近年、中途採用の採用単価は上昇傾向にあります。このコストがネックとなり、優秀な即戦力となる中途人材の採用をためらう企業も少なくありません。特に、大企業と比較して予算を割きにくい中小企業では深刻な課題です。本記事では、そんな中途採用の実態について、企業規模別・業界別の採用単価や採用コストの内訳、コスト削減のポイントまで詳しく解説します。
【中途採用コスト】平均はいくら?
企業の人事戦略において、重要なポイントとなるのが採用にまつわる予算の設定です。ここでは、中途採用コストの実態についてさまざまな角度から解説します。
参照:マイナビキャリアリサーチLab|中途採用状況調査2024年版(2023年実績)
中途採用の予算と実績
マイナビが2024年3月に公開した「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)※」によると、2023年の中途採用コストにおける平均的な予算と実績は以下のとおりです。
年 | 予算(万円) | 実績(万円) |
2023年 | 770.4 | 629.7 |
設定した予算に対し、実際のコスト(実績)が約150万円ほど抑えられていることが明らかになりました。
理由としては「企業が計画していた採用人数を満たせなかった」「採用難による様子見」などが推察されます。
※対象者:従業員数3名以上の企業において、直近(2023年1~12月)に中途採用業務を担当しており、
「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者|回収数:1,400件
利用したサービス・手法別
サービス・手法 | 予算(万円) | 実績(万円) |
---|---|---|
人材紹介 | 503.7 | 400.3 |
求人広告 | 155.5 | 142.1 |
ダイレクトリクルーティング | 226.6 | 178.9 |
求人検索エンジン | 150.5 | 139.0 |
合同企業説明会 | 166.5 | 140.9 |
採用ブランディング | 114.6 | 88.0 |
その他経費 | 121.3 | 92.8 |
合計 | 770.4 | 629.7 |
参照:マイナビ|中途採用状況調査2024年版(2023年実績)
予算を採用手法別で見ると「人材紹介」がもっとも高額で503.7万円となっています。続いて「ダイレクトリクルーティング」が226.6万円・「合同企業説明会」が166.5万円と続きます。
一方、実績を見ると「人材紹介(400.3万円)」「ダイレクトリクルーティング(178.9)」までは同じですが、次に「求人広告(142.1)」が続く結果となりました。
企業規模別
採用コストは、企業の規模によって大きく変わります。ここでは、同じくマイナビの調査から企業規模別の採用コストを紹介します。
従業員規模 | 予算(万円) | 実績(万円) |
---|---|---|
3~50名 | 109.1 | 86.7 |
51~300名 | 350.5 | 299.0 |
301~1000名 | 593.8 | 550.4 |
1001名以上 | 1638.9 | 1290.5 |
全体平均 | 770.4 | 629.7 |
参照:マイナビ|中途採用状況調査2024年版(2023年実績)
従業員規模が1001名以上の企業と3〜50名の企業とを比較すると、採用予算には実に約15倍もの差があります。採用人数の違いも影響しますが、中小企業が抱える「広告予算の限界」「ブランド力の差」「選考プロセスのリソース不足」などの課題も採用活動の難しさを浮き彫りにしています。
中途採用者の採用単価(1人あたりの採用コスト)は?
採用単価は、一般的に以下の式で算出されます。
採用単価(1人あたりの採用コスト) = 採用コスト総額 ÷ 採用人数 |
企業が採用にかけるコストは、採用人数によって変わります。マイナビのデータをもとに2023年の「中途採用者1人あたりの採用単価」を計算すると、以下のようになります。
●2023年の中途採用費用(実績):629.7万円 629.7 ÷ 21.8=約28.9万円 |
この結果から、企業は1人の中途採用者を獲得するために、平均して約30万円のコストをかけていることがわかります。
【中途採用コスト】2025年の見通し
マイナビによると、2021〜2023年の中途採用における平均コストの推移は以下のとおりです。
年 | 予算(万円) | 実績(万円) |
---|---|---|
2023年 | 770.4 | 629.7 |
2022年 | 618.4 | 573.9 |
2021年 | 544.5 | 484.3 |
この表からわかるように、近年、採用コストは上昇傾向です。
少子高齢化による人手不足は、今後ますます深刻化していきます。採用難の長期化により、採用にまつわる企業間の競争もますます激化していくと考えられることから、中途採用のコストも引き続き上昇していくことが予想されます。
中途採用コストの内訳
企業が負担する採用コストには、具体的にどのような費用が含まれるのでしょうか。ここでは、採用コストを「内部コスト」と「外部コスト」に分類し、それぞれの詳細を解説します。
内部コスト
「内部コスト」とは、自社内で発生する採用活動に関連する費用のことです。主なものとして、以下が挙げられます。
- 採用担当者の人件費
- 研修担当者の人件費
- 社内での採用関連会議にかかる時間的コスト
- 採用関連の社内システム運用費用
- 面接会場の設備費用
これらの内部コストは目に見える支出としては認識されにくいものの、採用活動の効率化を図る上で重要な要素です。
外部コスト
「外部コスト」とは、採用活動において外部のサービスやリソースを利用する際に発生する直接的な支出のことです。主な外部コストには、以下のようなものが挙げられます。
- 求人広告費
- 人材紹介手数料
- 会社説明会の会場費
- 採用関連のツール・サービス利用料
- 会社案内等の作成費
これらの外部コストは、支出額が明確で予算管理がしやすいのが特徴です。そのため、採用コストの最適化を図る際は、まず外部コストの費用対効果を検証し、効率化の余地を探ることが重要になります。
中途人材を採用するメリット
企業が新卒ではなく中途人材を採用する場合、そのメリットとはいったいどのようなものなのでしょうか。以下、企業が中途人材を採用することで得られる主なメリットを紹介します。
即戦力として活躍できる
中途採用のメリットとして、まず挙げられるのが、即戦力となる人材の確保です。
すでに実務経験を持つ人材を採用することで、企業は教育研修にかかるコストと時間を大幅に削減できます。特に、専門性の高い職種ではこの効果が顕著に表れます。
新しい視点やノウハウを導入できる
他社での実務経験を持つ中途採用者は、企業に新たな視点やノウハウを導入できます。これは単なる人員補充以上の価値を組織にもたらし、業務改善やイノベーションのきっかけとなることも少なくありません。
また、あえて異業種出身の人材を採用することで、従来のやり方にとらわれない発想や新しい市場戦略など、企業の成長につながる変化も期待できます。
新卒採用よりもミスマッチを防ぎやすい
新卒採用の場合、業務への適性を正確に見極めることは困難です。入社後にギャップが明らかとなり、離職につながるケースも少なくありません。
一方、中途採用では、 過去の職務経験やスキルをもとに候補者の適性を判断できます。これにより、入社後のミスマッチのリスクを軽減できるメリットがあります。
採用コストを削減するには
採用コストの削減は、多くの企業にとって無視できない課題となっています。ここでは、中途採用にまつわるコスト削減の実践的な方法について解説します。
採用コストのムダを削減する
採用コストを削減するには、現状のコストを見直した上での最適化が重要です。採用単価を基準に、人材紹介・求人広告などの採用手法ごとの費用対効果を検証することで、無駄な支出を特定できます。
たとえば、応募者の質や量・面接設定率・内定承諾率などの具体的指標を設定し、定期的にモニタリングを行うことで、投資対効果の低い施策を特定し、予算配分を適切に見直すことが可能となります。
低コストの採用方法を取り入れる
従来型の採用手法に加え、新しい採用手法を戦略的に組み合わせることにより、コスト効率を高められる可能性があります。
自社の従業員による従業員紹介制度(リファラル採用)や、SNSを活用したダイレクトリクルーティングは、初期投資を抑えながら良質な候補者にアプローチできる手法として注目されています。また、自社採用サイトやオウンドメディアを充実させることにより、長期的な採用コストの削減も可能です。
アウトソーシングの活用で採用を効率化する
内部の人的リソースの効率的な活用を目指すなら、採用業務のアウトソーシング化も選択肢のひとつです。
応募者対応や書類選考・適性検査の実施・一次面接などの定型的な業務を外部委託することで、採用担当者の業務負担を軽減できます。
外部リソースの効果的な活用を通じ、採用の質を維持しながらコストの最適化を図ることが可能となります。
中途採用で他社との差別化を図るには
人手不足が深刻化する中、より優秀な中途人材を獲得するために不可欠なのが、同業他社との差別化です。ここでは、差別化を成功させるための具体的な方法を紹介します。
ブランディングを強化する
採用市場での競争力を高めるには、企業ブランディングの強化が重要です。特に中途採用では、求職者が企業を主体的に選択する傾向が強いため、自社の価値観や魅力を効果的に発信することが求められます。
具体的には、自社の強みや特徴的な取り組み・従業員の成長機会・ワークライフバランスへの配慮など、他社との差別化ポイントを明確に打ち出すことで、求める人材からの関心を高められます。
また、SNSやオウンドメディアを活用した情報発信も効果的です。
待遇で差をつける
採用市場での競争力を高める効果的な方法のひとつが、給与水準を他社より高く設定することです。
求職者にとって、給与は重要な検討材料です。同業他社と比較して高い給与水準を提示できれば、より優秀な人材を確保しやすくなります。
特に、キャリアアップを目的とした転職を検討する人材は、より充実した待遇を求めるのが一般的です。提示する給与はもちろんのこと、昇給制度や賞与の水準も見直してみるのがおすすめです。
福利厚生を充実させる選択肢も
給与と並び、待遇面での重要なポイントとなるのが、福利厚生の充実度です。
充実した福利厚生は、提供されているサービス分の金銭的な価値だけでなく「企業に大切にされている実感」を従業員へ与えます。これは、従業員の仕事に対するモチベーション向上や、企業に対する満足度の向上に寄与する重要な要素です。
中でも高い効果が見込まれるのが、食事補助をはじめとする日常的に活用できる福利厚生です。
たとえば、食事補助の福利厚生として日本一の実績を持つエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、一定の条件を満たすことにより、全国25万店を超える加盟店での食事が半額で利用できるサービスです。
このように、従業員の生活を直接的にサポートできる福利厚生は、賃金での差別化が難しい企業が自社をアピールするための効果的な施策となります。
関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も
中途採用コストの最適化がもたらす採用力の向上
中途採用を取り巻く環境は年々変化しており、採用コストも上昇傾向にあります。特に中小企業の場合、採用予算や実績は大企業に比べて少額であることから、経験豊富な中途人材を獲得するのが難しいのが現状です。
そんな現状を打開するためには、採用単価を基準としたコスト見直しや新たな採用手法の導入・アウトソーシングの活用といった施策が効果的です。さらに「チケットレストラン」のような従業員の暮らしを直接支える福利厚生を提供することで、企業の魅力度を高め、他社との差別化を図ることが可能になります。
ぜひ貴社の中途採用を最適化し、持続可能な人事戦略と経営の安定を実現してはいかがでしょうか。
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