深刻な人手不足に悩む企業が増えるなか、従業員満足度(ES)の重要性が高まっています。従業員から愛され、新たな人材の獲得や定着も容易な企業であるために求められる施策とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
本記事では、従業員満足度の詳細や重要性・高めるための方法など、従業員満足度にまつわる情報を分かりやすく網羅しています。従業員満足度が高く、安定した経営を続ける企業づくりの参考にしてください。
従業員満足度の概要
「従業員満足度」とは、職場環境・待遇・仕事内容などに対し、従業員一人ひとりがどれだけ満足しているかを測る指標のことです。英語表現の「Employee Satisfaction」を略して「ES」とも呼ばれます。まずは、従業員満足度が重要視される理由や確かめ方など、従業員満足度の概要から確認していきましょう。
業員満足度が重要視される理由
従業員満足度は、経営上の指標として、近年急速に認知度を高めている概念です。
従来、経営上の指標として重視されてきたのは、主に「顧客満足度(=Customer Satisfaction=CS)」でした。これは、商品やサービスに対して顧客が感じる満足度が高ければ、より多くの商品やサービスが売れる=より多くの利益につながるとの考え方によるものです。
しかし近年「企業の利益向上には、顧客満足度とともに従業員満足度の向上が欠かせない」との考え方が一般的なものとなりつつあります。
例えば、厚生労働省が公表した「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業報告書」によると、従業員満足度・顧客満足度をともに重視した企業の売上高が、10年前に比べて57.1%増加しているのに対し、顧客満足度のみを重視した企業では48.2%に留まりました。
過去5年間の人材確保状況についても同様で、従業員満足度・顧客満足度をともに重視した企業では、『量(人数)質ともに確保できている』と回答した割合が25.7%だったのに対し、顧客満足度のみ重視した企業は21.6%に留まっています。
この調査結果は、従業員満足度と顧客満足度をともに重視する企業の方が、そうでない企業に比べて業績や雇用状況が良好な状態にあることを示すものです。つまり、企業の維持・発展において、従業員満足度が果たす役割の大きさが明らかになったのです。
従業員エンゲージメントとの違い
従業員満足度と並んで言及されることの多い指標に「従業員エンゲージメント」があります。
両者の違いをひと言で表すと「自発的な貢献意欲の有無」です。従業員満足度が、あくまでも「従業員が企業に満足しているかどうか」を示す指標であるのに対し、従業員エンゲージメントが示すのは「従業員が企業に対し積極的に貢献したいという気持ちを持っているかどうか」です。
例えば、従業員満足度が高い一方で従業員エンゲージメントが低い場合「職場環境には満足しているけれど、積極的に貢献しようとは思わない」状態となります。
とはいえ、両者は相関関係を持つ指標であり、どちらかが高いにもかかわらず、もう片方は極端に低いといったことは基本的にありません。企業が従業員満足度の向上を目指して取り組んだ施策は、同時に従業員エンゲージメントの向上にもつながる施策となるでしょう。
従業員満足度はどう確かめる?
従業員満足度は、各企業が独自に用意する「ES調査」によって確かめるのが一般的です。
ES調査では、職場環境・人事制度・福利厚生など、ごとに設問を用意し、各従業員へ匿名で回答を求めます。
面談や記名式では得られない本音の回答を集計することで、従業員満足度はもちろんのこと、自社の強みや弱みを明確にできるのがES調査なのです。
従業員満足度を高めるメリット
従業員満足度を高めることで、企業が得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。主なポイントを四つ紹介します。
1.従業員のモチベーションやパフォーマンスの向上
職場環境に満足する従業員は、やりがいを持って前向きに仕事へ取り組むことができます。仕事に対する前向きな気持ちは、仕事への意欲や集中力にもよい影響を与え、パフォーマンスも自然と向上するでしょう。
また、仕事へのモチベーションが高く、前向きに仕事に取り組む人が多い職場は、従業員同士の人間関係も良い傾向にあります。お互いを助け合い、協力し合いながら仕事に邁進できる、居心地の良い職場環境が自然と整えられるでしょう。
2.生産性の向上
従業員のモチベーションを高く、優れたパフォーマンスを発揮する企業は、生産性も向上します。
これは、仕事へ前向きに取り組む姿勢が作業量の増加を促すからです。また、高い集中力がミスを減らし、ミスが原因で生じる損失を未然に防ぐことができるからです。
生産性が向上すれば、同じ従業員数でより多くの成果を上げることが可能となります。企業が持つ人的、物質的、時間的リソースを最大限に生かせるため、企業の業績向上も期待できるでしょう。
3.顧客満足度の向上
顧客満足度の向上も、従業員満足度を高めることによって企業が得られるメリットのひとつです。
従業員満足度の高い企業では、従業員のモチベーションやパフォーマンスが高くなります。質の高いモノやサービスをスムーズに提供できるようになり、顧客からの評価も自然と高まるでしょう。
この傾向は特にサービス業において顕著です。従業員満足度が高い企業の従業員は、心身の充実が接客を含むサービス内容にそのまま表れます。顧客満足度の高いサービスを提供することでさらなる顧客の獲得が期待できるほか、企業イメージの向上にも役立つでしょう。
4.優秀な人材の獲得・定着
少子高齢化が進み、多様な働き方が一般的なものとなりつつある現代日本において、人材の獲得・定着は年々難しさを増しています。
優秀な人材に選ばれ、長期的に在籍してもらうためには、自社の魅力をアピールし、他社との差別化を図ることが必要不可欠といえるでしょう。
その点、従業員満足度が高い企業は、従業員へ「ずっとここで働いていたい」と感じさせることができるため、優秀な人材が定着します。
また、離職率の低さや、従業員満足度向上のために取り組んだ施策は「働きやすい企業」「従業員にとって魅力的な企業」という採用時の強力なアピールポイントになります。結果として、優秀な人材の獲得・定着が可能となるのです。
従業員満足度を左右する7つの要素
従業員満足度は、具体的にどのような要素で構成されるものなのでしょうか。従業員満足度を左右する主な要素を紹介します。
1.職場環境
職場の雰囲気・清潔さ・危険度・設備などの基本的な環境は、従業員満足度を大きく左右します。
例えば、オフィス内の人間関係が悪く、空気が常に張りつめていたり、反対に緊張感がなさすぎたりした場合、居心地の良さは感じにくいでしょう。
また「不潔すぎる」と感じる環境や、心身の危険を感じる環境、必要な設備が整えられていない環境も同様に、従業員の前向きさを奪い、職場に対する不満を生む原因となります。
なお、職場環境は、数ある従業員満足度を左右する要素の中でも比較的対処しやすい要素です。たとえ現状は不十分だったとしても、従業員の声に耳を傾けて改善に取り組むことで、早期の改善が期待できるでしょう。
2.企業ビジョンへの共感
企業が掲げる理念や目標に共感している従業員は、そうでない従業員に比べ、職場に対する満足度が高い傾向にあります。企業の掲げるビジョンを自分自身のビジョンとして、積極的に業務へ取り組むことができるからです。
また、企業ビジョンへの共感度が高い従業員は、愛社精神が強く、その一員である自分自身に誇りを感じます。仕事に対する意欲も高く、十分なパフォーマンスを発揮できるでしょう。
企業のトップをはじめとする経営陣が共通する企業ビジョンを持ち、それに準ずる言動経営判断を一貫して行うこと。企業ビジョンを従業員へ周知徹底することが大切です。
3.マネジメントや評価への納得感
企業内で自分がどう扱われているか、どう評価されているかは、従業員のやりがいに直結します。ここで納得感を得られない場合、従業員満足度は低下します。
特に、仕事にやりがいを強く求める従業員にとって、マネジメントや評価に対する不満は深刻な問題です。企業に対する不信感から離職に至るケースも珍しくありません。
なお、このマネジメントや評価での納得感は、従業員一人ひとりのプライドの高さや承認欲求の強さによっても変わります。
同じ能力を持つ従業員が同じマネジメントや評価を受けたとしても「自分は適切に扱われ、十分に評価されている」と感じるケースもあれば「自分は不当に扱われ、評価も不十分だ」と感じるケースもあるからです。
受け取り方に差が出やすい評価項目だからこそ、上司の私情や性格に左右されない客観的なマネジメントや評価が求められます。
4.仕事内容
仕事内容に満足しているかどうかも、仕事のやりがいに直結し、従業員満足度を左右する大切な要素です。
仕事内容が自分の希望からずれている場合、仕事へ前向きに取り組むのは困難です。また、仕事内容自体は自分の希望どおりだったとしても、適性から外れている場合には思うような結果を出せず、やはり前向きさは失われてしまうでしょう。
こうした事態を防ぐためには、マネジメント側が従業員一人ひとりの希望や適性を把握し、適切な業務を割り振ることが大切です。
「この仕事なら自分の能力を発揮できる」「結果を出せる」そう感じられるマネジメントができるかどうかによって、この項目での従業員満足度は大きく変わります。
5.人間関係
職場において、特に大きな悩みの種となりやすいのが人間関係です。
通常、人間関係の不満は解決が困難です。特に問題を抱えている相手が上司など目上の人物である場合、精神的なストレスが仕事のパフォーマンスや心身の健康に悪影響を与える可能性も否定できません。
正解を見つけるのが難しい問題ではありますが、放置すれば状況はますます深刻化します。
職場内でトラブルの原因となりがちな人物がいるのであれば適切な指導をする、明らかに相性が悪い従業員同士が密に関わる環境にあるのであれば、当事者の意向も踏まえ異動を検討するなど、マネジメント側のスマートな采配も重要なポイントとなるでしょう。
6.給与
給与は、いわば従業員の労力や貢献への対価です。給与が想定よりも低ければ、従業員は「自分の労力や貢献が認められていない」と感じます。この気持ちは仕事に対するモチベーションの低下を招き、従業員満足度もおのずと低下します。
一方で、給与は企業内で一定の基準が設けられており、金額についての自由度は低いのが一般的です。素晴らしい働きをする従業員だからといって、基準を超えた特別待遇は基本的にできません。
こうした点を踏まえると、従業員の不満が給与にある場合、企業側にできることは限られています。適切な評価をすることが大前提として、それでもなお給与に対して極端な不満を抱く従業員が多い場合には、思い切って給与体系の見直しを行うのもひとつの方法です。
7.福利厚生
福利厚生には、法律で提供を定められた「法定福利厚生」と、企業が独自に提供する「法定外福利厚生」の2種類があります。ここで取り上げる福利厚生は、後者の「法定外福利厚生」です。
法定外福利厚生の内容は企業によってさまざまですが、代表的なものに「通勤手当」「住宅手当」「慶弔見舞金」などがあります。
提供する法定外福利厚生の種類によっては実質的な生活費の援助にもなるため、従業員の企業に対する愛着や帰属意識、引いては従業員満足度を高める効果も期待できます。
従業員満足度向上の切り札「福利厚生」
従業員満足度を左右する7つの要素のなかでも、特に注目を集めているのが福利厚生の提供です。その理由について、人気の食事補助サービス「チケットレストラン」とともに解説します。
福利厚生=企業の従業員に対する貢献意欲の指標
「法定外福利厚生」の提供は、企業にとって義務ではありません。それだけに、積極的に提供することで「従業員を大切にする姿勢」をアピールできます。つまり、福利厚生が充実した企業に勤務する従業員は「会社から大切にされている」との実感を得やすく、従業員満足度も高まる傾向にあるのです。
いわば福利厚生は、企業の従業員に対する貢献意欲の指標としての役割を果たすものといえます。
なお、経済産業省が公開した『平成28年度事業報告書(健康経営・健康投資普及推進等事業)』では、就活生を対象に「就職したい企業」について尋ねたところ、もっとも多い44.2%が「福利厚生が充実している」と回答しました。充実した福利厚生は、人材の獲得・定着に大きな効果をもたらすことがこの結果からも明らかになっています。
福利厚生で求められる「食事補助」
2020年10月、エデンレッドジャパンは「働き方・待遇に関する意識調査」を公開しました。この調査の中で、全国の中小企業に勤める30〜50代男女に対し「転職先に導入されていてほしい福利厚生」について尋ねたところ、53.1%の人が「食事補助」と回答しています。
一方で、企業側に「自社に導入・拡充したい福利厚生」について尋ねたところ「食事補助」を挙げた企業はわずか18.8%に留まりました。
従業員側が必要だと感じつつも十分に提供されていないという点において「食事補助」は企業が新たに導入すべき福利厚生の第一の選択肢といえるでしょう。
人気の食事補助サービス「チケットレストラン」
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、福利厚生の食事補助サービスとして、日本一の実績を持つサービスです。
利用方法はとても簡単で、全国約25万店舗以上の加盟店での支払いに専用のICカードを使用することにより、半額の食事補助が受けられる仕組みです。
加盟店にはコンビニ・ファミレス・カフェなどさまざまなジャンルがあり、勤務時間中であればいつでも利用できます。出張先でもリモートワーク中でも、時間や場所の制限なく利用できるため、従業員間の不公平感もありません。
利用率98%、継続率99%、従業員満足度93%という高評価のもと、導入社数2,000社以上を誇る人気サービスです。
従業員満足度の指標を上手に利用して安定した経営を
従業員満足度は、従業員の企業に対する満足度の指標です。ES調査を通じて従業員満足度を知ることは、表面上からは分からない自社の現状を深く理解する上で非常に役立ちます。
従業員満足度が高まると、生産性の向上やそれにともなう業績向上が期待できます。さらに、優秀な人材の獲得や定着が進み、人手不足も解消するでしょう。
このように、従業員満足度の向上は、安定した経営の基盤となるものです。エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」を通じた福利厚生の充実など、できることから対応し、これからの時代に揺るぎない地位を築く企業となるためのブランディングを進めましょう。