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【社労士監修】育児介護休業法の改正をわかりやすく解説。2025年から何が変わる?

【社労士監修】育児介護休業法の改正をわかりやすく解説。2025年から何が変わる?

2025.03.04

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

育児介護休業法が改正されました。これにより2025年4月から段階的に制度が施行されます。具体的にどのような変化があるのでしょうか?これまでの制度を確認した上で、改正された育児介護休業法についてわかりやすく解説していきます。

育児介護休業法の目的や制度を確認

育児介護休業法の正式名称は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」です。2017年4月1日に施行された同法律の目的について見ていきましょう。

参考:e-GOV法令検索|育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

関連記事:【社労士監修】育児介護休業法とは?制度の概要を分かりやすく解説

育児中の人やビジネスケアラーの両立支援が目的

育児介護休業法は、仕事と育児・仕事と介護というように、仕事とプライベートを両立している人を支援するために作られました。

育児や介護を担う人が「両立は難しい」と感じれば、離職につながるかもしれません。これから妊娠・出産したいと考えていても「難しそうだから」と諦める可能性もあります。

このような事態を避けるために設けられた法律です。

関連記事:女性が働きやすい職場づくりで飛躍!効果的な取り組みや制度、事例を解説

育児や介護をきっかけとした離職を防ぐ人手不足対策

人材不足への対策も育児介護休業法の目的の1つです。育児や介護と仕事の両立が難しいと、退職を選ぶ人が増えるでしょう。企業の人材不足は深刻化してしまいかねません。

仕事があり黒字であっても、従業員がいなければ仕事を引き受けられず、人手不足倒産に至る可能性があります。

育児介護休業法で定められている制度により、育児や介護を担っている人が働きやすい環境づくりをすることは、人手不足倒産の回避にもつながります。

関連記事:人手不足倒産が急増⁉業種ごとの傾向や中小企業の割合をチェック

育児介護休業法で定められている制度や措置

育児介護休業法では、仕事と育児や介護を両立するために、以下の制度や措置を定めています。2025年2月時点の内容は以下の通りです。

制度・措置

内容

育児休業制度

・原則として1歳未満の子どもを養育する労働者が休業できる制度
・子どもが1歳になる日に保育所への入所が決まらないといった理由がある場合には休業を1歳6カ月に達する日まで、さらに1歳6か月時点で同様の事由に該当した場合は2歳に達する日までの休業延長が認められる
・両親ともに育児休業を取得する場合には、子どもが1歳2カ月まで最長1年間休業できる「パパ・ママ育休プラス」という制度もある

産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)

・産後休業をしていない労働者が育児休業とは別に、子どもが生まれてから8週間の間に4週間まで取得可能    

・2回までなら分割での取得も可能           ・要件を満たせば一部就業可能

介護休業制度

・家族が要介護状態になったときに、対象となる家族1人につき、合わせて93日まで休業できる制度
・最大3回まで分割可能

子の看護休暇制度

・子どもが小学校就学前までの間、病気やけがの看護・予防接種・健康診断を理由に休暇を取得できる制度
・子どもが1人であれば1年度に5日間まで、2人以上であれば10日間まで取得可能

介護休暇制度

・要介護状態の家族を介護するために利用できる休暇制度
・対象となる家族が1人であれば1年度に5日間、2人以上であれば10日間まで取得可能

育児・介護のための時間外労働の制限

・小学校就学前の子どもを養育しているか、要介護状態の対象家族を介護している労働者が、養育もしくは介護のために請求した場合、1カ月に24時間・1年に150時間を超える時間外労働をさせてはいけない
※事業の正常な運営を妨げない範囲で

育児・介護のための所定外労働の制限

・3歳に満たない子どもを養育しているか、要介護状態の対象家族を介護する労働者が、養育もしくは介護のために請求した場合、所定労働時間を超えて労働させてはいけない
・1回の請求につき1カ月以上1年以内の期間を、回数の制限なく請求可能
※事業の正常な運営を妨げない範囲で

育児・介護のための深夜業の制限

・小学校就学前の子どもを養育しているか、要介護状態の対象家族を介護している労働者が、養育もしくは介護のために請求した場合、22~翌5時までの間に労働させてはいけない
・1回の請求につき1カ月以上1年以内の期間を、回数の制限なく請求可能
※事業の正常な運営を妨げない範囲で

育児のための所定労働時間短縮の措置

・3歳に満たない子どもを養育する労働者について、1日の所定労働時間を原則として6時間とする短時間勤務制度を設けなければいけない

介護のための所定労働時間短縮の措置

・要介護状態の対象家族を介護している労働者について、所定労働時間短縮などの措置を講じなければならない
・対象家族1人につき、利用開始日から連続する3年以上の期間内に2回以上

事業主が講ずべき措置

・本人か配偶者の妊娠・出産などを労働者が申し出たときには、育児休業制度などを個別に周知して取得意向を確認するために、面談などの措置を講じなければいけない
・育児休業・産後パパ育休の申出が円滑に行われるための措置を講じなければいけない
・小学校就学前の子どもを養育している労働者に、育児休業に関する制度・所定外労働の制限に関する制度・所定労働時間の短縮措置やフレックスタイム制などの措置に準じて必要な措置を講ずる努力義務。加えて配偶者出産休暇などの育児に関する目的で利用できる休暇制度を講ずる努力義務
・要介護状態の対象家族を介護している労働者について、介護休業制度もしくは所定労働時間の短縮などの措置に準じて、その介護を必要とする期間・回数などに配慮した必要な措置を講ずる努力義務
・就業場所の変更を伴う配置の変更により、子どもの養育や家族の介護と仕事の両立が難しくなる労働者がいるときには、養育や介護の状況に配慮する義務
・労働者数1,000人超の事業所では、育児休業取得状況を公表しなければいけない。年1回、男性の育児休業等取得率も公表する

参考:厚生労働省|育児・介護休業法の概要

【2025年4月施行】育児介護休業法改正

仕事と育児や介護を両立している人が働きやすい環境づくりを目的とした育児介護休業法が改正されました。ここでは2025年4月から施行される制度について見ていきましょう。

参考:厚生労働省|育児・介護休業法 改正ポイントのご案内令和7(2025)年4月1日から段階的に施行

子の看護休暇の見直し

子の看護休暇は2025年4月から以下のように変わります。看護休暇を取得できる期間が延びて、休暇の取得事由も増えました。

施行前

施行後

名称「子の看護休暇」

名称「子の看護等休暇」

対象となる子どもは「小学校就学の始期に達するまで」

対象となる子どもは「小学校3年生修了まで」

取得事由は「病気・けが」「予防接種・健康診断」

取得事由は「病気・けが」「予防接種・健康診断」「感染症等に伴う学級閉鎖等」「入園(入学)式・卒園式」

労使協定により除外できる労働者は「週の所定労働日数が2日以下」「継続雇用期間6カ月未満」

労使協定により除外できる労働者は「週の所定労働日数が2日以下」

所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

所定外労働の制限(残業免除)は、請求できる労働者の範囲が広がっています。2024年度までは請求の対象外だったけれど、2025年度から請求したいという従業員が在籍している場合には、対応が必要です。

施行前

施行後

請求可能な労働者の範囲は「3歳未満の子を養育する労働者」

請求可能な労働者の範囲は「小学校就学前の子を養育する労働者」

短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置追加

短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワークが加わります。テレワークで働ける体制を整えることで、より柔軟に働きやすい環境づくりにつながるでしょう。

施行前

施行後

代替措置は「育児休業に関する制度に準ずる措置」「始業時刻の変更など」

代替措置は「育児休業に関する制度に準ずる措置」「始業時刻の変更など」「テレワーク」

育児のためのテレワーク導入

育児のためのテレワーク導入が努力義務化されました。3歳未満の子どもを養育する労働者がテレワークを選択できるよう制度を整えることで、仕事と育児を両立しやすくします。

育児休業取得状況の公表義務適用拡大

育児休業取得状況の公表は、これまで労働者数1,000人超の企業に義務付けられていました。改正された育児介護休業法の施行により、これまでより多くの企業に育児休業取得状況を公表する義務が生じます。

施行前

施行後

公表義務の対象は「労働者数1,000人超の企業」

公表義務の対象は「労働者数300人超の企業」

介護休暇を取得できる労働者の要件緩和

より多くの労働者が、必要となったときに介護休暇を取得できるよう、介護休暇を取得できる労働者の要件が以下のように緩和されます。

施行前

施行後

労使協定により除外できる労働者は「週の所定労働日数が2日以下」「継続雇用期間6カ月未満」

労使協定により除外できる労働者は「週の所定労働日数が2日以下」

介護離職防止のための雇用環境整備

介護離職の防止に向けて、介護休業や介護両立支援制度などの申出がスムーズに行われるよう、事業主は以下のいずれかの措置を講じなければいけません。

  • 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施研修
  • 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談窓口設置
  • 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度などの事例の収集・提供
  • 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度などの利用促進に関する方針の周知

介護離職防止のための個別の周知・意向確認等

改正された育児介護休業法が施行されると、介護離職防止に向けた個別の周知と意向確認が義務化されます。

個別に周知や制度利用の意向確認を行うのは、家族の介護が必要となった申出をした労働者です。加えて介護に直面する前の段階である労働者も対象となります。

面談や書面交付などで、個別に周知や意向確認を行うのは「制度内容」「制度の利用方法」「介護休業給付金」についてです。

介護のためのテレワーク導入

仕事と介護を両立している労働者がテレワークを選択できるよう、措置を講じることが努力義務化します。必要に応じてテレワークができれば、仕事と介護を両立しやすくなるため、介護離職の防止につながるでしょう。

【2025年10月施行】育児介護休業法改正

改正された育児介護休業法は段階的に施行されます。早めに準備をするために、2025年10月1日から施行される内容も確認しましょう。

柔軟な働き方を実現するための措置等

3歳から小学校就学前の子どもを養育する労働者が仕事と育児を両立しやすくなるよう、企業は以下の5つから、2つ以上の措置を実施しなければいけません。

  • 始業時刻等の変更
  • 月10日以上のテレワークなど
  • 保育施設の設置運営など
  • 就業しつつ子どもを養育することを容易にするための休暇の年10日以上付与
  • 短時間勤務制度

労働者は企業が実施する措置の中から、1つを選んで利用できる仕組みです。

定められている期間内に「事業主が選んだ対象措置」「対象措置の申出先」「所定外労働(残業免除)・時間外労働・深夜業の制限に関する制度」について、面談や書面交付などによる労働者への個別の周知・意向確認が義務付けられます。

仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮

仕事と育児の両立がしやすくなるよう、定められた期間内に以下4点を面談や書面交付などで、個別に意向聴取することが義務化されます。

  • 勤務時間帯
  • 勤務地
  • 両立支援制度などの利用期間
  • 仕事と育児の両立のための就業条件

労働者の子どもが3歳になる前に、仕事と育児の両立について意向をヒアリングすることで、育児をきっかけとした離職を避けやすくなることが期待できます。

育児介護休業法改正で人手不足対策を

仕事と育児や介護を両立しやすくなる制度を定めているのが育児介護休業法です。2025年4月からは、さらに働きやすい環境になるよう、改正された育児介護休業法が施行されます。

仕事と両立しやすい環境が整えば、育児や介護をきっかけに離職する従業員を減らせるでしょう。

離職防止に取り組むには、福利厚生の充実度アップも役立ちます。例えばエデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」の導入も、従業員の離職防止につながる制度です。

離職防止に役立つ食事補助の福利厚生サービスを検討してみてはいかがでしょうか。

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