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-働く人と働きたい人のための福利厚生マガジン-

物流・運送業界が直面する「2024年問題」|要点と対策を解説!

2023.05.19

「2024年問題」は、「働き方改革関連法」の改正によって、物流・運送業界が直面する危機や課題をいいます。迫り来る2024年へ向け、その要点と企業が行うべき対策を整理していきましょう。「2024年問題」へ向けた企業の対策としておすすめな福利厚生サービス「チケットレストラン」も紹介します。

「2024年問題」の要因「働き方改革関連法」とは?

「2024年問題」とは、2024年4月1日に施行される「働き方改革関連法」内の改正により、ドライバーの時間外労働に上限が設けられることによって生じるとされる問題の総称です。「2024年問題」について深く理解するため、まずは「働き方改革関連法」の基本知識から整理していきましょう。

「働き方改革関連法」成立の経緯

「働き方改革関連法」は、正式名称を「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」といい、2018年6月29日に国会で成立しました。同年7月6日に公布され、翌2019年4月1日から順次施行されています。

この「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」の趣旨について、厚生労働省は以下のように言及しています。

働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講じます。

近年の日本は、少子高齢化にともなう労働人口の減少が大きな課題となっています。一方で「核家族化による育児や介護の負担増」「終身雇用制の崩壊」といった要因から労働者のニーズが多様化し、潜在的な労働力を生かせないケースが少なくありません。

「働き方改革関連法」は、法改正を通じ、労働者1人ひとりがそれぞれの事情を踏まえた働き方を選択できることを目指して改正されています。つまり、労働者によりよい職場環境や待遇を用意する目的で立案、成立した法改正が「働き方改革関連法」なのです。

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/000474499.pdf

「働き方改革関連法」3本の柱

「働き方改革関連法」は、「長時間労働の是正」「雇用形態による格差の解消」「多様な働き方の実現」を3本の柱としています。以下、それぞれの詳細について解説します。

長時間労働の是正

「長時間労働の是正」は、働き過ぎを防ぎ、ワーク・ライフ・バランスと多様かつ柔軟な働き方の実現を目的とした法改正で、3本の柱の中でも特に物流・運送業界の「2024年問題」に深く関わるテーマです。具体的には、以下の見直しが行われました。

  • 残業時間の上限規制
  • 勤務間インターバル制度の導入
  • 企業に対する年5日の年次有給休暇取得の義務づけ
  • 月60時間を超える残業に対する割増賃金率の引き上げ
  • 企業に対する労働時間状況の客観的把握の義務づけ
  • フレックスタイム制の拡充
  • 高度プロフェッショナル制度の新設
  • 産業医・産業保健機能の強化

※施行期日:2019年4月1日
※中小企業における残業時間の上限規制適用は2020年4月1日
※中小企業における月60時間を超える残業の割増賃金率引き上げの適用は2023年4月1日

中でも重要なのが、後述する「残業時間の上限規制」です。「2024年問題」は、長時間労働の是正を目指したがために引き起こされているといっても大げさではないのです。

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/000474499.pdf

雇用形態による格差の解消

かつて一般的なものだった「正社員(無期雇用フルタイム労働者)」と「非正規社員(パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)」との不合理な待遇差をなくすことを目的とした法改正です。具体的には、以下の見直しが行われています。

  • 不合理な待遇差の禁止
  • 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
  • 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定の整備

※施行期日:2020年4月1日
※中小企業におけるパートタイム・有期雇用労働法の適用は2021年4月1日

なお厚生労働省は、どのような待遇差が不合理と判断されるのか、典型的な事例を含めたガイドラインとして「同一労働同一賃金ガイドライン」を策定しました。

ガイドラインでは、基本給、賞与、各種手当、福利厚生、教育訓練の各項目について、同じ仕事をしている従業員に対しては雇用形態の別なく同じ待遇をしなければならないと定めています。この対策により、労働者の働き方の自由度が高まり、より多くの人材に就業のチャンスが与えられるようになりました。

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/000474499.pdf

多様な働き方の実現

労働者が多様な働き方を選択できるようにするためには、企業側の環境整備が必要不可欠です。

例えば、「時短勤務制度」「在宅勤務制度」「フレックスタイム制度」を導入すれば、育児や介護に携わる人も就業しやすくなります。また、設備を見直し、心身への負担が緩和されれば、シルバー人材の雇用も選択肢に入ります。

加えて厚生労働省は、「働き方改革実行計画」(2017年3月28日:働き方改革実現会議決定) を踏まえ、より多様な働き方の推進策として、2018年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定しました(2020年9月改定)。

これらの施策によって、労働者側の選択肢が広がるだけでなく、企業が人材を獲得しやすくなるメリットも生まれています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html

「長時間労働の是正」が物流・運送業界にもたらす問題

「働き方改革関連法」は、労働者の働き方に対する自由度を高める目的で行われた、労働者のための法改正です。それにもかかわらず「2024年問題」として物流・運送業界に物議を醸しているのは、ひとえに「長時間労働の是正」にまつわる内容が物流・運送業界の実態にそぐわないからにほかなりません。以下、実態のズレの詳細について解説します。

「長時間労働の是正」で求められること

前述のとおり、「2024年問題」の大きな原因となっているのは、「長時間労働の是正」の中の「残業時間の上限規制」にまつわる部分です。

「働き方改革関連法」は、残業時間の上限について、以下のように定めています。

  • 残業時間の上限は原則として月45時間・年360時間(臨時的な特別の事情がない限り超えることは不可)
  • 臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間以内・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)・月100時間未満(休日労働を含む)を超えることは不可
  • 原則である月45時間を超えられるのは年間6カ月まで

上記内容を踏まえると、労働基準法によって定められた法定労働時間「1日8時間・週40時間」を前提に、残業時間の上限いっぱいまで勤務した場合の労働者1カ月あたりの拘束時間の目安は以下のようになります。(1カ月=4.3週・1カ月22日換算)

  • 法定労働時間:1週40時間×4.3週=172時間
  • 時間外労働:360時間(上限)÷12カ月=30時間
  • 休憩時間:1日1時間×22日=22時間
  • 1カ月あたりの拘束時間上限目安:224時間

なお、残業が60時間を超えた場合、超過分の時間外割増賃金率は従来の25%から50%に引き上げられました。これらの法改正に違反した場合、6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が罰則として定められています。

物流・運送業界の実態

「働き方改革関連法」が定める労働者の1カ月あたりの拘束時間の上限の目安が224時間であると分かったところで、注目したいのが物流・運送業界の勤務実態です。

物流・運送業界の現場を担うトラックドライバーは、発着時の待機時間や道路状況の影響などにより、そもそも拘束時間が長い職業です。特に長距離の運行では、休憩時間やドライバーの交代による時間のロスを防ぐため、長時間勤務が常態化する傾向にあります。

一方で、給与は残業手当ありきで定められていることが多く、長時間勤務を状態化させる要因の1つともなっています。特に近年は、EC市場の拡大による荷量の増加によって、ドライバーの負担はより大きくなっています。長時間労働、低賃金、過労傾向となりがちな運送会社は、慢性的な人手不足なのが現状です。

こうした運送業界の実態を考慮し、「働き方改革関連法」では、自動車運転業務について、残業時間の上限規制の適用が5年間猶予されるとともに、年間時間外労働の上限を960時間に定めるなどの優遇措置が設けられています。

出典:厚生労働省|時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

上記特例を前提に、労働者1カ月あたりの拘束時間の目安を算出すると、以下のようになります。

  • 法定労働時間:1週40時間×4.3週=172時間
  • 時間外労働:960時間(上限)÷12カ月=80時間
  • 休憩時間:1日1時間×22日=22時間
  • 1カ月あたりの拘束時間上限目安:274時間

では、実態はどうなのでしょうか。

厚生労働省は、令和4年1月21日、「第3回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会資料」の中で「自動車運転者の労働時間等に係る実態調査結果(概要)」を公開しました。

出典:総務省|自動車運転者の労働時間等に係る実態調査結果(概要)

これによると、2021年(令和3年)のトラックドライバーのうち、労働時間が拘束上限目安内に収まっている人は66.3%に留まります。少なくとも現状では、「働き方改革関連法」に準ずるのは簡単なことではありません。

参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23396.html
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000884374.pdf

「2024年問題」で生じる課題

残業時間の上限が設けられることで生じるのが「2024年問題」です。「2024年問題」の主な課題を整理していきましょう。

売上げの減少

運送業は、運んだ荷物の量や便数によって売上げが決まります。「働き方改革関連法」に則りドライバーの労働時間を削減した場合、運送会社の売上げが減少することは必至です。

また、「働き方改革関連法」では、割増賃金率が25%から50%へ引き上げられることが定められています。これは人件費の増加を意味するため、企業としての利益はますます減少することが懸念されます。売上げ減少の度合いによっては、事業の継続が危ぶまれる可能性すら考えられるかもしれません。

ドライバーの収入減少・離職

前述のとおり、ドライバーの賃金は残業代ありきで定められる傾向にあります。それでもなお、ドライバーの年間所得額は全産業平均に比べ低水準なのが現状です。

出典:全日本トラック協会|トラック運送業界の2024年問題について

さらに、残業時間の上限規制によって残業時間が短くなれば、そのぶん収入は減少し、生活が成り立たないケースも見られるようになるでしょう。

生活ができなければ、転職を考えざるを得ません。ただでさえ人材不足のところ、ドライバーの離職によってさらなる人材不足に陥る可能性が高いのです。

運賃の上昇(荷主側)

「働き方改革関連法」にともなう残業時間の上限制定により売上げが減少した企業は、それを補うための方法として運賃の値上げを検討することが予想されます。

当然ながら、輸送コストの増大は荷主にとって喜ばしいことではありません。運賃の交渉がうまくいかなかった場合、荷主との取引が停止し、ますます経営難に陥るケースも考えられるのです。

「2024年問題」に向けた効果的な対策とは?

「2024年問題」に対し、物流・運送会社が行える対策にはどのようなものがあるのでしょうか。特に大きな効果が期待できる対策について紹介します。

DXの推進

「DX」は「Digital Transformation」の略語で、意味するところは「デジタル技術の導入によるビジネスモデルの変革」です。

2022年、国土交通省は「物流・配送会社のための物流DX導入事例集~中小物流事業者の自動化・機械化やデジタル化の推進に向けて~」を公開しました。

ここでは、「携帯電話と連動したバース予約・受付システムによる待機時間の短縮」「AI点呼ロボットの導入による運行管理者の負担軽減」「荷下ろしロボットの導入による荷下ろしの自動化」など、DXによる業務効率化の事例が多数掲載されています。

DX化を推進することで、「2024年問題」で懸念される人材不足にも対応できるのはもちろんのこと、業務効率化による生産性や業績の向上も期待できるかもしれません。

参考:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_tk1_000233.html

人材確保への積極的な取り組み

前述のとおり、トラックドライバーは一般的に「長時間労働」「低賃金」「過労傾向」となりがちな職業です。新たな人材の獲得に苦慮し、慢性的な人材不足に悩む運送会社は少なくありません。

そんな中にあって、「2024年問題」で懸念されるドライバーの離職は、企業にとって死活問題ともなりかねないものです。安定した経営を維持するためにも、人材の確保への積極的な取り組みは必要不可欠です。

他社と差別化し、人材にアピールできる具体的な取り組みとしては、時短勤務制度の導入や、福利厚生の充実などが挙げられます。中でも福利厚生は企業の独自性が表れやすく、人材に対する協力なアピールポイントとなるでしょう。

物流・運送業界におすすめの福利厚生「チケットレストラン」

人材獲得に効果的な福利厚生ですが、中でもおすすめなのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。「チケットレストラン」とはどのようなサービスなのか、おすすめな理由と合わせて紹介します。

日本一の食事補助サービス

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、専用の電子カードを利用して提供する食事補助サービスです。

導入した企業の従業員は、提携店舗での食事が半額で利用できます。提携店舗のジャンルは、ファミレスやカフェ、コンビニなど、多種多様なため、一般的な社員食堂のように「メニューが代わり映えしない」「苦手な食材が多く食べられない」といった心配がいりません。

提携店舗は、従来全国に約7万店舗でしたが、2023年3月に「 Uber Eats 」と業務提携したことにより、約25万店舗に急拡大しました。

「全国に社員食堂を持つような感覚で利用できる福利厚生サービス」として、導入企業数2,000社以上、導入企業での利用率は99%以上、社員満足度90%を超える人気サービスです。

物流・運送業界に「チケットレストラン」がおすすめな理由

チケットレストラン」は、就業時間内であれば利用するタイミングを問いません。朝食、ランチ、夕食、おやつなど、使い方はその人次第です。これは、日によって休憩時間や休憩場所が変わりがちなトラックドライバーにとって大きなメリットといえます。

また、トラックドライバーは、その業務内容から社員食堂や設置型社食、宅配弁当といったサービスは基本的に利用できません。しかし「チケットレストラン」であれば、好きなタイミングで社外での食事をとれます。

「チケットレストラン」は、ドライバーの新規獲得はもちろんのこと、かねてから自社に勤務する従業員の定着にも大きな役割を果たす福利厚生サービスです。

独自の対策で「2024年問題」を乗り越えよう

「2024年問題」は、「働き方改革関連法」にともない物流・運送業界が直面する課題の総称です。「2024年問題」を乗り越えるためには、まず企業の1番の財産である人材の獲得、定着を実現しなければなりません。

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」のような魅力ある福利厚生の導入も1つの選択肢として、「2024年問題」に揺らがない企業の土台作りを目指しましょう。

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