶えた企業例を紹介します。
従業員満足度とは
従業員満足度とは、所属する企業に対して従業員が抱く「働きやすさ」「働きがい」を指標化・数値化したものです。従業員満足度は英語で「Employee Satisfaction(エンプロイー サティスファクション)」とよばれ、頭文字をとった「ES」として表されることが多いです。耳にしたことがある人もいるでしょう。近年、従業員満足度(ES)の向上に力を入れる企業が増えています。
従業員満足度には、給与などの待遇はもちろん、福利厚生や職場環境が大きく影響します。日本では深刻な少子高齢化を受け、今後、人材不足があらゆる企業を円滑に経営・運営していくための大きな課題になると考えられています。企業が従業員満足度(ES)に配慮したマネジメントを重視することは、経営戦略においても重要な要素の一つとみられています。
従業員満足度の平均
2021年に株式会社リアルワンが発表した「働くみんなの意識調査2021」によると全国の従業員満足度は、満足割合*が50.5%でした。働く人のおよそ半数が、仕事や勤め先に満足しているといえます。企業が自社の従業員満足度を比較する際の一定基準になるでしょう。*「そう思う」「どちらかというとそう思う」の合計割合
一方で、不満足割合*は22.2%、「どちらともいえない」と答えた人は27.3% であり、およそ 5人に1人が不満足感を抱えているという結果が出ました。ただし、この調査が始まった2011年に比べると満足割合は7.2%、不満足割合は-4.9%、「どちらともいえない」という回答割合は-2.3%と年々全国的に従業員満足度が向上しているといえるでしょう。*「どちらかというとそう思わない」「そう思わない」の合計割合
従業員満足度は属性や業界、性別などによっても異なるため、企業が従業員の満足度を向上させる施策を検討する場合は、自社の特徴を踏まえることが大切です。
従業員満足度が企業に与える効果
従業員満足度の高さは、企業にポジティブな相乗効果をもたらすといわれています。従業員満足度が高い企業に見られる特色について見ていきましょう。
採用活動・人材育成で有利に
従業員満足度の高さは、採用活動や人材育成の面でも有利になります。常識的に考えて、従業員満足度の高い企業と低い企業なら、前者を選ぶでしょう。新卒採用や中途採用活動で他の企業と差をつけられるポイントで、優秀な人材の確保にも効果的でしょう。
また、従業員満足度が高い企業は、離職率も低い傾向があります。新入社員に対して教育係が頻繁に変わったり、なれない業務を急に押し付けられたり、組織の人間関係が短期間でガラッと変わったりといったストレスを感じやすい事案が起こりにくいためです。教える側、教わる側、双方が落ち着いた環境で業務や教育に取り組めるため、良いコミュニケーションが生まれやすく、ますます人材育成に良い影響を及ぼし、離職率が減少します。
生産性が上がる
環境や待遇に不満がない職場では、本来の業務に前向きに集中できるものです。従業員満足度が高い企業では、従業員一人ひとりのモチベーションが高く、パフォーマンスが上がる傾向があります。
多くの従業員のパフォーマンスが向上することにより、企業全体の生産性の向上も期待できます。上がった業績を結果として提示し、インセンティブや福利厚生の充実といった形で従業員に還元できれば、またさらに従業員満足度と生産性が上がるといった、良いサイクルを生むことにつながるでしょう。
顧客満足度に直結する場合も
従業員満足度が高い企業は、従業員のワークエンゲージメントも高い傾向があり、それが顧客へのサービスに直結します。自社へのエンゲージメントが高い従業員の多くが「自社の素晴らしさを多くの人に知ってもらいたい」という気持ちを持つからです。また、自分の仕事や自社のサービスに対し、興味が持続するため常に新しい情報を取り入れ、顧客に還元するようにもなるでしょう。
こうした従業員のサービスは、そうではない企業のサービスに比べて、受ける側も気持ちの良いものです。顧客に満足してもらえるサービスを考えるなら、従業員の顧客満足度を満たすのが一番の早道なのかもしれません。
従業員満足度を上げる要素とは?
従業員満足度を上げるには、どのようなことに注力するのが良いのでしょうか?従業員満足度を決定づける要素とその在り方について解説します。
企業理念と実行力
従業員と企業の価値観が異なると、従業員が自分の心と仕事に対して距離を感じることになりかねません。現在あらゆる企業で、ミッション(理念)・ビジョン(理想)・バリュー(価値)(以下、MVV)を重要視する傾向があります。
MVVは「設定したら終わり」ではなく、どれだけ従業員全体に周知、浸透させられるかがカギです。企業の上層部だけで決定してしまったMVVは、従業員の価値観や現場の現状と乖離している場合があり、従業員の心が離れるきっかけになることもあるでしょう。
また「健康経営」「SDGs実行」といった立派な目標を掲げていても、企業が「守っていない」「守る努力が従業員に見えない」などの場合には、従業員満足度が余計に下がる恐れがあります。MVVを設定したら、従業員への浸透と実行までの過程、維持を大切にしましょう。
待遇
業務にプライドを持っていても給与や職場施設、福利厚生をはじめとした待遇に満足できなければ、企業への満足度は下がるものです。
また、一部の従業員だけが良い待遇で、一部は良いとは言えない待遇を押し付けているような場合は、双方から不満の声が上がりやすいです。厚生労働省もさまざまな条例で、企業に対して「同一労働、同一賃金」を意識するよう義務づけています。正規雇用はもちろん、非正規雇用の従業員にも、業務に対して真っ当な待遇を与えるよう努力しましょう。
仕事内容
自分のスキルや経験と仕事内容のマッチング度合いも、個々の従業員の満足度に関わってくるポイントです。また、仕事内容にそぐわない人材を部下に付けられる組織のリーダーもワークエンゲージメントが下がりやすい傾向があるでしょう。
企業は、一人ひとりの従業員が自分の仕事に誇りや成長を感じられるように配慮する必要があります。人材が適材適所に配置されている場合は企業の生産性が高く、従業員満足度も高い企業であることが多いです。
人間関係
職場の人間関係は従業員満足度に大きく影響する要素です。人間関係が円滑な職場は従業員満足度が高く、生産性も高い傾向があります。企業には、人道的にも戦略的にも、従業員同士の人間関係を注視する姿勢が求められます。
特にハラスメント行為に関しては、厳しい態度を取る必要があるでしょう。いかなる理由があろうと、ハラスメント行為を放置すると被害を受けた従業員だけでなく、周囲の従業員の満足度も損なう危険性が高いです。
評価
業務の過程や成果に対して正当な評価を与えることも従業員満足度を高めるために、企業に求められる行動の一つです。良い評価を与えればよい、というのではなく、従業員一人ひとりが適切な評価を受けていると感じられることが大切です。
企業や上司が「自分のことを見てくれている」と感じられるかどうかが、ワークエンゲージメントにつながるからです。また、適切に評価されているという安心感があれば、新しい仕事やポジションにも高いモチベーションを持って取り組めるでしょう。
従業員満足度を高めるためのステップ
具体的に従業員満足度を上げるためには、どのような施策を実行していくのがよいのでしょうか。従業員満足度を高める取り組みの経過をステップごとに紹介します。
ステップ1:従業員満足度対策組織を発足
従業員満足度の高い企業作りに取り組むなら、まずはそのための委員会や部署を設立しましょう。企業の上層部と人事や労務、総務部などが力をあわせるのが早道ですが、専門機関を第3者として招いたり、健康経営と絡めて新しく部署やチームを設立したりするケースもあります。
ステップ2:現在の従業員満足度を調査
続いて、現状の従業員満足度を知るのが大切です。アンケートやインタビューでヒアリングを行うのが一般的です。質問内容は、部署やポジションによって変える必要があるでしょう。従業員にとっては、言いづらいことやプライベートな内容も踏まえた質問となるため、アンケートは匿名で行う、外部の専門企業のサービス利用するなど、慎重に取り扱うことが大切です。
ステップ3:原因の究明とヒアリング
調査に協力してくれた従業員のためにも、結果を出し、問題点があればすぐ対応するなどの姿勢が求められるでしょう。従業員の配置換えや勤務制度の見直しなども有効な手立てです。現在の従業員満足度が低ければ、原因の究明や関係部署にさらなるヒアリングを行うことも必要です。
ステップ4:待遇・福利厚生の充実
従業員満足度を最短で上げるには、給与や職場環境、福利厚生などを充実させるのがよいでしょう。リモートワークや時短勤務の導入、有休消化勧奨など勤務制度を見直したり新たな制度を取り入れたりするのがおすすめです。そのうえで、給与額と仕事内容や労働時間があっているか、改めて確認し、場合によっては昇給を考えましょう。
オフィス内設備の見直しや新たな福利厚生を考えるというのもおすすめです。コロナ禍以降、リモートワークを実施する企業が増えていますが、リモートワークでも受けられる福利厚生や手当などを検討するのもよいでしょう。
2015年にマンパワーグループが行った福利厚生についての調査では「実際にあってよかった会社の福利厚生」の第一位が「食堂・昼食補助」という結果でした。「会社の福利厚生として良いと思うもの」では、「家賃・住宅補助」が首位で「食堂・昼食補助」は2位でしたが、社食や昼食補助が従業員満足度につながるのは間違いないでしょう。
そこでおすすめなのが、株式会社エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。チケットレストランは電子カード配布型の法定外福利厚生の食事補助サービスです。
出社する従業員はもちろん、リモートワークやワーケーション、交代制シフトや出張などさまざまなスタイルで働く全国の従業員が利用できるため、平等で使い勝手が良いサービスだと好評を得ています。勤務に関わる食事であれば、昼食だけでなく、間食・夕食など、思い思いの時間に好きな店舗で利用できる点も自由度が高く、また導入にコストがかからないため従業員にも企業にも高いメリットがある法定外福利厚生サービスです。
ステップ5:評価・改善
調査や施策を実行したら、従業員満足度が実際に向上したか、もう一度調査し評価を下しましょう。期待したほど効果がなかった場合はさらなる抜本的な見直しが必要かもしれません。アンケートなどで不満を訴える人が少なかった問題点もよく見直すとあらゆる職場の課題の起因である可能性もあります。小さな声でも不満があがる場合は見過ごさない意識が必要です。
こうして調査と実行、評価を繰り返す企業の姿勢が見えることで、従業員のエンゲージメントやモチベーションが上がるケースもあるようです。
従業員満足度が高い企業が導入する福利厚生5例
従業員満足度が高い企業に導入されている福利厚生サービスとはどのようなものでしょうか?導入企業の多くが従業員満足度向上に成功した福利厚生サービスを5選、紹介します。
ベネフィット・ステーション|株式会社ベネフィット・ワン
「ベネフィット・ステーション」は、加入企業の従業員が映画やショッピング、観光など全国各地140万件以上の施設の割引優待を受けられる総合福利厚生サービスです。業界トップシェアを誇るサービスで、導入企業法人は16,000社を超えています。
ベネフィット・ステーションはレジャー施設などでの割引利用が知られていますが、従業員教育の面にも力を入れており、英会話やビジネススキルなど384もの講座や研修を開講しています。
人事や労務は、従業員一人ひとりのベネフィットステーション利用頻度も管理できるシステムになっており、社員の健康だけでなく、それぞれがエンゲージメントや自己啓発にどれだけ注力しているかも把握できます。
参考:https://bs.benefit-one.co.jp/bs/pages/bs/top/top.faces
ライフサポート倶楽部|リソルライフサポート株式会社
リソルライフサポートが提供する「ライフサポート倶楽部」は、「ウェルビーイング」を意識した健康支援福利厚生サービスに力を入れる、総合福利厚生代行サービスです。
ライフサポート倶楽部は、特に女性活躍支援に注力しており、出産・育児・介護にまつわるサービスを広く提供しています。保養やワーケーションに利用できる施設利用にまつわるサービスもあり、日々の健康管理や息抜きだけでなく、リフレッシュもサポートします。
健康を意識した福利厚生は、企業が「従業員の健康や幸せに配慮している」と示す効果があります。企業への満足度やエンゲージメントにつながりやすい福利厚生サービスとして注目されています。
参考:https://www.fukuri-resol.jp/
WELBOX|株式会社イーウェル
「WELBOX」は、株式会社イーウェルが提携契約している全国各地の施設やサービスを組み合わせ自由で利用可能なパッケージ型福利厚生サービスです。専用Webサイトやスマホアプリ、ガイドブックから提携先の施設やサービスを検索し、いつでも自由に会員価格で利用できます。
WELBOXの特徴は企業ごとにカスタマイズが可能なことです。自治体の補助金制度などを運用することにより、子育てや介護、特定地域の宿泊施設などの利用に手厚い割引を加えられます。企業から従業員への想いが伝わりやすいサービスとして注目されています。
参考:https://www.ewel.co.jp/
オフィスおかん|株式会社OKAN
「オフィスおかん」は、オフィスに家庭的なお惣菜などのミールを常備する食事補助サービスです。
メニューは全て、栄養管理士が監修し、可能なかぎり添加物を使わない新鮮なミールが揃っています。従業員が味に飽きないように、毎月複数の新メニューを考案するなどさまざまな工夫がされています。安いものだと1品100円から購入でき、主食・主菜から副菜まで幅広いバラエティが人気の理由といえるでしょう。
オフィスおかんを提供する冷蔵庫、食事に必要なカトラリーは全て無料です。企業にとっても低コストで利用でき、従業員から支持が高い社食サービスとして認知が広がっています。
参考:https://office.okan.jp/
チケットレストラン|株式会社エデンレッドジャパン
先ほど紹介した「チケットレストラン」は電子カード配布型の食事補助サービスです。多様なワークスタイルの従業員が利用できるため、コロナ禍を発端としたリモートワークの普及により、リモートワーク中も福利厚生を受けられるようにと導入する企業が増えています。
特筆すべきなのは、チケットレストランの便利さです。導入企業での利用率99%・継続率98%・満足度90%と重宝している様子がうかがえます。チケットレストランへの加盟店は、2022年12月現在7万件をこえています。さまざまな好みや食に関する特性がある人でも平等に健康な食事を実現するために利用できます。
たとえば、普段の食事にチケットレストランを利用して、コンビニやスーパーでプラス1品、健康食を取り入れるのもおすすめの利用方法です。さらにチケットレストランには、ヘルシー志向のレストランやカフェも加盟しています。資料請求はこちら
チケットレストラン導入で従業員満足度向上を叶えた成功事例
福利厚生として「チケットレストラン」を導入したことが従業員満足度を高めることにつながったという企業の事例を紹介します。
株式会社サニクロ
株式会社サニクロ(以下、サニクロ)は、部品検査の専門会社です。事業の特徴として、パート雇用の従業員が多く、給与とは別の形でパート従業員の生活を支える施策としてチケットレストラン導入に踏み切りました。また、求人広告にチケットレストランの導入を明記することで他社との差別化を図る狙いもあったそうです。
企業の拠点が市街地から離れた地域にあるため、他社のサービスだとサービス対象外だったこともありましたが、チケットレストランはコンビニエンスストアでも使えるので、従業員一人一人が利便性を感じているようです。また、コンビニ商品の情報交換をしたり従業員間のコミュニケーション活性化にもつながりました。
従業員にとっても便利なサービスですが、企業側も飲食物の用意をする必要がなくなり管理が楽になり負担が減ったそうです。
株式会社ニラク
アミューズメント施設、飲食施設、宿泊施設の運営を手掛ける株式会社ニラクでは、チケットレストラン導入前はお弁当の支給というスタイルで食事補助の福利厚生を導入していたそうです。しかし、決まったお弁当を決まった時間に準備するというやり方では、シフトの都合や外回りなど、働き方によって福利厚生の受給が難しい従業員がいて公平性に問題がありました。
また、好みの多様化などにも十分な対応が出来ていない実感があったそうです。さらに、弁当の手配や管理を店舗ごと担っていましたが、通常業務に加えてかかる、これらの業務が負担だという声も上がっていたそうです。
チケットレストラン導入により周辺に飲食店の少ないロードサイドの店舗に勤める従業員でも、コンビニエンスストアで利用できるなど利便性の高さが評価を受けたそうです。企業にとってもシフトの時間帯や外出・出張に関係なく、全ての従業員に食事補助を提供できる点や電子カードの配布で済む福利厚生のため、運用管理の工数を大幅に削減できる点などで利便性の高さを感じているそうです。
実際、お弁当の支給よりも従業員の利用率がアップし、新入社員や若手社員からの反応が良く、採用活動にもポジティブな効果が見られているそうです。管理側を含めた従業員全体のワークエンゲージメント向上につながっていると評価されています。
終わりに
従業員満足度の高さは、採用活動や人材の定着、ワークエンゲージメントや生産性を向上させる指標として注目を集めています。従業員満足度が高い企業は、待遇や人間関係、職場環境が良い場合が多いですが、従業員にわかりやすく満足度向上の対策をするなら、福利厚生の導入などの新しい施策に取り組むのが早道です。
多様な働き方の従業員や多彩な好みに対応できる、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入して、効率よく従業員満足度向上を叶えてはいかがでしょうか?