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【社労士監修】年収の壁を乗り越える!「社会保険適用時処遇改善コース」とは

【社労士監修】年収の壁を乗り越える!「社会保険適用時処遇改善コース」とは

2024.04.12

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

「社会保険適用時処遇改善コース」は、「年収の壁・支援強化パッケージ」の一環として設けられた、キャリアアップ助成金の新設コースです。このコースでは、企業が賃上げや手当の支給を通じて年収106万円の壁を意識せずに働ける取り組みを行う場合に、対象従業員1人につき最大50万円の助成金が支給されます。本記事では、人材不足に悩む企業のための助成金の概要と、活用法について解説します。

【はじめに】「年収の壁」が引き起こす問題と企業の課題

パートタイム労働者やアルバイトなどの短時間で働く非正規従業員も、一定の年収を超えると税負担や社会保険料の支払いが必要になります。税や社会保険料を支払うことにより、かえって手取り収入が減ってしまう境界線のことを「年収の壁」といいます。

中でも手取り額に大きな影響を与え、就業調整の対象となりやすいのが、健康保険や年金などの「社会保険の壁」である「106万円の壁」と「130万円の壁」です。

これらの年収の壁を越え、手取り収入が下がることを回避するため、就労時間を調整する「就業調整」を行う従業員が後を絶ちません。

企業の立場からすると、少子高齢化によって生産年齢人口が減少し、人材確保がますます難しくなっている中で、就業調整によってせっかくの労働力を生かし切れないことは大きな課題です。

この問題に対処するため、2023年10月に新たに設けられたのが「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」です。

「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」の導入によって事業主へ助成金が支給されると、従業員は社会保険へ加入することによって減ってしまった手取り収入を補填できます。これにより、就業調整を行う必要がなくなり、事業主側は労働力を確保できます。

つまり、「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」は、企業(事業主)と従業員の両方に利益をもたらす施策です。

関連記事:【社労士監修】人材採用に役立つ助成金の支給要件や支給額は?活用の注意点も解説

「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」とは

「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」は、「手当等支給メニュー」「労働時間延長メニュー」「併用メニュー」の三つのメニューに分かれています。それぞれの詳細と、助成金の対象となる労働者について解説します。

(1)手当等支給メニュー

従業員が社会保険に加入することによって生じる負担額を、手当などを通じて従業員に支給し、補填する事業主へ助成されます。1〜2年目は賃金の15%以上、3年目は18%以上の増額が必要です。

なお、年収106万円の従業員が社会保険に加入すると、年収の約15%の金額が給与から控除されます。助成金支給の条件として、企業に賃金の15%以上を従業員へ支給することを求めているのは、控除分の補填を目的としているからです。

(1)手当等支給メニュー

出典:厚生労働省|キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)

(2)労働時間延長メニュー

社会保険加入のために労働時間を延長し、それに応じて賃金を増額した場合に助成されます。週の所定労働時間を4時間以上延長する、または1時間以上4時間未満の延長+基本給の増額という条件があります。

(2)労働時間延長メニュー

出典:厚生労働省|キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)

(3)併用メニュー

手当等支給と労働時間延長の両方を組み合わせた場合の助成メニューです。1年目に手当等支給、2年目に労働時間延長を行うことで、従業員1人あたり最大50万円の助成を受けられます。

(3)併用メニュー

出典:厚生労働省|キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)

「社会保険適用時処遇改善コース」対象と受給の流れ

「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」には、労働者・事業主それぞれに対象要件があります。要件をすべて満たすことで、助成金の受給対象となります。受給の流れと共に確認していきましょう。

「社会保険適用時処遇改善コース」の対象となる労働者

  • 2023年10月以降、新たに社会保険の被保険者の要件を満たした
  • 社会保険加入日の6か月前の日以前から継続して雇用されている
  • 社会保険加入日から過去2年以内に同事業所で社会保険に加入していなかった

参考:厚生労働省|キャリアアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コース パンフレット

「社会保険適用時処遇改善コース」の対象となる事業主

  • 雇用保険適用事業所の事業主
  • 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主
  • 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主
  • 実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主
  • キャリアアップ計画期間中にキャリアアップに取り組んだ事業主

出典:厚生労働省|「年収の壁・支援強化パッケージ」キャリアアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コースのご案内~概要編~

受給までの流れ

助成金の受給までには、以下のような流れがあります。

  • 1.キャリアアップ計画の作成・提出
  • 2.労働者の社会保険加入と、収入増加の取り組み開始
  • 3.取組開始から6ヶ月経過後に、支給申請書を提出
  • 4.助成金の受給

社会保険適用時処遇改善コース 受給の流れ

出典:厚生労働省|キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)

申請書類の準備

助成金を受給するためには、キャリアアップ計画書および支給申請書の提出が必要です。併せて、就業規則や賃金台帳など、取り組み内容を証明する書類の準備も求められます。申請はオンラインでも可能ですが、期限に余裕を持って準備を進めましょう。

「社会保険適用時処遇改善コース」の注意点

1. 助成金の申請期限と対象期間

助成金の申請には期限があります。また、助成の対象となる取り組み期間にも開始日と終了日が設定されているため、スケジュールに十分な注意が必要です。

2. 50万円の助成額は3年間の合計額

助成額の上限となる50万円は、3年間の合計金額です。月額や年額ではないため、各年の取り組み内容に応じた助成額の計算が必要となります。

3. 助成金への過度な依存は禁物

助成金は従業員の処遇改善の後押しにはなりますが、それだけですべてが解決するわけではありません。恒常的な処遇改善の取り組みとセットで考えることが重要です。

4. 「社保手当」の特殊な扱いに注意

「社会保険適用促進手当」は、社会保険料の計算においてのみ特別な扱いがなされます。所得税や労働保険料の計算では、通常の手当と同じように扱われます。また、社保手当は社会保険料の計算に含まれないため、傷病手当金や出産手当金、厚生年金の受給額にも影響します。従業員に対して、社保手当のメリットとデメリットをしっかり説明しておきましょう。

5. 支給額は労働者負担分が目安

助成金の支給額は、労働者が負担する社会保険料の額が目安とされています。会社が負担する分までカバーされるわけではないので、注意が必要です。また、助成金を受けることで、事務作業が増える可能性もあります。

6. 受給対象者だけに手当を出すのは要注意

助成金の受給対象となる従業員だけに社保手当を支給すると、ほかの従業員との間で不公平感が生まれるかもしれません。従業員間の納得感を得られるよう、手当の支給方法には配慮が必要です。

7. 助成金終了後の対策を考えてお

社会保険適用促進手当に関する助成金には期限があり、いつまで続くかわかりません。助成金が終了した後の処遇改善の方法について、早めに労使で話し合っておくことが大切です。

人手不足の解消にはこんな手段も

「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」は、企業にとって、喫緊の課題である人手不足を解消するための後押しとなるうれしい施策です。一方で、「年収の壁への対応だけでは心許ない」「もっと求職者へアピールできるポイントが欲しい」との声も聞かれるのが実情です。

ここでは、そんな企業の多くから近年注目を集めているエデンレッドジャパンの福利厚生食事補助サービス「チケットレストラン」について紹介します。

人手不足に福利厚生が有効なワケ

近年、生産年齢人口の減少を背景に、採用に力を入れる企業が増えています。反面、同業他社との差別化が難しく、思うように結果が出せていない企業も少なくありません。

この、「同業他社との差別化」において、大きな力を発揮するのが充実した福利厚生です。福利厚生が充実している企業は「従業員を大切にする企業」としてポジティブなブランディングが可能となります。他社との差別化ができるため、採用力の向上が期待できるのです。

特に、食事補助のような、日々の生活で支給されていることを実感できる福利厚生は、企業に対する従業員の愛着や貢献意欲の向上にも寄与します。長期的な視点で見ると、業績の向上も期待できるのです。

関連記事:【社労士監修】非正規雇用の賃上げは課題だが年収の壁問題も!福利厚生が救世主に

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」とは

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、福利厚生の食事補助サービスとして、日本一の実績を持つサービスです。

サービスを利用している企業の従業員は、全国約25万店舗以上の加盟店での支払い時に、専用のICカードを使用することで、半額の食事補助が受けられます。

加盟店には、コンビニ・ファミレス・カフェはもちろん、人気の3大牛丼チェーンも名を連ねています。勤務時間中であればいつでも利用でき、時間や場所の制限もないため、従業員間の不公平感もありません。

また、「チケットレストラン」は、一定の条件のもと利用することで福利厚生として経費計上できます。通常の賃金として食事補助を提供した場合、企業側は法人税・従業員側は所得税や住民税の負担が増えますが、福利厚生費であれば双方負担は増えません。

こうした多くのメリットにより、「チケットレストラン」は、利用率98%、継続率99%、従業員満足度93%という高評価のもと、導入社数2,000社以上を誇る人気サービスとなっています。

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「社会保険適用時処遇改善コース」で人材不足解消と従業員の活躍を

「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」は、年収106万円の壁を乗り越えて働く従業員の活躍を支援する助成金制度です。事業主が、社会保険加入に伴う従業員の収入増加に取り組めば、1人あたり最大50万円の助成金が受けられます。

この助成金を活用することで、従業員は「年収の壁」を意識せず、意欲的に働けます。一方、事業主は人材の定着と確保を実現できるでしょう。加えて「チケットレストラン」のような魅力的な福利厚生制度を導入することで、企業の採用力はさらに高まります。

「社会保険適用時処遇改善コース」を、従業員の活躍支援と人材不足解消の切り札として、ぜひ検討してみてください。従業員の働きやすさと企業の発展、その両立に向けた第一歩となるはずです。

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