自社の離職率が高い場合、職場環境・企業風土・福利厚生などに問題があるかもしれません。この記事では、以下の内容などを通して、離職率が高い原因を詳しく解説していきます。
・離職率の基礎知識
・離職率が高いと生じるデメリット
・離職者が多い原因
・離職率を下げる施策
人材確保や企業のイメージアップなどを目的に、自社の離職率を下げたい企業の人事担当者の方など、ぜひ参考にしてください。
離職率とは?
厚生労働省の雇用動向調査では、離職率を以下のように定義します。
【離職率】
常用労働者数に対する離職者数の割合のこと。
「離職率 =離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100%」の計算式で算出できる。
たとえば、1月1日時点で100名の従業員が在籍しており、年度の途中で13人が退職するとします。この場合の離職率は「13人÷100人×100%=13%」と計算し、離職率は13%です。なお、離職率は企業の目的に合わせて算出できます。新卒採用の場合「入社1年後」や「入社3年後」の離職率、転職の場合も同じく「入社1年後」「入社3年後」の離職率のように計算が可能です。
参考:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況 」
日本の離職率の現状
日本の離職率はどのくらいなのでしょうか。ここでは日本の平均離職率と業界別離職率について解説します。
平均離職率
厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況 」によると、令和4年の平均離職率は15.0%です。一般労働者(常用労働者のうち、パートタイム労働者を除いた労働者)での離職率は11.9%、パートタイム労働者の離職率は23.1%となります。
出典:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況 」
平成20年から令和4年までの離職率の推移についても見ていきましょう。最も低いのが令和3年度で13.9%、最も高いのが2009年度で16.4%でした。2008年9月15日に起きたリーマンショックの影響を受けたのが2009年です。令和3年では新型コロナウイルス感染症の影響が伺えます。離職率を考える上で大事になるのは、経済的・社会的な影響についても視野に入れる必要があることです。
出典:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況 」
業界別離職率
業界により、離職率は異なります。企業の離職率は、平均離職率だけでなく、業界別離職率とも比較することで、より実態に沿った比較ができます。厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況 」によると、令和4年度の業界別離職率は以下のとおりです。離職率は業界により、数10%以上もの差があることがわかります。
- 1位:宿泊業、飲食サービス業 26.8%
- 2位:サービス業(ほかに分類されないもの) 19.4%
- 3位:生活関連サービス業、娯楽業 18.7%
- 4位:医療、福祉 15.3%
- 5位:教育、学習支援業 15.2%
出典:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況 」
主な離職理由
離職者は、どのような理由で離職に至ったのでしょうか。厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況 」に公表されている「離職理由別離職率」によると、以下のとおり個人的理由が1位となりました。
- 1位:個人的理由 11.0%(男8.9%・女13.4%)
- 2位:契約期間の満了 1.9%(男1.8%・女2.0%)
- 3位:事業所側の理由 1.1%(男1.4%・女16.9%)
個人的理由とは、結婚・出産・育児・介護・看護・これらに該当しない個人的理由です。事業所側の理由としては、経営上の都合・出稿・出向先への復帰が該当します。退職理由の1位としては、個人的理由で女性の割合が高いことがわかります。
出典:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況 」
もうひとつ紹介したいのが、本当の離職理由についての調査結果です。2022年10月にエン転職が公表した「本当の退職理由」実態調査によると、企業に伝えなかった本当の退職理由の1位は「職場の人間関係が悪い」、2位「給与が低い」、3位「企業の将来性に不安を感じた」となりました。同調査では、企業に本当の退職理由を伝えなかった理由についても解説しています。1位「円満退社したかったから」、2位「話しても理解してもらえないと思ったから」、3位「言う必要がないと思ったから」という結果です。職場環境・処遇・企業の将来性へのケアが不足すると、離職率が高くなるという従業員の本音がわかります。
参考:エン転職「『本当の退職理由』実態調査」
離職率が高いとどうなる?デメリットを解説
ここからは離職率の高さをテーマに、まずはデメリットの側面を解説します。
1.コストが無駄になる
離職率が高いデメリットは、投資したコストが無駄になることです。これまで自社の研修・社外研修・資格取得のための研修などへ費やしてきた教育コストが無駄になります。さらに、新しい人材採用コストもかかるでしょう。
2.業務の進捗が悪くなる
業務に精通した従業員の離職は、業務効率を下げます。新たな担当者が同じスピードで業務できるまでに時間がかかるためです。
3.従業員のモチベーションの低下を招く
同僚や先輩など、近しい関係の従業員が退職することでモチベーションが下がるのも離職率が高いデメリットです。「引き継ぎにより業務負荷が増えた」など、実際的な負荷がモチベーションダウンに拍車をかけることになります。
4.企業のノウハウを蓄積しにくい
人材が流出すれば、これまで蓄積したノウハウも失います。「人が宝」と言われることもあるように、従業員は企業にとって資産です。優秀な人材の流出は、企業の成長にマイナスの影響を与えます。
5.企業のイメージダウンにつながる
離職により、新たな人材を募集します。しかし、頻繁に求人を出す企業は、求職者がよいイメージを抱きにくいようです。採用活動において、理由を問われたら答えにくい質問となります。離職により、担当者の変更も生じますが、相手方企業の担当者も頻繁に担当者が変わると悪いイメージを持つでしょう。
離職率の高さにつながる7つの原因|退職者が多い原因とは?
離職率が高くなる、すなわち退職者が多い原因について見てみましょう。
1.労働条件への不満
労働条件に対する不満は、離職率を上昇させることがあります。労働条件とは、労働契約の期間・勤務場所・始業時刻や就業時刻・給与水準・労働時間・労働環境・労働安全などです。労働基準法で、使用者が労働者に対して書面もしくは書面として出力できる形で明示することが義務付けられています。
【必ず明示しなければならないこと】
1.契約期間に関すること
2.期間の定めがある契約を更新する場合の基準に関すること
3.就業場所、従事する業務に関すること
4.始業・終業時刻、休憩、休日などに関すること
5.賃金の決定方法、支払時期などに関すること
6.退職に関すること(解雇の事由を含む)
7.昇給に関すること
上記以外に、定めをした場合に明示しなければならないこととして、退職手当や賞与に関することもあります。
参考:厚生労働省「労働基準法の基礎知識」より引用
2.キャリアを発展させられない環境
新しい業務への挑戦などを通じて、キャリアを発展させたい従業員の場合、希望通りのキャリアが叶わないことが要因で離職する可能性があります。
3.上司とのコミュニケーション不足
上司と十分にコミュニケーションできていないことも、離職につながります。自分の担当業務や企業の業績に対して、上司から適切なフィードバックがされないなどが上司とのコミュニケーション不足の代表例です。上司部下間のコミュニケーション不足は従業員エンゲージメント(従業員が企業理念に共感し、自発的に企業に貢献したいと思う意欲のこと)においてもマイナスとなります。
4.企業理念と従業員の価値観の不一致
エン転職「『本当の退職理由』実態調査」によると、本当の退職理由の第4位は「社風・風土が合わない」です。従業員の価値観と企業の価値観・文化がマッチしない場合、適応は難しいです。居心地の悪さから、離職の原因となることがあります。
5.福利厚生が充実していない
住宅手当、育児手当、食事手当など、給与にプラスされる福利厚生は従業員にとって大きなメリットです。全従業員が利用できるなど、転職検討先に自社にはないオリジナリティ溢れる福利厚生があれば、転職を前向きに考える要素になりえます。
6.ワークライフバランスが悪い
ワークライフバランスが悪い企業にありがちなのが、長時間労働や休日が少ないといった働き方です。プライベートが充実できない労働環境におかれた従業員は、従業員満足度の低下を肌で感じます。結果として、ワークライフバランスの悪さが離職を促進することになるでしょう。
7.評価への不満
従業員の自己評価よりも低い評価や給与であると感じると、業務へのモチベーションが低下します。そのため、離職率が上昇することがあります。
離職率が高い企業・職場5つの特徴
離職率が高い企業や職場には、いくつか共通する特徴があるようです。どのような特徴があるのか見ていきます。
1.長時間労働や残業が多い
退職理由でもよく挙げられるのが、業務量の多さや長時間労働についての不満です。人手不足の状況で、さらに従業員の労働時間を適切に勤怠管理できていない、固定の従業員へ業務が集中しがち、などの要素が加わると残業が増加します。
2.人事評価制度が不透明
離職率が高い企業には、人事評価制度の評価基準が曖昧だったり、基準が公表されていなかったりなど、なにかしらの問題を抱えている場合があります。職種によっては実績を数値化するのが難しいものの「頑張っても評価につながらない」状況は不満の種です。
3.従業員のモチベーションが低い
以下のような職場環境におけるマイナス要素が積み重なると、従業員のモチベーションの低さが顕著になります。
- 有給が取得しにくい
- 長時間労働が蔓延している
- 給与に不満がある
モチベーションが低い従業員が多ければ、自発的に企業に貢献する従業員も少ないため、従業員エンゲージメントも低い値で数値化されます。
4.教育制度が不十分
離職率が高い企業では、従業員教育制度が充実していない場合があります。業務に対するスキルアップ研修、マネジメントに関するリーダー研修など、従業員のステップアップを促進できる研修が乏しいと、従業員のキャリアアップにもつながりにくいです。
5.福利厚生が乏しい
福利厚生が少ないのは、人材の定着において好ましくありません。福利厚生とは、給与や賞与とは異なる形で支給する報酬のことであり、福利厚生が充実していると従業員に大きなメリットとなります。逆に福利厚生が乏しかったり、利用できるものが少なかったりすると、今の企業で長く働きたいモチベーションが生じにくいでしょう。
離職率を下げるための施策
離職率を下げるためには、どのような施策があるのでしょうか。ここでは「職場環境」「人事評価制度」「人材育成」という3つのポイントに絞って詳しく解説していきます。
1.職場環境を整える
従業員が働きやすい環境か振り返り、整備することで、結果的に離職率を下げることにつながります。
企業内コミュニケーションの活性化◎
前述したエン転職による「本当の退職理由」実態調査では、本当の退職理由の1位は「職場の人間関係が悪い」ことでした。職場のコミュニケーションを円滑にする施策も離職防止になります。職種や立場にかかわらず、従業員が会話・対話・討論できる機会を作るようにしましょう。
相談窓口を設ける◎
従業員の悩みについての相談窓口を設ける方法があります。メンター制度(他部署の先輩が新入社員の個別相談に応じる)の導入などであらかじめ相談窓口があれば、小さな悩みも気軽に相談しやすく、離職防止における効果が期待できます。
ワークライフバランスを整える◎
従業員にアンケートをとったり、ヒアリングするなどで、ワークライフバランスが整っているか確認しましょう。ライフイベントに柔軟に対応できているか、なども重要な観点です。
福利厚生を充実させる◎
従業員に喜ばれる魅力的な福利厚生を充実させましょう。住宅手当・育児手当などは該当する場合のみが利用できます。そういった意味では、全従業員が利用できる食事補助での福利厚生などが公平性が高く推奨されます。
2.人事評価制度を見直す
人事評価制度を明確にし、従業員が自信の評価や評価に基づく報酬に対して不満を持たない仕組みを構築しましょう。人事評価に関係する、就業時刻や休日など労働条件も不満になる要素がある場合は、解消に取り組んでください。
3.人材育成に継続的に力を注ぐ
上司が適切なマネジメント能力を備えていないことや、業務上スキルアップ可能な研修を受けられない、といった人材育成面における問題も、従業員が不満を持つ原因となります。前向きにスキルアップしたい従業員が多ければ、意欲を受け止めてくれないことで離職率を高める結果になります。企業の資産である従業員の育成に積極的に取り組みましょう。
全従業員が100%利用可能!実用的な福利厚生で離職防止
従業員が喜ぶ福利厚生を導入し、離職防止に取り組みたい企業には、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」が役立ちます。「チケットレストラン」は、ICカードの支払いを通じて従業員の食事代を半額補助できる福利厚生です。勤務地・勤務時間・職種・性別は問わず、全従業員が公平に利用できることから、導入により従業員が大きな期待感とインパクトを与えられます。
チケットレストランとは?
「チケットレストラン」は、ICカードを通じて直接的に食事を支援できる福利厚生です。サービスを導入した企業の従業員は、全国にある「チケットレストラン」の加盟店(※)であればどこでも、専用ICカードで決済ができます。従業員には、以下のようなメリットがあります。
- ランチ代が実質半額
- 98%の高い利用率
- 勤務環境を問わず公平に利用可能
- 実質手取りの増加
チケットレストランは、企業にも導入するメリットがあります。
- 運用方法が簡単
- 最短2週間で導入開始可能
※大手コンビニ・チェーン店・ファミレス・カフェなど全国25万店舗以上
【実用性】が注目されている「チケットレストラン」
「チケットレストラン」は、従業員の食事を直接支援でき、以下のような効果が見込めます。
◯従業員満足度向上
◯健康経営の促進
◯人材定着・人材確保
そのため、「チケットレストラン」は、離職防止施策としての取り組みにも役立つでしょう。また、インフレによる物価高において、従業員の手取り収入を継続的に増やせることでも注目されています。日本では、利用者の90%以上が食の福利厚生としての「チケットレストラン」が実用的である点を評価しました。ランチにサラダをプラスするなど、品数を増やして昼食を充実させられるためです。
参考:エデンレッドジャパン「エデンレッド・グローバル調査「FOOD Barometer(フードバロメーター) 2023 」を公開」
〜働き続けたい企業へ〜福利厚生で離職を防止
離職率が高い場合、従業員が企業に対してなんらかの不満を持っていることが根っこにある可能性が考えられます。長く働きたい企業として、従業員に選ばれるためには、現在の離職率と平均離職率を比較し、自社の離職率が高い原因を見つめ直すことが大切です。
職場環境や人事評価制度を整えることは大切ですが、全従業員が利用できる「チケットレストラン」のような福利厚生は、直接的な支援である点が従業員に大変喜ばれます。ぜひ、福利厚生で従業員の離職防止に取り組みませんか。