従業員満足度を向上させるための取り組みを行う企業が増えています。従業員満足度のための取り組みは、定義やメリットなどを理解したうえで行うのが効率的です。従業員満足度の定義や取り組みを行う企業が急増した背景をベースに、高い従業員満足度のメリット、取り組みの要素やポイントを押さえた、おすすめの施策例を紹介します。
従業員満足度を上げる取り組みが増えた背景
昨今のビジネスシーンで取り組む企業が増えたのが「従業員満足度(ES)向上」のための施策です。多くの企業が従業員満足度を重視するようになったのには、どのような背景があるのでしょうか?
そもそも従業員満足度とは?
従業員満足度とは、英語で「Employee Satisfaction」と呼ばれ、仕事内容・職場環境・社内における「人間関係」「働きがい」「給与待遇」「福利厚生」「ワークライフバランス」などから総合的に導き出される従業員の満足度のことです。頭文字をとって「ES」と表記されることもあります。
従業員満足度が重視される理由
厚生労働省の「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業」報告書によると「従業員と顧客満足度の両方を重視する企業は、顧客満足度のみを重視する企業と比べ、業績が向上し、人材確保ができている」と発表されています。つまり、企業は、業績や人材確保のために、従業員満足度を重視すべきだという考えです。
実際の従業員満足度についてみてみましょう。リアルワンの「働くみんなの意識調査2021第Ⅰ部 従業員満足度とエンゲージメントの現城」によると、日本全国の従業員満足度は、満足(肯定)割合は50.5%でした。働く人々のおよそ半数が、勤務先に満足感を抱いて働いていることがわかります。
従業員満足度向上による企業側の3つのメリット
従業員満足度が向上すると、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的なメリットを3つ紹介します。
パフォーマンスの向上
従業員満足度が高いとパフォーマンスの高い従業員が増えるため、職場全体の従業員が主体的・能動的に働くようになるといわれています。活気に満ちた職場の雰囲気がさらなる従業員満足度を生むという好サイクルを生むこともあるでしょう。
また、従業員満足度が高い職場では、社内のコミュニケーションも円滑な傾向です。報連相の抜けや漏れなどが減り、ミスが起こりづらい状況になることから企業全体のパフォーマンス向上につながるといわれています。
顧客満足度の向上
従業員満足度の高い企業では、従業員のパフォーマンスが高いため、顧客により良い品質・サービスを届けるための努力が継続される傾向があります。期待値以上の品物やサービスを提供されたと感じると顧客満足度は向上します。顧客満足度とは、商品やサービスを購入したときに顧客が満足した程度を測る指標で英語で「Customer Satisfaction」。頭文字をとってCSとも表記されます。
顧客満足度が向上すると業績の成長に結びつきます。業績が上がることで得た利益を従業員に還元することを繰り返すと、さらなる従業員満足度と顧客満足度の向上を加速させる好循環が期待できるでしょう。
人材の定着
従業員満足度が高いと、従業員の会社へのエンゲージメントも高くなります。結果として、人材の定着、離職率の低下が期待できます。
2015年、厚生労働省による「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業」報告書では、従業員満足度向上に向けた取り組みが行われる職場、つまり「魅力ある職場づくり」の取り組みについて「実施期間が長い企業ほど業績が向上し、人材確保ができている」というデータも公表されています。
とりわけ、人数・質ともに人材確保に成功する企業は「ワークライフバランス促進や女性登用促進の取り組み」に取り組んだとの回答が53.3%という高い結果が出ています。これは取り組みを行わない企業の3倍以上の数値であり、従業員満足度を上げるための取り組みが人材確保にも寄与していると評価できるでしょう。
従業員満足度を向上させる7つの要素
従業員満足度を向上させるには、7つの要素が重要だと考えられています。従業員満足度を向上させる取り組みには、7つの要素のいずれかを反映させる必要があります。従業員満足度を上げる取り組みに重要な7つの要素をそれぞれ詳しく説明します。
企業理念(ビジョン)への共感
企業理念やビジョンに共感している従業員は、経営層と価値観や行動様式が同じ方向に向いており、自社への貢献に積極的です。会社への信頼度も高く、誇りを持って働いていることから、従業員満足度にプラスの影響を与えます。
上司のマネジメント・評価への納得感
一人ひとりの部下とコミュニケーションを取り、仕事ぶりや様子を把握し、正しい評価ができる上司がいる場合、従業員満足度が高くなります。業務の采配・指示出し・フィードバックが適切であれば、部下である従業員は働きやすいものです。
上司が公平に評価を下し、部下が評価に納得できるように伝えることも大切です。日頃から部下と積極的な関わりを持つなど、上司と部下の垣根が低い企業だと従業員満足度が高い傾向があります。
魅力的な福利厚生
魅力的な福利厚生も、従業員満足度に影響する要素です。住宅手当や食事手当といった福利厚生は、従業員の経済的な負担を軽減できます。直接的に給与アップが叶わない場合でも、福利厚生の充実により間接的、経済的にプラスの効果があるため、従業員のモチベーションアップにつながるでしょう。
貢献度の実感
自分の仕事が勤務先や社会によい影響を与えられたと実感できると、やりがいが生まれ、従業員満足度が上がります。従業員の仕事に対する満足度も高まるでしょう。顧客からの感謝の声は、仕事へのモチベーションアップにもつながります。
ただし、企業や顧客、社会への貢献度が実感しにくい業務であれば従業員満足度は低い位置でとどまる傾向があります。社内で貢献度を称賛する仕組みやキャンペーンを導入するなどの取り組みがおすすめです。
職場での円滑な人間関係
職場での人間関係は従業員満足度に大きく影響します。チームワークや上司・同僚との人間関係が悪いと、従業員満足度にマイナスに作用し、ときには従業員の退職にもつながります。
快適な職場環境
きれいな空気・適切な温度・休憩室の広さ・備品の充実など、快適な職場環境であれば仕事がはかどるものでしょう。職場環境は、従業員満足度に深く影響する要素です。
職場環境については、もともとはオフィス環境を指すことが多かったものの、テレワークの普及により、自宅やサテライトオフィスなども含められるようになりました。テレワークに必要なデバイスやPC機器、自宅でオフィスで働く仲間とのコミュニケーションが取りやすい仕組みが整っているかも重要な職場環境整備の指針です。
給与待遇への納得感
給与や賞与などの金銭的報酬は、従業員満足度に大きく影響します。社会保険や各種手当も金銭的報酬のひとつです。従業員が労働に対する報酬に満足していると、従業員満足度が高くなります。
エンワールド・ジャパンによる2021年度の「職場の満足度調査」の結果でも、年収が高いほど現在の職場に満足していることがわかります。
ただし、給与額が従業員満足度に直結することはわかっていても、実現できる企業とそうではない企業があるでしょう。その場合は、従業員の経済状況を支援する福利厚生や給与に納得感が出るように評価制度を明確にするなどの取り組みに努める必要があります。
従業員満足度を高める取り組み施策例
従業員満足度を高める取り組みの施策例を詳しく解説します。
福利厚生の充実
法定外福利厚生の充実は、従業員満足度を上げる取り組みとして代表的なものといえます。福利厚生が充実していると、安定していて魅力がある企業として印象付けられ、人材確保にもつながります。実際、マイナビの2023年卒大学生活動実態調査によると、企業に安定性を感じるポイントとして「福利厚生が充実していること」と回答した割合は53.3%と高い値でした。
福利厚生は多様です。そのなかでも、食事補助の法定外福利厚生は従業員満足度の高い取り組みです。働く場所や多様な働き方、従業員それぞれの多彩な好みにも柔軟に対応できるエデンレットジャパンの「チケットレストラン」なら、従業員の熱い支持を得やすく、従業員満足度の向上に役立つでしょう。
企業理念やビジョンの共有
企業理念を従業員が共有する具体的な方法として、クレドがあります。クレドとはラテン語で「信条、志」と訳されるもので、「企業の行動規範や価値観などを簡潔に表したもの」です。クレドに沿って業務を行うと企業理念やビジョンに沿った行動をとれるとされています。
1on1ミーティングを取り入れるのもよいでしょう。1on1ミーティングは、上司が部下の現状を1対1で定期的に「傾聴する」面談です。業務上の部下の行動が企業理念に照らしてどうか、上司から定期的に部下にフィードバックする取り組みでもあります。
ジョブチェンジ制度
従業員満足度は「自分の適性に合う仕事をしている」「自分の能力を仕事に活かせている」と実感できると高まるものです。しかし、新卒採用などでは、まず営業を経験させるなどの人材配置をする場合もあるでしょう。
向いていない業務に従事する従業員が多いと、従業員満足度は下がる傾向です。従業員それぞれの特性や得意分野に沿った業務に配置転換できるジョブチェンジ制度を設けていると、適性と業務とのミスマッチが生じた場合に助け舟となります。従業員満足度を損なわせない取り組みの一例といえるでしょう。
評価制度の見直し
評価は給与と直結することから、公平性の高い評価制度を策定する必要があります。評価基準や昇給基準を明示し、評価や昇給につながらない理由をはっきりさせることが求められます。曖昧で従業員にとって納得できない評価では、モチベーションのダウンにつながり、従業員満足度の低下を招きかねないため注意が必要です。
なお、マネジメントする側が適切な評価をする意識を高めるために、部下が上司を評価する「逆評価制度」などの取り組みも役立ちます。個人的な感情にとらわれて適切な評価をしていない上司は、部下からの低評価を受ける可能性もあります。マネジメント側が襟を正すためにも注目される取り組みです。
職場環境の整備
テレワークができる環境を整えるなど、職場環境の整備も従業員満足度を上げるために効果的です。業務の作業効率がよいとは言い難いシステムを利用している場合、新しいシステムに改善するのも、立派な従業員満足度を高める取り組みの一つです。従業員が効率的に作業を進められるため、ワークエンゲージメントや企業へのロイヤリティにつながることが期待できます。
終わりに
従業員満足度向上のためには、従業員満足度を構成する7つの要素を把握し、満足度が低い要素を深掘りすることが大切です。改善に向けた取り組みを行うことで、従業員満足度が向上するでしょう。
なかでも実行しやすく、効果を実感しやすいのが福利厚生の充実です。従業員満足度向上への即効性や利用率が高い食事補助サービス「チケットレストラン」を検討してみてはいかがでしょうか?すべての従業員が長期的に働きたいと思う魅力的な会社であるために、従業員満足度の向上に取り組んでいきましょう。資料請求はこちら