女性が働きやすい職場環境はなぜ重要か
なぜ女性が働きやすいかどうかが問われるのか、統計も交えて解説していきます。
就業継続率と職場環境の関係
厚生労働省の「第一子出産前後の妻の継続就業率・育児休業利用状況」（※）によると、女性の就業継続率は職場環境と密接な関係があることが明らかになっています。調査では、出産前の有職者を100とした場合、出産後の女性の就業継続率は69.5%でした。
出典：厚生労働省｜第一子出産前後の妻の継続就業率・育児休業利用状況
育児休業制度や短時間勤務制度などの両立支援制度が整備されているケースが多い正規職員の場合、この率が大幅に向上することが分かっており、83.4％です。一方、パート・派遣従業員の場合、40.3％となりました。
出典：厚生労働省｜第一子出産前後の妻の継続就業率・育児休業利用状況
育児休業制度を利用しやすい環境が整っている企業では、出産後も仕事を継続する女性の割合が80%を超えるケースもあります。これは、制度の有無だけでなく、利用しやすい雰囲気や上司の理解など、職場全体の環境が大きく影響していることを示しています。女性が出産後も働き続けられる職場環境を整備することは、女性活躍推進における重要な取り組みと言えるでしょう。
（※）国立社会保険保証・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査（夫婦調査）（2021年）」を元に今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会にて作成したもの
働きやすい環境整備の効果
出産や育児など、ライフステージが変わっても働き続けやすいなど「女性が働きやすい職場環境」を整備することにより、具体的に以下のような効果が期待できます。
- 女性従業員の定着率向上
- 優秀な人材の確保
- 多様な視点による企業競争力の強化
- 企業イメージの向上
とくに、女性従業員の定着率向上は、長期的な視点で見たときに企業にとって大きなメリットがあります。育成にコストをかけた人材が途中で退職してしまうことは、企業にとって痛手です。女性が長く働き続けられる環境があることで、若手女性従業員のロールモデルが生まれ、さらなる女性活躍の好循環を生み出しやすくなります。
女性が働きやすい職場4つの特徴
女性にとって魅力的な職場環境にはいくつかの共通した特徴があり、特徴を理解することで、企業は自社の現状を評価し、改善すべき点を明確にできます。ここでは、女性が働きやすいと感じる職場の主な特徴を解説します。
1.ワークライフバランスを重視した制度がある
ワークライフバランスの取りやすさは、女性が働き続ける上で非常に重要な要素です。育児や介護などによる休暇制度の導入はその代表例です。ほかにも、法定を上回る期間の育児休業制度を設けたり、時間単位で取得可能な有給休暇制度を導入したりする企業も増えています。子の突然の発熱や体調不良で休める制度があれば、乳幼児期の子育てと仕事との両立がしやすいでしょう。残業時間の上限を厳格に設定・管理し、効率的な働き方を推進する取り組みなども広がっています。
参考：厚生労働省｜育児休業特設サイト「育児休業の基本」
2.キャリア支援制度が充実している
女性従業員のキャリア形成を支援する制度も、働きやすさにつながる重要な要素です。たとえば、女性従業員向けのリーダーシップ研修や、外部講師を招いてのキャリアデザインセミナーなどがあると、女性のキャリアを促しやすいでしょう。管理職登用において明確な数値目標を設定し、計画的に女性管理職を育成する動きで女性活躍を支援する企業も増えています。
3.多様性を尊重する企業文化がある
多様性を尊重する企業文化は、女性だけでなく、企業で活躍する全従業員の働きやすい環境づくりにつながります。近年注目されている、ダイバーシティやインクルージョン推進部署の設置などで、多様性を容認する動きも見られるようになりました。
管理職を対象としたアンコンシャスバイアス（無意識の偏見）研修を定期的に実施し、公平な評価や登用を促進する取り組みにも注目してみましょう。日本労働組合総連合（連合）では、2020年6月〜11月にかけて「アンコンシャス・バイアス（無意識の思い込み、偏見）診断」を Google アンケートで実施しています。過去最多の5万人が回答するなど、誰もが多様性を認め、互いに支え合う職場や社会を目指す動きへの関心の高さが浮き彫りになりました。なお、アンケート結果では1人あたり平均4件のアンコンシャスバイアスが認識されており、多様性を尊重することの難しさを象徴していると考えられます。
出典：日本労働組合総連合会｜アンコンシャス・バイアス（無意識の思い込み、偏見）診断
4.柔軟な働き方ができる
多様なライフスタイルに対応できる柔軟な働き方の導入も、働きやすい職場に欠かせません。「フレックスタイム制度」「テレワーク・在宅勤務制度」「ジョブシェアリングの導入」などを前提として従業員を採用する企業も増えています。
参考記事：女性が働きやすい会社ランキング上位10選 東洋経済｜活躍・育児介護と両立・働き方を評価
女性の働きやすい職場づくりに効果的な制度や取り組み
ここでは、女性が働きやすい職場を実現するための具体的な制度や取り組みについて、詳しく解説します。制度の拡充、環境の整備、福利厚生の導入などについて解説します。
1.育児・介護支援制度の拡充
ライフステージに左右されず、就業を継続するために求められるのが育児や介護と仕事の両立を支援する制度です。次のような制度の有無は、女性の就業継続に大きな影響を与えます。
- 法定を上回る育児・介護休業制度
- 短時間勤務制度の柔軟な運用
- 企業内保育施設の設置
- 育児・介護サービス利用料の補助
子どもが3歳になるまで利用可能な短時間勤務制度があったり、育児休業からの段階的な復帰を支援するための時短勤務制度があったりすることで、「復職後に育児と両立できるか」という不安の種を解消できます。
令和6年5月に「育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法」が改正されることを受けた動きも求められます。令和7年4月1日より段階的に法令が施行されるまでに、柔軟な働き方の実現のため、さらなるきめ細かな制度設計に取り組む企業も増える見込みです。なお、法改正が決定される以前から、企業内保育所を設置したり、ベビーシッターサービスの利用料を補助したりする取り組みは広がりつつあります。
出典：厚生労働省｜育児・介護休業法について
2.フレックスタイム制度の導入
フレックスタイム制度は、従業員が自身のライフスタイルに合わせて働く時間を調整できる制度です。最近では、1日のうち必ず勤務しなければならない時間帯（コアタイム）を設けず、より柔軟な時間管理を可能にするスーパーフレックス制を導入し、働き方改革を進める事例も増えています。また、1か月単位で労働時間を調整できる変形労働時間制を採用し、繁忙期と閑散期のワークライフバランスの調整を図る取り組みも見られます。
3.テレワーク・在宅勤務制度の導入
テレワークや在宅勤務制度の導入は、女性の働きやすさを向上させます。通勤時間を削減し、より柔軟に時間を活用できるようになるためです。育児や介護との両立に悩む女性にとって、制度があることは、仕事継続の強力な後押しとなりえます。
効率的な業務遂行のため、多くの企業がクラウドベースの管理ツールを採用しています。結果として、女性従業員が自宅などから業務に参加できるようになり、リアルタイムでの情報共有や進捗管理が可能となりました。さらに、新型コロナウイルス感染症の流行を機に、オンライン会議システムの利用が急速に普及しました。妊娠中や子育て中の女性従業員も、自宅などから会議に参加できる環境を提供し、キャリア継続を支援できます。
4.メンターの設置
メンター制度は、経験豊富な女性従業員が若手をサポートする仕組みです。女性管理職がメンターとなれば、身近なロールモデルとなり、若手の具体的なキャリアプラン形成を助けます。業務課題の解決だけでなく、育児経験者から妊娠・育児と仕事の両立についての実践的アドバイスも得られる貴重な機会です。これにより、女性従業員の長期的キャリア形成と職場での活躍を促進し、女性が働きやすい環境づくりに貢献します。
5.職場設備の改善
物理的な職場環境の改善も、女性が働きやすい職場づくりのための重要な要素です。ここでは、具体的な設備改善の例も含めて見ていきましょう。
女性用休憩スペースの設置
女性が快適に過ごせる専用の休憩スペースの設置に取り組む企業が増えています。女性への配慮から、ゆったりとしたソファやマッサージチェアを配置し、リラックスできる雰囲気を整える動きも見られます。
女性特有の健康問題に配慮した設備の拡充も有効です。たとえば、専用の医務室の設置などへの取り組みにより、女性従業員の心身のリフレッシュを促進することで、働く意欲と生産性の向上につながります。
男性社会の色合いが濃い建設業界でも、女性がくつろげる空間を実現した事例があるようです。株式会社竹中工務店 東京本店 新宮下公園等整備事業新築工事作業所では、女性専用のスペースを設置し、女性従業員のリフレッシュを促しています。
出典：厚生労働省｜あんぜんプロジェクト 令和元年度「見える」安全活動コンクール 参考資料
授乳室・搾乳室の整備
育児中の女性従業員が働きやすい職場づくりのために、授乳室・搾乳室の整備をする方法もあります。厚生労働省でも、職場に「搾乳室」を設置することを呼びかけるリーフレットを作成し、安心して復職できる環境づくりの取り組みとして授乳室の設置を推奨しています。
授乳期のトラブルは、女性特有の問題です。プライバシーに配慮した清潔な個室を設置し、搾乳器の貸出やミルク用冷蔵庫を備えることで、育児中の女性従業員が安心して仕事を続けられる環境を準備できます。
出典：厚生労働省｜事業主の皆さまへ 職場に「搾乳室」を作りましょう！（リーフレット）
バリアフリー化の推進
バリアフリー化は、妊娠中の女性従業員や、障がいのある従業員にとっても喜ばれる取り組みです。段差を解消したり、手すりを設置したりするなど、安全で移動しやすい職場環境が実現します。
10月10日は「転倒予防の日」ということもあり、厚生労働省より職場での転倒予防への取り組みも呼びかけられています。職場での転倒災害は令和2年で30,929件（休業4日以上）と労働災害の中で最も多く、とくに50代以上の女性で多く発生することが課題です。妊娠中の女性だけでなく、50代60代の従業員の活躍のためにも、安心して働ける職場環境つくりが重要です。
出典：厚生労働省｜10月10日は「転倒予防の日」、職場での転倒予防に取り組みましょう！
6.厚生労働省の取り組みや支援の活用
厚生労働省は、女性活躍推進法の制定をはじめ、企業の取り組みを支援するさまざまな施策を行っています。制度の認定や助成金の活用により、結果として女性が働きやすい職場づくりが実現します。積極的に活用していきましょう。
えるぼし認定制度
厚生労働省が推進する「えるぼし認定制度」は、女性活躍推進に優れた企業を評価・認定する制度です。認定レベルは3段階で、最高位の「プラチナえるぼし」を含め、企業の取り組み状況に応じて認定されます。えるぼし認定を取得すると、企業は女性活躍推進への取り組みを対外的にアピールでき、さらに公共調達における加点評価といったメリットが得られます。企業の女性活躍推進を可視化でき、社会的評価を高めるのに有効です。
出典：厚生労働省｜女性活躍推進法特集ページ（えるぼし認定・プラチナえるぼし認定）
参考記事：えるぼし認定とは？認定企業となるメリットや申請手順を確認
くるみん認定制度
「くるみん認定」は、子育て支援に積極的な企業を評価する厚生労働省の制度です。次世代育成支援対策推進法に基づいて行動計画を立て、目標を達成し、一定の基準を満たした企業が「子育てサポート企業」として認定されます。
認定レベルは3段階あり、ベースとなる認定の「くるみん」、より高い水準の「プラチナくるみん」、そして最も認定が受けやすい「トライくるみん」の3種類です。認定企業は、それぞれのマークを使用する権利を得られ、商品や広告などに表示できます。
認定マークは、企業が従業員の子育て支援に熱心であることを示すシンボルです。求職者や企業に対して子育て支援に積極的な姿勢をアピールする効果があります。くるみん認定は、企業の社会的評価を高め、優秀な人材の確保にも役立つ制度です。
出典：厚生労働省｜くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて
両立支援等助成金
厚生労働省による「両立支援等助成金」は、従業員の仕事と家庭生活の両立を支援する企業を経済的に支援する制度です。いくつかの助成金があり、出産後の両親の育児参加を促す「出生時両立支援コース」や、介護を理由とした離職を防ぐ「介護離職防止支援コース」など、多様なプログラムが用意されています。
企業がこれらの両立支援制度を導入・運用する際には、経済的な負担もあるものです。両立支援等助成金は、企業の負担を軽減し、より多くの企業が積極的に両立支援に取り組めるよう後押しします。
出典：厚生労働省｜両立支援等助成金（令和6年度）
7.食事補助制度の活用
福利厚生の食事補助は、女性が働きやすい職場環境づくりに大きく貢献します。健康管理のサポート、ワークライフバランスの向上、コミュニケーションの促進など、総合的に女性の働きやすさ向上にプラスとなるためです。
妊娠中や子育て中の女性従業員にとって、栄養バランスの取れた食事の提供や食事代の補助は重要な支援となります。在宅勤務や時短勤務など多様な働き方に対応できる柔軟な制度設計にすることで、多くの女性従業員が実際にサービスを利用できるようになるでしょう。食事補助制度は、女性の活躍推進を促し、企業の競争力向上にも直結する施策と言えます。
女性従業員に配慮した福利厚生の新しい形「チケットレストラン」
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、多様な働き方や女性特有のニーズに応える柔軟性を持つ食事補助の福利厚生サービスです。導入企業からは「女性が活躍する職場で喜ばれている」という声も寄せられています。ここでは、「チケットレストラン」の概要や、女性に喜ばれる理由を紹介します。
チケットレストランとは
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、「食事代が実質半額になる」ことで人気の食事補助の福利厚生サービスです。サービス導入により、従業員は全国約25万店舗以上の飲食店やコンビニで実質半額で食事を楽しむことができます。働き方改革、魅力的な職場づくり、従業員満足度向上などに活用できることで注目されており、導入実績は2,000社以上、利用者15万人、利用率98％、継続率99％を誇る人気の食事補助の福利厚生サービスです。
チケットレストランが魅力的な職場づくりを支援できる5つの理由
「チケットレストラン」は、女性従業員のニーズに応えつつ、企業の経営効率も高められる食事補助の福利厚生サービスです。どのような点が女性にとって魅力的な職場づくりに効果的なのかを見ていきましょう。
1.多様な働き方に対応する柔軟性
在宅勤務や時短勤務など、勤務形態が異なる従業員が公平に利用できます。働き方が変わっても、全国に加盟店があるメリットを活かし、引き続き利用することが可能です。ワークライフバランスを重視する女性従業員のニーズに柔軟に対応できます。
2.食事補助の非課税枠を活用し実質手取りの増加
食事補助の非課税枠を活用しているため、従業員は一定の利用条件下であれば課税対象になりません。また、企業においては負担分を福利厚生費として経費計上できるため、税制面でもメリットがあります。
3.健康的な食生活のサポート
全国25万店舗以上の飲食店、コンビニ、 Uber Eats で利用可能なため、栄養バランスの取れた食事やアレルギー対応の料理を従業員の好み、体質に合わせて選択できます。妊娠中や子育て中の女性従業員の場合、避けたい食材、摂取したい食材があるかもしれません。そのような個別性の高いニーズも満たします。
4.簡単な導入と運用
企業にとって、最短2週間で導入可能な手軽さが魅力です。ICカード配布後は月1回のチャージのみで運用できるため、人事や総務部門の担当者の負担もほとんど増えません。
5.コスト効果と従業員満足度の両立
インフレ手当や賃上げの代替としても活用できるため、企業のコストに対する効果が高く、従業員の満足度向上につながります。とくに「食事代が実質半額になる」点は、節約した食事代を家計に回せるなど、ワークライフバランス向上にも寄与すると喜ばれています。
「チケットレストラン」の導入事例を紹介
「チケットレストラン」の導入で、より女性が働きやすい職場を実現できます。ここでは、パート従業員が多いという企業の特徴と「チケットレストラン」がマッチした好事例を紹介します。
全従業員が女性という「株式会社サニクロ」の導入事例
山梨県都留市の部品検査会社、株式会社サニクロは、女性従業員のみの職場で「チケットレストラン」を導入し、大きな成果を上げています。導入の主な目的は「給与に影響しない形での従業員還元」、「求人での差別化」、そして「従業員の健康サポート」でした。株式会社サニクロの場合、パート従業員が多く活躍していることもあり「給与に影響しない形での従業員還元」ができる点は、とくに「チケットレストラン」の魅力的な要素となったそうです。
導入後、従業員間のコミュニケーションが活性化し、企業へのエンゲージメントが向上しています。近隣の加盟店情報や、購入した商品の情報交換により、従業員同士の会話の機会は自然と増えました。市街地から離れた立地にもかかわらず、コンビニでも利用できる点も好評です。また、「チケットレストラン」は、食事だけでなく、飲み物やおやつにも使えるため、実用性の高さも評価されました。
食事代が実質半額になることは、家計の負担軽減と、健康的な食生活のサポートにつながります。企業としても、魅力的な福利厚生としてパート従業員求人時のアピールポイントに活用できる点に期待を込めています。「チケットレストラン」の導入により、従業員の満足度向上と企業価値の向上を同時に実現できました。
株式会社サニクロの事例は、「チケットレストラン」がパート従業員などを多く雇用する職場にフィットするサービスであることを示すものです。食を通じた健康サポートと良好な従業員関係の構築を同時に実現できる「チケットレストラン」は、女性が働きやすい職場づくりの一助になる福利厚生と言えるでしょう。
参考：https://r.goope.jp/saniclo/
導入事例：導入事例：株式会社サニクロ
働きやすい職場づくりで女性活躍を推進
女性が働きやすい職場づくりは、企業の持続的な成長と社会の発展において、欠かせません。フレックスタイムや時短勤務など制度の導入だけでなく、女性管理職の比率向上などの企業文化の醸成や継続的な改善が重要となります。人口減少による労働力不足が叫ばれる中、一人ひとりが活躍できる環境づくりに、今後も注目が集まるでしょう。
女性が働きやすい職場環境づくりを目指す企業にとって、「チケットレストラン」の導入は魅力的な選択肢の一つです。従業員の健康増進、満足度も高められ、結果として企業の競争力向上を目指せる「チケットレストラン」をぜひ導入してみませんか。
