モチベーションアップとはやる気を向上させる取り組みのことです。企業においては従業員のモチベーションが低いと、組織全体のパフォーマンスが落ちて企業価値が下がる恐れがあります。このような事態を避けるため、モチベーションアップに取り組むにはどのような方法があるのでしょうか?従業員のモチベーションアップのために企業ができることを紹介します。
モチベーションアップとは
モチベーションはやる気を意味しており、やる気を高めるための取り組みがモチベーションアップです。
従業員のモチベーションアップは、企業として達成を目指す具体的な目標を掲げて、少しずつその目標に近づく過程で、従業員が達成の充実感を味わうことにより行われます。
また従業員のモチベーションアップには、食事・睡眠・運動などにより生活を整えることも重要です。プライベートの時間を充実させることも、従業員のモチベーションアップにつながる取り組みといえます。
企業では従業員のモチベーションアップが重要
企業が成長と発展を目指すには、従業員のモチベーションアップが欠かせません。従業員のモチベーションが低いとどのようなことが起こるのでしょうか?従業員のモチベーションアップが重要な理由を解説します。
関連記事:社員のモチベーションが低いのはなぜ?|効果的な7つの対策をチェック
モチベーションが低いと仕事のパフォーマンスが落ちる
従業員のモチベーションが低いと、仕事のパフォーマンスが落ちます。自分で考え行動する自律的な仕事の仕方は期待できず、指示されたことのみ行うようになるでしょう。
仕事をスムーズに進めるために手順を工夫する、他の従業員とコミュニケーションを取り合って業務の無駄が発生しないようにする、といったことも行いません。結果として従業員1人のパフォーマンスだけでなく、チームワークがうまく働かなくなっていきます。
うまく機能しないチームがあると、他のチームにも悪い影響を与え始めることもあるでしょう。結果的に組織全体のパフォーマンスが落ちていき、職場の雰囲気も悪化させていきます。
モチベーションが低いと人材定着に悪影響が出る
モチベーションの低い従業員は、チーム・組織全体のパフォーマンス低下や職場の雰囲気の悪化を招きます。このような状況は決して働きやすいとはいえません。
「自分の能力を発揮して存分に働きたい」「希望のキャリア達成に向けてスキルを身につけたい」と仕事に打ち込んでいる人材ほど、パフォーマンスの低下した職場から魅力的な職場への転職を目指し始めます。
個々のモチベーションが低い状態が改善されなければ魅力的な職場にはならないため、転職を希望する従業員の離職を引き止めるのは難しいでしょう。
また従業員のモチベーションの低さは求職者に伝わります。やる気があり積極的に行動できる人材からは敬遠されるため、優秀な人材の採用が進みにくくなるでしょう。
モチベーションが低いと企業のイメージ低下につながる
従業員のモチベーションの低さは、顧客に対する対応に表れます。モチベーションの低さから勉強不足になりがちなため、扱う商品やサービスに関する知識が不十分なまま対応してしまい、信頼を損なう可能性もあるでしょう。
またソーシャルメディアを通して、モチベーションの低い従業員のネガティブな発言が拡散されることもあります。場合によっては企業イメージを著しく損なうこともあるでしょう。
企業イメージは1度低下するとなかなか戻るものではありません。今後の経営戦略にも影響を与える可能性があります。
従業員のモチベーションが下がる要因
従業員のモチベーションが低いなら、職場にモチベーションが下がる要因があると考えられます。職場環境の改善につなげられるよう、従業員のモチベーションが下がる要因をチェックしておきましょう。
仕事にやりがいを感じない
仕事へのやりがいは従業員のモチベーションを左右します。仕事に取り組んでいてもやりがいを感じないという従業員のモチベーションは下がりがちです。
やりがいが感じられないのは、企業が取り組んでいる事業の意義を従業員が十分に理解していないからかもしれません。何に役立っているか分からなければ「何のために働いているのだろう?」と疑問に思うのも当然です。
従業員が担当している仕事が、社会でどのように役立っているのか、具体的にイメージしやすいよう繰り返し説明することで仕事への意義を見出し、やりがいを感じられるようになる可能性があります。
関連記事:【社労士監修】企業が「働きがい」を高めるメリットとは?事例も紹介
業務と給与のバランスが悪い
やりがいは十分だとしても、給与が低すぎる場合には従業員のモチベーションは低下しがちです。業務の量や質に会う給与を支給することも、従業員のモチベーションアップには欠かせません。
同業他社の同様のポジションでは給与がいくらくらいなのか、相場を確認した上で必要に応じて賃上げを実施しましょう。
関連記事:【社労士監修】2024年版|中小企業賃上げ支援の6つの補助金・助成金を徹底比較
人事評価が不公平で正当に評価されない
努力をしても正当に評価されないことが続けば「次こそは!」と頑張る意欲が削がれていきます。徐々にモチベーションは低下していくでしょう。
従業員のモチベーションを高く保つには、誰が評価者であっても公平な評価となる人事制度が必要です。何がどのように評価につながるかを従業員にも公表すれば、従業員は評価される仕事に取り組めます。
企業の経営戦略に合致した努力を従業員がしやすくなるため、企業にも従業員にもプラスに働くでしょう。
関連記事:中堅社員のモチベーション低下の原因と対策|生産性向上のヒント
モチベーションアップの取り組みに必要な知識
企業が従業員のモチベーションアップに取り組むときには、基礎知識を押さえた上で具体的な取り組みの内容を決める必要があります。このとき重要になる基礎知識と心理学理論を見ていきましょう。
関連記事:「ワークエンゲージメント」と「モチベーション」の違いをわかりやすく解説!組織改善のヒント
モチベーションの基礎知識
モチベーションアップに取り組むときには、モチベーションについて知っておく必要があります。私たちが何かに取り組むときに、積極的に「やりたい」と感じる気持ちがモチベーションです。このモチベーションは発生の仕方によって2種類に分類できます。
モチベーションの種類 |
特徴 |
外発的動機付け |
給与・地位向上・制度の整備など外部の刺激により起こるモチベーション。即効性があるが長続きはしにくい。 |
内発的動機付け |
仕事そのものへの興味や成長意欲など従業員の内面から発生するモチベーション。即効性はないが長く続きやすい。 |
企業がモチベーションアップに取り組むときには、外発的動機づけと内発的動機付けの両方を意識したアプローチを実施しましょう。
モチベーションの理解に役立つ心理学理論
モチベーションアップの取り組みを実施するときには、4つの心理学理論が役立ちます。
心理学理論 |
特徴 |
マズローの5段階欲求説 |
・人間の欲求を「自己実現欲求」「尊厳欲求」「社会的欲求」「安全欲求」「生理的欲求」の5段階のピラミッド型と考える |
ハーズバーグの二要因理論 |
・モチベーションを高めるのが、達成・承認・仕事内容などの動機付け要因 |
マクレランドの欲求理論 |
・人が行動を起こすのは「達成欲求」「権力欲求」「親和欲求」「回避欲求」のいずれかによる |
期待理論 |
・合理的な人は努力が昇進や昇給として報われる状況でモチベーションが高まり、昇進や昇給のメリットがそれほど感じられないときにモチベーションが低下する |
例えば「ハーズバーグの二要因理論」を参考にすると、給与や福利厚生などの待遇のみを改善しただけではモチベーションアップの取り組みは不十分です。周りからの承認を得られる環境や仕事内容の整備といった動機付け要因とのバランスが取れていることが必要だと分かります。
従業員のモチベーションアップへ向けた取り組み
モチベーションの基礎知識や心理学理論を踏まえて、従業員のモチベーションアップにつながる具体的な取り組みについて解説します。
経営理念やビジョンを共有する
従業員が企業の一員として社会に役立っている実感を持つには、経営理念やビジョンの共有が欠かせません。従業員に経営理念やビジョンを共有するには、企業の目指す方向を明確にして、分かりやすく示す必要があります。
経営理念やビジョンは1度説明しただけで完全に理解されるものではありません。朝礼で説明する、オフィスに掲示する、従業員が携帯する手帳に記載するなどの方法で、常に目に触れるようにすると次第に理解が深まっていくでしょう。
企業が何を目指しているかを従業員が理解すれば、今取り組んでいる仕事の意義が分かるため「頑張ろう」という気持ちが起こりやすくなります。
関連記事:企業風土とは?生産性向上とモチベーションアップに寄与!どう醸成するか解説
公平な人事評価制度を整える
人事評価制度に納得感がないままでは、従業員のモチベーションは高まりません。頑張ればそれに見合う評価を受けられる仕組みが必要です。
この仕組みを実現するには、同じように取り組み成果を出した場合には、同様の評価を受けられる人事評価制度になっている必要があります。評価する人が違うと昇進や昇給への影響度合いも違う、といった状況があるなら改善が必要です。
従業員の適性に合う人員配置を行う
適正に合う人員配置を行えば、従業員は自分の能力を存分に発揮できます。成功体験を多く積めますし、その分「自分ならできる」という自信を育んでいけるでしょう。新しいことにも積極的にチャレンジしていくモチベーションを引き出せる可能性があります。
従業員の適性を見極めるには、日ごろの観察や面談が欠かせません。管理職の観察眼を養うことも必要です。
関連記事:人材戦略とは?4つの要素と立案に役立つフレームワークを解説
人材育成に取り組む
従業員の成長意欲を見出しモチベーションの向上につなげるには、研修制度や自己啓発支援制度など人材育成への取り組みが有効です。従業員の希望するキャリアにつながる研修を受けられるようにすることで、従業員の「企業のために頑張ろう」という気持ちを高められます。
人材育成の方法はさまざまです。OJTやOFF-JTに加えて、オンラインで受講できる講座などもあります。業務に関する資格試験合格を目指す勉強会を社内で実施するのもよいでしょう。
関連記事:中小企業における人材育成・人材定着の重要性と課題解決策
仕事とプライベートのバランスを取りやすい制度をつくる
モチベーションは仕事へのやりがいのみでは維持するのが難しいでしょう。食事・睡眠・運動・レジャーなどのプライベートの活動も、モチベーションアップにつながります。
仕事とプライベートのバランスを取りやすくするには、特別休暇制度やフレックスタイム制度・時短勤務制度などを導入するとよいでしょう。
制度をつくるだけでなく、実際に従業員が制度を使えるよう促すことも重要です。上司が率先して休暇を取得する、全員が休暇を取得できるよう呼びかけを行う、といったことも併せて行うと効果的です。
関連記事:【社労士監修】ワークライフバランスの取り組み事例を紹介。メリットや注目の理由も解説
職場の風通しを改善する
風通しが悪く、従業員同士のコミュニケーションが不十分な職場では、連帯感が育まれず従業員のモチベーションは低下しがちです。
コミュニケーションを活性化するには、ランチ会やレクリエーションなどを開催して、従業員同士が交流する機会を設けるとよいでしょう。社内SNSの導入や、オフィスへのコミュニケーションスペースの設置も有効です。
同時に心理的安全性も意識しましょう。心理的安全性とは、従業員が「怒られるかも」「ばかにされるかも」などの不安を抱くことなく、発言したり能力を発揮したりできる状態をいいます。不安なくコミュニケーションが取れるため、より活発な意見交換が交わされるようになるでしょう。
関連記事:【社労士監修】離職防止につながるコミュニケーションのコツと心理的安全性
福利厚生を充実させる
従業員のモチベーション向上には、魅力的な福利厚生制度の整備も欠かせません。福利厚生によって働きやすい環境づくりが行われれば、モチベーションの向上に直結します。
導入する福利厚生を決めるときには、ランキングを参考にしつつ従業員の意見を取り入れるとよいでしょう。
例えばスターツコーポレートサービスによる「福利厚生に関する意識調査」で、現役で働いている人を対象に、新入社員に戻ったときにどの福利厚生を1番重要だと思うかを調査した結果は以下の通りです。
順位 |
1番重要な福利厚生 |
回答数 |
1 |
寮・社宅、住宅手当などの家賃補助 |
468 |
2 |
特別休暇 |
419 |
3 |
財産形成支援 |
267 |
4 |
育児・介護支援 |
227 |
5 |
社員食堂 |
221 |
6 |
自己啓発支援 |
191 |
7 |
カフェテリアプラン |
162 |
8 |
社員旅行・レクリエーション |
62 |
上位は家賃補助、特別休暇、財産経営支援、育児・介護支援、社員食堂と続きます。この中から自社に合う制度をピックアップして、従業員を対象に導入してほしい福利厚生のアンケートを行ってもよいでしょう。
参考:PR TIMES|現役社員が選ぶ、一番重要な福利厚生は…「寮・社宅、住宅手当などの家賃補助」|スターツコーポレートサービスが福利厚生に関する意識調査を実施
福利厚生によるモチベーションアップには「チケットレストラン」がおすすめ
従業員のモチベーションアップには福利厚生の充実度アップが役立ちます。中でもおすすめの福利厚生は、エデンレッドジャパンが提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」です。おすすめポイントをチェックしていきましょう。
従業員のランチ代をサポートできる
2024年春闘では歴史的な賃上げ率となりましたが、物価高の影響により実質賃金は減少しています。
エデンレッドジャパンの行った「ビジネスパーソンのランチ実態調査2024」によると、約80%のビジネスパーソンが「家計が苦しい」と回答しています。
加えて節約のためにランチ代を2023年より減らしている人は3人に1人、ランチを欠食することがある人は4人に1人です。ランチを欠食する人への調査では、欠食によりやる気の低下やイライラなどにより、仕事のパフォーマンス低下を実感している人が53.7%です。
食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」で企業がランチ代をサポートすれば、従業員は過度な節約によりランチの質を下げる必要がなくなります。バランスのよい食事をとりやすくなり、健康経営にも取り組める福利厚生です。
関連記事:歴史的賃上げでも…8割以上が「お小遣いが増えていない」!「ビジネスパーソンのランチ実態調査2024」
従業員が手取り額アップを実感しやすくなる
食事補助は一定の要件を満たすと、非課税枠を活用できるため、従業員へ同額の賃上げを行ったときよりも、手取り額アップを実感しやすくなるのが特徴です。
食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を活用すれば、導入するだけで非課税要件を満たした食事補助を従業員に支給できます。
導入や運営の手間やコストを最小限に抑えつつ、従業員の待遇改善に役立てられるサービスです。
関連記事:パート・アルバイト・契約社員 にも「第3の賃上げ」を!ラウンドテーブルを開催~“年収の壁”を抱える非正規雇用にも、福利厚生で実質手取りアップを実現~
対象の従業員が公平に利用できる
全国にある25万店舗以上の加盟店で利用できる食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、対象の従業員が公平に利用できるのもポイントです。
例えば社員食堂は、昼食のタイミングにオフィスにいる従業員しか利用できません。一方、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」であれば、テレワークで働く従業員も、常駐先で働く従業員も、毎日異なる現場で働く従業員も利用できます。
全国に拠点がある企業が導入する食事補助としても使い勝手がよいでしょう。
「チケットレストラン」がモチベーションアップにつながった日本生活協同組合連合会の導入事例
<企業概要>
事業内容:会員生協への商品供給などに関わる事業、生協の全国組織としての取り組み、会員生協への支援の取り組み
従業員数:1,447名 ※2022年度末時点
URL:https://jccu.coop/
日本生活協同組合連合会では、全国各地の拠点で働く従業員が利用できる食事補助の仕組みを探していたことから、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入しました。
導入前はコロナ禍とも相まって食事場所が限られていましたが、「チケットレストラン」によって昼食の調達方法の自由度が高まりました。食事補助で昼食を購入できることから、野菜を豊富にとれる健康を意識した食事を選ぶ人も増えているそうです。
以前より食生活が豊かになり、満足度が上がった結果、職員のモチベーション向上にもつながっています。
詳細な導入事例はこちら:日本生活協同組合連合会
モチベーションアップには「チケットレストラン」の検討を
企業が経営戦略を達成し成長・拡大を目指すには、従業員のモチベーションアップが欠かせません。モチベーションアップに取り組むには、モチベーションの基礎知識や心理学理論を確認した上で、具体的な取り組みを検討しましょう。
経営理念やビジョンの共有、公平な人事評価制度の整備などの他に、福利厚生の充実度アップもモチベーションアップに役立ちます。
中でも食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」であれば、従業員の食生活改善や手取り額アップを行いつつ、モチベーションアップが可能です。モチベーションアップに福利厚生を活用するなら、検討してみてはいかがでしょうか。