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エデンレッドブログ

-働く人と働きたい人のための福利厚生ブログ-

宿泊業界の人手不足問題とは?想定されるリスクと必要な対策

2023.11.14

外国人観光客の増加で、今後さらなる発展が期待される宿泊業界ですが、実は深刻な人手不足に陥っています。ここでは宿泊業界の人手不足の原因や社会的要因、今後の宿泊業界で人手不足を解消するための対策に加え、人手不足解消の一助となる福利厚生「チケットレストラン」を紹介します。

宿泊業界の現状

新型コロナウイルス拡大以前から2023年現在にかけての宿泊業界をとりまく状況を振り返り、宿泊業界がおかれている人手不足の現状について解説します。

データで見る宿泊業界の現状

JINTO(日本政府観光局)の日本の観光統計データによると、2000年には475万人であった訪日外国人数は2019年には約3,200万人に達し、宿泊業界においても外国人客による需要が高まりました。

その後、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下で、2021年には24万5000人にまで急減し、2023年から回復傾向にあります。緊急事態宣言下ではホテル・旅館の休業が相次ぎましたが、その後の「GoToトラベルキャンペーン」といった全国旅行支援をうけて、急激な需要超過の事態となりました。

じゃらんリサーチセンター出典:株式会社リクルートライフスタイル じゃらんリサーチセンター

現在では、急激な円安の影響もあり、多くの外国人観光客が日本を訪れるようになったとのニュースを多く見かけるようになりました。

観光庁の宿泊旅行統計調査によると、訪日外国人観光客による宿泊数は今後も右肩上がりで、2030年には訪日外国人観光客の宿泊日数が3億6269万泊と推計されています。今後、横這いと推計される日本人の国内旅行宿泊日数(2億1668万泊)の約1.6倍の需要が訪日外国人観光客によってもたらされる見込みです。

宿泊業界はインバウンドを中心とした需要拡大を背景に、今後よりいっそうの発展が見込まれます。

参考:JNTO 日本の観光統計データ

参考:宿泊旅行統計調査 | 統計情報 | 統計情報・白書 | 観光庁

数字で見る宿泊業界は「人手不足」の現状

昨今、様々な業界で人手不足と言われていますが宿泊業界の人手不足はどの程度なのか、他業種と比較して見てみましょう。

帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2023年7月)」によると

  • 72.6%のホテル・旅館が正社員不足
  • 68.1%のホテル・旅館が非正規社員不足

と回答しており、全業種の平均(正社員は51.4%不足、非正規で30.5%不足)に比べ非常に高い数値になっています。

また、中小企業基盤整備機構「中小旅館業の経営実態調査」によると、中小企業における宿泊業の人手不足は、2012年から悪化の一途をたどっており、宿泊業界の人手不足は一過性のものではなく常態化していると言えます。

参考:帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査(2023年7月) 
参考:中小旅館業の経営実態調査 中小企業の従業員数過不足DIの推移(宿泊業と他業種の比較)

離職率が高い宿泊業界

令和4年雇用動向調査(厚生労働省)」によると宿泊業、飲食サービス業への入職率は34.6%(1,682万人)と全業種の中で最も高く、多くの従業員の獲得に成功しています。

一方で、離職率も26.8%(1,302万人)と他業界を圧倒する高さとなっており、従業員を採用できても定着に至りにくいことがわかります。特に、宿泊業、飲食サービス業で離職率が高い傾向は10年以上続いており人手不足が起こりやすい状態が慢性化しているといえるでしょう。

参考:令和4年就労条件総合調査 結果の概況|厚生労働省

宿泊業界の人手不足の原因とは?

宿泊業界では他業種に輪をかけて人手不足が常態化していますが、その原因はどこにあるのでしょうか?ここでは、宿泊業界の人手不足の原因について個々のホテル・旅館で解決すべき内的要因と、社会全体から受ける外的要因の二つに分けて見ていきます。

宿泊業界の人手不足の原因を内的要因と外的要因に分類すると

  • 内的要因:低賃金、不規則で長い労働時間、低い有給取得率
  • 外的要因:外国人宿泊者の増加、新型コロナウイルス、ホテル数の増加

と分けることができます。ここからは個々の要因について詳しくみていきます。

低賃金

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると宿泊業、飲食サービス業の平均賃金は257.4 万円/年で、これは全産業の中で最低水準となっています(他の産業は製造業301.5万円、運輸業285.4万円等)。

賃金構造基本統計調査を過去10年さかのぼってみても、この10年間は常に産業平均から年収ベースで約70万円も下回っており、他業種との賃金格差は縮まっていません。

賃金の低さは、そのまま生活水準の低さに直結してしまうので、慢性的な低賃金が宿泊業界の離職率を高める原因の一つと言えます。

参考:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

不規則で長い労働時間

ホテル・旅館は24時間365日営業することが多く、勤務形態は夜勤を含むシフト制勤務が多く見られます。シフトの組み方次第では、生活リズムが作りにくくなってしまい、自律神経が乱れたり、心身に不調をきたしてしまうこともあります。

また、厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、宿泊業の労働時間は「2024年問題」が大きな話題となっている運輸業に僅差で次ぐ長さとなっております。

こうした不規則で長い労働時間は、健康以外にも子育てや介護等の仕事以外に支障をきたすことも起こりえます。西武文理大学教授田村尚子教授による「宿泊業従事者の就業意識 ─その特徴と課題」においても、宿泊業界で働く従業員の56%が、労働時間が不規則で拘束時間が長いことに就業前のイメージとのギャップがあったと回答しています。不規則で長い労働時間は宿泊業界の離職率を高め人手不足の原因の一つなっていると言えそうです。

参考:毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査) 結果の概要|厚生労働省

参考:宿泊業従事者の就業意識─その特徴と課題

低い有給取得率

厚生労働省の「令和4年就労条件総合調査」によると、宿泊業・飲食サービス業の有給取得率は44.3%(14.8日)でした。

全産業平均の58.3%(17.6日)に対し14%、日数にして約3日少なくなっており、他の産業に比べ、有給休暇の取得が積極的に行われていない現状を推察できます。

特に、ホテル・旅館の規模が小さい程、有給取得日数が少ない傾向にあります。小規模なホテル・旅館では程従業員1人あたりの業務の比重が大きく、休暇を取得する際の代役の調整ができないと考えられていると思われます。

参考:令和4年就労条件総合調査 結果の概況|厚生労働省

外国人宿泊者の増加

訪日外国人宿泊者数の増加で、ホテル・旅館では英語や中国語等での対応が必要な場面が増えており、訪日外国人観光客やビジネスマンの文化や思想に関する知識を身に着けおもてなしする必要に迫られています。

言語の習得や相手国の文化の理解といった高度な能力が求められていますが、宿泊業の賃金は低く、求められる能力と得られる賃金が釣り合っていない状況にあると言えます。従業員に求められる能力と賃金が釣り合っていないと感じることが宿泊業界の離職率を高める原因になっている可能性があります。

新型コロナ流行時の人材流出

新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言下では、数多くのホテル・旅館が休業を余儀なくされました。その際に起きた他業種への人材流出はホテル・旅館の人手不足の課題に大きな影響を与えました。

外資系ホテルの増加

観光庁の「宿泊旅行統計調査」によると、2023年8月時点で日本国内に63,532件もの宿泊施設があります。2020年の東京オリンピックや、コロナ以降の訪日外国人数の回復を見込んで、外資系ホテルが増えたことも影響しているでしょう。

このようにホテルそのものが増えることによる従業員の奪い合いも宿泊業界の人手不足の原因となります。

参考:宿泊旅行統計調査 | 統計情報 | 統計情報・白書 | 観光庁
参考:コロナ禍なのに京都で超高級ホテルの開業ラッシュが起きている本当の理由

宿泊業界の人手不足への対策方法

どのような対策を施せば宿泊業界の人手不足を解消できるでしょうか?宿泊業界に特化した人手不足の対策方法を紹介します。

働き方改革

より多くの人に宿泊業界で働いてもらうためには、従業員が働きやすい仕組みづくりが重要です。宿泊業における働き方改革導入の一例として観光庁の「アフターコロナ時代における地域活性化と観光産業に関する検討会」において京の宿綿善様の事例が紹介されました。

旧来の昭和的なシステムから脱却し、従業員の働きやすさを重視した改革を実施。具体的には台帳のデジタル化・従業員に無理のないシフト管理・年間休日の設定・評価制度のルール化・経理の外注等を行うことで従業員の満足度を向上させることに成功しています。

全産業で唯一、宿泊業界よりも平均労働時間の長い運輸業界が「2024年問題」への対応で強制的に働き方改革を進めていることをふまえると、従業員が働きやすい環境や仕組みづくりは人手不足解消に急務と言えるでしょう。

参考:アフターコロナ時代における地域活性化と観光産業に関する検討会 | 委員会、審議会等

賃金の改善

賃金は従業員の生活の基礎そのものですので、賃金が低いままでは人材の採用、定着は困難です。

従業員が生み出した利益を従業員に適切に還元できるよう給与体系や評価システムを定期的に見直し、従業員が納得感をもって働けることが求められます。賃金には税金や社会保険料がかかるため、後述の福利厚生により従業員に利益を還元するのもおすすめです。

出戻り採用の活用

出戻り採用(アルムナイ採用)は、元従業員を再び雇用することを言います。採用側も従業員も双方ともに人となりがわかっている安心感や、元々そのホテル・旅館で働いていたため研修を省き即戦力として勤務してもらえるメリットがあります。

参考資料:“出戻り” 歓迎、受け入れ企業半数以上に : アルムナイ=中途離職者は貴重な人材 | nippon.com

教育制度の拡充

言語の取得や諸外国に関する理解を深めるのにかかる費用の補助を行うなどして、従業員のスキルアップをサポートする等教育制度の充実も離職防止に効果的です。スキルアップによって従業員が自信をつけることができますし、訪日外国人宿泊客の方により高度な応対ができるようになることでお客様の満足度向上にもつながります。

福利厚生の充実

福利厚生は従業員にとっても、求職者にとっても満足度がアップする要因の一つです。

福利厚生には社員食堂、家賃補助、スポーツクラブの利用補助等様々なものがありますが、特に労働時間が不規則になりがちな宿泊業界では、食事補助等の時間に縛られずに利用できる福利厚生の導入が効果的でしょう。

ホテル・レストラン・アミューズメント施設経営で知られる株式会社ニラク様では食事補助として「チケットレストラン」を導入されており、従業員のエンゲージメントのさらなる向上を実現されています。

導入事例:株式会社ニラク

参考記事:福利厚生をまとめてチェック!導入メリットから課税についてまで網羅

従業員へのインフレ手当にも使える「チケットレストラン」

総務省発表の「消費者物価指数」によると、2020年〜2023年9月の期間で物価は6%も上昇しています。品目によっては30%以上上昇しているものもあり、家計をひっ迫させています。このようなインフレのなか、経費もかかり、すべての従業員の賃上げは難しい場合が多いでしょう。

そこで福利厚生によるインフレ手当を検討してみてはいかがでしょうか?エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、専用のICカードを利用して、従業員に食事補助を福利厚生として提供できるサービスです。

チケットレストラン」を導入している企業の従業員は、全国25万店舗以上もの提携店舗で食事を半額で利用できます。利用可能な店舗にはコンビニやファミレスも含まれるため、労働時間が従業員ごとに異なる場合ででも、すべての従業員の方に公平にご利用していただけます。

チケットレストラン」を利用した福利厚生の拡充で、慢性的な人手不足から脱却しましょう。

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