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【社労士監修】非正規雇用の賃上げは課題だが年収の壁問題も!福利厚生が救世主に

【社労士監修】非正規雇用の賃上げは課題だが年収の壁問題も!福利厚生が救世主に

2024.03.26

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監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

2024春闘では、企業が賃上げの必要性を理解し前向きな姿勢を見せています。しかし見過ごしてはならないのは、非正規雇用者の賃上げです。アルバイト・パートタイマー・派遣社員・契約社員のように、一定期間のみの雇用契約に限定して働く非正規雇用は、労働者の3〜4割程度の割合を占めています。本記事では、非正規雇用の現状、および、賃上げが必ずしもメリットにならないなど、企業の人事総務担当者が知っておきたい知識やポイントを解説します。

非正規雇用の賃上げは日本経済の課題

物価上昇が続く中、賃金をどれだけ引き上げられるかについてのニュースが絶えません。注目されている賃上げですが、非正規雇用の賃上げについてはどのようでしょうか。非正規雇用は労働者全体の3〜4割ほどを占めますが、春闘などの影響をほとんど受けることがないのが現状です。割合を見ると、日本全体の賃上げのために、非正規雇用の賃上げも無視できません。デフレ脱却のための糸口ともなり、今後の日本経済を左右する賃上げですから、正規雇用だけでなく非正規雇用の賃上げも課題なのです。

日本の非正規雇用の現状

日本の非正規雇用について、データをもとに現状を把握しましょう。

非正規雇用者の推移|2010年以降2020年まで増加傾向

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出典:厚生労働省|2023年度第1回雇用政策研究会(参考資料集)

厚生労働省によると、2023年度の統計で非正規雇用者は国内で2100万人余り、労働者全体の約37%を占めます。雇用者のうちの3人に1人が非正規雇用者です。非正規雇用者は2010年以降増加しており、2020年に減少していますが、再び2022年には上昇しています。

非正規雇用者が多い年齢階級|男性の65歳以上・女性の45歳〜54歳

非正規雇用者にはどの年齢階級が多いのでしょうか。総務省の「労働力調査(詳細集計)2022年(令和4年)平均」によると、男女別の年齢階級では、男性は65歳以上が最も多く206万人、女性は45歳〜54歳が最も多く373万人となりました。

非正規雇用 賃上げ_02出典:総務省統計局|1.高齢者の人口

年齢階層別非正規雇用者の割合|65歳以上が多い

非正規雇用者の年齢階級別の統計では、65歳以上が平均76.4%の割合となりました。これは、多くの非正規雇用者が65歳以上の高齢者であることを示しています。総務省によると、2022年の総人口のうち、65歳以上が占める割合は29.1%です。総人口における高齢者の割合については、第2次ベビーブーム期(1971年〜1974年)に生まれた世代が65歳以上となる2040年には、35.3%になる見込みです。

非正規雇用者には65歳以上の高齢者が多く、一般的に現役世代よりも収入が少ないと考えられます。非正規雇用の賃上げは、年金だけでは生活が厳しい場合も考えられる年齢階層の賃上げであり、その重要性がわかります。

非正規雇用 賃上げ_03

出典:総務省統計局|1.高齢者の人口

非正規雇用との賃金格差|正規雇用の▲106,700円

正規雇用と非正規雇用の賃金格差についても押さえましょう。厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」によると男女計で、正規雇用者の賃金が328,000円に対し、非正規雇用者の賃金は221,300円で、その差は106,700円です。とくに、35歳〜59歳までの差が大きいことから、現役世代での賃金格差があります。非正規雇用の賃上げは、家庭を持ち支出が多くなる年齢層においては、雇用形態による賃金格差を広げないために必要と考えられます。

非正規雇用 賃上げ_04

出典:厚生労働省|令和4年賃金構造基本統計調査の概況

2024春闘における非正規雇用の賃上げ|イオングループ

非正規雇用の賃上げは、春闘の影響をほとんど受けないと前述しましたが、非正規雇用の賃上げを実現するイニシアチブを持つ企業もあります。

イオングループは、日本で最もパート雇用者が多い企業グループです。イオングループでは非正規雇用者の賃上げの先がげになるべきという企業理念のもと、2023年より2年連続でパートで勤務する従業員について7%水準の賃上げを実行します。対象となるのは、グループの約150社です。平均時給は現在1,070円であり、約75円の賃上げです。低賃金が社会問題化している非正規雇用の価格是正に向けた取り組みとして、注目されています。

参考:東京新聞|まいばすも、イオングループがパート40万人「7%賃上げ」へ 労組トップは「年収の壁、突き破れ」

非正規春闘の取り組みが活性化

非正規雇用の賃上げが進まない現状を打破すべく、パートや派遣社員の人たちなどがそれぞれの勤務先に賃上げを求めようと2023年から始まった取り組みが「非正規春闘」です。非正規春闘は、職場の労働組合の有無は無関係で、たった1人でも非正規春闘実行委員会に相談・加入すれば春闘の賃上げ交渉に参加できます。

2024非正規春闘|10%の賃上げを要求

2024年の非正規春闘では、個人で加入できる20の労働組合が集まり10%の賃上げを要求しています。具体的には、約50人が経団連の前に集まり待遇改善を要求し、声を挙げました。活動は全国に広がっています。宮城非正規春闘では賃上げを求めて集まり、地元のニュースにも取り上げられています。

2023非正規春闘の好事例

2023年に開始した非正規春闘は、初年度に早くも以下の賃上げの実現を果たしました。

  • 靴小売大手のABCマートで約5,000名のパート・アルバイトの6%賃上げ
  • 総合スーパーのベイシアで約9,000名のアルバイトの5.44%賃上げ

たった1人で声を挙げた春闘で賃上げを勝ち取った企業の例もあり、非正規雇用のための開かれた春闘として、その動向が注目されるようになりました。2023年では、約30社に賃上げ要求し、その半数程度で実現したそうです。

参考:NHK NEWS WEB|「非正規春闘」派遣社員など“正規雇用同様 大幅賃上げを”
参考:Yahoo!JAPANニュース|賃上げ10%を求める「非正規春闘」が本格化 どうやって参加したらいい?
参考:TBS NEWS DIG|10%以上の賃上げ求める 宮城で「非正規春闘」開始 "賃金低いのに物価高騰”

非正規雇用の賃上げの問題点は「年収の壁」による就業調整

非正規雇用の賃上げは、単純にメリットと言えないケースがあります。時給が上がったら労働時間の調整が必要になる場合があるためです。

「年収の壁」とは、一定の年収を超えると配偶者の扶養から外れ、社会保険料の負担が増え、実質手取りが減ることです。条件は居住地や配偶者の勤務先の規模により異なりますが、大きな壁は以下の2つとなります。

  • 106万円の壁:配偶者が従業員101人以上の企業などに週20時間以上勤務しているなど所定の要件に合致している場合、厚生年金保険・健康保険に加入
  • 130万の壁:従業員100人以下の企業などに勤務している場合、国民年金・国民健康保険に加入

とくにパートでは、年収の壁を意識し毎月の労働時間を調整する非正規雇用の労働者も多く、賃上げは必ずしも喜ばれません。

なお、政府は「年収の壁」を意識せずに働ける環境づくりの支援を開始すると発表しています。「年収の壁」への対応検討のひとつとして「年収の壁・支援強化パッケージ」についても確認するとよいでしょう。

参考:NHK NEWS WEB|“時給上がったから働く時間減らさないと”「年収の壁」対策へ
参考:政府広報オンライン|「年収の壁」対策がスタート!パートやアルバイトはどうなる?

「年収の壁」を意識せずに提供できる食の福利厚生を紹介

年収の壁を意識して非正規雇用の賃上げを尻込みしている企業には、福利厚生の仕組みを利用する方法を推奨します。ここからは食の福利厚生サービスであるエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」について、詳しく見ていきましょう。

1.雇用形態を問わず全従業員が対象者

ランチ代を企業が半額負担する食の福利厚生「チケットレストラン」は、直接雇用契約のある従業員であれば、雇用形態を問わず全従業員を対象にサービスを提供できます。常勤・非常勤・派遣社員・出向社員・アルバイトなども、直接雇用契約があれば利用対象者です。

2.就業調整が不要

食事補助は要件を満たして支給する場合、所得税がかかりません。つまり、就業調整の対象になりません。パート従業員にも喜ばれるのがメリットです。

関連記事:食事補助は課税される?給与にしないための非課税限度額

3.実質手取りが増える

給与ではない方法で従業員に還元することで従業員の税負担が増えず、税負担分が手取りになるのがメリットです。もし同額を現金で支給された場合、税負担がかかってしまいます。

4.企業にも導入メリットがある

要件を満たした食事補助は、福利厚生費として経費に計上できます。経費の損金として計上することで、企業の課税所得が小さくなり、税額が軽減できるのがメリットです。「チケットレストラン」の場合、少額で試せることから企業規模を問わず導入しやすいうえに、魅力的な福利厚生がある企業としてのブランディング効果も期待できます。

福利厚生を活用して非正規雇用の実質賃上げを実現

非正規雇用の賃上げは、日本経済の活性化のために重要な取り組みです。しかし、年収の壁問題により単純な賃上げが喜ばれないこともあるため、従業員の声に耳を傾け、真に喜ばれる賃上げを行う必要があるでしょう。エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」の場合、実質手取りが上がる上に年収の壁も意識せずにすむため、年収の壁問題を意識する非正規雇用者のニーズを満たした賃上げが可能となります。

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