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【社労士監修】社宅制度で人材確保と定着率向上を実現!福利厚生戦略の新トレンド

【社労士監修】社宅制度で人材確保と定着率向上を実現!福利厚生戦略の新トレンド

2024.10.28

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

社宅制度は、企業が提供する家賃補助の福利厚生の一種です。生活支援を通じた人材確保や定着促進が期待できるとして、近年重要性が再認識されています。本記事では、社宅制度の特徴やほかの家賃補助との違いや、導入による企業のメリット等をわかりやすく解説します。社宅制度と相性の良い福利厚生サービスなど、貴社の福利厚生戦略に役立つヒントを多数紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

家賃補助の種類

企業の多くは、法定外福利厚生の一環として、さまざまな形態の家賃補助を提供しています。社宅制度もそのひとつであり、企業ごとに特徴的な運用方法が採用されています。主な家賃補助の種類にはどのようなものがあるのでしょうか。

社宅

「社宅制度」とは、企業が従業員に住居を提供し、家賃負担を軽減する仕組みです。以下のように、大きく2つのタイプがあります。

  • 社有社宅:企業が保有する物件を社宅として提供する形です。企業にとっては資産として管理でき、長期的なメリットがある一方、初期投資や維持管理のコストが発生します
  • 借り上げ社宅:不動産会社から物件を借り、従業員へ提供します。初期投資が少なく、物件選定の自由度が高いことから、フレキシブルな運用が可能です。近年はこの形式が主流です

どちらの場合も、企業は従業員から一部の家賃を徴収し、残りを企業が負担する形が一般的です。

住宅手当の支給

住宅手当は、従業員の住居費用をサポートするため、一定の手当を給与に上乗せして支給する制度です。通常、毎月の給与と一緒に現金で支給されます。

住宅手当の特徴は、使途が限定されないことです。従業員は、受け取った手当を家賃の支払いだけでなく、住宅ローンの返済や住居に関連する費用全般に使用できます。

企業側にとっては、社宅の運営・管理に比べて事務負担が少ないメリットがあります。一方で、従業員の実際の住居費用と支給額のバランスが大きな課題です。

支給方法は企業によってさまざまで、一律支給・役職や勤続年数に応じた段階的支給・実際の家賃に応じた支給など、複数のパターンがあります。

住宅ローン補助

「住宅ローン補助」は、従業員が住宅を購入する際のローン返済を支援する制度です。具体的には、ローン金利の一部を企業が負担したり、返済額の一部を補助金として支給したりする形で実施されるのが一般的です。

この制度には、従業員の持ち家取得を支援することで、人材の長期的な定着を促す効果があります。また、従業員の資産形成を助けることにより、将来的な生活の安定にも寄与します。

ただし、賃貸住宅に住む従業員との公平性の確保が課題となるため、補助の条件や期間、金額などを明確に定めておくことが重要です。

社宅と住宅手当はどう違う?

社宅と住宅手当は、どちらも従業員の住居費用を支援する福利厚生ですが、その仕組みや特徴には大きな違いがあります。ここでは、両者の違いを詳しく見ていきましょう。

支給方法の違い

社宅制度と住宅手当の最も大きな違いは、支給方法にあります。

社宅制度では、企業が実際に住居を提供します。従業員は、企業が用意した物件に住むことにより、通常の家賃よりも低い金額での居住が可能です。企業は物件の管理や維持も行います。

一方、住宅手当は現金給付です。従業員の給与に一定額が上乗せされ、その使用方法は従業員に委ねられます。住宅手当を受け取った従業員は、自身で物件を選び、契約を行わなければなりません。

この違いにより、社宅制度のほうが企業の管理負担は大きくなりますが、費用の使途や従業員の住環境をより直接的にコントロールできるというメリットがあります。

税金の違い

社宅制度と住宅手当では、税務上の取り扱いが大きく異なります。この違いは、企業にとっても従業員にとっても重要な検討ポイントです。具体的には以下のような違いがあります。

制度 企業側 従業員側
社宅制度 社宅の維持管理費用や家賃補助額を損金算入できる 一定の条件下で、社宅の経済的利益の一部が非課税となる
住宅手当 支給した住宅手当全額を損金算入できる 原則として、受け取った住宅手当の全額が課税対象となる

社宅制度では、従業員が負担する家賃が適正な金額(賃貸料相当額の50%以上)であれば、その差額分は給与として課税されません。一方、住宅手当は全額が給与所得として課税されるため、手取り額に大きな差が生じる可能性があります。

両者を比較すると、社宅制度のほうが企業・従業員双方にとって税制上のメリットが得られるケースが多いといえます。

参考:国税庁|No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき

社宅を経費にする条件

社宅を企業の経費(損金)として計上するためには、主に以下の要件を満たすことが求められます。

  1. 業務上の必要性の証明:社宅の提供が、従業員の業務遂行を支援するための合理的な手段であると認められること。勤務地が遠隔地にある場合や、業務に即した住居の確保が難しいケースなど
  2. 豪華な社宅の提供を避ける:社宅の内容が過度に高額または豪華でないこと
  3. 名義と支払いの明確化:社宅の賃貸契約が企業名義で行われ、賃貸料や維持費が企業から直接支払われること
  4. 従業員からの家賃徴収:従業員から家賃相当額の一部(目安として賃貸料相当額の50%以上)を徴収すること。ただし、この基準は、従業員の所得税に影響を与えるもので、企業の損金算入には直接的な関係はありません
  5. 実費の正確な記録:賃貸料・管理費・修繕費などの支出を正確に記録すること

関連記事:【税理士監修】住宅手当は課税・非課税どちら?それぞれのケースや課税額を解説

社宅制度を導入するメリット【企業側】

社宅制度の導入は、企業にとって多くのメリットをもたらします。ここでは、企業側から見た社宅制度導入のメリットについて詳しく解説します。

従業員の生活を直接サポートできる

社宅制度を導入するメリットとして、まず挙げられるのが、従業員の生活を直接サポートできることです。特に、都市部での就業や転勤が多い業種では、従業員の住居確保の負担を大きく軽減できます。

また、社宅の立地や設備を企業が管理することで、従業員の生活の質を一定水準に保つことがでるのも、社宅制度の導入によって得られる大きなメリットのひとつです。これは、従業員の健康維持やワークライフバランスの向上にもつながり、長期的には生産性の向上にも寄与する可能性があります。

コストを削減できる

社宅制度の導入は、適切に運用することで企業のコスト削減につながります。特に、法人税の面で大きなメリットがあります。

社宅制度に関する運営費用は経費として計上できるため、法人税の負担の軽減が可能です。具体的には、以下のような費用が経費に含まれます。

  • 家賃:社宅として借り上げた物件の家賃
  • 管理費:社宅の管理や維持にかかる費用
  • 修繕費:社宅の修理やメンテナンスにかかる費用
  • 光熱費:社宅にかかる水道光熱費や共益費

これらの費用を経費として計上することで、企業の課税所得を減らすことができ、結果として法人税の負担が軽減されます。

人材の確保や定着につながる

社宅制度は、人材の確保や定着に大きく貢献します。特に、新卒採用や転勤を伴う異動が多い企業にとって、社宅制度は強力な武器となります。

スターツコーポレートサービスが2024年に行った調査によると、「新入社員に戻ったとして、どの福利厚生が一番重要だと思いますか?」という質問において「寮・社宅、住宅手当などの家賃補助」が「特別休暇」や「財産形成支援」を上回り1位に選ばれました。

一番重要な福利厚生

出典:現役社員が選ぶ、一番重要な福利厚生は…「寮・社宅、住宅手当などの家賃補助」|スターツコーポレートサービスが福利厚生に関する意識調査を実施

このデータは、福利厚生において、住居に関する支援の重要性を示しています。同時に、社宅制度を導入することで求職者に対する企業の魅力が高まり、優秀な人材の確保につながる可能性を示唆するものです。

また、既存の従業員も、安定した住環境が提供されることにより長期的な勤務を考えやすくなります。結果として従業員の定着率向上に寄与し、採用や教育にかかるコストの削減にもつながります。

従業員のモチベーションが向上する

社宅制度の導入は、従業員のモチベーション向上にも効果があります。住居費用の負担軽減や良好な住環境の提供は、従業員の生活の質を向上させ、仕事へのモチベーションを高める要因となるからです。

同じくスターツコーポレートサービスの調査では、福利厚生制度に対して「とても満足している」と回答した人の66.6%が「仕事がおもしろい、仕事へのモチベーションが高い」と回答しています。一方で、「かなり不満」と回答した従業員では、同様の回答は31.3%に留まりました。

福利厚生の魅力度とモチベーションの関係

出典:現役社員が選ぶ、一番重要な福利厚生は…「寮・社宅、住宅手当などの家賃補助」|スターツコーポレートサービスが福利厚生に関する意識調査を実施

この結果は、福利厚生制度の満足度が従業員のモチベーションに大きな影響を与えていることを示しています。

社宅制度のような充実した福利厚生は、従業員の企業に対する満足度を高め、結果としてモチベーションの向上につながると考えられます。

生産性や業績の向上が期待できる

社宅制度の導入は、間接的に企業の生産性や業績の向上にも寄与する可能性があるものです。

まず、住居に関する不安や負担が軽減されることにより、従業員が仕事に集中しやすい環境が整います。

また、社宅を戦略的に配置することで、従業員の通勤時間の短縮が可能です。これにより、従業員の睡眠時間や自由時間が確保され、心身の健康が促進されるほか、仕事のパフォーマンス向上が期待されます。

さらに、社宅での従業員同士の交流によって部、署を超えたコミュニケーションが活性化し、風通しが良くイノベーションが生まれやすい組織づくりが可能です。

企業イメージが向上する

社宅制度の導入は、企業イメージの向上にも大きく貢献します。「従業員を大切にする企業」というイメージが、求職者に対する企業の魅力を高め、取引先や顧客からの信頼にもつながるからです。

また、社宅を通じて地域社会と良好な関係を築くことで、企業の社会的責任(CSR)活動の一環としても評価される可能性があります。例えば、災害時に社宅を一時避難所として開放するなどの取り組みは、地域貢献として高く評価されるでしょう。

さらに、近年注目されているESG(環境・社会・ガバナンス)の観点からも、社宅制度は企業価値を高める重要な一手です。持続可能な社会づくりを意識した制度運用は、企業の評判向上に寄与し、社会からの信頼を強化します。

社宅と併用できる効果的な福利厚生

社宅制度は非常に効果的な福利厚生ですが、他の福利厚生と組み合わせることで、そのメリットをさらに高めることができます。ここでは、社宅制度と相性の良い「食事補助」の福利厚生について解説します。

日常的に利用できる食事補助

社宅制度と非常に相性が良い福利厚生として、食事補助が挙げられます。食事は住居と同じく日常生活に直結する重要な要素であるため、これをサポートすることにより従業員の生活の質を高める効果が期待できるのです。

食事補助の魅力は、その利用頻度の高さにあります。毎日の食事に関わるため、従業員が福利厚生のメリットを日常的に実感できるのです。これにより、企業への帰属意識や満足度が高まり、モチベーションの向上にもつながります。

また、健康的な食事の提供や食生活の改善が従業員の健康増進にも寄与するため、長期的には医療費の削減も期待できます。

3,000社以上が導入「チケットレストラン」

食事補助の福利厚生として、日本一の実績を持つサービスが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。

チケットレストラン」は、一定の条件下で利用することにより、全国25万店舗以上かつ幅広いジャンルの加盟店での食事が半額になるサービスです。

勤務時間内であれば使用する時間や場所は自由なため、リモートワークや出張中など、利用時のシチュエーションを問いません。

日常的に使用する食事を福利厚生として提供することにより、従業員のエンゲージメントやモチベーションを高める効果が期待できるほか、社宅制度と同じく、一定の条件を満たすことで福利厚生として経費計上が可能です。

こうした数々の魅力が評価され「チケットレストラン」は、すでに3,000社を超える企業に導入される人気サービスとなっています。

関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も

社宅制度で実現する従業員満足度向上と企業成長の好循環

社宅制度は、企業と従業員双方に多くのメリットをもたらす重要な福利厚生です。企業側には人材確保・定着率向上の効果が、従業員側には経済的負担軽減と安定した住環境確保のメリットがあります。

社宅制度と、「チケットレストラン」をはじめとする福利厚生を組み合わせることで、従業員の生活全般をサポートする包括的なパッケージを構築できます。これにより従業員満足度が向上し、企業の持続的成長につながる好循環を生み出せるでしょう。

社宅制度の導入の際は、自社の状況や従業員のニーズを分析し、最適な形を選択することが重要です。福利厚生を単なるコストではなく、企業の成長と従業員の幸福を両立させる重要な投資ととらえ、自社に最適な福利厚生戦略を実践してみてはいかがでしょうか。

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