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エデンレッドブログ

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eNPSとは何のこと?読み方や計算方法など基本情報と平均スコアや導入事例も解説

2023.04.28

eNPSという単語をご存じでしょうか?現在、従業員満足度(ES)よりも深く、従業員のエンゲージメントやロイヤルティが計れる指標だとして注目を集めています。今回はeNPSの意味や読み方、計算方法と、eNPS調査を活用することで、eNPSだけでなくほかの面でもポジティブな効果が見られた企業事例を中心に解説します。eNPSとESやNPS®との違い、eNPSの平均値やeNPSが高い企業の特徴にも触れているので、eNPS調査導入を検討する際、参考になるでしょう。

eNPSとは何のこと?

「eNPS」とは「Employee Net Promoter Score(エンプロイーネットプロモータースコア)」の略称です。読み方は「イーエヌピーエス」が正しいとされています。

まだ、日本では耳慣れないeNPSですが、何のことかというと従業員からの職場の推奨度を数値化したものです。従業員に「親しい友人に勤務先の職場をどのぐらい推奨したいか」とヒアリングし、0~10点で回答させるのが基本です。

eNPSとESの違い

eNPSと似た言葉に「ES」があります。ESとは「Employee Satisfaction(エンプロイーサティスファクション)」の略語で、日本語では従業員満足度です。ESの意味は文字通り、従業員に仕事内容や職場環境などへの満足度をヒアリングし、返答を数値化したもので、従業員のワークエンゲージメントに深く関わります。

eNPSとESは混同されがちですが、調査の際に軸となる質問内容が異なります。ESを割り出すための調査では「職場に満足しているか」が基本的な質問です。ESは、従業員の定着率や離職率に深く関連します。

eNPSは、自分のことではなく「友人に自信をもって勤め先を紹介できるか」という問いに対する数値のため、ESに比べるとスコアが低く出がちです。だからこそ、eNPSの方が従業員のロイヤルティや真のESを計りやすい側面があり、深い本音が聞きだせるともいわれています。ESや従業員のワークエンゲージメントを高める施策を検討する際は、eNPSについても調査するのが効果的だとして注目を集めています。

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eNPSとNPS®の違い

eNPSと似た言葉で「NPS®」も最近注目を集めるキーワードです。NPS®は「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略語で、一般的には顧客に対し自社サービスやブランドへの満足度を表す数値です。従業員に対してNPS®を調査する企業も増えており、その場合は「親しい友人に自社サービスやブランドを推奨できるか」を調査し、度合を数値化します。

NPS®は、もともとApple社が従業員を対象に調査し始めたといわれています。eNPSは、NPS®から派生したといわれており、両方を調査することで企業への従業員のロイヤルティを深堀できると考えられています 。

eNPSの計算方法

eNPSを割り出す際は「友人に対して自社を推奨したいか」という質問に対して、従業員それぞれが、推奨度を0~10点で答えます。9~10点のハイスコアをつけた人は推奨者、0~6点と「NO」の度合いが強い人を批判者、7~8点という点数をつけた人を中立者として回答者を3つのセグメントに分けます。

さらに、推奨者の割合から批判者の割合を引いてeNPSを導き出すのですが、計算式に中立者の存在や詳細な点数は影響しないのがポイントです。全従業員が推奨者だった場合、eNPSは100です。反対に全従業員が批判者だった場合、eNPSは-100となります。

国内のeNPSの平均値

日本国内のeNPSの平均値は-20~-40程度といわれています。

一般論にはなるのですが「友人に自分が勤める企業を勧められるか」と問われて「満点で勧められる」と答えられる人は、そこまで多くないでしょう。勤め先にそれなりに満足している人でも「5点」「6点」といった答える人がほとんどだと予想できます。eNPS調査では、5~6点でも批判者に分類されるため、全体的なeNPSスコアが低く出てしまいがちです。

また、日本には、自分の意見を述べるのを避ける文化があります。その影響もあり、日本国内の企業では、欧米企業と比較するとeNPSが低く出る傾向があるのではないかともいわれています。

eNPS回答者のセグメントによる特徴

国内のeNPS平均値がそれだけ低いとなると、推奨者は評価できる人材、批判者は反発する人材と誤解してしまう企業もあるかもしれません。しかし、それぞれのセグメントに属する回答者についてもう少し深堀することで、企業の課題やeNPSを上げる施策が見えてくるでしょう。推奨者・中立者・批判者それぞれの特徴を紹介します。

推奨者

推奨者は職場の推奨度として9~10点と答えた従業員です。仕事内容や待遇、職場環境などのロイヤルティやワークエンゲージメントが高い状況にある従業員と言えるでしょう。このような従業員生産性や顧客サービスの質も向上します。

「企業に定着したい」という考え方の従業員が多く、企業もこうした従業員を大切にすることで、職場にポジティブな効果を与えます。リファラル採用活動(自社の社員から友人や知人などを紹介してもらう採用方法)などにも積極的に参加する人が多いです。

企業は推奨者に甘んじることなく、現状より推奨者が増えるように施策を打ち、生産性や雇用率、定着率などが向上するよう努める必要があります。

中立者

中立者は職場の推奨度に7~8点を付けた従業員です。これは「平均値以上の数値」であることが重要視されており、かなりの愛社精神を持つ従業員に当てはまります。とはいえ、勤務条件の何かに不満や不安がある状態の従業員が中立者と考えるとよいでしょう。

推奨者を増やす、つまりeNPSを向上させるには、この中立者が持つ仕事内容や待遇、職場環境を改善することがカギだといわれてます。中立者が多い企業は、そこで満足することなく、さらに調査を重ねて、不安や不満の種を可視化することが大切です。

批判者

批判者は、勤務先に対して不満がある従業員という位置づけです。ここで注目したいのが、推奨度5~6点の一般的には平均値ともいえる点数をつけた従業員も、批判者に含まれてしまうことです。「自社の推奨度は平均点程度」という印象を持っていて、実際に離職や仕事に手を抜くといった行動に出る従業員はさほど多くありません。

企業側は批判者に対して「満足させられていない従業員がいる」と課題を提起させてくれる存在として受け止めるのが大事です。不満の元を探りあて、フォローしていかなければ、多くの従業員にネガティブな影響が出る危険性も秘めています。

特に、平均以下の低いスコアをつけた従業員が多い場合は、企業は早急な対応に迫られるでしょう。批判者を一括りにするのではなく、細かくスコアを分析し、それぞれの従業員の声に耳を傾けるのがeNPS調査の狙いであり、導入の目的です。

eNPSが高い企業の特徴

eNPSは、日本で浸透している状況とはいえませんが、すでに導入し企業内の人材戦略に活かす企業もあります。eNPSが高い企業にはどのような特徴があるのでしょうか?

給与や福利厚生など好待遇

eNPSが高い企業は、高い給与水準や充実した福利厚生など、従業員に対して好待遇を設ける企業が多いです。「待遇をよくすればよい」ということではなく、仕事内容や労働条件と照らし合わせたときに納得感がある、もしくはそれ以上の待遇であることが大事です。

また、自社に多くの企業で採用されている昇給制度や福利厚生が整備されていない場合「友人に自社を勧められるか」と問われて「Yes」と答えられる人は少ないでしょう。eNPSを上げるには、一般的な昇給制度や人気のある法定外福利厚生を導入するのが得策です。

出典:株式会社エデンレッドジャパン 「働き方・待遇に関する意識調査」

株式会社エデンレッドジャパンが2020年に行った、ビジネスパーソンと企業を比較した「働き方・待遇に関する意識調査」では「今後、待遇・働き方について自社に望むこと」という質問に対し、全国の中小企業に勤める30~50代の正社員男女600名の回答者が「基本給のアップ」「賞与額のアップ」「手当の充実」といった金銭面の次に「福利厚生の充実」を望んでいるとされています。

また、少し古いデータになりますが、2015年にマンパワーグループが行った福利厚生についての調査では「実際にあってよかった会社の福利厚生」の第一位が「食堂・昼食補助」という結果でした。「会社の福利厚生として良いと思うもの」では、「食堂・昼食補助」は2位でしたが、従業員に喜ばれる福利厚生であることは明白です。

そこでおすすめなのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。「チケットレストラン」は電子カード配布型の福利厚生食事補助サービスです。全国25万店以上の大手飲食店・コンビニエンスストアなどで利用できます。

出社する従業員はもちろん、リモートワークやワーケーション、交代制シフトや出張などさまざまなスタイルで働く全国の従業員が利用できるため、平等で使い勝手が良いサービスだと好評を得ています。2023年3月より Uber Eats とも提携しサービスが開始されました。勤務に関わる食事であれば、好きな時に好きな店舗で利用できる点も自由度が高く、また導入にコストがかからないため従業員にも企業にもメリットが高い福利厚生サービスです。

評価制度が明確

eNPSが高い企業は、従業員に対し明確な評価制度を設けている企業が多いです。評価は、管理職など上司から部下を対象にしたものだけでなく、部下から上司に対する評価も含まれます。

また、評価に対し、適切な給与や賞与が支払われているかも重要な要素です。企業の経営状態によっては、従業員の働きに対して適切な額の給与が支払えないという企業もあるでしょう。代わりに、特別有給休暇を与えたり、税制で有利になる福利厚生を設けたりするケースもあります。

働きやすい労働環境

働きやすい労働環境とは、企業内の設備や清潔さ、広さなどに注目が集まりやすいですが、人間関係も重要な要素です。「ハラスメントが横行している」「社内コミュニケーションがとりづらい」など従業員同士のコミュニケーションに問題がある場合や、管理職が分かっていながら放置している場合、友人への推奨度は低くなります。

eNPSが低く出た企業は、目に見えるものだけでなく、居心地や人間関係と抽象的な労働環境も見直す姿勢が求められます。

人的資本経営や健康経営の実現

人的資本経営や健康経営を実現している企業はeNPSも高い傾向があります。人的資本経営とは、経済産業省のホームページによると「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」とされています。2023年3月より、有価証券報告書への人的資本情報記載が義務づけられたことから導入に動く企業が増えています。

健康経営とは「安定した企業運営のために企業の財産でもある人材の健康増進を図る」という経営戦略の一つです。経済産業省では「健康経営優良法人認定制度」を制定し、該当の企業には、健康経営銘柄として選定する制度や金融機関や地方自治体を絡めたインセンティブを与えるなど、健康経営の推進にも注力しています。

どちらも、従業員にかかる費用を経費ではなく投資と捉え、従業員一人ひとりを企業の財産・投資対象として扱います。従業員が安心して健康に社会生活を営めるよう、自らの能力を最大限に高められるよう、企業が支援するものです。人的資本経営や健康経営が実践されている企業は「従業員を大切にする」というブランディングができたり、実際に職場環境や労働条件が良かったりするので、友人に推奨したい従業員が多い可能性が高いです。

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eNPSを向上させた企業事例

日本のビジネスシーンに導入されるようになってまだ日が浅いeNPSですが、すでに調査を重ね、向上させた企業もあります。先述した通り、日本人の国民性の影響もあり低い数値が出る傾向があるeNPSを向上させたのには、どのような取り組みを行ったのでしょうか?eNPS向上に成功した企業事例を紹介します。

株式会社東急エージェンシー

株式会社東急エージェンシーは、東急グループで広告事業を担う企業です。2017年に「ワークスタイルデザイン部」を設立し、働き方改革や女性躍進を推進しています。施策の企画や推進、結果検証のためにeNPSを活用しているそうです。

eNPSを導入したことで企業の問題点や従業員の気持ちがよりクリアになり、さまざまな改善施策の企画、導入に踏み切るきっかけになりました。中でも注力したのは「業務時間の見直し」や「働き方の多様化」などです。タイムマネジメントを推進し、在宅勤務や会議時間の見直しに踏み切ったことでeNPSが改善しました。

参照:https://www.tokyu-agc.co.jp/company/

株式会社FiNC Technologies

AIを活用したヘルスケアサービスが主幹事業の株式会社FiNC Technologiesでは、サービスの中核を担うエンジニアの負担が重いことに着目し、2018年から管理職をターゲットの中心にしたeNPS調査に踏み切りました。

組織カルチャーや情報共有不足に関する不満や不安から、リファラル採用に対して消極的な意見が多かったそうです。そこで、経営層も含め改善案を企画し、行動指針に沿った社員を評価する制度を策定するなどの施策を導入しました。結果としてeNPSが半年で30ポイントも改善するといった大きな効果がありました。

eNPS調査により、経営層と従業員が話し合う機会ができ、明確な行動指針、評価制度が策定されたことで、eNPS改善以上に生産性や企業内の雰囲気が上向くという良い影響があったそうです。

参考:https://company.finc.com/

eNPSは新たな人材戦略の指標

eNPS調査の基本的な質問「友人に自信をもって勤め先を紹介できるか」により、従業員が企業に対して持つ、エンゲージメントやロイヤルティの質量が明確になります。さらに、スコアを参考に従業員と経営層で意見を交わすことで新たな課題点や人材確保のための戦略が見えてくるでしょう。

また、福利厚生が乏しい企業では、eNPSに期待ができないほど、福利厚生を重視するビジネスパーソンや求職者が増えています。eNPS調査導入前後に福利厚生の充実を図るなら「チケットレストラン」をご検討ください。資料請求はこちら