2022年から世界的にインフレが進行しています。収束が見えないインフレの中、従業員の暮らしをサポートする目的でインフレ手当を支給する企業が出てきました。インフレ手当にはどのような特徴やメリットがあるのでしょうか?またインフレ手当を支給する際の注意点を補うおすすめの福利厚生サービス、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」も合わせて紹介します。
インフレ手当とは何か
インフレ手当とは企業が従業員に支給する手当です。インフレの影響を受け、暮らしに必要なさまざまな物品の値上げが続いています。帝国データバンクの行った「食品主要105社」価格改定動向調査(12月)によると、2023年もこの傾向は変わらず、5,000品目近くが値上げの見込みです。
物価の上昇に合わせ従業員の給与も上がっていれば問題ありませんが、「毎月金曜統計調査 令和4年12月分結果速報」によると、きまって支給する給与の増加率は前年比で1.9%にとどまります。
一方「2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)12月分(2023年1月20日公表)」に示されている消費者物価指数は、前年比4.0%の上昇率です。給与の増加率より2.1%高く、従業員の負担感が高まっていると予想できます。
従業員の暮らしにかかる負担を軽減する目的で、インフレ手当を支給する企業や、支給を検討する企業が増加中です。
参考:帝国データバンク|「食品主要 105 社」価格改定動向調査(12 月)
参考:厚生労働省|毎月勤労統計調査 令和4年12月分結果速報
参考:総務省統計局|2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)12月分(2023年1月20日公表)
インフレ手当の実態や相場
帝国データバンク「インフレ手当に関する企業の実態アンケート」をもとに、インフレ手当の実態もチェックしましょう。2022年11月に行われた同調査によると、有効回答企業1,248社のうち6.6%が既にインフレ手当を支給済みであると回答しました。
支給を予定している企業や支給を検討中の企業も加えると、26.4%がインフレ手当に取り組んでいます。支給額の相場は一時金が5万3,700円、月額手当が6,500円です。
参考:帝国データバンク|インフレ手当に関する企業の実態アンケート
企業におけるインフレ手当の支給実態
4社に1社が取り組んでいるインフレ手当は、具体的にどのように導入されているのでしょうか?実際にインフレ手当を導入した企業の事例も確認しましょう。
サイボウズ株式会社
企業向けに低価格で使いやすいクラウドサービスを提供しているサイボウズ株式会社(以下、サイボウズ)では、世界的なインフレ傾向を踏まえインフレ特別手当を支給しました。従業員の抱く生活の不安を軽減し、業務へ集中できるようにすることを期待した施策です。
対象となるのは日本やグローバル拠点で働く、サイボウズが直接雇用する社員です。支給額は勤務地と勤務時間ごとに定められており、日本では最大15万円が支給されたそうです。
参考:サイボウズ株式会社|サイボウズ、インフレ特別手当を支給 世界的なインフレ傾向に際し、日本・グローバル拠点にて支給
株式会社ノジマ
夫婦手当・ひとり親手当・学業支援制度など、従業員が安心して働きやすい環境を整えるため、これまでにさまざまな福利厚生を整えてきた株式会社ノジマでは、2022年7月支給分の給与から、物価上昇応援手当の支給を開始しました。
従業員の生活費をサポートするため、正社員と契約社員を対象に毎月1万円を支給しています。
参考:株式会社ノジマ|ノジマ、物価上昇に伴う従業員応援手当の支給開始
ケンミン食品株式会社
ケンミン食品株式会社はビーフンやフォーなど手軽に味わえるアジアの食材を提供しています。2022年前半の売上は好調でしたが、円安や物価上昇の影響を受け、先行きの不透明感が強まったそうです。
このような流れを受け、勤続1年以上の正社員・契約社員計5万円、1年未満の正社員・契約社員へ在籍日数に応じて1万~3万円をインフレ手当として支給しました。
参考:ケンミン食品|ケンミン食品 インフレ手当支給の報道について
株式会社イートアンドホールディングス
飲食店の展開や食品事業などを手掛ける株式会社イートアンドホールディングスは、生活応援特別手当の支給を決定しました。正社員と契約社員を対象に、2022年10月支給の給与から、毎月8,000円が上乗せされています。
従業員の生活基盤を守る目的で、評価に応じた昇給とは異なる手当を支給しています。
参考:株式会社イートアンドホールディングス|生活応援特別手当の支給に関するお知らせ
トヨクモ株式会社
ビジネス向けのクラウドサービスを提供するトヨクモ株式会社では、2023年度の平均年収を10%以上引き上げる決定をしました。かねてより人材採用強化を目的とした年収アップを行っていましたが、今回はインフレへの対策として実施する年収アップです。
インフレ手当を一時的に支給するのではなく、今後ずっと続く報酬として支給することとなった点が特徴といえます。
インフレ手当の支給方法
インフレ手当を支給する方法は、一時金と月額手当が一般的です。それぞれの支給方法の特徴を見ていきましょう。
一時金
一時金でインフレ手当を支給する場合、賞与へ上乗せする方法だと手間を最小限に抑えられます。支給する金額は一律で決めるほか、基本給に応じて決める方法や、扶養家族の人数で決めるケースなどさまざまです。
帝国データバンクの「インフレ手当に関する企業の実態アンケート」によると、インフレ手当に取り組む企業の66.6%が一時金で支給したか、支給を予定もしくは検討しています。
参考:帝国データバンク|インフレ手当に関する企業の実態アンケート
月額手当
毎月の給与に定めた金額を上乗せし、月額手当として支給するケースもあります。1度にまとまった金額を支給する必要がなく、大きな負担になりにくいのが特徴です。
ただし継続的に手当を支給する場合は、就業規則の変更が必要になりますし、実質的なベースアップとみなされる可能性もあります。ベースアップとされた場合には、残業代の計算にインフレ手当を上乗せした金額を使用しなければならず、負担が膨らみかねません。
インフレ手当のメリット
従業員の暮らしをサポートするために支給するインフレ手当は、企業にもプラスに働く施策です。どのようなメリットがあるのでしょうか?
従業員の不安払拭
給与以上に物価が上がっている状態が続く中、今後の暮らしに不安を感じている従業員は少なくないでしょう。インフレ手当の支給によって、従業員の抱える不安を拭えます。
不安を持ったままで仕事に集中するのは難しいものです。中には暮らしに対する不安感で仕事の能率が下がっている従業員もいるかもしれません。手当で不安を軽減できれば、従業員が仕事に集中しやすくなることも期待できます。
企業への信頼感アップ
暮らしが苦しいときに手当を支給すれば、従業員の企業への信頼感を高められるでしょう。従業員が自発的に企業のビジョン実現に向け行動するよう社員エンゲージメントを高めるには、信頼関係の構築が欠かせません。
手当の支給により従業員エンゲージメントが高まると、従業員のモチベーションが高まり、業務で成果をあげやすくなるかもしれません。
企業イメージの向上
インフレ手当の支給は企業イメージにもつながります。苦しいときに従業員に寄り添う姿勢のある企業は、プラスの印象を与えやすいでしょう。
顧客に対するイメージ戦略はもちろん、求職者へのアピールとしても効果的です。
インフレ手当には注意点もある
従業員にも企業にもプラスに働くインフレ手当ですが、支給するときには注意点もあります。注意すべき点を知った上での実施が重要です。
実際の用途に注意
現金でインフレ手当を支給する場合、従業員は生活費以外の用途で使うかもしれません。「いつもより余裕があるから旅行に行こう」「新しいゲーム機が欲しかったから買おう」とすべて使い切る可能性があります。
また暮らしに対する不安感が強ければ、全て貯金することも考えられます。インフレ手当の本来の趣旨である、生活費のサポートに使われないケースがある点に考慮が必要です。
税金や社会保険料の負担に注意
インフレ手当は労働への対価ではありません。しかし扱いは所得です。福利厚生にならないため、税金や社会保険料がかかります。従業員も企業も負担が増えるため、どの程度違いがあるかあらかじめ計算するのがおすすめです。
支給される金額によっては、働く日数や時間が変わらないにもかかわらず、配偶者の扶養控除からはずれてしまう人が出てくる可能性もあります。支給により不都合が発生しないか確認しなければいけません。
就業規則に注意
インフレ手当を一時金として賞与以外の方法で支給する場合や、月額手当として支給する場合には、就業規則の変更が必要です。実施にあたり就業規則の条文作成、労働基準監督署へ提出する就業規則変更届の作成、従業員の過半数を代表する者による意見書の作成などの手間がかかります。
支給方法に注意
インフレがいつまで続くかを正確に予測できる人はいません。長期間にわたりインフレが続いた場合、一時金を支給してもその場限りの付け焼き刃で終わる可能性があります。
月額手当であればずっと支給が続きますが、インフレが落ち着き始めたからといって打ち切るのは難しいでしょう。これまで受け取れていたものがなくなる場合、大きな反発が予想されるためです。
どのタイミングでどのように支給するか、よく検討した上で決定する必要があります。
注意点への対策はチケットレストランが有効
注意点を確認すると、現金でインフレ手当を支給するのは難しいと感じる企業もあるでしょう。そのような場合でも導入しやすいのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。社員満足度90%、利用率99%と従業員から好評で、継続率も98%と導入した企業の多くが使い続けている食事補助の福利厚生サービスです。
食のサポートによるインフレ手当
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」を導入すると、従業員の食事をサポートできます。インフレの影響でランチ代を節約している従業員に、充実した食事を提供できます。用途が飲食代に限定されているため、現金で支給するときのように目的と異なる使われ方をする心配がありません。
全国にある7万店舗の飲食店やコンビニを社員食堂代わりに使えるため、出社していてもテレワークでも好きな時間に利用できるのもポイントです。
現金支給と比べ税金や社会保険料を抑えられる
現金による手当の支給は従業員の所得になるため、税金や社会保険料の負担が増えます。一方エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は福利厚生として導入できるサービスのため、税金や社会保険料を抑えやすいのも魅力です。
負担が少なく継続しやすい
税金や社会保険料の負担が少ない点は、続けやすさにつながります。現金による支給は負担が大きくなりやすく、インフレが収束したら終了したいと考える企業もあるでしょう。
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」であれば、福利厚生として損金扱いにでき、1人あたりのコストも少額なため、無理なく続けやすいサービスです。
インフレ手当は現金なら福利厚生にならない
従業員の不安払拭や企業のイメージアップにつながるインフレ手当ですが、現金で支給すると福利厚生として扱えません。所得とみなされるため、従業員も企業も税金や社会保険料の負担が高まる可能性があります。
インフレ手当を導入するときは、メリットと同時に注意点もよく確認し、実施の可否やどのような方法で実施するかを決めましょう。
食事補助サービス「チケットレストラン」であれば、食事代専用の電子カードで利用するため、福利厚生として運用できます。インフレ手当の代わりとして、「チケットレストラン」を導入し、「食」を通して従業員の生活や健康管理をサポートしませんか?