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【最新】人的資本調査2024まとめ|エンゲージメントの取り組みは向上もデータ分析に課題

【最新】人的資本調査2024まとめ|エンゲージメントの取り組みは向上もデータ分析に課題

2025.05.22

人的資本調査2024の結果報告によると、人的資本経営の実施に向けた体制づくりや職場環境整備などの取り組みは進んでいるそうです。ただし課題もあります。具体的にどのような点に課題があるのでしょうか?人的資本の意味を押さえた上で、調査結果を見ていきましょう。

人的資本とは

人的資本とは、個々の従業員が持っている資質や能力を、企業の資本として捉えることです。例えば資質は「リーダーシップ」「協調性」「コミュニケーション能力」などを、能力は「知識」「スキル」などをさします。

資本とは事業活動を行うために必要な元手のことです。事業に必要な資本はお金だけではありません。事業の立ち上げや成長には、従業員の資質や能力も必要となることから、人材を資本として考えるようになりました。

従業員の資質や能力を資本と考えるなら、これらは企業の投資の対象です。セミナーや研修などの教育機会を提供したり、実際に知識やスキルを使う場を提供したりして、人的資本を高める経営の方法を人的資本経営といいます。

関連記事:人的資本とは何かをわかりやすく解説。今注目されている理由も

人的資本と人的資源の違い

従業員の資質や能力を資本であり投資対象として捉える人的資本に対して、人的資源では従業員の資質や能力を資源と考えます。

資源は消費するものです。使うときのことを中心に考えており、将来的な価値にはあまり注目しません。

従業員を人的資源と捉えている場合には、従業員の教育や働く環境の整備など、価値を高めていく取り組みは行われにくいでしょう。

関連記事:人的資本と人的資源の違いは?人的資本経営に注目が集まる理由も解説

人的資本が注目されている理由

人的資本が注目されている理由として、一人ひとりのアイデアの重要度が増している点、ダイバーシティの進行、ESG投資を行う投資家の増加があげられます。

一人ひとりのアイデアの重要度が増しているのは、技術革新のスピードが速くなったためです。よりよいものをスピーディーに提供するのが当たり前となった今、企業が成果を出し続けるには、従業員を人的資本として高めていき、そのアイデアを発揮できるようにしなければいけません。

ダイバーシティの進行により人的資本に注目が集まっているのは、バックグラウンドの異なる多様な人材の活用が進んでいるからです。誰もが働きやすい職場のためには環境や制度の整備が欠かせません。働きやすい環境づくりによって、従業員が資質や能力を発揮しやすくなることが期待されています。

ESG投資を行う投資家が増えていることも、人的資本に注目が集まっている理由といえます。ESG投資とは、環境・社会・ガバナンスを指標として投資を行うことです。人的資本を高めて企業価値の向上を目指す人的資本経営は、ESG投資において投資家の評価を高めることにつながります。

関連記事:ESG経営とは?採用力強化と企業価値向上をかなえる新時代の経営戦略

2023年3月から人的資本の情報開示が義務化

国内では2023年3月から人的資本の情報開示が義務化されました。対象となるのは上場企業約4,000社で、有価証券報告書へ人的資本に関する情報を記載しなければいけません。

投資家に対して企業が人的資本にどれだけ投資をし、回収できているのかを開示する目的があります。開示が必要な情報は、以下にあげる7分野19項目です。

7分野

19項目

育成

リーダーシップ

育成

スキル/経験

エンゲージメント

エンゲージメント

流動性

採用

維持

サクセッション

ダイバーシティ

ダイバーシティ

非差別

育児休業

健康・安全

精神的健康

身体的健康

安全

労働慣行

労働慣行

児童労働/強制労働

賃金の公正性

福利厚生

組合との関係

コンプライアンス/倫理

コンプライアンス/倫理

関連記事:人的資本可視化指針とは?開示義務化の対象や開示する項目を解説

人的資本調査2024をチェック

人的資本調査とは、HR総研・HRテクノロジーコンソーシアム・MS&ADインターリスク総研・人的資本と企業価値向上研究会が共同で実施している、人的資本経営と人的資本の情報開示に関する調査のことです。

2024年8~12月にかけて行われた人的資本調査2024では、206社の回答が集まりました。回答の集計結果について見ていきましょう。

参考:HRpro|HR総研:人的資本調査2024 結果報告

人材戦略はエンゲージメントを重視している企業が多い

人材戦略について重視している指標についての質問では、以下のようにエンゲージメントを重視している企業が最も多い結果でした。

人材戦略の中で重視している指標

回答の割合

エンゲージメント

40.0%

ダイバーシティ

29.0%

育成

25.0%

採用

13.0%

育児休暇

7.0%

スキル/経験

6.0%

定着(離職)

5.0%

後継者計画

3.0%

身体的健康

2.0%

リーダーシップ

1.0%

賃金の公平性

1.0%

精神的健康

0.5%

労働慣行

0.5%

コンプライアンス/倫理

0.5%

被差別

安全

福利厚生

その他

6.0%

上位3位のエンゲージメント・ダイバーシティ・育成は、ダイバーシティ(47%)・エンゲージメント(45%)・育成(38%)と順位は異なりますが、2023年調査でも上位となっていました。

業種別に見ても、エンゲージメント・ダイバーシティ・育成が上位となっているケースが多くなっています。

エンゲージメントの向上は、離職率の低下により人材確保につながるメリットのある取り組みです。またエンゲージメントが高い従業員は、企業への信頼や仕事への誇りを持っているため、積極的に仕事に取り組むことが期待できます。

生産性や売上の向上につながる要素として、注目している企業が多いといえるでしょう。

関連記事:【働きがい1万人調査】から見る|大転職時代に選ばれる企業とは

情報開示している人的資本項目の指標は働き方の多様性が最多

情報開示している人的資本項目の指標については、多様性に関する項目が上位となっているのが分かります。前回調査でも同様に多様性に関する項目が上位となっていたことより、多様性に関する情報の開示が進んでいるといえるでしょう。

情報開示している人的資本項目の指標

回答の割合

働き方の多様性

92%

多様性の進展度(性別・国籍など)

82%

安全衛生の仕組み

79%

健康経営・ウェルビーイング

76%

リーダーシップ開発

54%

知と経験の多様性の進展度

44%

後継者育成

24%

人的資本の生産性

19%

リーダーシップへの信頼

15%

多様性に関する項目に注目が集まっているのは、人手不足と関連していると考えられます。人口減少による労働力不足を解消するには、女性・高齢者・外国人などの活躍が欠かせません。

誰でも働きやすい環境の整備について情報開示することで、求職者へのアピールにもつながることが期待できます。

関連記事:ダイバーシティ推進で企業価値向上!取り組み事例や経営上のメリットを解説

データに基づいた計画的な取り組みを実施している企業は限定的

人的資本調査2024では、4つの大項目と14の中項目の取り組み水準を調べている。結果を見ると、大項目では「人材戦略に基づく人的資本投資の実行」の取り組み水準の平均値が最も高く、「データドリブンなPDCAサイクル」が最も低い結果です。

大項目

大項目の取り組み水準

中項目

中項目の取り組み水準

人的資本経営の推進

2.76

経営戦略と人材戦略の連動

3.0

As is- To beギャップを踏まえた計画の作成

2.3

企業文化への定着のための取り組み

3.0

人材戦略に基づく人的資本投資の実行

2.98

必要な人材の維持・獲得

3.0

人材の育成と最適な配置

2.7

多様な人材が活躍できる仕組み

3.0

職場環境への投資

3.2

データドリブンなPDCAサイクル

2.61

HRデータの収集と蓄積

2.3

主要指標のシステム上での統合的可視化

2.4

データによるKGI-KPIの見える化と中期計画の策定

2.8

実績データに基づく効果検証と改善の推進

2.9

戦略的開示と対話

2.66

比較可能性のある人的資本開示への対応

2.8

独自性のある開示戦略の立案

2.4

ステークホルダーへの開示と対話

2.8

「As is- To beギャップを踏まえた計画の作成」とは、現状と目標の差がどれくらい開いているかを把握して計画を作成することです。この項目と「HRデータの収集と蓄積」は2.3と特に取り組みの水準が低くなっています。

この結果から分かるのは、人的資本の向上や開示のために取り組みを進めている企業は多いけれど、データを元に計画的に取り組んでいる企業は限定的である点です。今後はデータに基づいた計画的な取り組みの実施が期待されています。

取り組みが進んでいる項目①人材戦略の可視化と発信への経営トップの関与

前回調査と比べて人的資本調査2024では、全体的に取り組みレベルが向上しています。

例えば「人材戦略の可視化に経営トップが関与し自ら発信している」はその1つです。何らかの方法で経営トップが人材戦略の可視化に関与し発信している企業が88%でした。

関連記事:人材戦略とは?4つの要素と立案に役立つフレームワークを解説

取り組みが進んでいる項目②企業理念の浸透に向けた対話の頻度

「企業理念・パーパス浸透に向けた経営層と従業員との対話の頻度」も、取り組みレベルの高い項目です。64%の企業が年に2回以上対話の機会を設けています。

企業理念やパーパスの従業員への浸透により、エンゲージメントの向上が期待できる取り組みです。

取り組みが進んでいる項目③エンゲージメントレベルの把握と改善

エンゲージメントの向上に注目が集まっている中「エンゲージメントレベルの把握と改善アクション」も、取り組みレベルが向上しています。エンゲージメントレベルを測定した上で、改善に向けた取り組みを行っている企業は79%でした。

企業規模別に見ると、規模が大きいほど取り組みレベルの高さが上がっているのが分かります。「従業員のエンゲージメントレベルを測定後、改善のためのアクションを行い、数値に基づき効果検証を行っている」の割合は、企業規模別に以下の通りです。

企業規模

従業員のエンゲージメントレベルを測定後、改善のためのアクションを行い、数値に基づき効果検証を行っている割合

5,001人以上

84%

1,001~5,000人

51%

301~1,000人

29%

300人以下

16%

取り組みが進んでいる項目④人的資本に関するKPIの分析

人的資本の向上に取り組み結果につなげるためには、KPI(中間目標)を設定して、取り組みの内容や進捗をデータ分析しながら進めていくのが有効です。

人的資本調査2024では、最も高い取り組み水準の「KPIの経年データを他社データのベンチマークデータと比較しながら分析し、自社の人的資本における課題や改善の方向性把握に役立てている」と、次に高い水準の「KPIの経年データを用いて自社の人的資本課題を分析しているが、他社データをベンチマークし、比較することは行っていない」を合わせると72%でした。

60%ほどだった前回調査と比べて、経年データの分析を行っている企業が約10%増えています。

取り組みレベルに課題のある項目①人材ポートフォリオの充足に向けた目標設定や計画の策定

人的資本を経営戦略や事業戦略に合わせて配置したときの構成を人材ポートフォリオといいます。企業が価値を向上させていくためには、適切な人材配置や教育・採用などによる人材ポートフォリオの充足が欠かせません。

ただし人的資本調2024の調査結果によると、人材ポートフォリオが明確になっていない企業が28%、現状分析はしたものの人材ポートフォリオの実現に向けた目標設定や計画策定ができていない企業は26%で、合計54%と半数を超えています。

企業規模が小さくなるほど、人材ポートフォリオの充足に向けた取り組みができていない割合が高くなっており、従業員数300人以下では80%です。

従業員数5,001人以上の大企業でも全く取り組めていない企業が12%あることから、実施のハードルが高い項目であるとも考えられるでしょう。

取り組みレベルに課題のある項目②優秀人材が重視する指標の開示

優秀人材が重視する指標を、具体的な数値とともに開示している企業の割合は26%と低い割合です。一方、全く開示していない企業や、そもそも優秀人材が重視する指標が不明な企業は55%と半数を超えています。

前回調査からの向上が見られず、優秀人材の定着への取り組みは進んでいない企業が多いようです。

取り組みレベルに課題のある項目③重点領域の専門性習得者へのインセンティブ提供

経営戦略や事業戦略に合わせて、従業員に特定分野のスキル習得を促す企業もあるでしょう。このとき従業員のスキル習得への意欲を高めるには、処遇改善や報酬アップなどのインセンティブが有効です。

ただし人的資本調査2024によると、専門性を習得した従業員へインセンティブを提供していない企業は54%と半数を超えています。

「スキルを習得したい」と思うようなインセンティブがない状況では、専門性の習得に積極的な従業員は増えにくいでしょう。

関連記事:【社労士監修】研修に使える助成金一覧2025年度版をチェック!

取り組みレベルに課題のある項目④人的資本の取り組みと財務指標の関連データ分析

人的資本の取り組みと財務指標の関連データに関しては、何も検討できていない企業が58%です。上場タイプ別に見ても、全ての分類で何も検討できていない企業が半数を超えています。

データ分析を行うには、HRデータの蓄積が必要であることに加えて、関連性を示しにくいという懸念点もあり、取り組むハードルが高い項目となっているようです。

有価証券報告書での開示項目では男性育休が上昇、女性管理職比率は変化なし

誘拐証券報告書で開示が義務化されている項目では、男性の育児休業取得率が前回調査より13ポイント上がり68%になりました。業種別に見ると、金融では98%とほぼ全員が取得している状況です。

一方、女性管理職比率の全体平均は前回調査と同じ12%でした。業種別に見ると最も高いのはサービス業の26%で、国の目標である30%に近づいています。

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人的資本で重視されているエンゲージメント向上には「チケットレストラン」も有効

人的資本調査2024の調査結果を見ると、人材確保や生産性アップにつながるエンゲージメント向上への取り組みに注目が集まっています。

エンゲージメントを高めるために人的資本の向上に取り組むなら、エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」が有効です。バランスのよい食事をとりやすくするサポートは従業員の健康につながる福利厚生のため、人的資本の面からも評価される制度です。

また全国にある25万店舗以上の加盟店で食事を購入できる福利厚生サービスは、勤務場所や働き方によらず、対象となる従業員に公平に支給できます。

人的資本向上への取り組みとして「チケットレストラン」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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