「なでしこ銘柄」は、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施する女性活躍推進の取り組みの一つです。令和6年度は、性別を問わない両立支援を重視した評価へと進化しています。制度の概要や選定基準、企業価値向上などのメリット、最新の選定企業事例まで、詳しく見ていきます。
なでしこ銘柄とは
日本における女性活躍推進の代表的な指標として知られる「なでしこ銘柄」は、経済産業省と東京証券取引所が平成24年度(2012年度)から共同で実施している上場企業の評価制度です。選定の根底には「女性活躍推進が、企業の持続的な成長を支える重要な経営戦略である」という考えがあります。
世界経済フォーラムが発表する「ジェンダー・ギャップ指数(2024.6.12発表)」において、日本は146カ国中118位と低迷しています。この現状を打破するための重要な施策として、女性活躍推進が位置づけられており、「なでしこ銘柄」選定もその取り組みの一つです。
出典:内閣府|男女共同参画局 男女共同参画に関する国際的な指数
なでしこ銘柄審査の概要
なでしこ銘柄審査の概要を、スクリーニング項目と評価内容に分けて解説します。
必須となる要件
なでしこ銘柄に選定されるためには、スクリーニング項目として以下要件を満たす必要があります。
【必須要件】
- 直近3年平均ROE(自己資本比率)がマイナスではない
- 上場企業単体ベースにおいて、女性取締役が1名以上いる(社内取締役、社外取締役は問わない)
- 社名および定量調査票の一部内容の公表に同意する
- 女性活躍推進法に基づく行動計画を策定している(従業員数101人以上の企業)
- 厚生労働省「女性活躍推進データベース」で女性管理職比率を開示している
- 法令が遵守されている
- 反社会的勢力とのつながりがない
これらの要件は、単なる数値上の目標ではありません。経営戦略における女性活躍の位置づけ、情報開示の積極性、そして収益力の持続性を総合的に評価する基準となっています。
出典:経済産業省|令和6年度「なでしこ銘柄」募集要領
評価内容
評価は、「共通調査票」と「なでしこ銘柄調査票」とで行われます。「共通調査票」については、「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」に応募する場合や、どちらも応募する場合にも使用します。
共通調査票(Excel調査票)
共通調査票では、以下の3つについての調査結果を記載します。
- キャリア形成支援の推進状況に関する項目(定量情報)
- 共働き・共育て(両立支援)の推進状況に関する項目(定量情報)
- 経営戦略と紐付いた共働き・共育て(両立支援)に向けた取り組み(定性情報・選択式)
キャリア形成支援では、具体的に以下の数値を調査をします。
- 女性役員・管理職の状況
- 女性採用比率
- 男女の賃金差異
- 女性の継続就業
共働き・共育て両立支援の推進状況としては、以下の数値を調査します。
- 労働時間の状況
- 有給休暇取得率
- 育児休業取得率と復職率
- 男女の平均勤続年数差異
出典:経済産業省|女性活躍に優れた上場企業を選定「なでしこ銘柄」
なでしこ銘柄調査票(Word調査票)
なでしこ銘柄調査票では、経営戦略と紐付いた女性活躍に向けた取り組みを記述式で評価します。具体的には、以下のような項目が高い評価に結びつきます。
- 女性活躍推進と経営戦略の統合状況
- 上記に対する経営トップのコミットメント
- とくに重視する女性活躍推進の指標における推進体制の構築
- 女性活躍推進による企業価値創造を独自の価値創造ストーリーとして自社の言葉で表現
出典:経済産業省|令和6年度「なでしこ銘柄」募集要領【本編】
なでしこ銘柄の選定区分と選定数
なでしこ銘柄の選定制度は、企業の特性や強みに応じて2つの区分が設けられています。メインとなる「なでしこ銘柄」に加え、令和5年度からは両立支援に特化した新たな区分として「Nextなでしこ共働き・共育て支援企業」が設置され、より多角的な評価が実現しました。
なでしこ銘柄
令和6年度のなでしこ銘柄は、18業種から最大30社程度(1業種1〜2社程度)を選定します。
Nextなでしこ共働き・共育て支援企業
令和6年度のNextなでしこ共働き・共育て支援企業では、両立支援にとくに優れた取り組みを行う企業を評価し、18業種から最大20社程度(1業種1〜2社程度)を選定します。なでしこ銘柄との重複選定はありません。
出典:経済産業省|令和6年度「なでしこ銘柄」募集要領【本編】
令和6年度なでしこ銘柄選定スケジュール
令和6年度のなでしこ銘柄選定発表までのスケジュールを以下の表で説明します。
日時 | プロセス |
令和6年8月26日(月) | 応募開始 |
令和6年10月18日(金) | 応募締切(16:00締切、厳守) |
令和6年10月~令和7年2月 | 審査期間 |
令和7年2月下旬~3月上旬 | 選定企業決定 |
令和7年3月下旬 | 「なでしこ銘柄」ロゴマーク送付 |
令和7年3月下旬 | 発表会実施・選定企業公表 |
出典:経済産業省|令和6年度「なでしこ銘柄」募集要領【本編】
なでしこ銘柄選定後の流れ
なでしこ銘柄として選定されると、経済産業省のホームページで公表されます。選定されなかった企業には、フィードバックがあります。
なでしこ選定企業|情報開示
経済産業省のホームページにて、選定企業の取り組みをベストプラクティスとして公表されるなど、企業の取り組みが広く発信されます。同意があった企業の場合、回答内容も公表の対象です。また、選定企業の女性活躍の現状は分析され、審査委員の評価ポイントを添えて「なでしこ銘柄」レポートに掲載されます。
参考:経済産業省|令和5年度「なでしこ銘柄」選定企業事例集
参考:経済産業庁|令和5年度「なでしこ銘柄」レポート
全回答企業|フィードバック
全回答企業に対して、自社と他社との比較データ入りの「セルフチェックシート」が送付されます。今後の女性活躍推進の改善に向けての示唆になります。
なでしこ銘柄の変遷
企業価値向上と女性活躍推進の両立を目指し、平成24年度に始まったなでしこ銘柄は、国際的な動向や社会的要請を反映しながら、継続的な進化を遂げてきました。とくに近年は、経営戦略と人材戦略の結びつきが重視されるなど、評価の内容も変化しています。
制度開始からの歩み
平成24年度(2012年度)の制度開始以来、「なでしこ銘柄」は以下のような発展を遂げています。
年度 | 主な変更点 | 特記事項 |
平成24年度(2012年) | 制度開始 | ・17社を選定
・女性活躍に優れた企業を投資家に紹介する取り組みとしてスタート |
平成28年度(2016年) | 「準なでしこ」銘柄の新設(令和4年度から廃止) | ・選定企業の裾野拡大
・女性活躍度調査への回答を銘柄選定の必須要件に変更 |
令和3年度(2021年) | 選定企業数拡大 | ・なでしこ銘柄50社、準なでしこ15社まで拡大
・27業種での選定実施 |
令和4年度(2022年) | 大幅な制度改革 | ・準なでしこ制度の廃止
・TOPIX-17業種への変更 |
令和5年度(2023年) | 選定基準の拡充(共働き・共育て支援) | ・共働き・共育て支援(男女問わない両立支援)に関する項目を評価対象として拡充
・「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」の選定開始 |
令和6年度(2024年) | 選定基準の進化(性別を問わない両立支援) | ・共働き・共育て支援について、性別を問わない両立支援へと強化
・最大30社程度(なでしこ銘柄)と最大20社程度(Nextなでしこ)の2区分による選定 |
出典:男女共同参画局|女性の活躍で企業を視る「なでしこ銘柄」を発表しました(平成25年2月26日)
出典:経済産業省|平成28年度なでしこ銘柄、令和3年度なでしこ銘柄、令和4年度なでしこ銘柄レポート、令和5年度「なでしこ銘柄」レポート、令和6年度「なでしこ銘柄」募集要領【本編】
最新の選定基準と評価ポイント
前章のとおり、令和5年から令和6年にかけて評価における観点が大きく見直されています。ここでは、選定基準を比較しながら、より理解を深めましょう。
令和5年度と6年度の選定基準を詳しく比較
令和6年度の選定では、前年度からいくつかの重要な変更が加えられました。制度全体の枠組みである選定企業数は維持されつつも、評価内容や基準について見直しが行われています。主なポイントは以下のとおりです。
項目 | 令和5年度(2023年) | 令和6年度(2024年) |
なでしこ銘柄選定企業数 | 最大30社程度(27社選定) | 最大30社程度(変更なし) |
Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業数 | 最大20社程度(16社選定) | 最大20社程度(変更なし) |
なでしこ銘柄の評価の重点項目 | ・「キャリア形成支援」と「男女問わない両立支援」を両輪で進める
・経営戦略と女性活躍を含む人材戦略の結びつきを重視 |
・「キャリア形成支援」および「性別を問わない両立支援」に関する取組・成果が、どちらも優れていること
・ 経営戦略と女性活躍を含む人材戦略との結びつき、それによる企業価値向上が自社独自のストーリーとして語られていること |
Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業の評価の重点項目 | 共働き・共育て支援(男女問わない両立支援) | 働き・共育てを可能にする性別を問わない両立支援 |
フェムテック評価 | スコアリング項目、アンケート項目として導入 | 評価項目として具体化・詳細化 |
女性活躍と経営戦略との連動 | 基本項目 | 重点評価項目に格上げ |
出典:経済産業省|令和5年度「なでしこ銘柄」レポート、令和6年度「なでしこ銘柄」募集要領【本編】
評価の変更は、女性活躍推進を施策としてではなく、企業価値向上に直結する経営戦略として位置づける方向性を一層強化したものと言えるでしょう。令和6年に強調された「女性活躍には両立支援とキャリア形成支援の双方が不可欠」という考え方は、持続的な企業成長における女性活躍の本質的な重要性を示しています。
以下の図では、令和6年のなでしこ銘柄が「企業価値向上」を目的としていることがわかりやすく表現されています。
【令和5年】
出典:経済産業省|令和5年度「なでしこ銘柄」レポート
【令和6年度】
出典:経済産業省|令和6年度「なでしこ銘柄」募集要領【本編】
令和6年における評価のポイント
令和6年における評価のポイントを具体的な評価項目と照らし合わせながら確認します。
1. キャリア形成支援
単なる制度整備にとどまらない、実効性の高い取り組みが求められます。具体的な評価項目には以下が含まれるなど、数値目標と実績の両面から評価されます。
- 管理職候補層における女性比率
- 役員候補研修への女性参加率
- メンタリング制度の充実度
- 女性のキャリア開発プログラムの実施状況
2.両立支援
令和6年度からは、「性別を問わない両立支援」という観点が強化されました。評価のポイントとしては、以下のとおりです。
- 男性の育児休業取得率(目標:30%以上)
- 時間外労働の削減施策
- フレックスタイム制度の柔軟性
- テレワーク環境の整備状況
3.フェムテック関連の取り組み
令和5年度から導入されたフェムテック評価は、令和6年度でさらに具体化されました。主な評価項目は以下のとおりです。
- 女性特有の健康課題への対応
- 健康経営との連携
- 女性の健康に対しての全従業員へ研修実施
- 健康課題に対応する福利厚生の導入状況
出典:経済産業省|令和6年度「なでしこ銘柄」「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」女性活躍度調査
なでしこ銘柄選定のメリット
経済産業省と東京証券取引所が選定するなでしこ銘柄は、選定されると多様なメリットが得られます。
1.企業価値向上
「なでしこ銘柄」は、経済産業省が女性の活躍を認める企業を選ぶ制度です。なでしこ銘柄選定は、女性活躍推進企業として社会に認められたことを意味し、企業イメージが良くなります。また、多様な人材が活躍できる企業として評価されることは、企業価値の向上につながります。「なでしこ銘柄」に選ばれることは、企業の成長と発展の優れた指標となるということです。
2.人材採用・定着での優位性
なでしこ銘柄に選ばれた企業は、人材の採用と定着において大きな強みを持っています。選定された企業では、フレックスタイム制やリモートとオフィスを組み合わせたハイブリッドワーク、さらには長く働き続けられる支援制度など、従業員が働きやすい環境が整っているからです。また、なでしこ銘柄のロゴマークを使って、女性が活躍できる企業であることをわかりやすくアピールできます。
ミレニアル世代の価値観に即した人材獲得競争力の向上
ミレニアル世代(1980年代前半〜1990年代半ば)は、2024年時点で20代後半〜40代半ばと、企業の中核を担う年齢層に位置しています。総務省の「労働力調査(基本集計)」によると総労働力人口の約35%を占めるミレニアル世代は、多様性と平等性を重視する価値観を持ち、就職先選定においてもこれらを重要な判断基準としています。PwCによる「ミレニアル世代の女性:新たな時代の人材」では、女性86%、男性74%が多様性や平等性を就職先の選定で重要と回答しました。
なでしこ銘柄への選定は、こうした次世代の中核人材が求める企業文化や価値観との適合を示す象徴と言えるでしょう。
出典:PwC|ミレニアル世代の女性:新たな時代の人材
出典:総務省|労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果
3.財務パフォーマンス向上
令和5年度「なでしこ銘柄」レポートでは、なでしこ銘柄に選定された27社群は、市場平均と比較して優れた財務パフォーマンスを示しました。具体的には、TOPIXを上回る株価推移、より高い売上高営業利益率(+3.2%ポイント)、そして高い配当利回り(+2.5%ポイント)を実現しています。女性活躍推進を含む多様性経営が、企業の持続的成長と収益力の向上に寄与することが示されています。
出典:経済産業省|令和5年度「なでしこ銘柄」レポート
出典:経済産業省|令和5年度「なでしこ銘柄」レポート
4.機関投資家による注目度向上
内閣府の「ジェンダー投資に関する調査研究報告書」によると、半数以上の機関投資家が女性活躍情報を投資判断の重要な指標として活用しています。このうち約9割の機関投資家が「企業の業績に長期的には影響がある情報」として評価している結果が示されました。
なでしこ銘柄への選定は、人的資本経営(※)の視点から企業価値の持続的向上を重視する機関投資家に対して、強力な投資判断材料を提供します。
※人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる考え方のこと。
出典:内閣府|ジェンダー投資に関する調査研究報告書
関連記事:人的資本経営とは?事例を用いて解説!メリットや導入のステップ
なでしこ銘柄選定のデメリット・課題
なでしこ銘柄選定には、デメリットや課題もあります。
1.上場企業に限定
なでしこ銘柄は、上場企業のみを対象としています。応募は、令和6年8月26日時点で東京証券取引所のプライム市場・スタンダード市場・グロース市場に上場している全ての企業(外国株を含む)(約3,900社)に限られます。
総務省の「令和3年経済センサス」によると、日本の企業総数は367万4000企業です。なでしこ銘柄に応募できる企業は約0.1%にとどまります。99.9%の企業は評価対象外であり、中小企業における優れた女性活躍・両立支援の取り組みが評価される機会はありません。
出典:総務省|令和3年経済センサス‐活動調査 速報集計結果の要約
2.煩雑な手続きによる企業負担
選定には「共通調査票(Excel)」と「なでしこ銘柄調査票(Word)」の両方の提出が必須で、作成にあたって人事データの収集・分析が求められます。令和6年度「なでしこ銘柄」「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」応募に関するよくある質問をまとめたFAQリストでは、提出にあたって46の質問がありました。多くの企業が記載に時間をかけて取り組んでいることがわかります。
出典:経済産業省|女性活躍に優れた上場企業を選定「なでしこ銘柄」FAQリスト
3.評価の大幅リニューアルや取り消しの可能性
選定基準は社会情勢や政策方針により年度ごとに見直される可能性があり、年度によって「大幅なリニューアル」も実施されています。また、選定後でも重大な法令違反等があれば取り消しとなるリスクも存在します。選定が取り消される可能性があるのは、以下のような項目に該当するケースです。
- 労働関連法規への重大な違反
- 女性活躍推進に反する行為の判明
- 社会的信用を著しく損なう事態の発生
- 回答内容の虚偽が判明
これまでも、令和4年度の「なでしこ銘柄」選定企業の株式会社千葉銀行、同じく令和4年度に選定企業となった富士通株式会社など、選定対象外となった事例があります。
出典:経済産業省|令和4年度「なでしこ銘柄」レポート
4.業種特性による達成難度の差
製造業や建設業など、女性の就業比率が低い業種では、急速な改善が困難な場合があります。建築業デジタルハンドブック(統計情報元:総務省「労働力調査」)によると、建設業の女性就業者比率がほかの業界に比較して著しく低く、23年度でも約18.2%にとどまっています。全産業の就業者中に占める女性の比率は平均45.3%であり、業種の特性による構造的な課題があると言えるでしょう。
出典:一般社団法人日本建設連合会 建設業デジタルハンドブック|4. 建設労働
令和5年度なでしこ銘柄選定企業一覧
最新の令和5年度なでしこ銘柄選定企業の一覧を評価ポイントとともに紹介します。
業種名 | 令和5年度「なでしこ銘柄」選定企業 | 選定回数 | 評価ポイント | |
1 | 食品 | アサヒグループ
ホールディングス株式会社 |
8回(準なでしこ1回) | ・経営層の女性比率に関する高い目標設定
・経営トップの強いコミットメント |
2 | 食品 | 味の素株式会社 | 5回(準なでしこ2回) | ・エンゲージメントスコアを重視し、男女差の是正をKPIに設定
・人財マネジメントシステムによる透明性向上 |
3 | エネルギー資源 | 出光興産株式会社 | 2回 | ・エクイティ(機会の平等)を重視したDE&I推進
・エンゲージメントサーベイの男女格差への対応 |
4 | 建設・資材 | 株式会社LIXIL(はH30年度までLIXILグループとして選定) | 8回(準なでしこ1回) | ・高い女性役員比率
・D&I推進ガイドブックによる行動変容促進 |
5 | 素材・化学 | 株式会社資生堂 | 4回(準なでしこ1回) | ・トップの強いコミットメント
・「D&Iラボ」の設立と具体的成果 |
6 | 素材・化学 | 株式会社コーセー | 2回(準なでしこ1回) | ・明確なビジョン・戦略との関連性
・3ステップ(両立支援・活躍支援・登用支援)の体系的アプローチ |
7 | 医薬品 | 中外製薬株式会社 | 7回 | ・グローバルを意識した人材戦略
・各階層の女性比率に応じた目標設定 |
8 | 医薬品 | エーザイ株式会社 | 1回 | ・「早期に」「定期的に」「具体的に」を意識した実効的な取り組み
・企業理念への多様性の組み込み |
9 | 自動車・輸送機 | 株式会社アイシン | 4回(準なでしこ1回) | ・プロ人材の明確な定義と一貫した戦略
・技術系職場での「誰もが」働きやすい環境整備 |
10 | 鉄鋼・非鉄 | 住友電気工業株式会社 | 5回 | ・経営層の強力なD&Iコミットメント
・女性工場長の誕生 |
11 | 機械 | 株式会社技研製作所 | 2回 | ・Positive Actionプロジェクトを起点とした効果的な取り組み
・男性育児休業平均100日という高い実績 |
12 | 機械 | 株式会社小松製作所 | 6回 | ・グローバルオフィサーの女性育成に注力
・経営戦略における女性活躍の明確な位置付け |
13 | 電機・精密 | オムロン株式会社 | 6回 | ・ROICと女性管理職比率の相関性分析
・重要ポストの後継者候補に女性1名以上 |
14 | 情報通信 | SCSK株式会社 | 9回 | ・IT業界特有の人材不足への対応
・男女離職率の格差改善 |
15 | サービスその他 | パーソルホールディングス株式会社 | 1回 | ・きめ細かなモニタリング項目設定
・Business Unitごとの目標設定 |
16 | 電気・ガス | 東京ガス株式会社 | 7回 | ・取締役会でのDE&I議論
・目標の着実な達成 |
17 | 電気・ガス | 大阪ガス株式会社 | 7回(準なでしこ1回) | ・ESG推進会議の取締役会への定期報告
・「働きやすさ」と「働きがい」の両立 |
18 | 運輸・物流 | 日本郵船株式会社 | 4回 | ・女性管理職30%という高い目標設定
・社外派遣型研修の女性参加率30%の目標設定 |
19 | 運輸・物流 | 株式会社商船三井 | 4回 | ・COOがDE&I推進責任者
・人材育成コミッティーでのモニタリング |
20 | 商社・卸売 | 伊藤忠商事株式会社 | 3回 | ・時系列での戦略進化の説明
・生産性向上や出生率上昇等の具体的成果 |
21 | 小売 | 日本マクドナルドホールディングス株式会社 | 1回 | ・地域社員制度や店長フレックス制度導入
・女性店長の増加 |
22 | 小売 | 株式会社丸井グループ | 7回 | ・指名委員会による人材登用監督
・「女性イキイキ指標」での進捗管理 |
23 | 銀行 | 株式会社ゆうちょ銀行 | 2回 | ・女性活躍を「顧客の多様なニーズへの対応」と明確に位置付け
・育児休業復帰後の高い定着率 |
24 | 銀行 | 株式会社山陰合同銀行 | 1回 | ・若手を意識したジュニアボード制度
・エリア職廃止等の人事制度改革 |
25 | 金融(除く銀行) | 株式会社大和証券グループ本社 | 9回 | ・内部昇格の女性取締役複数誕生
・新卒採用女性比率50%目標 |
26 | 金融(除く銀行) | 第一⽣命ホールディングス株式会社 | 3回(準なでしこ1回) | ・女性幹部のパイプライン形成の進展
・Myキャリアとコンシェルジュなどユニークな制度 |
27 | 不動産 | 三井不動産株式会社 | 3回 | ・経営トップが委員長の推進体制
・D&Iについて4項目で明確な必要性を提示 |
出典:経済産業省|令和5年度「なでしこ銘柄」レポート
令和5年度「なでしこ銘柄」注目企業の事例
令和5年度のなでしこ銘柄では、株式会社ニチレイの「女性の健康づくり」、すなわちフェムテックへの取り組みが高く評価されています。同社は2022年に「女性の健康づくり方針」を策定し、従業員アンケートをもとに月経や更年期などの女性特有の健康課題に向き合ってきました。
具体的な取り組みとして、全額企業負担でのオンライン診療の提供や、四半期ごとの全従業員向け「月経」「更年期」への理解を深める健康セミナーを実施しています。その結果、月経による業務影響日数が年間18日減少、更年期症状による影響が44.4日減少するなど、具体的な成果を上げています。
出典:経済産業省|令和5年度「なでしこ銘柄」注目企業
なでしこ銘柄注目企業も導入している「チケットレストラン」
「なでしこ銘柄」注目企業として経済産業省のホームページで取り上げられているニチレイのグループ企業である株式会社ニチレイビジネスパートナーズ様は、1995年からエデンレッドジャパンが提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を活用しています。全国約200拠点を持つ同社が「チケットレストラン」を選んだ理由は明確でした。
営業職やドライバーなど、外回りの多い従業員に対して、従来の社員食堂や仕出し弁当では公平な食事補助を提供することが難しかったのです。「チケットレストラン」の導入により、勤務地や時間に関係なく、同一内容の食事補助を受けられるようになりました。
サービス内容は続々とアップデートされ、利便性が向上している点も評価されています。現在では、コンビニエンスストアはもちろん、 Uber Eats との連携も加わり、全国約25万店舗の加盟店で利用可能です。「働き方に合わせて柔軟に使える」と従業員からの評価も高く、事業所ごとに利用状況が可視化できることで、管理も効率化されています。
テレワークやフレックスタイム制が広がる中、場所や時間を問わない食事補助の形として、「チケットレストラン」は多くの企業から注目を集めています。
企業ホームページ:https://www.nichirei.co.jp/
導入事例ページ:株式会社ニチレイビジネスパートナーズ様
女性活躍推進で企業価値を向上する「なでしこ銘柄」に注目
2012年に始まった「なでしこ銘柄」は、令和6年度から両立支援とキャリア形成支援を両輪とする評価を強化しています。企業価値向上や人材採用力強化、財務パフォーマンス向上などのメリットがある一方、上場企業限定や煩雑な手続きなどの課題もあります。
令和5年度は27社が選定され、各社の特徴的な取り組みが評価されました。中でもなでしこ銘柄注目企業のニチレイグループ企業である株式会社ニチレイビジネスパートナーズ様は、場所や時間を問わない食事補助としてエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」を活用し、働き方改革を推進しています。株式会社ニチレイビジネスパートナーズ様のような先進的な企業が、30年近く継続している「チケットレストラン」にも注目してみませんか。