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【社労士監修】インフレ給付金とは?支給する目的や支給するときの注意点を解説

【社労士監修】インフレ給付金とは?支給する目的や支給するときの注意点を解説

2024.09.06

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

インフレ給付金とは、インフレに対応するために企業が従業員へ支給する手当のことです。これから従業員へインフレ給付金を支給しようと考えている企業に役立つよう、支給方法や手順・注意点などを解説します。併せて福利厚生サービスの導入で実施するインフレ対策についても見ていきましょう。

インフレ給付金とは

物価が上昇しているときに、その影響を和らげる目的で支給する手当がインフレ給付金です。これまでと同額の給与が支給されていても、急激なインフレが起こると実質的な減給と同じ状態になります。

従業員がこれまでの生活水準を維持しようと思うと、給与のみでは不足するかもしれません。従業員がこれまでと同様に暮らせるよう、企業が実施するサポートのひとつです。

インフレ給付金の目的

インフレ給付金は急激に進行する物価高に対応するための手当です。目的について具体的に解説します。

従業員の生活費のサポート

企業がインフレ給付金を支給すれば、経済状況がインフレのときに従業員の生活をサポートすることが可能です。

物価高が続くと、お金の価値は目減りします。例えば3,000円あれば1本150円のコーヒーを20本購入可能です。物価上昇により、同じコーヒーの価格が200円になると、3,000円を持っていても購入できる本数は15本になります。

このようなお金の価値の低下が起こると、従業員の生活費が不足するかもしれません。インフレ給付金で不足分を補えば、従業員はこれまでと同様の暮らしを無理なく送れるでしょう。

実質賃金の維持

インフレによりお金の価値が目減りすると、従業員の給与の価値も下がっていきます。同じ月30万円を支給し続けている場合でも、物価高が続いていれば、従業員の実質賃金は下がっているのと同じです。

インフレ給付金の支給には、物価高により低下した給与の価値を補填する意味があります。

インフレ給付金のメリット

物価高により価値が目減りする従業員の給与を補填するインフレ給付金は、支給すると大きなコストがかかる反面、メリットもある取り組みです。どのようなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。

従業員のモチベーション向上

これまで同様に働いているにもかかわらず、実質賃金が目減りしていく状況は、従業員のモチベーション低下を招きます。インフレ給付金を支給すれば、実質賃金の目減りを抑えられるため、従業員のモチベーションの維持向上につながるでしょう。

離職や無理な副業の防止

インフレの状況下で給与が全く上がらないのであれば、よりよい待遇で勤務できる企業への転職を考えて、離職する従業員が出てくるかもしれません。

今いる従業員が離職すれば、同等の待遇で人材を採用するのは難しい可能性もあります。インフレ給付金を支給することで、今いる従業員の離職防止につながるでしょう。

また給与の不足分を副業で補おうとする従業員も出てくるかもしれません。休日や退勤後の時間の大半を副業に費やすような、無理な働き方で副業に取り組むと、自社の業務に支障をきたすことも考えられます。

企業がインフレ給付金を支給すれば、従業員が無理な副業を行う必要がありません。心身の健康を保ちながら勤務できます。

企業イメージの向上

経済状況に応じて適切にインフレ給付金を支給することは、企業のイメージアップにつながる取り組みです。従業員の待遇について考えて、実際に取り組んでいることを示せれば、顧客や取引先・投資家などの信頼を得やすくなるでしょう。

企業イメージの向上により、商品やサービスの売上アップや、スムーズな資金調達、必要な人材確保などがかないます。

インフレ給付金の支給方法

インフレ給付金を支給するには、一時金として支給する方法と、月額手当として支給する方法の2種類です。それぞれの方法を紹介します。

一時金

一時金としてインフレ給付金を支給するには、給与への一時的な上乗せ・賞与への上乗せといった方法があります。

帝国データバンクの行った「インフレ手当に関する企業の実態アンケート」によると、インフレ給付金の支給を行っているもしくは予定している企業のうち、66.6%が一時金として支給しているそうです。

一時金としてインフレ給付金を支給する場合、その後の経営状況に合わせて継続的に支給するか支給を取りやめるかを、その都度判断しやすくなります。加えて事務処理の負担が増えないのもポイントです。

ただし短期的に大きな出費となる方法のため、資金繰りには注意しましょう。計画的に支給しなければ、キャッシュフローの悪化につながりかねません。

参考:帝国データバンク|インフレ手当に関する企業の実態アンケート

月額手当

月額手当としてインフレ給付金を支給する方法もあります。毎月支給している給与に、インフレ給付金を上乗せして支給する方法です。

帝国データバンクの行った「インフレ手当に関する企業の実態アンケート」によると、月額手当としてインフレ給付金を支給しているのは、36.2%という結果でした。

月額手当としてインフレ給付金を支給すれば、企業は1度に大きな支出をする必要がなくなり、従業員の給与の安定性を高められます。ただし経営状況に応じて手当を下げるのは難しくなるでしょう。

また月額手当としてインフレ給付金を支給するときには、就業規則の見直しも必要です。事務手続きの手間がかかることにも考慮が必要です。

参考:帝国データバンク|インフレ手当に関する企業の実態アンケート

インフレ給付金の相場

インフレ給付金を支給するときの参考になるよう、相場も確認しておきましょう。「インフレ手当に関する企業の実態アンケート」をもとに、一時金と月額手当の相場を見ていきます。

参考:帝国データバンク|インフレ手当に関する企業の実態アンケート

関連記事:【社労士監修】インフレ手当の相場はいくら?支給の現状と実際の支給事例を多数紹介!

一時金として支給する場合の相場

一時金としてインフレ手当を支給する場合、平均支給額は5万3,700円です。インフレ給付金の支給方法を一時金と回答した219社の支給額の内訳も紹介します。

一時金支給額

割合

1万円未満

11.9%

1万~3万円未満

27.9%

3万~5万円未満

21.9%

5万~10万円未満

21.9%

10万~15万円未満

9.1%

15万円以上

7.3%

他社と比較して、インフレ給付金をより充実させたいと考えているなら、支給額は5万円以上で検討するとよいでしょう。

月額手当として支給する場合の相場

インフレ給付金を月額手当として支給するときの平均支給額は6,500円です。月額手当でインフレ給付金を支給すると回答した119社の支給額の内訳は以下の通りです。

月額手当支給額

割合

3,000円未満

26.9%

3,000~5,000円未満

30.3%

5,000~1万円未満

30.3%

1万~3万円未満

11.8%

3万円以上

0.8%

支給額は1万円未満が約90%と大多数となっています。1万円以上支給するなら、インフレ給付金の充実度が高い企業といえるでしょう。

インフレ給付金の注意点

インフレ給付金を支給するときの注意点も確認しておきましょう。インフレ給付金を支給するにあたり、確認しておくべきコストや計画について解説します。

税金や社会保険料の負担増

従業員に支給するインフレ給付金は給与とみなされます。給与が上がれば、従業員の負担する税額や社会保険料額も上がるため、実質的な手取り額が思ったほど上がらないと感じる従業員もいるでしょう。

また健康保険料や厚生年金保険料といった社会保険料の半分は企業が負担します。インフレ給付金にかかる費用に加えて、社会保険料の負担が増えることも見越して支給額を決めなければいけません。

就業規則の変更

インフレ給付金を月額手当として支給する場合には、就業規則の変更も必要となります。就業規則に記載する項目は企業ごとに定めますが、労働基準法第89条に示されている絶対的記載事項は必ず含めなければいけません。

賃金に関する項目は絶対的記載事項の1つのため、インフレ給付金を月額手当として支給するときには必ず変更します。従業員規模によっては、労働基準監督署への書類提出も必要です。

また、一時金として支給する場合も「臨時の手当」に該当するため、就業規則に記載しておく必要があります。今後の支給有無や条件が不確定な場合は、「物価上昇の動向を鑑み、インフレ給付金として、臨時の手当を支給する場合がある。支給条件等については、都度書面をもって周知する」等の文言にしておくとよいでしょう。

参考:e-Gov 法令検索|労働基準法

支給停止する条件の明確化

定期的にインフレ給付金を支給する場合には、支給停止や支給額の調整を行う条件をあらかじめ明確にしておくことも重要です。例えば「インフレ率が〇%以下になったら」「企業の経営状況が悪化し利益が〇%低下したら」などと定めておくとよいでしょう。

加えて定めた条件は、従業員へ分かりやすく明示しておくと、トラブルを回避しやすくなります。

福利厚生で実施するインフレ対策

インフレ対策として従業員に対して提供できるのは、インフレ給付金のみではありません。ここでは福利厚生で行うインフレ対策について見ていきましょう。

福利厚生の活用で実質的な手取り額アップが可能

従業員の生活費をサポートする福利厚生を導入すれば、実質的な手取り額アップにつながります。家賃補助や食事補助を行えば、生活費にかかる支出が減り、自由に使える給与が増えるためです。

実質的に上がった手取り額があれば、物価高でも生活しやすくなります。

税金や社会保険料の負担を増やさずに支給することも可能

福利厚生の中には、一定の要件を満たすと給与として扱われず、税額や社会保険料額に影響を及ぼさないものもあります。例えば社宅や食事補助などです。

これらの福利厚生を活用すれば、税額や社会保険料額に影響するインフレ給付金を支給するよりも、手取り額アップを従業員が実感しやすくなるでしょう。

参考:現物支給額の算定方法

インフレ給付金代わりにおすすめの福利厚生サービス

福利厚生を活用してインフレ対策を行うなら、福利厚生サービスの導入を検討するとよいでしょう。自社で一から福利厚生を導入すると、手間とコストが大きくなり、従業員の負担が増える可能性があります。

福利厚生サービスを利用して福利厚生を導入すれば、従業員の仕事を増やすことなく待遇改善を実施可能です。ここではおすすめの福利厚生サービス2種類を紹介します。

食の福利厚生サービス「チケットレストラン」

従業員の食事代をサポートできるのは、エデンレッドジャパンの食の福利厚生サービス「チケットレストラン」です。日々の食事代をサポートすることで、従業員の生活にかかる負担を減らせるため、自由に使える給与を増やせます。

バランスのよい食事をとりやすくなるのも特徴です。これまでに「チケットレストラン」を導入した企業の中には、おにぎりやパンのみで昼食を済ませていた従業員が、健康に気遣い野菜のおかずを購入するようになったケースもあります。

全国にある25万店舗以上の加盟店で利用できるため、オフィスに出社している従業員にはもちろん、テレワークの従業員や、毎日異なる現場で業務を行う従業員など、対象となる従業員全員が利用できるのも特徴です。

使い勝手のよさから、従業員満足度93%となっており、従業員に喜ばれる福利厚生といえます。

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関連記事:インフレ手当で注目されるチケットレストランの魅力とは?お得なキャンペーン情報も

借り上げ社宅を提供する「freee福利厚生」

freee福利厚生」は従業員に借り上げ社宅を提供できる福利厚生サービスです。企業は物件オーナーとの間で賃貸借契約を結び、従業員に賃貸住宅を提供して、従業員の給与から賃貸料相当額を天引きします。

従業員の給与の一部を住宅の現物支給とすることで、従業員の税負担を抑えて実質的な手取り額を増やしつつ、企業の社会保険料の負担も抑えることが可能です。

コストをかけずに従業員にも企業にもメリットのある仕組みを導入できます。

参考:freee biz(フリービズ)株式会社|freee福利厚生 コストをかけずに従業員の手取りが増やせる

「チケットレストラン」をインフレ給付金に活用した事例

エデンレッドジャパンの提供する食の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、インフレ給付金の一環として活用できます。実際にインフレ対策として導入している企業の事例を見ていきましょう。

株式会社DFA Robotics

<企業概要>
事業内容:機械器具卸売業
従業員数:45人 ※2024年3月時点
URL:https://dfarobotics.com/

サービスロボットの輸入販売や導入支援などを行っている株式会社DFA Roboticsでは、インフレと事務所移転により、従業員の食費負担が増えていることを課題と考えていました。加えて全国7拠点で働く対象の従業員へ、公平に支給できるサポートはないか、と考えて導入したのが食の福利厚生サービス「チケットレストラン」でした。

導入した結果、従業員満足度が以前より高まり、従業員の帰属意識が向上したそうです。導入はもちろん日頃の運用も手間がかからず、利便性が高いことから、ストレスフリーで利用できているのもポイントといえます。

導入事例:株式会社DFA Robotics

日免オートシステム株式会社

<企業概要>
事業内容:自動車販売・整備・板金塗装・レンタカー・損害保険代理店
従業員数:180人 ※2024年5月時点
URL:https://www.nichimen-g.co.jp/

日免オートシステム株式会社は自動車販売や整備などを行っている企業です。従業員の働きやすい環境を向上させるために、食事補助の福利厚生を導入したいと考えていたときに、食の福利厚生サービス「チケットレストラン」を知り導入しました。

従業員の健康をサポートを目的に導入した食事補助ですが、従業員からは「食費の負担が軽くなった」「コンビニで買うドリンクが大きな負担にならず助かっている」という声が届いているそうです。

インフレ給付金としても役立っている事例といえるでしょう。

導入事例:日免オートシステム株式会社

株式会社ノア

<企業概要>
事業内容:半導体製造装置のフィールドエンジニアリング
従業員数:218人 ※2024年3月時点
URL:http://www.fenoax.com/

半導体製造装置の保守・点検などを担っている株式会社ノアでは、物価上昇により従業員が食事を控える傾向があったそうです。

従業員の食事代をサポートする食の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入することで、おにぎり1個で昼食を済ますといった状況が改善されつつあります。

「いろいろな食品が値上がりしているので、食事補助は非常にありがたい」といった声も届いているそうです。

導入事例:株式会社ノア

インフレ給付金で従業員の待遇を整備しよう

インフレが続く中、物価高騰によりお金の価値が目減りしていることから、給与額は変わっていなくても以前より生活が苦しくなったと感じている従業員もいるでしょう。従業員をサポートするためにインフレ給付金を支給している企業もあります。

一時金や月額手当として現金を支給する方法の他、生活費をサポートする福利厚生の導入でインフレ対策を実施することも可能です。

例えば食の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入すれば、食事代を企業がサポートすることで、従業員はその分自由に使える給与が増えます。

一定の要件を満たして導入すれば、税金や社会保険の負担を増やさずに支給できるため、同額のインフレ給付金よりも実質的な手取り額アップを実感しやすいのも特徴です。

インフレ給付金の一環として、食の福利厚生サービス「チケットレストラン」を検討してみませんか。

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