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【社労士監修】パワハラ防止法|中小企業義務化で相談件数急増!定義・罰則も

【社労士監修】パワハラ防止法|中小企業義務化で相談件数急増!定義・罰則も

2025.02.21

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

2020年6月に施行されたパワハラ防止法は、2022年4月より中小企業にも適用され、すべての企業がパワーハラスメント対策に取り組むことが義務付けられました。この記事では、パワハラ防止法の概要と対策について統計データも取り入れながら、中小企業に絞って解説します。

パワハラ防止法とは

中小企業にとって、パワハラ対策は他人事ではありません。まずは、パワハラ防止法の基本を確認しましょう。

パワハラ防止法の背景と概要

パワハラは、働く人の心身に深刻な影響を与えるだけでなく、企業全体の生産性低下にもつながる重大な課題です。職場環境の改善と労働者保護の必要性から、2019年5月に改正労働施策総合推進法、いわゆる「パワハラ防止法」が成立し、2020年6月に施行されました。中小企業においては、施行時は努力義務としての猶予があり、2022年4月から義務化されています。

事業主に求められる防止措置

パワハラ防止法では、事業主に対して「職場におけるパワハラを防止するための雇用管理上の措置」を講じることを義務付けます。労働施策総合推進法では、事業主に求められる措置が明記されています。

(雇用管理上の措置等)
第三十条の二 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

2 事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

引用元:e-GOV|労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律

なお、具体的な措置や対策は後述する内容を参考にしてください。

パワハラ法の対象範囲

パワハラ防止法の対象は、すべての事業主に及びます。「職場」とは、通常の勤務地に限らず、取引先や出張先など、業務に関連するあらゆる場所を含みます。保護される「労働者」は、正規従業員だけではありません。パートタイム、アルバイト、契約社員など、雇用形態を問わずすべての従業員が対象です。

そのため事業主には、すべての労働者へのハラスメント防止措置と、相談者への不利益取扱い禁止、関係者のプライバシー保護が義務付けられました。また、パワハラに関する労使間のトラブルでは、労働局による調停などの紛争解決サービスを利用できます。

パワハラ防止法の罰則

パワハラ防止法には、現時点で刑事上の罰則規定が設けられていませんが、法律に基づく以下のような行政上の罰則が設けられています。

  • 問題のある企業には厚生労働大臣から助言・指導・勧告が行われるほか、是正勧告に従わない場合は企業名が公表される。
  • パワハラ防止措置の実施状況の報告を求められた際、「報告しない」または「虚偽の報告をした」場合は20万円以下の過料が科される。
  • 使用者がパワハラを知りながら放置していた場合、安全配慮義務違反として民法上の不法行為責任を問われる可能性がある。

中小企業におけるパワハラ防止法

中小企業に対するパワハラ防止法の適用について、まずは対象となる中小企業の定義を確認します。中小企業庁の定義によると、以下の①か②のいずれかを満たすのが中小企業の条件です。

業種 ①資本金の額又は出資の総額 ②常時使用する従業員の数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業(サービス業、医療・福祉等) 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
製造業その他の業種(製造業、建設業、運輸業等上記以外すべて) 3億円以下 300人以下

出典:中小企業庁|中小企業・小規模企業者の定義

パワハラの定義

パワハラ防止法におけるパワハラの定義を正しく理解することで、効果的な対策を打ち出せます。

パワハラの3要素

厚生労働省が示す指針によると、パワハラとは以下の3要素をすべて満たすものです。

  1. 優越的な関係を背景とした言動であって、
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  3. 労働者の就業環境が害されるもの

ただし、業務では上司から部下への指示は自然なことであるため、客観的に判断し、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。

出典:厚生労働省|労働施策総合推進法に基づく「パワーハラスメント防止措置」が中小企業の事業主にも義務化されます!

パワハラにおける6つの典型パターン

「指導」と「パワハラ」の線引きは難しいものですが、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動はパワハラに該当する可能性があります。パワハラの範囲をより具体的に理解するために、厚生労働省が示す6つのパターンを確認しましょう。

  1. 身体的な攻撃:殴打、足蹴り、物を投げつけるなど
  2. 精神的な攻撃:人格を否定するような言動、繰り返しの叱責、威圧的な叱責、罵倒するような電子メールを複数人へ送付など
  3. 人間関係からの切り離し:意に沿わない従業員の隔離、仲間外し、無視など
  4. 過大な要求:明らかに遂行不可能な業務の強制、業務外の私用を強要するなど
  5. 過小な要求:能力や経験とかけ離れた程度の低い業務命令、仕事を与えないなど
  6. 個の侵害:私的なことに過度に立ち入る、性的指向・性自認や病歴などの機微な個人情報を暴露するなど

パワハラの判断は、上記6つの典型例に完全一致しない場合もあります。前述したパワハラの3要素に照らして総合的に考慮して判断する必要があります。一見パワハラに該当しないと思われる事案でも、相談には広く対応し、事実関係を迅速かつ適切に確認することが大切です。

出典:厚生労働省|労働施策総合推進法に基づく「パワーハラスメント防止措置」が中小企業の事業主にも義務化されます!
出典:あかるい職場応援団|職場におけるハラスメント対策パンフレット

職場におけるパワハラの現状と課題

パワハラ防止法の浸透と現状の両面を示す統計データを紹介します。

パワハラ相談の統計データ

パワハラ相談件数の推移を、2020年から2023年までの統計データで見ていきましょう。この期間には、2022年4月の中小企業への義務化という重要な転換点が含まれています。以下のデータは、厚生労働省の「都道府県労働局雇用環境・均等部(室)における雇用均等関係法令の施行状況について」をもとに、事業主・労働者からの相談件数と是正指導件数の推移をまとめたものです。

年度 労働施策総合推進法(パワハラ関係)への相談件数 全体※に占める割合 是正指導件数 是正指導の割合
2020年 18,363件 14.1% 645件 1.8%
2021年 23,366件 16.6% 589件 1.4%
2022年 50,840件 26.4% 2,546件 9.1%
2023年 62,863件 37.6% 3,746件 6.5%

※「男女雇用機会均等法」、「労働施策総合推進法」、「パートタイム・有期雇用労働法」、「育児・介護休業法」4つの法律の相談件数

相談件数は2020年の18,363件から2023年には62,863件へと約3.4倍に急増しています。特に2021年から2022年にかけては2.2倍という劇的な増加を記録しました。全体の相談件数に占める割合も14.1%から37.6%へと大きく上昇しています。

出典:厚生労働省|都道府県労働局雇用環境・均等部(室)における雇用均等関係法令の施行状況について

増加の背景と中小企業の課題

パワハラ相談件数の増加には、2022年4月からの中小企業への義務化による対象企業の拡大が大きな背景としてあります。加えて、パワハラに対する社会的認識が向上し、労働者が相談しやすい環境が整ってきたことも要因の一つです。

統計全体からは、パワハラ防止法の社会への浸透と、職場でのハラスメント防止への意識の高まりが読み取れます。しかし、相談件数の増加、特に中小企業への義務化以降の急増は、これまで表面化していなかった職場でのパワハラが顕在化してきたことを示しています。中小企業では早急な対策整備が必要です。

中小企業が求められるパワハラ防止措置

パワハラ防止のために、中小企業はどのような措置を講じる必要があるのでしょうか。法律で義務化されている措置は以下のとおりです。

  • 事業主の方針の明確化と周知・啓発
  • 相談体制の整備
  • 事後の迅速かつ適切な対応
  • プライバシー保護と不利益取扱いの禁止(併せて行う措置)

措置1.事業主の方針明確化と周知・啓発

パワハラ防止に関する事業主の方針を明確にし、従業員に周知・啓発することが求められます。具体的には、パワハラの内容とパワハラを行ってはならない旨の方針を明確化するとともに、パワハラ行為者に対して厳正に対処する方針と具体的な対処内容を就業規則等の文書に定め、従業員に周知します。

措置2.相談窓口の設置と体制整備

従業員が安心して相談できる窓口をあらかじめ定め、従業員に周知します。相談窓口の担当者には、相談内容や状況に応じて適切に対応できるよう、必要な研修等を実施します。

措置3.ハラスメント発生時の事後対応

パワハラが発生した際の対応として、以下の4つの措置を講じる必要があります。

  • 事実関係を迅速かつ正確に確認する
  • 速やかに被害者への配慮措置を講じる
  • 行為者に対して適正な措置を行う
  • 再発防止策を講じる(事実確認ができなかった場合も含む)

措置4.プライバシー保護と不利益取扱いの禁止

相談者・行為者等のプライバシーを保護するための措置を講じ、その旨を従業員に周知します。また、相談したこと等を理由とした解雇その他の不利益な取扱いを禁止する旨を定め、従業員に周知します。なお、この不利益取扱いの禁止は労働施策総合推進法で定められているものです。

出典:厚生労働省|労働施策総合推進法に基づく「パワーハラスメント防止措置」が中小企業の事業主にも義務化されます

中小企業で取り組みやすいパワハラ対策

中小企業で具体的に取り組みやすい対策として、職場におけるハラスメントに関する情報を発信しているポータルサイト「あかるい職場応援団」で実際に行われた中小企業の対策を紹介します。

対策1.社長メッセージの発信

パワハラを許さないというメッセージを従業員に発信する姿勢が大切です。年に一度の経営方針を伝える場など、社長自らの声でパワハラ防止対策を行う企業であることをアピールすることで、企業全体でのパワハラ防止への認識が深まります。

対策2.管理職へのセミナー・研修

管理職向けの研修を行うことで、パワハラの内容やその影響を共有できます。パワハラのない職場を目指す企業であることを確認することが大切です。

対策3.パワハラ相談窓口を整備

パワハラ専用窓口を企業に設置するなどにより、言い出しにくいことを相談できる場が生まれます。性別にも配慮し、男女1名ずつ相談員を配置するような工夫も大切です。いざとなったらすぐに相談しやすいように、名刺サイズのカードなどに窓口の情報を記載して配布する取り組みもあります。

対策4.就業規則の改訂

就業規則は企業におけるルールブックです。就業規則の中にハラスメント防止規定を整備し、当該規定について全従業員を対象に告知することで従業員のパワハラ防止の意識を高められます。

対策5.従業員向けアンケートの実施

職場環境について、アンケート調査を行うこともパワハラ対策として有効です。無記名方式であれば、本人以外でも見聞きした情報をヒアリングしやすくなります。

出典:あかるい職場応援団|「社内でハラスメント発生! 人事担当の方」他の企業はどうしてる?

職場の雰囲気づくりから始めるパワハラ防止

パワハラ相談件数は、2020年から2023年の間に3倍以上に増加しました。法整備により相談体制が整い、職場でのトラブルが顕在化してきたと推測できます。一方で、働く人々の権利意識の高まりと、職場環境の改善が企業規模を問わず重要課題として認識されてきた表れでもあります。

効果的なパワハラ防止には、制度の整備だけでなく、日常的な職場コミュニケーションの活性化が欠かせません。最近では、従業員の福利厚生を通じて自然な交流を促す取り組みも注目されています。

専用のICカードを利用して毎日の食事を補助する福利厚生サービス「チケットレストラン」は、その一例です。ランチタイムや休憩時間などの日常的な場面で、従業員同士の会話が生まれやすく、職場の風通しを良くするきっかけになります。

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