日本経済は現在、長期にわたる物価上昇局面に直面しています。多くの国民が「なぜ物価が高くなるのか」「値上げラッシュはいつまで続くのか」といった疑問を抱えている状況です。
本記事では、物価高騰の原因を分析し、2024年以降の物価動向の意見を確認します。最新のデータと専門家の見解を基に今後の経済の展望の参考としてください。
物価高騰の現状
まず、日本の物価高騰の現状から見ていきましょう。2020年基準「消費者物価指数 全国 2024年9月分」によると、以下のとおり3つすべての指数で上昇(基準として2020年を100とする)しています。
- 総合指数:108.9(前年同月比は2.5%の上昇)
- 生鮮食品を除く総合指数:108.2(前年同月比は2.4%の上昇)
- 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数:は107.5(前年同月比は2.1%の上昇)
とくに、食料(119.0)や光熱・水道(110.5)が主な要因となり、総合指数を押し上げています。
出典:総務省|2020年基準 消 費 者 物価指数 全国 2024年(令和6年)9月分
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物価高騰が家計に与える影響
物価高騰は家計に広範囲の影響を及ぼします。総務省の「家計調査報告(2024年8月分)」によると、2人以上の世帯の消費支出は1世帯あたり297,487円です。前年同月比は実質1.9%の減少であり、2か月ぶりの実質減少となりました。
消費支出について、主な増加項目(対前年同月増減)は、外食(10.1%増)、交際費(15.2%増)、穀類(14.9%増)です。穀類の中でも、米(34.5%増)の支出は大きいです。
主な減少項目は、自動車購入などの自動車等関係費(23.2%減)、旅行などの教養娯楽サービス(7%減)となっています。
現在の物価高騰の影響は、とくに基本的な生活必需品において顕著です。穀類でもとくに米の価格上昇が家計を直撃しています。生活必需品の値上がりにより、多くの世帯が消費を抑制せざるを得ない状況に陥っており、自動車購入や旅行などの大型支出や娯楽費が減少しました。
出典:総務省|家 計 調 査 報 告-2024年(令和6年)8月分-
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物価が高騰する要因
物価高騰にはいくつかの要因があります。それぞれの要因は、国内の経済状況だけでなく、国際的な出来事や長期的な経済トレンドとも関連しています。ここからは現在の物価高騰に影響を与えている主な要因について見ていきましょう。
1.需要と供給のアンバランス
需要が供給を上回ると、企業は価格を引き上げて需給バランスを調整しようとします。これが物価上昇の要因の一つです。企業の業績が良くなることは、多くの場合、製品やサービスへの需要が増加していることを意味します。需要が増加すると、企業は価格を引き上げても売上が維持できるため、価格を上昇させる傾向があります。
日本銀行の「全国企業短期経済観測調査」(短観)を見てみましょう。「よい」から「悪い」を%ポイントで引いた数値である企業の業績判断の結果が、この1年間で緩やかによくなっています。大企業は17から23へ、中堅企業は12から16へ、中小企業は5から8へとポイントが上昇しました。
企業規模 | 2024年9月 | 2024年6月 | 2024年3月 | 2023年12月 | 2023年9月 |
大企業 | 23 | 22 | 22 | 21 | 17 |
中堅企業 | 16 | 16 | 14 | 14 | 12 |
中小企業 | 8 | 7 | 7 | 9 | 5 |
出典:短観(概要)2024年9月、短観(概要)2024年6月、短観(概要)2024年3月、短観(概要)2023年9月
2.原材料費の上昇
原材料費が上昇すれば、モノやサービスの価格が上がります。日本銀行の「企業物価指数」(2024年9月速報)によると、2020年の平均と比較した場合において、2021年〜2024年の輸入物価指数が高い傾向であることが顕著です。原油や穀物などの輸入している原材料の価格が上昇すると、企業はコスト増を価格に転嫁せざるを得なくなり、結果として物価が上昇します。
出典:日本銀行調査統計局|企業物価指数(2024年9月速報)
ロシアのウクライナ侵攻
原材料費の高騰に関連するのがロシアのウクライナ侵攻であり、これが世界のエネルギー市場と食糧市場に甚大な影響を与えたため、世界的な物価上昇の要因となっています。
ロシアとウクライナは、小麦、大麦、トウモロコシなどの主要な穀物輸出国です。戦争により両国の穀物生産と輸出が大幅に減少し、世界的な穀物の価格が高騰しました。この影響は、パンや麺類などの穀物を原料とする食品の価格上昇につながっています。さらに、穀物は家畜の飼料としても使用されるため、肉や乳製品の価格にも影響を与えます。
エネルギー価格の高騰
ロシアは世界有数の原油と天然ガスの産出国でもあります。経済制裁の影響で、エネルギー供給が不安定となり、原油や天然ガスの国際価格が急騰しました。その結果、ガソリン、電気、暖房費など、消費者が直接負担するエネルギーコストが上昇しています。エネルギーコストが増大することで、企業の生産コストも上昇し、さまざまなモノやサービスの価格に転嫁されます。
3.為替レートの変動(円安)
三菱UFJ銀行によると、もっとも大きな山と谷として2020年12月に103.24だった米ドル(終値)為替レートは、2024年6月には160.86となるなど、円安傾向が見られます。円安が進行すると、輸入品の価格が上昇し、国内の物価を押し上げる要因となります。
出典:MUFG|外国為替相場チャート表
4.賃金上昇
2024春闘では記録的な数値が話題となったように、賃金の上昇が実施されつつあります。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」(令和6年8月分結果速報)によると、2024年8月の現金給与総額(名目)は前年同月比3.0%増加しており、32か月連続プラスとなりました。
賃金が上昇すると、企業のコストが増加し、それがサービスやモノの価格に反映されることで物価が上昇します。
出典:厚生労働省|毎月勤労統計調査 令和6年8月分結果速報を公表します
物価高騰はいつまで?2024年以降の物価情勢の展望
日本銀行の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)は、今後の物価高騰がいつまで続くかを考える上で重要な資料です。展望レポートは、年4回(通常1月、4月、7月、10月)公表される重要な経済政策文書であり、政策委員会・金融政策決定会合で決定され、以下の内容を含みます。
- 先行きの経済・物価見通し
- 上振れ・下振れ要因の分析
- 金融政策運営の考え方
このように展望レポートは日本経済の将来動向を予測し、金融政策の方向性を示唆する役割を果たします。ここでは、2024年以降の物価情勢の展望を同レポートに沿って確認していきましょう。
2024年度:2%台半ばの物価上昇率と予測
2024年度は、消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率が2%台半ばになると予想されています。これは、現在の経済状況から見て比較的高い水準と言えるでしょう。
2025年度および2026年度:安定化へ向かう物価と予測
2025年度と2026年度に入ると、消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率は概ね2%程度で推移すると予測されています。
輸入物による物価上昇の価格転嫁の影響が落ち着く一方で、2025年にかけて政府によるガソリン・電気・ガス代の負担緩和策の実施で押し下げられていた消費者物価が前年比を押し上げる方向に作用するとの見解が示されました。
消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比は、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が徐々に少なくなり、伸び率が低下したあと、2%程度で推移していくと予測されています。
出典:日本銀行|経済・物価情勢の展望(2024年7月)
出典:日本銀行|経済・物価情勢の展望(2024年7月)
物価高騰下で課題となるのは賃金の上昇
日本銀行の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)では、2025年以降も2%程度で消費者物価指数が推移するとの見解が示されています。物価の上昇の勢いは弱まると考えられますが、物価が上がった分の賃金が増えなければ、消費者の生活は苦しくなるばかりです。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」では、現金給与総額指数を消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で除して算出している実質賃金が確認できます。2024年8月の速報では、実質賃金が3か月ぶりにマイナスとなっており、生活が苦しい状況が反映されました。また、実質賃金の動きを見ると、賃金が物価上昇に追いつかない形が続いていることがわかります。
出典:厚生労働省|毎月勤労統計調査 令和6年8月分結果速報
企業の対応策は賃上げや福利厚生の拡充による従業員支援
物価上昇が続く中、従業員の生活をサポートする方法を模索している企業も多いでしょう。その際、賃上げは直接的な解決策ですが、すべての企業が実施できるわけではありません。
連合は、2025年春闘の賃上げ要求を「5%以上にする」と現時点では固めているそうですが、中小企業の労働組合に対しては「6%以上」という高い要求をすることで格差是正を図るようです。物価高騰が続いているため、2025年春闘でも2024年と同水準の高い賃上げが求められるでしょう。
一方、2023年12月東京商工リサーチの「賃上げに関するアンケート調査」によると、2024年の賃上げでさえ「2023年を超えそう」と回答した企業はわずか1割にとどまりました。「賃上げできそうにない」という回答は、中小企業(17.9%)、大企業(9.2%)となり、中小企業は大企業の約2倍という厳しい状況が考えられます。
このような状況下で注目されているのが、福利厚生の拡充です。福利厚生の拡充は、直接的な賃上げが難しい企業にとって、従業員をサポートする有効な手段となります。
物価高騰下の福利厚生拡充に「チケットレストラン」
エデンレッドジャパンが提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、物価高騰が続く今、企業にも従業員にも嬉しいメリットが豊富です。
- 税制上の優遇
- 小規模での導入可能
- エンゲージメント向上
- 採用力アップ
「チケットレストラン」は、一定の条件下で食事補助の非課税枠を活用できるため、福利厚生費として扱えます。従業員は、食事補助代について所得税の負担が増えず、実質手取りを増やせます。福利厚生費として経費扱いとなることから、企業の税負担も抑えることが可能です。
「チケットレストラン」は企業規模を問いません。少額からでも負担の少ない形で始められるため、多くの企業にとって取り入れやすいでしょう。
毎日使える「チケットレストラン」は、従業員のエンゲージメント向上にも貢献します。企業からの具体的な支援として従業員に強く認識されるため、従業員が満足するのです。
魅力的な食の福利厚生は求人でも注目を集めやすく、新たな人材の確保や既存の従業員の定着率向上にも効果が期待できます。
出典:東京商工リサーチ|~ 2023年12月「賃上げに関するアンケート」調査 ~
「チケットレストラン」の概要
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、全国25万店以上の加盟店で利用可能な食事補助の福利厚生サービスです。リモートワークや地方勤務、不規則な勤務時間の従業員にも同じように食事補助が提供できるという特徴があります。
多様な働き方に対応可能な理由は、全国にあるコンビニで利用でき、ランチのみならず、朝食や夕食・休憩時のおやつなども購入対象になるためです。自社で食堂を用意したり、専用の冷凍庫を設置したりするスペースは必要ありません。勤務前のカフェや Uber Eats での注文が可能な「チケットレストラン」は、スペースを気にせず気軽にスタートできます。導入実績3,000社以上、導入後の継続率99%、利用率98%、従業員満足度93%と高い実績と効果が報告されています。
物価高騰が続く今こそ従業員へのサポートを
日本の物価高騰は、需給バランスの崩れ、原材料費の上昇、円安、賃金上昇など、複数の要因によって生じています。
日本銀行によると、2024年以降も物価上昇傾向は続くと予想されますが、そのペースは徐々に鈍化していくとの見解が示されています。しかし、世界経済の動向やエネルギー価格の変動などの影響で不確実です。
食品価格については、原材料費や人件費の上昇を背景に、他のカテゴリーよりも長期的な上昇傾向が続く可能性があります。食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入すると、一定の利用条件下で従業員はランチを半額で食べることが可能です。物価高騰が続く今、食事補助の福利厚生という形で従業員をサポートしませんか。