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【社労士監修】DEIB推進が企業価値向上に果たす役割とは|新しい時代の戦略

【社労士監修】DEIB推進が企業価値向上に果たす役割とは|新しい時代の戦略

2024.10.02

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監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

DEIB(Diversity・Equity・Inclusion・Belonging)の推進が、企業の競争力強化に不可欠な要素として注目を集めています。多くの企業がこの新しい考え方を取り入れ、効果的な施策を模索している状況です。本記事では、DEIBの基本概念から日本企業における現状、そして具体的な施策としての食事補助までを網羅的に解説します。貴社のDEIB推進における理解を深め、その取り組みを加速させるための参考としてお役立てください。

DEIB推進とは?企業価値向上の新たな鍵

近年、ビジネスシーンで注目されているのが「DEIB」という考え方です。これは、多様な人材の活用を推進する「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)」に、公平性や帰属意識の要素を加えた、より包括的なアプローチです。では、このDEIBとは具体的に何を意味し、どのように企業価値向上に寄与するのでしょうか?まずはその定義を整理していきましょう。

DEIBの定義

DEIBは「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包括性)」「Belonging(帰属意識)」の頭文字を取った概念であり、近年、企業の持続的成長と価値向上に欠かせない要素として注目されています。

従来の「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)」に、「公平性」と「帰属意識」を加えたこのアプローチは、従業員一人ひとりが自分の能力を最大限に発揮できる環境を作り出すことで、組織全体の潜在力を引き出すことを目的としています。

なお、しばしば「DEIV」との表記も見られますが、これは「DEIB」の誤りなので注意しましょう。

DEIBがもたらす具体的な企業価値|数字で見る効果

DEIBの推進は、具体的な企業価値の向上につながります。ボストンコンサルティンググループが2018年に公開した調査「経営層の多様性はイノベーションにどう影響するか?」によると、経営層の多様性スコアが高く、イノベーション推進に成功している企業は、そうでない企業に比べてイノベーション収益(新製品やサービスからの収益)が平均19%高いことが明らかになりました。

経営層の多様性スコア

出典:ボストン・コンサルティング・グループ|経営層の多様性はイノベーションにどう影響するか?

多様性に加え、公平性・包括性・帰属意識を備えた企業では、より高い経営効果を得ることができ、競争力の強化や業績の向上につながることが推察される結果となっています。

「DEIB」それぞれの文字が意味するもの

DEIBの枠組みにおいて、「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包括性)」「Belonging(帰属意識)」はそれぞれどのような意味を持つのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

ダイバーシティ(Diversity)|イノベーションの源泉

ダイバーシティとは、組織内の多様性を指す言葉です。性別・年齢・国籍だけでなく、経験・スキル・価値観・ライフスタイルなど、あらゆる側面からの多様性を意味します。

多様な背景を持つ人材が互いに交流し、共同で取り組むことにより生まれる新たな視点や発想は、イノベーションの源泉です。組織が多様性を育み、積極的にイノベーションを起こすことにより、企業の発展と成長が大きく促されます。

エクイティ(Equity)|個々の背景に応じた公正なサポート

エクイティは、個々の従業員が持つ異なるニーズに応じて必要な支援を提供し、全員が公平な成功の機会を持てるようにすることを指す言葉です。たとえば、育児中の従業員に柔軟な勤務体制を提供したり、障がいのある従業員に適切な就労支援を行うことがこれに該当します。

エクイティが促進されている企業では、すべての従業員が自分の能力を最大限に発揮できる環境が整えられ、多様な人材が安心して活躍できる組織文化が生まれます。

インクルージョン(Inclusion)|多様な意見を生かす組織づくり

インクルージョンとは、多様な人材を単に受け入れるだけでなく、それぞれの意見や経験・価値観を積極的に尊重し、組織全体に生かす文化を指します。これは、組織に多様な視点が生まれること、また、より包括的で創造的な意思決定を可能とするものです。

インクルージョンが促進されている企業では、多様な意見を取り入れることで、新たなアイデアや革新が生まれ、課題解決力や市場適応力も向上します。その結果、業界内での競争力が強化され、グローバルな市場でも成功を収めやすくなります。

ビロンギング(Belonging)|エンゲージメント向上の要

ビロンギングとは、従業員が組織に対して抱く「居場所がある」という感覚のことです。これにより、従業員には「自分の意見や役割が尊重されている」という実感が生まれ、モチベーションや組織への情熱(エンゲージメント)が高まります。

ビロンギングが促進された企業では、従業員同士の信頼関係が深まり、チームワークが向上します。結果として、従業員のエンゲージメントや生産性も向上し、従業員一人ひとりの組織に対する帰属意識が強化されるのです。

日本企業におけるDEIB推進の現状と課題

日本企業のDEIB推進は、グローバル競争の激化や少子高齢化による労働力不足を背景に、徐々に進展しています。しかし、その取り組みはいまだ道半ばであり、十分なものとはいえません。ここでは、日本におけるDEIBの現状と課題について解説します。

従来のD&Iからの進化|なぜ今DEIBなのか

日本企業におけるダイバーシティ推進は、当初は女性活躍推進が中心でした。しかし、グローバル化や価値観の多様化が進む中で、より包括的なアプローチの必要性が認識されるようになっていったのです。

従来のD&Iに加え、公平性(Equity)と帰属意識(Belonging)の概念を取り入れたDEIBへの進化は、組織の持続的成長と競争力強化に不可欠なものです。経済産業省の「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」でも、多様性を競争力の源泉とする経営の重要性が強調されており、DEIBの考え方がより一層重要になっています。

参考:経済産業省|ダイバーシティ経営の推進

DEIB推進における経営層の役割

DEIB推進において、経営層の役割は極めて重要です。トップダウンでの明確なコミットメントと、具体的な行動が求められます。

経済産業省の「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」では、経営トップのコミットメントと取り組みへの関与がダイバーシティ経営の成功に不可欠であると指摘されています。具体的には、経営トップ自らが戦略的にダイバーシティの推進を行うことが重要です。

また、中間管理職への教育と権限委譲も、DEIB推進を組織全体に浸透させる上で不可欠です。

参考:経済産業省|ダイバーシティ経営の推進

DEIB推進における日本特有の課題とその解決策

日本企業のDEIB推進における特有の課題として、以下が挙げられます。

  • 長時間労働文化:独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査によると、日本の長時間労働者の割合は、主要先進国の中でもトップクラスです。この文化が、特に育児や介護を担う従業員の活躍を阻害しています
  • 同質性重視の傾向:日本の組織文化には、調和や同質性を重視する傾向があります。これが多様な意見の表出や活用を妨げる要因となっています
  • 言語の壁:グローバル人材の活用において、日本語によるコミュニケーションの壁が大きな障害となっています

これらの課題に対する解決策として、以下が考えられます。

  • 働き方改革の推進:フレックスタイム制やテレワークの導入・業務効率化による労働時間の削減
  • 無意識のバイアス研修:全従業員を対象とした研修を通じて、多様性の価値を理解し、偏見を取り除く取り組み
  • 多言語対応の強化:社内文書の多言語化・通訳サービスの導入・語学研修の充実など

これらの施策を総合的に実施することで、日本企業特有の課題を克服し、DEIB推進を加速させることが可能となります。

参考:労働政策研究・研修機構(JILPT)|データブック国際労働比較2024

日本企業の取り組み事例|先進企業から学ぶ

日本企業の中で、DEIBを積極的に推進し、成果を上げている事例にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、JTBと東芝の取り組みを紹介します。

JTBグループは、DEIBを推進するために5つの重点活動を設定しています。具体的には、(1)多様性を組織の強みにつなげる組織風土改革・(2)「JTB Group WORK Style」の定着に向けたワークスタイル変革の推進・(3)従業員の自律をベースとしたキャリア開発支援・(4)「JTBグループ障害者雇用理念」の具現化・(5)ジェンダー平等の推進です。

「Smile活動」と呼ばれる自律的な組織活動や、「JTBセルフ・キャリアドック」によるキャリア開発支援など、従業員の主体性を重視した取り組みも数多く行われ、グッドキャリア企業アワード2020大賞(厚生労働大臣表彰)をはじめ、数々の受賞歴があります。

一方、東芝グループは、DEIBを経営理念の実現に不可欠な要素と位置づけ、具体的な数値目標を設定して推進しています。

具体例として挙げられるのが、2025年度までに女性役職者比率8%・男性育児休業取得率70%という数値目標です。さらに、女性幹部候補者育成プログラム(WEoT30)や、LGBT+に関する基本方針の策定なども実施され、「PRIDE指標2022」ではゴールドを受賞しています。また、外国籍従業員の活躍促進や障がい者の雇用にも積極的に取り組んでいます。

これらの企業に共通するのは、DEIBを経営戦略の中核に位置づけ、トップダウンで推進している点です。また、単に多様性を確保するだけでなく、公平性の確保や帰属意識の醸成にも注力していることが特徴的です。

参考:JTBグループサイト|DEIB (Diversity, Equity, Inclusion, Belonging)|サステナビリティ
参考:東芝|DEIB(Diversity, Equity, Inclusion, Belonging)の推進 | サステナビリティ

DEIB推進で実現する5つのビジネスメリット

DEIBの推進は、単なる社会的責任に留まらず、企業にさまざまなビジネス上のチャンスを生み出します。以下、DEIB推進によって企業が実現できる5つの主なビジネスメリットを解説します。

優秀な人材の獲得と定着率の向上

DEIBを推進する企業は、より幅広い人材プールから優秀な人材を獲得できるというメリットがあります。

多様なバックグラウンドやスキルを持つ人々にとって、公平でインクルーシブな職場は非常に魅力的です。これは、採用活動における他社との差別化につながります。

また、DEIBが従業員の個性や才能を尊重し、平等な成長機会を提供することで、従業員は自らの成長が評価されていると感じ、企業に長く留まる傾向が高まります。このように、DEIBの推進は採用プロセスだけでなく、従業員の定着率向上にも大きく貢献するのです。

従業員エンゲージメントと生産性の向上

DEIBを推進する企業は、従業員エンゲージメントとともに、生産性も向上する傾向にあります。

従業員が抱く「自分の多様性が尊重され、職場で公平な機会が与えられている」という実感は、自身の役割に対するモチベーション向上に寄与します。また、帰属意識の高まりは「会社の目標達成に積極的に貢献しよう」という意識の強化にもつながるものです。

このような職場では結果、従業員一人ひとりがより主体的に行動するため、全体の生産性が向上します。多様な従業員が協働することで、互いの強みを引き出しながら新たな価値を生み出すことが可能になります。

イノベーション創出と市場適応力の強化

多様なバックグラウンドを持つ人材が集まる組織は、異なる視点やアイデアが融合しやすく、革新的な解決策や新しいビジネスモデルが生まれる土壌が育まれやすいのが特徴です。異なる経験や価値観を持つ従業員がチームに参加することで、従来のアプローチでは気づかなかった課題やチャンスも生まれやすい傾向にあります。

さらに、DEIBを推進する企業は、多様な顧客層や市場ニーズに対して柔軟に対応できる能力を持つため、急速に変化する市場にも迅速に適応できるのが強みです。

こうしたイノベーションと市場適応力の向上は、企業の競争力を大幅に高めます。経済産業省が公開している「新・ダイバーシティ経営企業100選」では、ダイバーシティ経営によってイノベーションが促進された多数の事例が報告されています。

参考:経済産業省|新・ダイバーシティ経営企業100選

企業イメージと社会的評価の改善

企業がDEIBを積極的に推進することは、社会的な評価を高めるとともに、ブランド価値の向上につながります。

特に、社会的な責任が重視される現代では、企業が多様性やインクルージョンを尊重する姿勢を示すことが、消費者や投資家からの信頼を得る重要な要素です。

DEIBに積極的に取り組んでいる企業は、株主や顧客だけでなく、求職者や地域社会からも好感を持たれやすくなり、結果として企業の評判や社会的な評価が高まります。企業としてのブランド力が高まることで、さらなるビジネスチャンスを獲得することが可能です。

組織の柔軟性と危機対応力の向上

DEIBを推進する組織は、異なる背景や経験を持つ従業員が集まるために、課題に対しても多角的なアプローチが可能です。組織としての柔軟性が高いため、急な市場変動や、不測の事態にもスムーズに対応できます。

このような多様な考え方やスキルが活用される環境では、課題に対して複数の解決策が提示されるため、リスク回避や迅速な意思決定が可能です。また、危機に直面した際にも、組織全体の協力体制が整っていることで、対応力が強化され、結果として持続可能な成長が期待できます。

DEIB推進における福利厚生の戦略的活用

DEIB推進を成功させるためには、多様な人材を引きつけ、彼らが長期的に活躍できる環境を整えることが不可欠です。福利厚生は、企業がDEIBを推進するための効果的な手段となり、従業員満足度を高めるだけでなく、インクルーシブな職場づくりに貢献します。

育児・介護支援による働きやすい環境の提供

育児や介護を支援する福利厚生は、特に女性や家族を持つ従業員にとって大きなメリットとなります。これにより、従業員は家庭と仕事の両立がしやすくなり、職場への貢献度が高まります。

企業は、このような生活支援型の福利厚生を整えることで、多様な従業員が安心して働ける環境を構築することが可能です。

福利厚生がもたらすDEIB戦略の差別化効果

福利厚生は、企業がDEIB戦略を推進する際に、他社との差別化要素としても機能します。多様性を尊重する企業文化の中で、従業員が自分らしく働ける環境を整えることは、優秀な人材の確保や従業員の定着率向上に寄与します。

経済的サポートがもたらす従業員満足度の向上

企業が提供する食事補助や交通費補助、住宅手当などの経済的サポートは、従業員の経済的負担を軽減し、生活の質を向上させます。これにより、従業員の生活の安定と、仕事に集中できる環境整備が可能です。

また、経済的サポートを充実させることで、企業への帰属意識や長期的な勤務意欲を高める効果も期待できます。

導入企業数3,000社以上|食の福利厚生サービス「チケットレストラン」

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、DEIB推進をサポートする食事補助の福利厚生サービスです。専用のICカードとアプリを通じて公平で柔軟な食事支援を提供し、多様なニーズに対応しています。

このサービスは、企業と従業員が毎月半額ずつICカードにチャージ(従業員の負担分は給与天引き)するシステムで、全国25万店舗以上の加盟店で利用可能です。

幅広い店舗ジャンルには、ファミレスやコンビニ・カフェ・三大牛丼チェーン店などが含まれ、さまざまなバックグラウンドや嗜好を持つ従業員が自分に合った食事を選ぶことができます。また、Uber Eatsを通じて、マクドナルドやスターバックスなど人気チェーン店の利用もできるため、職場内外の多様なライフスタイルにも対応します。

さらに、勤務時間内であれば利用のタイミングや時間に制限がなく、夜勤やリモートワークを行う従業員も公平に利用できる点も「チケットレストラン」の大きな魅力です。これは、柔軟な働き方をサポートし、すべての従業員が公平な待遇を受けるインクルーシブな職場づくりに貢献します。

また「チケットレストラン」は、正規雇用の従業員だけでなく、契約社員やアルバイト・パートといったあらゆる雇用形態の従業員に公平に提供できるため、エクイティ(公平性)の観点からも非常に優れた福利厚生です。

DEIBを重視する企業にとって、全従業員が利用できるこうした食事補助制度は、より多様でインクルーシブな職場環境の実現を支援します。

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DEIB推進と福利厚生の相乗効果

DEIB(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン・ビロンギング)の推進は、企業の競争力を高め、従業員の満足度や生産性の向上に直結します。その中でも、福利厚生の戦略的な活用は、DEIBを効果的に実現するための重要な手段となります。

多様な従業員のニーズに応える柔軟な福利厚生制度を整備することで、組織全体に公平性と包括性を浸透させることが可能です。特に、経済的な支援や食事補助といった具体的な施策は、従業員の生活の安定とモチベーション向上に寄与します。また、すべての従業員が公平に福利厚生を利用できることで、組織全体での帰属意識とエンゲージメントが強化されます。

たとえば、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」のような食事補助の福利厚生サービスは、多様なライフスタイルや働き方に対応し、DEIBを強化するための効果的なツールとなるものです。インクルーシブな職場環境づくりの一環として、ぜひ導入を検討されてはいかがでしょうか。

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