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【社労士監修】改正貨物自動車運送事業法のポイント。2024年問題との関連は?

【社労士監修】改正貨物自動車運送事業法のポイント。2024年問題との関連は?

2025.07.24

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

「改正貨物自動車運送事業法」は、2024年問題への対策や、物流・運送業界の構造的な課題解決を目的に成立しました。2025年4月に施行された規制的措置の内容と併せて、2025年6月に新たに成立した改正点も見ていきましょう。物流・運送業界の人手不足対策に役立つ施策も紹介します。

改正貨物自動車運送事業法の目的は2024年問題への対策

2024年4月から、自動車運転の業務にも時間外労働の上限規制が適用されました。これにより引き起こされるのが2024年問題です。

時間外労働の上限規制後も、それ以前の稼働時間を維持するには、より多くのドライバーを確保する必要があります。「物流の2024年問題対応状況調査結果」によると、62.3%の企業が「ドライバーが不足している」と回答したそうです。

ドライバーが不足すれば、これまでよりも運べる荷物の量が少なくなります。輸送量が減少することで、物流が滞る可能性もあります。

帝国データバンクの調査によると、2024年4~7月の輸送量は前年の同時期より増加しており、急激な輸送力の減少は見られません。ただしこの先も人材不足が続けば、輸送力の低下が起こりかねない状況です。

これらの状況を改善し物流の持続的成長を実現する目的で、改正貨物自動車運送事業法は2025年4月から施行されました。

関連記事:【2024年問題】人材不足にどう対応する?想定されるリスクと対策

参考:
厚生労働省|時間外労働の上限規制|時間外労働の上限規制わかりやすい解説
全日本トラック協会|物流の2024年問題特設ページ|物流の2024年問題対応状況調査結果
帝国データバンク|物流の2024年問題の現在地、貨物輸送量はこれまでと同水準を維持!?

改正貨物自動車運送事業法のトラック事業者への規制的措置

物流・運送業界の構造を是正して適正な運賃による運営ができるよう、改正貨物自動車運送事業法ではトラック事業者に対する規制的措置が定められました。義務化された措置について解説します。

参考:全日本トラック協会|貨物自動車運送事業法|全日本トラック協会作成 改正貨物自動車運送事業法 解説書

【2025年4月施行】運送契約締結時の書面交付が義務化

運送契約を締結するときには、運賃や料金の内容を明確に記載した書面交付が義務化されました。交付する書面には、運賃としてまとめた金額だけでなく、荷役や付帯業務の料金や、燃料サーチャージ等の運送にかかる追加費用なども記載します。

業務量に見合った適正な運賃であるか、判断しやすくするための改正です。

真荷主が元請けトラック事業者と運送契約を結ぶときには相互の書面交付、元請けトラック事業者が下請けトラック事業者と契約を交わすときには元請けトラック事業者による書面交付を行います。

また交付する書面は、メール本文への記載でも可能です。ただし交付した書面は1年間の保存が義務付けられている点に注意しましょう。

【2025年4月施行】健全化措置が努力義務化

下請け事業者へ適正に発注するため、以下の場合には健全化措置が努力義務化されました。

  • 一般貨物自動車運送事業者が他の一般貨物自動車運送事業者の行う貨物の運送を利用する場合
  • 特定貨物自動車運送事業者が一般貨物自動車運送事業者の行う貨物の運送を利用する場合
  • 第一種貨物利用運送事業者(下請け構造の中にいる場合に限る)が一般貨物自動車運送事業者の行う貨物の運送を利用する場合

実施する健全化措置もチェックしましょう。

  • 利用する運送にかかる費用の概算額を把握し、その金額を考え併せて利用を申し込むこと
  • 荷主が提示する運賃や料金が、運送にかかる費用の概算額を把握・勘案した金額より少ない場合には、運賃・料金の交渉を申し出ること
  • 委託先のトラック事業者も利用運送を行う場合について、再々委託の制限などの条件を付けること

【2025年4月施行】運送利用管理規程の作成・運送利用管理者の選任が義務化

前年度の利用運送量が100トン以上の事業者は、運送利用管理規定を作成して、以下の内容を明確にしなければいけません。

  • 健全化措置を実施するための事業の運営の方針
  • 健全化措置の内容
  • 健全化措置の管理体制
  • 運送利用管理者の選任

併せて運送利用管理者の選任も義務化されています。健全化措置を実施するための事業の運営方針を決めたり、管理体制を整えたり、実運送体制管理簿の作成事務を監督したりする役割です。

【2025年4月施行】実運送体制管理簿の作成と下請け情報の通知が義務化

物流・運送業界の多重下請け構造を可視化するために、元請け事業者には実運送体制管理簿の作成が義務付けられました。管理簿には「実運送の商号または名称」「実運送を行う貨物の内容や区間」「一次請け・二次請けなどの請負階層」を記載することとなっています。

また下請け事業者には、元請け事業者が実運送事業者情報を把握できるよう、情報の通知が義務付けられました。

【2025年4月施行】義務化された業務記録の対象拡大

荷待ち時間や荷役作業などの記録義務は、これまで車両総重量8トン以上もしくは最大積載量5トン以上の車両に限定されていました。法律の改正により、全ての車両について業務記録が義務化されています。

トラックドライバーの長時間労働の是正に向けて、業務実態を正確に把握する取り組みです。

【2025年4月施行】改正貨物自動車運送事業法の軽トラック運送事業者への規制的措置

運送業の1万台あたりの死亡・重傷事故件数の推移は以下の通りです。軽トラック運送業以外では減少傾向であるにもかかわらず、軽トラック運送業では増加しています。

軽トラック運送業の死亡・重傷事故件数

軽トラック運送業以外の死亡・重傷事故件数

2016年

9.07

13.94

2017年

11.21

13.85

2018年

10.80

13.17

2019年

11.10

12.23

2020年

11.41

9.91

2021年

12.66

10.61

2022年

13.37

9.54

2023年

12.53

10.61

このような状況の改善に向けて、軽トラック事業者には、以下が義務付けられました。

  • 貨物軽自動車安全管理者の選任・届出
  • 貨物軽自動車安全管理者の講習の受講
  • 初任運転者等への特別な指導及び適性診断の受診
  • 業務の記録
  • 事故の記録
  • 国土交通大臣への事故報告

参考:
全日本トラック協会|貨物自動車運送事業法|全日本トラック協会作成 改正貨物自動車運送事業法 解説書
国土交通省|貨物軽自動車運送事業における安全規制について~令和6年に改正された新たな安全規制~

物流効率化法の荷主・物流事業者への規制的措置

物流の持続的成長に向けて、改正貨物自動車運送事業法とともに「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」が「物資の流通の効率化に関する法律(物流効率化法)」に名称を変えて、改正されました。

物流効率化法では、荷主(発荷主・着荷主)と物流事業者(トラック・鉄道・港湾運送・航空運送・倉庫)へ以下の措置を実施するよう定めています。

  • 荷待ち時間の短縮
  • 荷役等時間の短縮
  • 積載効率の向上等

関連記事:物流2024年問題の現状は?時間外労働の上限規制適用から1年の状況

参考:全日本トラック協会|貨物自動車運送事業法|全日本トラック協会作成 改正貨物自動車運送事業法 解説書

【2025年4月施行】全ての荷主と物流事業者は物流効率化への取り組みが努力義務化

全ての荷主・物流事業者には「荷待ち時間の短縮」「荷役等時間の短縮」「積載効率の向上等」の措置に取り組む努力義務が、元請けトラック事業者や利用運送事業者には荷主に協力する努力義務が課されています。

国は策定した措置の判断基準に則って、指導や助言を行う他、調査や公表を実施する仕組みです。

【2026年施行予定】特定事業者は物流効率化への取り組みが義務化

以下の特定事業者に該当する荷主や物流事業者は、2026年から「荷待ち時間の短縮」「荷役等時間の短縮」「積載効率の向上等」の措置への取り組みが義務化される予定です。

特定事業者の種類

特定事業者の指定基準値

指定第一種荷主

取扱貨物の重量9万トン以上

指定第二種荷主

特定連鎖化事業者

特定貨物自動車運送事業者等

保有車両台数150台以上

特定倉庫業者

貨物の保管量70万トン以上

トラックドライバーの長時間勤務は、長い荷待ち時間の影響が大きい状況です。物流効率化への取り組みが義務化されることで、トラックドライバー働く環境の改善につながることが期待できます。

参考:「物流効率化法」理解促進ポータルサイト|荷主や物流事業者等に導入される規制的措置

【2025年6月成立】改正貨物自動車運送事業法の内容

貨物自動車運送事業法は2025年6月にも改正案が成立しています。トラック運送業の事業許可を5年ごとの更新制にすることや、2段階以上の委託を制限することなどを盛り込んだ、以下の内容が3年以内に施行することとなりました。

  • 現行法において貨物利用運送事業者が真荷主として扱われる場合、貨物利用運送事業者が元請け事業者として扱われるよう真荷主の範囲を明確に定める
  • 真荷主から引き受けた貨物の運送を、他の貨物自動車運送事業者へ委託するときには、2段階以上の委託を制限する措置を講じる
  • 無許可の貨物自動車運送事業者に貨物の運送を委託してはならないこととし、違反者は100万円以下の罰金とする
  • 貨物自動車運送事業の許可は5年ごとに更新制とする
  • 国土交通大臣は貨物自動車運送事業の「適正原価」を定められる。これにあたって「標準的な運賃」を廃止する
  • 貨物自動車運送事業者や貨物利用運送事業者は、自らが引き受ける貨物を運送するときもしくは他の貨物自動車運送事業者等の行う運送を利用するときに、その運賃が「適正原価」を下回らないようにする
  • 貨物自動車運送事業者や貨物利用運送事業者は、その労働者の知識・技能などを公正に評価して賃金を支払うなど、適切な処遇を確保するために必要な措置を実施する

参考:参議院|貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案

物流・運送業界の人材確保につながる「チケットレストラン」

物流・運送業界は慢性的な人不足の状態です。このような中で人材確保に取り組むには、改正された「貨物自動車運送事業法」や「物流効率化法」に従って運営する他、ドライバーの待遇改善も重要です。

待遇改善に取り組むときには、エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」の導入を検討するとよいでしょう。

ここでは「チケットレストラン」の特徴や、実際に導入した企業の事例を紹介します。

ドライバーの満足度向上につながる

エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」では、全国にある25万店舗以上の加盟店で食事を購入可能です。

大手コンビニチェーンや牛丼チェーンなどで利用できるため、対象となる従業員は自分の休憩のタイミングで自由に利用できます。

チケットレストラン」を導入した共進運輸株式会社では、これまでも従業員に弁当補助を行っていましたが、ドライバーは利用しにくく公平な制度とはいえない状況でした。

早朝や深夜でも使いやすい「チケットレストラン」を導入すると、ドライバーも食事補助を活用しながら食事をとれるようになり、満足度が向上したそうです。従業員の採用や定着率アップにおいても、他社との差別化につながる要因になっています。

詳細な導入事例はこちら:共進運輸株式会社

実質的な手取りアップにもつながる

エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、一定の利用条件下であれば所得税が非課税になるため、従業員の実質的な手取りアップにつながる制度でもあります。

また食事補助の非課税上限額は「骨太方針2025」と「新しい資本主義グランドデザイン及び実行計画」で、40年ぶりに見直しの方針が示されました。今後はより充実した補助を従業員に提供できるようになるでしょう。

チケットレストラン」や実質的な手取りアップにつながる仕組みの詳細は、こちらの「資料請求」でお問い合わせください。

関連記事:食事補助制度40年以上ぶり見直し「速やかに」と明記され一歩前進!

参考:
内閣府|経済財政運営と改革の基本方針 2025 について
内閣官房|新しい資本主義の グランドデザイン及び実行計画 2025年改訂版

改正貨物自動車運送事業法に則った運営を

2024年問題への対策や、物流・運送業界の構造的な課題解決を目的に、改正された「貨物自動車運送事業法」や「物流効率化法」が2025年4月から施行されました。加えて「貨物自動車運送事業法」は2025年6月にも改正案が成立しています。

物流・運送業界の企業が適正な運賃で業務を行い、従業員の能力や技術を反映した適切な給与を支払うための法改正です。

従業員の待遇改善により慢性的な人手不足対策を行うには、福利厚生の拡充にも取り組むとよいでしょう。

例えば食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入した運送業者で、ドライバーの満足度向上や、採用・定着にプラスになっている事例もあります。従業員の実質的な手取りアップにもつながる福利厚生の導入を検討してみませんか。

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エデンレッドジャパンブログ編集部

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