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人材戦略とは?4つの要素と立案に役立つフレームワークを解説

人材戦略とは?4つの要素と立案に役立つフレームワークを解説

2024.10.03

人材戦略とは、経営目標を達成するために取り組む人材面の戦略のことです。具体的にはどのような点に注目して実施するのでしょうか?これから人材戦略を立案し実行する企業に役立つよう、人材戦略の4つの要素や、実施するときの手順を紹介します。経営戦略と連動した人材戦略について示している「人材版伊藤レポート2.0」の内容についても見ていきましょう。

人材戦略とは

人材戦略とは、企業が事業を実施するために欠かせない、人材に関する戦略のことです。経営目標を達成するには、そのために必要な人材戦略は何かを明確にして、実践する必要があります。

例えば経営目標を達成するために必要なスキルを持つ人材が自社に在籍していない場合に、そのスキルを持つ人材を採用する、自社の人材にスキルを習得させるといった方法で、スキルを持つ人材を確保するのが人材戦略です。

人材戦略と経営戦略の関係

人材戦略も経営戦略も、経営目標達成のために必要な戦略です。ただし経営目標を達成するには、2つの戦略が連動していなければいけません。

人材戦略と経営戦略に矛盾が生じていると、必要な人材が不足する、スキルを持った人材が必要な部署に配置されない、といったことが起こります。

不満を持った従業員が離職を選ぶことにより、人材定着率の低下を招くこともあるでしょう。

人材戦略と人事戦略との違い

人材戦略は経営戦略に基づいて、どのような人材が必要か、どのようにその人材を確保するのか、確保した人材をどのように育成するのか、その人材をどこへ配置するのか、に関する戦略を立てることをさします。

一方、人事戦略は採用・育成・配置などの人事に関する業務を改善して、組織の生産性を高めるための戦略です。日々行う人事管理にまつわる具体的な方法論でもあります。

目標達成の道筋にあたる人材戦略を実行するときの、具体的な施策が人事戦略と考えるとよいでしょう。

人材戦略の目的

人材戦略を立案した上で人事に関する取り組みを実行に移すのは、自社にとって必要な人材を確実に確保して、経営目標達成のために人材が能力を最大限発揮できるようにする必要があるためです。

ここでは人材戦略の目的を見ていきましょう。

人材定着率アップや離職率低下のため

経営目標を明確にして動き出そうとしても、必要な人材がいなければ企業は機能しません。設定した経営目標を達成するには、人材戦略によって目標達成に必要な人材の離職を防ぎ、定着率アップを実現する必要があります。

人材定着率アップや離職率低下を実現するために必要な施策を検討し、実行するのも人材戦略の役割です。

人材確保に「効く」事例集」によると、人材定着率が低く離職率が高いときには「入社後のフォロー」「人員配置」「キャリアパス」「人事評価」「モチベーションアップにつながる制度」「教育制度」に課題があると考えられます。

どこに課題があるのかを明確にして、課題への対策を検討・実施することも、人材戦略において必要なポイントです。

参考:厚生労働省|人材確保に「効く」事例集

関連記事:人材定着は何に取り組むべき?定着しないときの課題と施策を確認

タレントマネジメントを行うため

自社にいる従業員のスキルや適性などを把握した上で、適切な育成を行い、スキルを活かせる部署へ配置することをタレントマネジメントといいます。

人材戦略の一環としてタレントマネジメントに取り組むことで、従業員の持つ能力を最大限に活用し、経営目標の達成につながっていく施策です。

タレントマネジメントを実施すると、企業は従業員のスキルや適性に合うキャリアを提供しやすくなります。

仕事に対する従業員のモチベーションが上がることで効率的に仕事が進みやすくなりますし、企業に対する満足度が高まることで従業員の自発的な行動を促すエンゲージメントの向上にもつながる取り組みです。

人材戦略を構成する4つの要素

人材戦略は「採用」「育成」「配置」「定着」の4つの要素に分類できます。具体的には何を検討し実行していくのでしょうか。要素ごとに解説します。

採用

経営目標の達成に向けて必要な人材を確保するのが採用です。どのような人材が必要かを明確にした上で、その人材を見つけ出す方法や採用する方法を検討します。

例えば新卒採用なのか経験者の採用なのか、どこに求人を掲載するのか、採用イベントへ参加するのか、SNSによる採用を強化するのか、などです。

求職者に対してアピールする内容も精査します。採用したい人材が興味を示し「入社したい」と感じるアピールの仕方を選びましょう。

適切な採用方法を選ぶことで、自社が必要としている人材の確保につながりやすくなります。

育成

人材を採用したら、スキルを育みキャリアを形成するための育成が必要です。採用直後の研修はもちろん、その後も定期的な研修でスキルや知識のブラッシュアップをはかりましょう。

従業員一人ひとりの能力や希望に合わせたキャリア支援も必要です。従業員がどのようなキャリアを希望しているのか、そのキャリアの実現に向けてどのような経験やスキルの獲得が必要なのか、そのために今何に取り組むべきなのか、といった点を明確にして必要な研修を受け経験を積めるように調整します。

育成に取り組むときには、目標を立てて評価を行うことも意識しましょう。定期的なフィードバックを実施し、成長の度合いや目標への進捗を明確にすることも重要です。

従業員の適性に合わせた育成を実施することで、定着率アップや離職率低下にもつながります。

配置

従業員を配置するときには、能力や適性はもちろん従業員の希望も考慮した上で、企業のニーズと合わせて決定します。配置したあとは、評価とフィードバックにより、期待した効果が出ているかを検証しましょう。

部署の状況や、従業員のスキルによっては、希望する配置を行うのが難しいこともあります。このようなときには、なぜ希望の配置ができないのか、希望の配置を実現するために何が必要で企業はどのような支援ができるのか、といった点を説明する機会を設けるとよいでしょう。

従業員の抱くキャリアの希望と、企業の経営目標が合致する配置を行うには、従業員とのコミュニケーションが欠かせません。

定着

採用し育成した従業員が離職すると、ここまでにかけたコストが無駄になります。加えて離職した従業員の持つスキル・ノウハウ・ナレッジなどが、社内から失われかねません。

このような事態を避けるには、従業員の定着に関する取り組みも必要です。離職を防ぎ定着率を上げるには、従業員が不満を持っている点がないか調査を行い、対策を実施する必要があります。

例えば従業員が自ら希望するポジションへ立候補できる制度や、希望する部署への異動を自己申告できる制度などを導入するのも、定着率を上げるために有効です。

人材戦略を立案するための4ステップ

人材戦略を立案するときには、4つのステップに沿って取り組むとよいでしょう。4つのステップについて、順番に見ていきましょう。

経営課題を明確にする

人材戦略を立案し実行するのは、経営目標を達成するためです。そのためには現時点での経営課題を明確にしなければいけません。

どのような課題があり、その課題を解消するためにはどのような人材戦略が必要なのかを検討しましょう。

経営戦略を明確にする

人材戦略と経営戦略が連携していなければ、経営目標の達成は難しいでしょう。経営目標を達成するために、経営戦略を把握することが重要です。

経営戦略の達成に必要な人材を明確にする

経営戦略を把握したら、そのためにどのような人材がどのくらい必要なのかを明確にしましょう。現在社内にいる人材で足りることもあれば、新たな人材を確保しなければいけないこともあります。

現場の状況も確認した上で、過不足なく必要な人材確保ができるように必要なステップです。

人材戦略の4つの要素に優先順位をつけて取り組む

どのような人材をどれくらい確保するか、という人材戦略の目標が明確になったら、どのような方法で目標を実現するか検討する段階です。

例えば特定のスキルを持つ人材を3人確保しなければならないとき、社内の人材を育成する方法と、スキルを持った経験者を採用する方法が考えられます。

社内の人材を育成すれば既に自社の事業に精通しているメリットがありますが、スキルの獲得までに時間が必要です。スキルを持つ経験者を採用すれば即戦力となりますが、事業理解や社風に馴染めるかといった懸念点もあります。

それぞれの方法のメリット・デメリットを確認しつつ、4つの要素のどこに焦点を当てて取り組むかを決めて、実行に移しましょう。

人材戦略に役立つフレームワーク

人材戦略を考えるときにはフレームワークが役立ちます。考え方のポイントが明確になフレームワークを活用することで、人材戦略の立案がスムーズに進みやすくなるでしょう。

SWOT分析

SWOT分析とは、外部環境・内部環境、プラス要因・マイナス要因の組み合わせからなる以下の4つの要素により、企業の置かれている現状や、抱えている課題などを明確にするフレームワークです。

 

プラス要因

マイナス要因

内部環境

Strength(強み)

Weakness(弱み)

外部環境

Opportunity(機会)

Threat(脅威)

人材戦略に活用するときには、今いる人材の持つ能力・必要な人材と現状の人材との差・業界の人材採用の動向・同業他社の状況などを分析するときに用いられます。

TOWS分析

TOWS分析とはクロスSWOT分析ともよばれているフレームワークで、SWOT分析の要素を掛け合わせることで、より具体的な戦略立案につなげる手法です。内部環境の要素2つと、外部環境の要素2つを掛け合わせていき、以下の4通りの分析を行います。

  • 機会(Opportunity)×強み(Strength)
  • 機会(Opportunity)×弱み(Weakness)
  • 脅威(Threat)×強み(Strength)
  • 脅威(Threat)×弱み(Weakness)

例えば、今いる人材の強みを活かしつつ新たな人材を獲得するにはどうすればよいか、今ある課題を解消して脅威に対抗するにはどうすればよいか、といった分析が可能です。

ロジックツリー分析

ある課題をツリー状に整理していくことで、論理的な戦略立案を可能にするのがロジックツリー分析です。整理していくときには、大きな項目から小さな項目に枝分かれさせて、階層にしていきます。

1つの課題を深掘りしていくとき、論点がずれることなく解決策を見つけやすいのが特徴のフレームワークです。

人材戦略では、課題を明確にするときに用いるとよいでしょう。例えば「離職率が高い」という課題を抱えているときに、ロジックツリー分析で深掘りすることで、何が原因で離職率が上がっているのかが明確になってきます。

原因を特定することで、有効な対策を立てやすくなる方法です。

人材版伊藤レポート2.0の人材戦略

人材戦略についてより深く理解するために、経営戦略と連動した人材戦略をどのように実践するのかという点について解説している「人材版伊藤レポート2.0」についても解説します。

人材を企業の運営に欠かせない資本として捉える人的資本経営においても、人材戦略は重要な取り組みです。「人材版伊藤レポート2.0」では、重要性を増す人的資本経営の実現に向けて、具体的にどのような取り組みが有効かを示しています。

参考:経済産業省|人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~人材版伊藤レポート2.0~

人材戦略に求められる3つの視点と5つの共通要素

人材版伊藤レポート2.0」では、経営戦略と連動した人材戦略には、以下に示す3つの視点と5つの共通要素があることを示しています。

3つの視点

5つの共通要素

・経営戦略と人材戦略の連動
・As is- To beギャップの定量把握
・企業文化への定着

・動的な人材ポートフォリオ
・知・経験のダイバーシティ&インクルージョン
・リスキリング、学び直し
・従業員エンゲージメント
・時間や場所にとらわれない働き方

経営戦略と人材戦略を連動させるための取り組みが重要

人材戦略には3つの視点と5つの共通要素がありますが、最初から全てに取り組むのは難しいでしょう。これから人材戦略に取り組むというタイミングでは「経営戦略と人材戦略の連動」をまず意識することが重要です。

経営戦略と人材戦略を連動させるための具体的な施策として「人材版伊藤レポート2.0」では以下を紹介しています。

  • 経営陣として人材戦略の策定と実行を行う責任者であるCHROを設置する
  • 経営戦略の進行を妨げる人材面の課題を明確にする
  • 人材戦略のゴールとなる指標(KPI)を設定し、その背景を説明する
  • 人事部門と事業部門の役割分担を見直し、人事部門の組織力を高める
  • 将来的に重要なポストに欠員が出ないよう、候補者を適切に管理する
  • 次期リーダーの指名が適切に行われるよう、指名委員会委員長へ社外取締役を登用する
  • 役員報酬へ人材に関するKPIを反映する

これらに順に取り組むことで、経営戦略と人材戦略が連動して機能するようになります。

従業員エンゲージメントを高める取り組み

人材版伊藤レポート2.0」の3つの視点と5つの共通要素の中では、経営戦略の実現に必要な要素として従業員エンゲージメントの向上についても触れています。

高い従業員エンゲージメントの実現は、企業が業績アップを目指すときに必要となる、従業員が個々の能力を存分に発揮してやりがいを実感しつつ、主体的に行動できる環境につながる取り組みです。

従業員エンゲージメントの向上を目指すには、まず現時点での従業員エンゲージメントのレベルを把握しましょう。レベルの把握は継続的に行うことで、取り組んだ施策の効果測定も行います。

次に従業員ごとのエンゲージメントレベルに応じた提案を個別に行います。エンゲージメントレベルが高い従業員には成長につながる提案を実施するのが有効です。

エンゲージメントレベルの低い従業員には、キャリアの意向を確認した上で、適切な提案を行うと、エンゲージメントレベルの向上が期待できます。

社内のポジションの公募制や、副業・兼業などの多様な働き方の推進も、従業員エンゲージメントの向上につながる取り組みです。

加えて従業員の健康を経営の視点で捉えて、計画的・継続的に取り組む健康経営も実施するとよいでしょう。従業員の健康に役立つ取り組みが、よりよい企業イメージや従業員の生産性アップに役立ちます。

併せて従業員が心身ともに良好な状態(Well‐being)を実現できるよう配慮することも、従業員エンゲージメントの向上を目指すときに重要な視点です。

健康経営につながる「チケットレストラン」

人材戦略と経営戦略の連携の重要性について触れている「人材版伊藤レポート2.0」では、従業員エンゲージメントを高めて経営戦略を達成するための方法として、健康経営やWell‐beingにも注目しています。

健康経営やWell‐beingに取り組むには、エデンレッドジャパンの提供している食の福利厚生サービス「チケットレストラン」が有効です。ここでは「チケットレストラン」の特徴や、健康経営につながった導入事例を紹介します。

食事補助で従業員の健康をサポート

食の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、企業が従業員の食事をサポートする仕組みです。

エデンレッドジャパンが2024年に実施した「ビジネスパーソンのランチ実態調査2024」によると、2024年の平均ランチ代は424円です。2023年の400円と比べると、物価高の影響が出ていると分かります。

この影響でランチ代に使える金額は3人に1人が減っているのが現状です。さらにランチを食べずに欠食する割合は26.7%と過去最高でした。

ランチを食べずに午後の仕事に取り組むことで、集中力の低下を実感している人もおり、仕事に影響が出ていることが分かります。

食の福利厚生サービス「チケットレストラン」で食事補助を提供すれば、従業員が十分な食事をとれるようになります。従業員の健康をサポートする健康経営につながる取り組みといえるでしょう。

関連記事:エデンレッドジャパン|歴史的賃上げでも…8割以上が「お小遣いが増えていない」!「ビジネスパーソンのランチ実態調査2024」

食事代のサポート実質的な手取り額もアップ

食の福利厚生サービス「チケットレストラン」で食事補助を支給すると、食事代の負担が減る分、従業員が自由に使える給与を増やせます。

加えて食事補助は一定の要件を満たすと、支給しても従業員の税負担を増やしません。同額の賃上げと比べると、税額に変化がない分、手取り額アップを実感しやすい福利厚生でもあります。

関連記事:パート・アルバイト・契約社員 にも「第3の賃上げ」を!ラウンドテーブルを開催~“年収の壁”を抱える非正規雇用にも、福利厚生で実質手取りアップを実現~

「チケットレストラン」の導入が健康経営につながった事例

<企業概要>
企業名:SKソリューション株式会社
事業内容:オムロンFA用制御機器、システム機器、ソフトウェアの販売各種制御機器、周辺機器の販売など
従業員数:75人 ※2024年6月時点
URL:https://www.sk-solution.co.jp/

SKソリューション株式会社では、導入していた福利厚生制度の利用率が10%と低かったため、対象となる従業員が平等に利用できる福利厚生を探していました。食の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入すると、福利厚生の利用率は82%と大きく向上したそうです。

また職場周辺の飲食店では物価高の影響からメニューの値上げが行われていますが、企業が食事代をサポートする「チケットレストラン」があることで、ワンランク上のメニューを頼む従業員や、健康を意識したドリンクやサラダをプラスする従業員が増えています。

チケットレストラン」の導入が健康経営につながっている事例です。

詳細な導入事例はこちら:SKソリューション株式会社

人材戦略は経営戦略との連動がポイント

人材戦略を成功へ導くには、最終的な経営目標を実現するための経営戦略との連動が重要です。「人材版伊藤レポート2.0」においても、人材戦略に取り組むときには、経営戦略との連携から始めることの重要性が指摘されています。

併せてポイントとなるのが、従業員エンゲージメントの向上です。従業員エンゲージメントの向上には、人材の育成や配置などの人材戦略上の施策に加えて、健康経営やWell‐beingも意識しましょう。

例えばエデンレッドジャパンの提供する食の福利厚生サービス「チケットレストラン」の導入も、健康経営やWell‐beingにつながる取り組みです。人材戦略を始めるときには、同時に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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