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エンプロイアビリティとは?高め方と企業における重要性を解説!

2023.07.17

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「エンプロイアビリティ」は、「雇われる能力」を意味する言葉です。従業員のエンプロイアビリティの向上は、終身雇用制が崩壊しつつある近年、企業が責任を持って担うべき義務でもあります。エンプロイアビリティを高めることで企業が得られるメリットや、高めるために行える具体的な施策について解説します。

エンプロイアビリティとは

エンプロイアビリティの向上を企業の施策とするためには、まずエンプロイアビリティについて正しく理解する必要があります。まずは、エンプロイアビリティの詳細から見ていきましょう。

労働者の「雇われる能力」

「エンプロイアビリティ(employability)」は、「Employ(=雇用する)」と「ability(=能力)」からなる言葉で、労働者の「雇われる能力」を指します。

エンプロイアビリティが高い労働者は、すなわち労働市場での価値が高い存在です。エンプロイアビリティが高ければ高いほど企業から高く評価され、就職や転職も有利となります。

なお、エンプロイアビリティと合わせて言及されやすい言葉に「エンプロイメンタビリティ(employmentability)」があります。エンプロイメンタビリティは、「企業の雇用能力」や「雇用の可能性」であり、「労働者にとっていかに魅力的な企業であるか」を表す言葉です。

労働市場での人流は、エンプロイアビリティとエンプロイメンタビリティのバランスによって自然と調整されているのです。

エンプロイアビリティが注目される背景

エンプロイアビリティが世界で初めて言及されたのは、1980年代のアメリカです。この時期のアメリカは、景気の悪化によって雇用が不安定になりつつありました。

こうした社会情勢の変化に伴い、自然発生的に生まれたのが「エンプロイアビリティ」の概念です。この時期を境に、アメリカの企業は、長期雇用を前提としない一方、従業員に対し他社でも活躍できるスキルの取得を推進する雇用形態へと急速にシフトしていきました。

日本においても同様で、日本政府によってエンプロイアビリティが初めて言及されたのは、やはり雇用情勢が悪化しつつあった1998年のことです。この年、厚生労働省は「平成10年版労働経済の分析」の中で以下のように言及しています。

長期雇用慣行の下にある者も含め、予期せぬ(あるいは自ら望んだ)労働移動に備え、外部労働市場で通用し企業に雇用されることを可能にする職業能力(エンプロイアビリティ)を磨くことが必要となってくる。

出典:厚生労働省|平成10年版労働経済の分析

つまり、エンプロイアビリティは、不安定な社会情勢の中で雇用を保証できない企業と、雇用を確保したい従業員との関係性の中から生まれた概念なのです。

エンプロイアビリティの種類

「エンプロイアビリティ」は、厳密には「絶対的か相対的か」「外的か内的か」を基準に4つの種類に分かれています。エンプロイアビリティについてより深く理解するための一助として、順に解説します。

絶対的エンプロイアビリティ

「絶対的エンプロイアビリティ」は、時代や社会の背景がどのようなものであれ、特定の仕事に就く上で変わらず求められる能力をいいます。

具体的には、医師の持つ医学知識や、法職における法律知識などがこれにあたります。この能力が獲得困難なものであればあるほどに、本人のエンプロイアビリティ(雇われる能力)は高まります。時代や社会情勢に左右されず、安定した雇用を得やすくなるのです。

相対的エンプロイアビリティ

「相対的エンプロイアビリティ」は、労働市場における需要と供給のバランスによって変動するエンプロイアビリティをいいます。

相対的エンプロイアビリティで問題になるのは、自分自身の知識やスキルのレベルというよりは、ライバルとの相対的な能力差です。また、技術革新や時代の流れによって需要が変動するため、エンプロイアビリティの変化が起きやすいのも特徴です。

技術革新や社会情勢の変化が目覚ましい現代社会では、この相対的エンプロイアビリティが特に注目されています。

外的エンプロイアビリティ

現在の勤務先や部署から離れ、転職や異動をしたとしても、これまでと変わらぬ待遇で雇用されうる能力をいいます。

外的エンプロイアビリティが高いということは、当人の持つ知識やスキルが一定以上のものであること、また、応用が可能なものであることを意味します。

客観的に見て経験値が高く、視野が広いタイプの人は、この外的エンプロイアビリティが高いのが一般的です。先行きが不透明な現代社会では、特に有用な能力といえます。

内的エンプロイアビリティ

現在の勤務先企業や部署において必要な人材として高く評価され、長期的に雇用され続ける能力のことを「内的エンプロイアビリティ」といいます。

内的エンプロイアビリティが高い人は、企業内において「○○はあの人に任せれば大丈夫」と評価される立場にあるのが一般的です。

業務上の知識やスキルを持っているのはもちろんのこと、コミュニケーション面を含めて企業に求められているのが内的エンプロイアビリティの高い人なのです。

エンプロイアビリティの要素は?

エンプロイアビリティは、複数の要素によって構成される概念です。以下、厚生労働省の資料をもとに、エンプロイアビリティの構成要素の詳細を紹介します。

エンプロイアビリティを構成する要素は3つ

厚生労働省は、2001年に公開した「エンプロイアビリティの判断基準等に関する調査研究報告書について」の中で、エンプロイアビリティの具体的な内容のうち、労働者個人の基本的能力として以下の3つの項目に言及しました。

A 職務遂行に必要となる特定の知識・技能などの顕在的なもの
B 協調性、積極的等、職務遂行に当たり、各個人が保持している思考特性や行動特性に係るもの
C 動機、人柄、性格、信念、価値観等の潜在的な個人的属性に関するもの

出典:厚生労働省|エンプロイアビリティの判断基準等に関する調査研究報告書について

なお同資料では、上記「C」について、「客観的な評価が難しい項目であり、評価基準には適さない」としています。エンプロイアビリティの評価は、上記「A」「B」に注目して実施することで初めて正確性と公平性が担保されるのです。

エンプロイアビリティを高めるメリット

従業員のエンプロイアビリティの向上は、企業の多くのメリットをもたらします。中でも特に大きなメリットを4つ紹介します。

従業員のモチベーションやパフォーマンスが向上する

エンプロイアビリティは、「雇われる能力」です。従業員のエンプロイアビリティが高まるということは、すなわち従業員の雇われる能力が向上する=従業員の知識やスキルのレベルが向上することを意味します。

従業員の知識やスキルのレベルが向上すると、業務がスムーズに進むようになり、仕事に対するモチベーションが向上します。スキルの高まった従業員が前向きに仕事に取り組めば、パフォーマンスも自ずと向上するでしょう。

従業員1人ひとりのエンプロイアビリティを高めることで、企業としての業績向上も夢ではないのです。

コストが減る

従業員のパフォーマンスが高まると、これまで生じていた業務上のミスが減少します。また、業務の進行がスムーズになることから、時間的なロスも減少します。

ミスによる損失や時間的なロスは、企業にとって必然的に生じる一種のコストです。1つひとつはささいなものであったとしても、積み重なることで生じているトータルコストは決して小さなものではありません。

従業員のエンプロイアビリティ向上は、経営的な視点からも大きなメリットがあるのです。

優秀な人材が集まりやすくなる

前述のとおり、エンプロイアビリティは不安定な雇用を背景にして生まれた概念です。終身雇用が過去のものとなり、転職を通じたキャリアアップが一般的なものとなった近年、エンプロイアビリティの向上をサポートする企業の魅力はますます高まっています。

つまり、エンプロイアビリティ向上への取り組みを行う企業には多くの求職者が集まり、より優秀な人材を雇用できる可能性が高まるのです。

また、魅力ある企業は、従業員の離職率も低い傾向にあります。優秀な人材が定着することで、企業としての業績向上も十分期待できるのです。

企業価値が高まる

エンプロイアビリティは、近年急速に認知度を高めている概念です。企業として積極的に取り組む姿勢をアピールすることは、従業員のキャリアを重視する従業員ファーストの企業として、社会にポジティブな印象を与えることにつながります。

ポジティブな企業イメージは企業価値の向上につながることから、将来的な顧客拡大や業績向上もかなうかもしれません。

従業員のエンプロイアビリティ向上を図るには?

従業員のエンプロイアビリティを向上させるには、ポイントを押さえた施策が必要です。効率的かつ効果的な施策にはいったいどのようなものがあるのでしょうか。

人事評価の項目に加える

従業員のエンプロイアビリティ向上を図るにあたり、まず行いたいのが『人事評価の項目エンプロイアビリティを加える』ことです。

エンプロイアビリティの向上を人事評価で認め、報酬として還元することで、従業員のエンプロイアビリティ向上や仕事に対するモチベーションはますます高まります。

従業員1人一人がエンプロイアビリティの向上へ積極的に取り組み、お互いに刺激し合いながら知識やスキルを深めていく良好な職場環境を実現できるでしょう。

研修を提供する

企業として従業員のエンプロイアビリティ向上を目指すなら、『研修の提供』も忘れずに行いたい重要な施策です。

というのも、エンプロイアビリティに対する理解度は、従業員それぞれに違うからです。その重要性を知らないがために、積極的に取り組めない従業員がいるとすれば、それは従業員本人はもとより企業にとっても好ましいことではありません。

その点、企業としてエンプロイアビリティについての研修を提供すれば、エンプロイアビリティの重要性や高め方を広く周知できます。これにより、企業全体のエンプロイアビリティ向上もスムーズに進むことになるはずです。

キャリア面談を実施する

エンプロイアビリティの向上は、従業員にとって自分の労働市場価値を高められるうれしい取り組みです。一方で、目指すべきキャリアがあいまいな場合、具体的な取るべきアクションが分からず、思うような変化が得られないケースも珍しくありません。

そんな事態を防ぐために有効なのが、『定期的なキャリア面談の実施』です。上司との面談を通じてキャリアを整理することで、従業員の身に付けるべき知識やスキルがクリアになります。加えて、目指すキャリアに応じた部署異動など、エンプロイアビリティを向上させるためのより効果的なサポートも可能となるでしょう。

なお、厚生労働省は、「企業で雇用され活躍するために必要とされる能力を洗い出し、訴求力のある自己 PR 材料を洗い出すためのシート」として「エンプロイアビリティチェックシート」を用意しています。従業員のキャリア整理に役立ててみてはいかがでしょうか。

参考:厚生労働省|エンプロイアビリティチェックシート 総合版

福利厚生の提供

従業員のエンプロイアビリティ向上は、『福利厚生の提供』という形でもサポートできます。

例えば、従業員それぞれが希望するセミナーの受講費を補助したり、スキルアップのための時間づくりのサポートとして、家事代行や託児サービスの利用料を補助したりなどが考えられます。

そのほか、健康面からのサポートとして、食事補助も有効です。エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」のような福利厚生としての食事補助を提供することで、従業員の健康増進や食事にかかる時間的ロスのカットなど、さまざまな形で従業員のエンプロイアビリティ向上に貢献できます。

エンプロイアビリティに真剣に取り組むのであれば、ぜひ検討したい施策です。

従業員のエンプロイアビリティ向上でよりよい労使関係を

エンプロイアビリティは、「雇われる能力」のことで、これが高い労働者の労働市場における価値は高く、就職や転職に有利とされています。

従業員のエンプロイアビリティ向上をサポートすることは、不安定な社会情勢の中で、長期的な雇用を確約できない企業による従業員への一種の補償にほかなりません。

企業にとってもたくさんの大きなメリットがあることから、従業員のエンプロイアビリティ向上を目指すのは、従業員と企業双方にとってうれしい施策といえます。

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」のような福利厚生の提供も1つの選択肢として、ぜひ従業員のエンプロイアビリティ向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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