身近に外国人労働者を見かける機会が増え、介護業界でも外国人介護士の存在が一般的になりつつあります。本記事では、介護サービスを提供する企業が外国人介護士を受け入れる際のメリット・デメリットを整理し、注目を集める福利厚生戦略について解説します。
外国人介護士受け入れの現状
統計では、外国人介護士数も外国人介護士を受け入れる事業所数も、着実に増加しています。厚生労働省の「外国人雇用状況」届出状況まとめによると、2023年10月末時点で社会保険・社会福祉・介護事業の分野で就労する外国人の数は66,660人(前年比約12,500人の増)です。外国人雇用事業所数の統計では、医療、福祉関係の事業所において、1年あたり約2,000程度で増加しています。
年度 | 外国人労働者数(社会保険・社会福祉・介護事業) |
2021年 | 41,189人 |
2022年 | 54,161人 |
2023年 | 66,660人 |
出典:「外国人雇用状況」届出状況まとめ(令和5年10月末現在)、「外国人雇用状況」届出状況まとめ(令和4年10月末現在)、「外国人雇用状況」届出状況まとめ(令和3年10月末現在)
出典:「外国人雇用状況」届出状況まとめ(令和5年10月末現在)
外国人介護士を受け入れる背景
日本の介護分野における外国人材の受け入れは、深刻な人材不足への対応策として急速に進んでいます。厚生労働省の「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、2026年度には25万人、2040年までに約57万人の介護職員が不足すると予測されており、地方の介護施設では既に人材確保が困難な状況に直面しています。
外国人介護士は年齢が若いことも多いため、夜勤や休日シフトにも柔軟に対応することが可能です。不足する日本の労働力を補うための貴重な戦力として期待されています。
出典:厚生労働省|第9期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について(令和6年7月12日)
こうした背景から、政府は以下のような総合的な介護人材確保策に取り組んでおり、外国人材の受け入れ環境の整備も施策の一つです。
- 介護報酬改定による介護職員の処遇改善
- 外国人介護士活用による多様な人材の確保・支援
- テレビやSNSを活かした取り組みによる介護職の魅力向上
- 介護ロボットやICT活用による離職防止・定着促進・生産性向上
- 留学生支援による外国人材の受入環境の整備
出典:厚生労働省|総合的な介護人材確保対策(主な取組)
外国人を介護人材として受け入れる4つの制度
外国人を介護人材として受け入れる方法には、以下4つの制度があります。
出典:厚生労働省|外国人介護人材受け入れの仕組み
EPA(経済連携協定)|2国間の経済連携の強化
日本の経済連携協定(EPA)による受け入れ制度は、2008年のインドネシアを皮切りに、2009年のフィリピン、2014年にベトナムとの協定により創設されました。目的は相手国との経済的連携を深めることで、人材確保のためではありません。
EPA介護福祉士候補者は来日後、最大4年間の期間内に国家資格「介護福祉士」の取得を目指します。候補者は母国で介護士として認定を受けているため、受け入れ後は即戦力としての活躍が期待できます。
日本での介護福祉士資格取得を見据えているため、入国にあたっては日本語能力試験の合格が要件の一つです。国家資格取得後は、在留資格が「介護」に切り替わることで、継続的な就労が可能です。
出典:厚生労働省|EPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補者の受入れについて
在留資格「介護」|専門的・技術分野の外国人受け入れ
2017年より、日本の介護福祉士養成施設を卒業し、介護福祉士国家資格を取得した留学生は、在留資格「介護」により介護福祉士として働くことができます。在留資格「介護」では、介護業務に加えて、介護の指導業務に従事することも可能です。
また、2020年4月1日からは制度が拡充され、3年以上の実務経験を経て介護福祉士国家資格を取得した方も、在留資格「介護」への切り替えが可能となりました。
出典:在留資格「介護」について
「技能実習」制度|本国への技術移転
介護分野の外国人技能実習制度は2017年11月より新設された制度であり、介護サービスの質を確保しつつ、技能向上を通して発展途上国をはじめとする諸外国を支援することが目的です。不足する労働力の確保のためのものではありません。
在留期間には期限があり、「技能実習1号」は1年、「技能実習2号」は3年、「技能実習3号」は5年です。最長5年間の就労が可能となります。2019年より、「技能実習3号」の取得後、最長在留期間5年間の「特定技能1号」への移行が可能となりました。技能実習との組み合わせにより、最長10年間の在留も可能です。この資格の内容について、詳しくは次に説明します。
出典:厚生労働省|介護職種の技能実習制度について
出典:厚生労働省|介護分野における特定技能外国人の受け入れについて
特定技能1号|人手不足対応のための専門技術のある外国人の受け入れ
2019年に人手不足対策として新設された特定技能1号は、一定の専門性や技能を有する外国人材を受け入れる制度です。介護分野もその対象となっています。
介護分野での在留期間は、最長5年間です。5年を超えて就労を継続する場合、介護福祉士の国家資格を取得し、在留資格「介護」への移行が必要となります。なお、訪問系のサービスはこの制度の対象外です。
出典:厚生労働省|対象施設
外国人介護士を受け入れるメリット
外国人介護士を受け入れるメリットを見ていきましょう。
人手不足解消
外国人介護士を受け入れる最大のメリットは人手不足解消です。前述の厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」のとおり、今後介護の担い手は不足の一途を辿ります。同資料別紙「介護職員数の推移」では介護職員数が2021年211.9万人、2022年215.4万人と徐々に増えていることも示されていますが、高い需要には追いつけていません。
日本で働きたい外国人には若手が多く、介護のように体力が求められる職場での活躍に期待ができます。条件次第では地方での採用も可能な点もメリットです。
出典:厚生労働省|介護職員数の推移
国際貢献
「技能実習」制度によって外国人介護士を受け入れることで、日本にいながら国際貢献することが可能です。日本の介護現場で学んだ技術や知識を母国に持ち帰り、柱となって自国の発展を促してもらえます。
長期的な就労の可能性
在留資格「介護」のように特定の在留資格を持つ外国人介護士であれば、長期的な雇用が可能です。人手不足の介護業界では、安定した人材確保につながることがメリットです。
多様性の促進
異なる文化的背景や考え方を持つ外国人介護士との関わりで、多様性への理解が深まり、新しい視点やアイデアが生まれる可能性があります。外国人介護士による新しい考え方が、職場環境の改善を促すきっかけになるかもしれません。
意欲の高い人材の活躍
母国を離れ意欲高く働く外国人介護士の活躍は、日本人職員の働くモチベーションを高めることにもつながります。職場が活気づき、介護事業所全体での生産性向上、サービスの質向上が期待できます。
外国人介護師を受け入れるデメリット
メリットに続いて、外国人介護士を受け入れるデメリットを見ていきましょう。
帰国の可能性
「技能実習」の場合、技術移転が制度の目的であるため、一定期間後の帰国が前提です。育成に時間を投資し、現場での活躍が期待されるタイミングで帰国することもありえます。一方で、介護福祉士国家資格の取得などの要件を満たすと在留資格「介護」へと移行ができ、継続的な就労の道も開かれています。
離職の可能性
外国人介護士は、受け入れ体制を整え、丁寧な支援を行っても離職するケースがあります。母国では転職がキャリアアップの手段として前向きに捉えられていることも一因です。ただし、働きやすい職場環境や適切な待遇を整えることで、長期的に活躍してもらえる可能性も十分にあります。
コミュニケーション支援が必要
外国人介護士の日本語能力に応じて、利用者とのコミュニケーションに課題が生じる場合があります。介護は利用者の日常生活に密接に関わる仕事であり、細かなニーズを理解し対応することが重要です。日本語能力が不足していると、必要な情報の伝達がされないなどのトラブルが起きかねません。そのため、円滑なコミュニケーションのためには、職場での丁寧なフォローアップが必要となります。
外国人介護士の受け入れで企業ができること
言葉や文化的背景が異なる外国人介護士の活躍に向け、企業が支援できることを見ていきましょう。
教育や研修によるサポート
外国人介護士が日本の現場で活躍するためには、職場への定着支援が重要です。専門的な介護技術の研修に加え、日本語教育の継続的なサポートや、介護現場特有の文化・慣習への理解を深める研修を行いましょう。とくに、敬語を含む日本語の使い分けは、習得に時間を要する課題の一つです。きめ細かな職場サポートを通して、チームの一員としての意識を育み、長期的な活躍を支援します。
働きやすい環境づくり
外国人介護士が自身の文化や信仰を大切にしながら働ける環境を整えます。一時帰国のための長期休暇取得など、柔軟な勤務体制の整備も求められるでしょう。また、住居のサポートや食事面への配慮など、充実した福利厚生の提供により、安心して働き続けられる職場づくりを進めることが大切です。
日本人職員への理解促進
外国人介護士の受け入れを成功させるには、日本人職員の適切な理解と積極的な協力が不可欠です。
外国人介護士の多くは母国での介護経験があり、日本の介護技術の習得や資格取得を目指しています。この向上心を活かすため、職員全体で来日目的を共有し、協力して育成する体制づくりが重要です。
また、円滑な業務遂行のため、以下のようなコミュニケーションの工夫も求められます。
- 専門用語や略語を避け、平易な表現を使用
- ゆっくりと分かりやすく話す
- 重要な指示は文書や図で示す
外国人介護士の採用と定着を支える福利厚生
外国人介護士の採用・定着に向けて、多くの介護施設が住宅補助や資格取得支援など、手厚い福利厚生の提供に力を入れています。しかし、支援における課題も浮かび上がっています。
経費負担が企業の最大の課題に
全国老人福祉施設協議会の「令和4年度外国人介護人材に関する実態調査結果」によると、外国人介護士の受け入れにより「経費(給与+α)が予想以上にかかる」という回答が全体の約35%を占め、最も多い悩みとして報告されています。支援を充実させたいという思いと、増加する経費の間で、多くの事業所が難しい判断を迫られているようです。
出典:全国老人福祉施設協議会|令和4年度外国人介護人材に関する実態調査結果
福利厚生の新しいアプローチ「チケットレストラン」
このような状況下で注目されているのが、コスト効率が高く、かつ効果的な福利厚生の仕組みづくりです。その具体的な解決策の一つとして、エデンレッドジャパンによる食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」が挙げられます。
関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も
「チケットレストラン」が外国人介護士の福利厚生におすすめな理由
「チケットレストラン」は日本人職員はもちろん、外国人介護士も喜ぶ食の福利厚生サービスです。
24時間対応で利便性が高い
介護現場特有の勤務シフトに柔軟に対応できます。全国25万店舗以上の加盟店があり、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンなどの24時間営業のコンビニチェーンでの利用が可能です。深夜勤務前など、いつでも食事を確保できる環境は、さまざまな時間帯で働く外国人介護士の生活を強力にサポートします。
企業側の運用メリット
導入時はICカードの配布のみ、運用も月1回のチャージ作業だけと、管理の手間を最小限に抑えられます。さらに、企業が負担した費用は福利厚生費として計上可能で、適切な税務処理による税のメリットにつなげられます。
従業員視点で手取り増のメリットも
導入企業における93%という高い従業員満足度は、従業員からの評価の証です。また、一定の利用条件下において非課税運用が可能のため外国人介護士の手取り額を実質的に増やせます。
GuidableMarketingによる101名の在留外国人アンケートでは、在留外国人の半数以上が週に数回、または毎日コンビニを利用することが分かりました。外国人ニーズを満たす身近な支援となる「チケットレストラン」は、福利厚生の実感度も高く、働く意欲の向上にもつながります。
チケットレストランを外国人従業員に支給している企業様例:日免オートシステム株式会社
出典:GuidableMarketing|101名の在留外国人アンケート
外国人介護士に選ばれる職場づくりを推進
外国人介護士の受け入れは、介護分野における人材確保の重要な選択肢となっています。採用と定着を成功させるためには、適切な支援体制の構築が不可欠です。
この課題を解決する方法の一つが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。企業の運用効率と従業員満足度の両立を実現する福利厚生として注目を集めています。外国人介護士から選ばれる魅力的な職場づくりを「チケットレストラン」で始めてみませんか。
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