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【社労士監修】高所得者の厚生年金保険料上げ、27年9月から厚労省案を解説

【社労士監修】高所得者の厚生年金保険料上げ、27年9月から厚労省案を解説

2025.03.31

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

厚生労働省は、2027年9月から「高所得者の厚生年金保険料上げ」を段階的に実施する方針との報道がされています。これは公的年金制度の持続可能性を高めるための年金制度改革の一環として位置づけられており、企業の人事担当者は、その動向を注視しているのではないでしょうか。本記事では、「高所得者の厚生年金保険料上げ」について、内容、企業や従業員への影響、そして対策を紹介します。

高所得者の厚生年金保険料上げとは

厚生労働省は、高所得者の厚生年金保険料引き上げの方向を示しています。まずは概要を以下に整理します。

高所得者の厚生年金保険料上げの経緯

当初は2027年9月に一度に引き上げる予定でしたが、現役世代の負担増加に対する懸念から、段階的な実施へと方針転換されました。厚生労働省の社会保障審議会年金部会では継続的に議論が行われており、今回の改定は数ある改革案の一つという位置付けです。

高所得者の厚生年金保険料上げの内容

引き上げ開始は、2027年9月を予定し、3段階で段階的な実施になると報道されています。対象となるのは、賞与を除く年収798万円以上の従業員(標準報酬月額が上限の65万円に該当する従業員)です。厚生年金加入者の約6.2%にあたります。

段階的引き上げのスケジュール案

現在検討されている標準報酬月額の引き上げスケジュールは以下のとおりです。

  • 第1段階(2027年9月):65万円 → 68万円(第33級新設)
  • 第2段階(2028年9月):68万円 → 71万円(第34級新設)
  • 第3段階(2029年9月):71万円 → 75万円(第35級新設)

厚生労働省は2027年9月から2年間かけて3段階で引き上げる方向で調整していますが、各段階の具体的な実施時期については今後調整される見込みです。

出典:
毎日新聞|高所得者の厚生年金保険料、3段階で引き上げ方針 厚労省が見直し(2025/2/28)
Yahoo!ニュース|高所得者への厚生年金保険料引き上げはどうなるのか?(2025/2/13)
日本経済新聞|厚生年金保険料の上限上げ、29年9月まで3段階に 厚労省 (2025/2/14)

標準報酬月額とは

ここで、厚生年金保険料の算出に関連する標準報酬月額の考え方を確認しておきましょう。

標準報酬月額とは、実際の給与を複数の区分に分類し、その区分ごとに設定された金額のことです。厚生年金や健康保険の保険料を計算する際の基準になります。厚生年金の場合、現在(2025年3月時点)の制度では、最低の1等級(8.8万円)から最高の32等級(65万円)まで、全32等級に分かれています。

基本給のほか、以下のような手当も標準報酬月額に含まれる報酬の対象です。

能率給・奨励給・役付手当・職階手当・特別勤務手当・勤務地手当・物価手当・日直手当・宿直手当・家族手当・休職手当・通勤手当・住宅手当・別居手当・早出残業手当・継続支給する見舞金等・事業所から現金または現物で支給されるもの・年4回以上支給される賞与

出典:
日本年金機構|保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)
日本年金機構|厚生年金保険の保険料

標準報酬月額から厚生年金保険料を計算する方法

厚生年金保険料は、毎月の標準報酬月額に保険料率18.3%をかけて計算します。負担は企業と従業員の折半です。

  • 標準報酬月額 × 18.3% = 厚生年金保険料

例えば、標準報酬月額が32等級65万円の従業員の場合、以下のとおりです。

650,000円 × 18.3% = 118,950円

従業員負担額と企業負担額は、企業ごとに決まった端数処理(切り上げ、切り下げ)があります。したがって、従業員負担も企業負担も、118,950円の約半分である各59,475円程度です。

出典:令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和6年度版)

標準報酬月額の決め方

標準報酬月額の決定・改定には、主に3つの種類があります。上限引き上げが実施された場合、以下に説明する「定時決定」または「随時改定」のタイミングで反映されることになります。

資格取得時決定

厚生年金に加入したときの給与をもとに決定します。資格取得月から、その年の8月までの期間に適用します。ただし、6月1日〜12月31日に加入した場合は、翌年8月までです。

定時決定

毎年7月1日時点の従業員について、4月〜6月の3か月間の給与平均額をもとに決定し、決まった金額については9月から翌年8月まで適用します。

随時改定

昇給や降給などで給与が大きく変わったとき、継続した3か月間の給与平均額をもとに改定します。適用となるのは、変更後の額が2等級以上変動している場合です。

出典:日本年金機構|厚生年金保険の保険料

厚生年金保険料上げ議論の背景・ポイント

厚生年金保険の標準報酬月額の上限引き上げ、すなわち「厚生年金保険料上げ」は、社会保障審議会年金部会で活発に議論されています。なぜ議論の対象となっているのか、ポイントを説明します。

上限改定の法的根拠

厚生年金保険法では、全被保険者の平均標準報酬月額の2倍が現行上限を超える状態が継続する場合、政令によって新等級を追加できるとされています。直近では2020年9月に第31級(62万円)から第32級(65万円)へと引き上げが実施されました。

高所得層の貢献度拡大の必要性

社会保障審議会年金部会の「年金制度改正の検討事項」によると、現在の標準報酬月額上限である65万円に該当する人が全体の約6%を占めており、高所得者の保険料が年金財政に十分貢献していない状況が続いています。

出典:社会保障審議会年金部会|年金制度改正の検討事項 (2024年7月3日)

健康保険との格差

厚生年金保険と健康保険は同じく標準報酬月額を基準としていますが、下表のように上限額に大きな差が生じています。この格差も上限見直しが議論される理由の一つです。

  平成16年10月~ 平成19年4月~ 平成28年4月~ 令和2年9月~
健康保険の上限等級の額 98万円 121万円 139万円
厚生年金保険の上限等級の額 62万円 65万円

※現在、健康保険上限額(139万円)と厚生年金保険の上限額(65万円)には74万円の差があります。

出典:厚生労働省|標準報酬月額の上限 第11回社会保障審議会年金部会 2023年12月26日

高所得者の厚生年金保険料上げの目的

高所得者の厚生年金保険料上げは、年金制度の公平性と持続可能性を高めるために検討されています。

収入に応じた負担の公平性確保(再分配機能の強化)

標準報酬月額の見直しルールのとおり、給与水準の変化に応じて上限を見直すことで、負担能力に応じた保険料負担が実現します。現在の制度では、月収が65万円を超える従業員は、実際の所得に関わらず一律の保険料となっているため、相対的に負担が軽くなっています。

年金財政の改善と制度の持続可能性向上

高所得者の保険料増加により、年金財政が改善され、年金制度全体の安定化に寄与します。上限を引き上げることで、高所得者はこれまでより多くの保険料を納めることになり、その分、年金制度を通じて、収入が少ない人にも安定した年金が支給される仕組みが強化されるのです。

さらに、標準報酬月額の上限引き上げによって保険料収入が増えることで、将来世代の年金受給水準全体を底上げする効果が見込まれます。総じて、公的年金制度の持続可能性を高めることになるでしょう。

高所得者の厚生年金保険料上げ

出典:厚生労働省|標準報酬月額の上限

高所得者の厚生年金保険料上げによる影響

ここでは、高所得者の厚生年金保険料上げが、従業員や企業にどのような影響があるのか、具体的なイメージを掴みます。

厚生年金保険料負担額の増加

標準報酬月額の上限引き上げにより、対象となる従業員一人あたりの厚生年金保険料負担が段階的に増加します。現在、標準報酬月額が上限(65万円)の従業員の例で見ていきましょう。

第1段階(65万円→68万円)

  • 増加額: 3万円 × 18.3% = 5,490円
  • 従業員・企業負担分(労使折半後): 2,745円/月
  • 従業員・企業年間負担増:32,940円

2027年9月の第1段階では、月額で2,745円、年額で32,940円の負担増となります。

第2段階(68万円→71万円)

  • 増加額:3万円 × 18.3% = 5,490円
  • 従業員・企業負担分(労使折半後): 2,745円/月
  • 従業員・企業年間負担増:約32,940円

2028年9月の第2段階では、月額で2,745円、2027年と同じく年額32,940円の負担増です。

第3段階(71万円→75万円)

  • 増加額:4万円 × 18.3% = 7,320円
  • 従業員・企業負担分(労使折半後): 3,660円/月
  • 従業員・企業年間負担増:43,920円

2029年9月の第3段階では、月額で3,660円、年額で43,920円の負担が増えます。

最終的な負担の総増加額

第3段階までを足すと、従業員・企業それぞれで最終的には以下です。

  • 月額:約9,150円/人
  • 年間:約109,800円/人

従業員の手取りは約9,000円少なくなり、年間では11万円近くにも上ります。物価高に賃上げを、と叫ばれる中、2年後に年間約11万円の手取り減少です。家計への負担は無視できません。

企業全体への影響も見てみましょう。

  • 対象従業員5人の場合:年間約54.9万円
  • 対象従業員10人の場合:年間約109.8万円の負担増
  • 対象従業員50人の場合:年間約549万円の負担増
  • 対象従業員100人の場合:年間約1,098万円の負担増

高給与の従業員が多い企業ほど、企業財政への影響が大きくなります。中小企業で高給与の役職員が多い場合、相対的な負担感は大きくなります。

将来の年金受給額への好影響

標準報酬月額の上限引き上げにより、保険料の負担が増加する一方で、従業員の将来の年金受給額は増加します。改定後の標準報酬月額で20年間保険料を納付した場合、月額約1万円の年金額増加が見込まれる見解もあるようです。

増加額の月額約1万円は、現役時代の手取り減少額(月額約9,150円)を上回り、長期的には経済的にプラスとなります。また、年金は生涯にわたって受け取ることから、生涯収入として考えると利益となる可能性があります。

出典:日本経済新聞|厚生年金保険料の上限上げ、29年9月まで3段階に 厚労省

企業における実務対応

上限引き上げへの対応として、給与システムの改修は避けられません。標準報酬月額の上限変更や段階的実施に対応するためには、システム変更が必要になります。複数回の改定が予想される中での、IT部門や外部ベンダーとの調整は、負担になるでしょう。

人事・労務面では、手取り額減少について従業員へ丁寧な説明が求められます。手取り減少に対する問い合わせには、備えが肝心です。場合によっては、就業規則や給与規程の見直しも必要になるでしょう。

雇用・人事戦略への影響

厚生年金保険料負担の増加により、人件費予算の見直しは必須です。給与体系の再検討、採用計画の調整、昇給制度の変更などの対策が必要になります。特に高所得層への負担増は、人材配置や処遇に影響し、企業の中長期的な人事戦略全体の再構築を迫る可能性があります。

関連記事:【社労士監修】厚生年金保険料の上限引き上げへ|改定の詳細と企業への影響を解説

「高所得者の厚生年金保険料上げ」企業ができる対策

試算によれば、最終的な負担増は月額9,150円/人、年間約11万円/人に上ります。この負担増に対して、企業が取り組める対策を紹介します。

企業型確定拠出年金制度の導入

企業型確定拠出年金は、厚生年金保険料の上限引き上げに対する効果的な対応策です。制度の最大の強みは、企業が従業員の年金口座に直接拠出する資金が給与所得とみなされないため、標準報酬月額に算入されない点にあります。

掛金と運用益は非課税で積み立てられ、将来一時金として受け取る際には退職所得控除が適用されます。特に長期勤続の高所得者ほど控除額が有利になる可能性がある仕組みのため、税制上の優遇効果が高く、企業と従業員の双方にメリットをもたらします。

参考:国税庁|No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)

実質手取りが増える福利厚生の活用

非課税となる福利厚生には手取り減少をカバーする効果があるため、保険料負担増の対策として有効な選択肢です。一定の条件を満たした福利厚生は、損金として経費計上でき、加えて、非課税枠活用にもなります。具体的には以下があります。

  • 食事補助
  • 生活出費を低コストで提供
  • 家事代行サービスの提供

従業員は給与で還元されるよりも実質手取りが増え、企業は全額を経費扱いにできるため、税負担の軽減が可能です。企業にも従業員にもメリットがあり、「第3の賃上げ(※)」としても注目されています。

※エデンレッドジャパンが提唱する家計の負担軽減を果たし、“実質手取りを増やす”ことができる福利厚生サービスを活用した“賃上げ”のこと。

“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト

実質手取りが増える食の福利厚生「チケットレストラン」

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、厚生年金保険料の上限引き上げによる手取り減少対策としても活用できる、食の福利厚生サービスです。仕組みが複雑な食事補助の非課税枠の活用を、サービス導入で簡単に実現できます。物価上昇、賃上げ、春闘などが話題になる中、各種メディアは福利厚生で実質手取りを増やせる「第3の賃上げ」の仕組みに注目し、報道を重ねています。

【2025年メディア情報】

  • 1月:TBS「Nスタ」
  • 2月:読売テレビ「そこまで言って委員会」、日経ビジネス(紙面・オンライン)、テレビ愛知「5時スタ」、中部日本放送CBC「チャント!」、NHK名古屋「まるっと!」、中部経済新聞(紙面・オンライン)、TBS「THE TIME,」、名古屋テレビ「ドデスカ+」
  • 3月:日本テレビ「news every.」 、TBS「Nスタ」、TBS「ひるおび」、日本テレビ「ストレイトニュース」、日本テレビ「news every.」、日本テレビ「news ZERO」、大阪プレスイベント 誘致メディア(読売新聞など)、ラジオ放送「和田麻実子のみみよりだんご」

チケットレストランの導入メリット

食事補助などの福利厚生を導入した場合、一定の利用条件下であれば所得税が非課税になるため、実質手取りを増やすことが可能です。特に社会保険料負担が増加する高所得者層においても、非課税の福利厚生であれば標準報酬月額に影響せず、手取り減少を補填する効果が期待できます。

導入コストが比較的少額で済むため、予算に余裕がない企業でも取り組みやすいのもメリットです。

すでに3,000社以上が「チケットレストラン」を導入しており、毎日20万人が利用中です。従業員一人ひとりがコンビニやファミレス、牛丼チェーンなどで、ランチや飲み物の購入に活用しています。保険料負担増に備えた「第3の賃上げ」としても、今後さらに導入企業が増加する見込みです。

関連記事:チケットレストランの加盟店は全国25万店舗以上!使えるお店を確認

高所得者の厚生年金保険料引き上げへの備えを実践

厚労省は2027年9月から高所得者(標準報酬月額65万円、年収798万円以上)の厚生年金保険料を3段階で引き上げる方針です。最終的に上限は75万円となり、対象者(加入者の約6%)と企業の双方に月額約9,150円、年間約11万円の負担増が発生します。

対策としては、給与と賞与のバランス見直し、企業型確定拠出年金の導入などが効果的です。また「チケットレストラン」のような一定の利用条件を満たせば所得税が非課税になる食事補助の福利厚生を活用すれば、従業員の実質手取りを増やしながら企業の税負担を軽減することができます。

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参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~

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