人事評価にAIを活用する取り組みが注目を集めています。人事評価にAIを導入することにより、企業が得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?本記事では、主なメリット・デメリットをはじめ、基本的な導入フローや注意点など「人事評価 × AI」の気になるポイントをわかりやすく解説しています。従業員のエンゲージメント向上に寄与する福利厚生施策も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
人事評価にAIが検討されるのはなぜ?
人事評価は、従業員の企業に対する信頼や愛着を左右する重要な要素です。そんな人事評価について、近年、AIを導入する動きが広がりつつあります。まずは、人事評価にAIの活用が検討されるその理由から整理していきましょう。
主観性と属人化による不公平感があるから
人事評価にAIの活用が検討される理由として、まず挙げられるのが、従来の評価制度の不公平感です。
人事評価が「評価する人によって基準が違う」「好き嫌いで評価されている気がする」といった声は、現場で少なくありません。こうした不満の背景には、評価プロセスが属人化しており、経験則や個人的な感情、暗黙の評価基準に頼った判断が横行している実態があります。
この属人性は、従業員の納得感を損ない、評価制度そのものへの信頼を低下させる大きな原因です。また、評価に対する不信感が、モチベーションやエンゲージメントの低下、さらには早期離職の引き金になることも指摘されています。
多様な価値観を持つ人材を生かすには、主観を徹底的に排除し、客観性や説明責任を担保できる仕組みが必要です。AI活用は、その解決策のひとつとして期待されているのです。
評価業務の負担が大きいから
人事評価には、評価内容の記入・進捗管理・数値の集計・フィードバックの作成など、煩雑な業務が数多く発生します。
特に、Excelや紙ベースのアナログ運用が中心の企業では、評価者によって記入内容にばらつきが生じやすく、データの集計や整合性確認に多大な手間と時間がかかります。
さらに、評価結果をもとに異動や昇進を判断する場合には、論理的根拠の提示や説明も必要です。
こうした属人的で非効率な評価運用への課題意識が高まる中、AIによって評価業務の一部を支援・自動化したいと考える企業が増えています。業務効率の改善だけでなく、人事が本来担うべき戦略的な役割に注力するための手段としても、AIの導入が検討されつつあります。
AIによる人事評価のメリット
AIを活用した人事評価は、企業にさまざまなメリットをもたらします。ここでは、AIを導入することで得られる具体的なメリットを、3つの視点から解説します。
透明性と納得感のある評価ができる
AIによる評価は、評価基準やロジックが明確なため、根拠を説明しやすいという特徴があります。
従業員が「なぜその評価になったのか」を理解しやすくなり、評価への納得感が向上します。従来のように、評価者の主観や感情が優先され、公平な評価ができないといった心配もいりません。
さらに、従業員の評価に対する納得度が上がることは、モチベーションの維持や離職予防にもつながります。評価制度に対する信頼が高まれば、エンゲージメント向上や定着率の改善にも寄与するでしょう。評価内容の可視化は、人材育成の方向性を示す上でも有効です。
スキルや成果を多角的に評価できる
AIは、多様なデータを基に評価を行えるため、従業員のスキル・行動・成果を多角的に捉えることが可能です。表面的な印象や一時的な成果に左右されることなく、バランスの取れた評価を実現できます。
例えば営業職では、受注件数だけでなく、提案内容や活動量、顧客満足度など、複数の指標を総合的に加味することが可能になります。さらに、こうした評価は組織内の基準統一にもつながるため、評価の属人性を排除する効果も期待できるでしょう。
公平性と客観性を両立した人事評価を目指す上で、AIは強力な支援ツールとなるのです。
評価業務が効率化できる
AIの導入により、評価に関する業務負担を大幅に軽減できます。
具体的には、評価にまつわる情報の回収・集計・分析といった一連のプロセスを自動化することで、人的コストや作業時間が削減されます。また、スコア化やレポート作成の機能を活用すれば、評価データの可視化も容易です。
これまで時間を割いていた定型業務から解放されることで、人事担当者はより戦略的な判断や施策立案に注力しやすくなります。精度とスピードを両立しつつ、組織全体の生産性向上を後押しする効果が期待できるのです。
AIによる人事評価のデメリット
AIを活用した人事評価には多くのメリットがありますが、一方で、いくつかの見過ごせないデメリットもあります。詳しく見ていきましょう。
導入・運用にコストと時間がかかる
AIを人事評価に導入する際には、ツールの導入コストだけでなく、制度設計や社内教育、データ整備など、複数の工程が必要になります。
特に、評価ロジックに使うデータは精度や網羅性が求められるため、過去の評価履歴や業務記録を整える作業には相応の労力がかかるものと考える必要があります。
また、AIツールと既存の人事システムとの連携にも技術的な対応が必要です。外部ベンダーとの調整や試験運用を含めると、一定期間は人事部門の負担がむしろ増加することが予想されます。
AIを効果的に活用するには、短期的な効率化ではなく、中長期的な視点で段階的に運用を浸透させていくアプローチが重要です。
意図しないバイアスがかかる可能性がある
AIは過去の実績データから学習して評価を行う仕組みのため、元データに偏りがあれば、そのまま再現してしまうリスクがあります。
過去に昇進・評価されやすかった人材の属性(性別・年齢・学歴・勤務年数など)が強く反映され、無意識のうちに特定層に不利な評価を下す可能性が否定できません。
こうしたバイアスは、評価者が意図しない形で組み込まれてしまうため、本人に自覚がなくても不公平な判断が組織全体に影響する可能性があります。また、AIが出す評価結果に一見合理性があるように見える点が、かえって疑問視されにくいという盲点にもつながります。
人事評価におけるAIの活用にあたっては、バイアスを排除する設計や、透明性あるアルゴリズム運用が不可欠です。
AIの評価に納得できないケースもある
AIによる人事評価は客観的で透明性が高いとされますが、本人がそのロジックを理解・納得できなければ評価結果に対する不満や不信感が生じます。
特に、評価理由をフィードバックする場面で「なぜこの結果になったのか」が説明できないと、従業員のモチベーション維持は困難です。また「AIが決めたから」という根拠一点で最終評価を済ませた場合、評価者の説明責任が曖昧になり、マネジメントの現場では責任の所在が不明瞭になる恐れもあります。
AIを過信して人間の判断を形骸化させれば、組織に不透明感と不信を招く結果にもなりかねません。AIはあくまで支援ツールであり、人間が判断・説明責任を担う前提が必要です。
AIによる人事評価の注意点
AIを導入すれば、人事評価にまつわるすべての課題が解決するわけではありません。AIはあくまでも人間の判断を補完するツールであり、過度な依存や設計の不備は、かえって制度への不信感につながるおそれもあります。ここでは、AIを人事評価に活用する際に押さえるべき注意点を整理します。
AIに過度な期待をしない
AIは人事評価の効率化・公平性の向上に貢献できるルールですが、とはいえ、導入さえすればすべてが改善されるという誤解は危険です。
人事評価は、定性的な情報や個別の状況を加味して判断するケースも多いため、AIがすべてを正確に処理できるわけではありません。活用の前提として、現場の実態や個々の特性を反映しきれない可能性も考慮する必要があります。
AIはあくまで補助であり、最終的な評価を行い、責任を負うのは人間です。AIを過信せず、適切な運用と人間の関与とを設計することが求められます。
バイアスとアルゴリズムの透明性を確保する
AIによる人事評価を信頼性のある制度として定着させるには、バイアスとアルゴリズムの透明性が不可欠です。どのような評価ロジックが用いられているのか、どのデータが重視されているのかを明示することで、被評価者や評価者双方の不信感を払拭できます。
また、第三者による定期的な監査や、社内での説明責任の仕組みを整えることも重要です。ブラックボックス化したAI評価は、誤解やトラブルの温床になりかねません。
公平性の担保には、AIの「中身」を必要に応じて開示できる体制づくりが求められます。
評価基準を公開し、透明性を高める
AIの仕組みとは別に、制度としての「評価基準」そのものを明文化し、社内で共有することも欠かせません。どのようなスキルや成果が重視され、どの水準で高評価とみなされるのかといった基準が曖昧なままでは、従業員が自身の目標を設定しにくくなり、AIによる評価結果にも納得しづらくなるからです。
例えば「定量評価が何割、定性評価が何割」「上司による評価と自己評価の扱い」など、評価全体の枠組みを明示することで、AIの有無にかかわらず制度全体の透明性が向上します。
また、評価者側にとっても基準の統一は、判断のブレを防ぎ、公平性を保つ助けとなるものです。こうした制度上の「見える化」は、評価の納得度を高め、AI評価の円滑な定着にもつながります。
AIを活用した人事評価|導入ステップ
人事評価にAIを活用するには、単にツールを導入すればよいというわけではありません。AIの導入目的や既存制度との整合性を踏まえた準備と、社内での浸透を見据えた運用設計が欠かせます。ここでは、導入の初期段階で押さえるべき3つのステップを解説します。
ステップ1. 目的と方針のすり合わせ
AIを人事評価に活用するにあたっては、まず「自社が何を評価したいのか」を明確にすることが第一歩です。評価制度の目的と、AI導入によって解決したい課題が一致していなければ、ツール導入が形骸化してしまう可能性が否定できません。
例えば「公平性を高めたい」のか「評価業務を効率化したい」のかでは、求められる機能や運用体制も変わります。現行の評価制度が抱える課題を洗い出した上で、AIをどう活用すべきかの方向性を社内で共有し、経営陣・人事・評価者間で認識を揃えることが、導入成功の鍵となります。
ステップ2. 既存データの整備と評価項目の明確化
AIを活用するには、正確かつ一貫性のあるデータが必要不可欠です。しかし現場では、評価記録が紙ベースで残されていたり、部署ごとに評価項目が異なっていたりするケースも少なくありません。
そこで、まずは既存の評価シートや面談記録を電子化し、記述のばらつきを最小限に抑える仕組みを整える必要があります。また、評価項目そのものもAIが処理しやすい形に定義し直す工程も必要です。
「成果」「スキル」「行動特性」など、何をどう評価するのかを明文化し、社内で共有することで、AIによる分析・サポートの精度を高めることが可能になります。
ステップ3. 評価プロセス全体の設計
AIを活用した人事評価を制度として成功させるには、AIを人事評価全体の中にどう組み込むかを設計することが重要です。
具体的には、評価者がAIの出した結果をどう扱うのか、最終判断は誰が下すのかといったプロセスのルールをあらかじめ定めておく必要があります。
なお、評価者がAIの仕組みを理解せずに運用した場合、結果に対する不信感や混乱を招く可能性が高い点にも注意が必要です。
これらを踏まえ、導入時には、評価者向けの研修やマニュアル整備が不可欠です。AIの支援を受けながらも、評価の最終責任は人間が持つという基本姿勢を明示し、社内全体での納得感を高めることが、AIを活用した人事評価のスムーズな定着につながります。
納得される評価制度づくりは職場環境の整備から
どれほど制度設計に工夫を凝らしても、制度の外側にある職場環境や心理的満足の整備が不十分な場合、従業員の納得感を高めることはできません。ここでは、職場環境整備の有効な一手となる福利厚生施策について解説します。
エンゲージメント向上に寄与する「福利厚生」
食事手当や住宅手当・社員旅行・クラブ活動のような法定外福利厚生は、企業独自の制度だけに、従業員に対する企業の姿勢を強く反映します。
つまり、充実した福利厚生を提供されている従業員は「この会社は自分を大切にしてくれている」と感じやすく、比例してエンゲージメントも高まるのです。
エンゲージメントは従業員の企業に対する愛着や貢献意欲に直結することから、エンゲージメントの高い企業ほど、AIを活用した人事評価への納得度も高めやすいでしょう。
中でも、食事補助をはじめとする生活密着型の福利厚生は、日々そのメリットを享受できるぶん、従業員の心理へ与える影響が大きいと考えられます。
関連記事:福利厚生をまとめてチェック!導入メリットから課税についてまで網羅
食事補助の福利厚生として日本一の実績「チケットレストラン」
従業員のエンゲージメント向上に効果的な福利厚生の中でも、近年特に注目を集めているサービスに、エデンレッドジャパンが提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」があります。
「チケットレストラン」は、従業員のランチ代を企業がサポートする食事補助の福利厚生サービスです。導入した企業の従業員は、全国25万店舗を超える加盟店での食事を実質半額で利用できます。
加盟店のジャンルは多彩で、コンビニ・ファミレス・三大牛丼チェーン店・カフェなど、利用する人の年代や嗜好を問いません。勤務時間中にとる食事の購入であれば、利用する場所や時間も自由なため、どのような勤務形態でも公平に活用できる点もうれしいポイントです。
さらに、一定の条件を満たした福利厚生は所得税の非課税枠を活用できるため、同額を給与として支給するよりも従業員の実質的な手取り額を増やす効果があるほか、企業の法人税も軽減されます。
日常生活に欠かせない食事を通じて従業員をサポートしつつ、実質的な手取りアップも実現できる「チケットレストラン」は、従業員のエンゲージメント向上にも寄与する施策としてすでに3,000社を超える企業で導入されています。
「チケットレストラン」の詳細は「こちら」からお問い合わせください。
関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も
「チケットレストラン」でエンゲージメント向上に成功した事例
山梨県都留市を拠点とする部品検査の専門会社「サニクロ」は、従業員への還元や他社との差別化を目的とし、2021年6月に「チケットレストラン」を導入しました。
導入後、同社では「チケットレストラン」をきっかけとしたコミュニケーションが活性化したほか、地域における先進的な福利厚生の提供による従業員エンゲージメントの向上を実感されているそうです。
参考:https://r.goope.jp/saniclo
導入事例はこちら
AIを活用した人事評価の今後
AIを活用した人事評価は、業務の効率化や評価の納得度向上といった側面で多くのメリットをもたらします。ただし、AIはあくまでも補助としてのツールにすぎません。制度の真価を発揮するには、現場の理解と適切な運用、そして評価される側の心理的な受け止めも含めたトータルな人材マネジメントが必要です。
近年では、職場環境の土台づくりとして、福利厚生の重要性も再認識されています。中でも「チケットレストラン」のような日常に密着した福利厚生サービスは、従業員の生活支援や健康づくりに寄与し、エンゲージメントを高める施策として注目されています。
制度設計と職場づくりの両輪で、人を生かす評価の仕組みを築いていきましょう。
参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~
:「賃上げ実態調査2025」を公開~歴史的賃上げだった2024年も“家計負担が軽減していない”は7割以上!
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エデンレッドジャパンブログ編集部
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