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BPRとは何かわかりやすく解説!業務改善やDXとの違いも確認

BPRとは何かわかりやすく解説!業務改善やDXとの違いも確認

2024.12.23

BPR(Business Process Re-engineering)とは、企業の業務プロセスを抜本的に見直し、効率化を図ることです。近年、デジタル化の波や労働力不足を背景に、取り組む企業が増加しています。本記事では、BPRとは何かといった基礎的な内容から実践方法まで、わかりやすく解説します。

BPRとは何か?抜本的なことなのか?

BPRとは、企業の業務プロセス全体を根本から見直し、再構築する取り組みです。組織構造や業務フロー、情報システムなど、企業活動の基盤となる要素を「ゼロベース」、つまり既存の仕組みにとらわれずに見直します。たとえば、部門ごとの経理業務を一元化したり、複雑な承認プロセスを簡略化したりする、抜本的な改革を指します。

BPRの歴史

1993年、米国の不況を背景に『リエンジニアリング革命』(マイケル・ハマーとジェイムズ・チャンピー共著)でBPRという概念が提唱されました。「業務プロセスを根本から見直し、劇的な業績改善を実現する」という考え方は、バブル崩壊後の日本企業にも広がり、現在はDX時代の改革手法として注目を集めています。

BPRと混同しやすい概念との違い

業務改善やDXといった混同しやすい概念との違いを押さえます。

BPRと業務改善との違い

BPRと業務改善は、どちらも効率化を目指す取り組みですが、その範囲と深さが異なります。受注から出荷までの全工程を見直し新システムを導入するなど、BPRは業務プロセス全体を再構築するものです。

一方、特定の部署の作業手順の見直しなど、業務改善では既存プロセスの部分的な効率化を図ります。業務改善での小さな成功を積み重ねてから、BPRによる大きな改革に着手するのが一般的です。

BPRとDXとの違い

BPRとDX(デジタルトランスフォーメーション)は、改革の範囲は異なりますが、密接な関係にあります。BPRは部門間の情報共有を効率化するなど、業務プロセスの最適化が目的です。一方、DXは実店舗からECへの転換など、デジタル技術によるビジネスモデルの変革を目指します。

多くの企業がDXに失敗する原因は、業務プロセスの整理が不十分なまま、デジタル化を進めてしまうことです。BPRによる業務プロセスの最適化があってこそ、DXは成功します。

BPRに注目が集まる背景

なぜBPRで業務プロセスの再構築が必要になるのでしょうか。その背景を説明します。

少子高齢化による労働力不足

BPR推進の背景には、少子高齢化による労働力不足があります。総務省「令和4年版情報通信白書」によると、2050年には日本の生産年齢人口比率が5,275万人(2021年から29.2%減)に減少すると見込まれています。

また、内閣府「令和6年版高齢社会白書」によると、2023年10月時点の総人口は1億2,435万人であり、うち65歳以上の人口が3,623万人と、高齢化率(65歳以上人口の割合)は29.1%に達しました。このまま少子高齢化が進めば、2070年には高齢化率38.7%、2.6人に1人が65歳以上になると予測されています。

出典:総務省|令和4年版情報通信白書
出典:内閣府|令和6年版高齢社会白書

DX推進の前準備

BPRを通じて業務プロセスを整理し、デジタル化に適した形に再構築することが、DX推進の基盤となります。

たとえば経費精算の承認プロセスでは、従来の「申請書を印刷→押印→上長確認→経理確認→支払処理→書類保管」という流れをそのままシステム化しても非効率です。BPRで承認ルートの簡素化や電子保管ルールを整理してからデジタル化することで、真に効率的なDXが実現できます。

BPRに取り組むメリット

BPRに取り組むことで得られるメリットを具体例とともに順番に説明します。

1.業務フロー最適化

部門ごとにバラバラだった業務を標準化し、重複を排除することで企業全体の効率が上がります。たとえば、各部署で個別に作成していた月次報告書のフォーマットを統一し、データを共有することで、重複作業がなくなり、集計作業の手間が削減できます。

2.生産性向上

業務プロセスの見直しにより、価値を生まない業務を特定・削減し、本来注力すべき業務に時間を使えるようになります。日報作成や請求書処理といった定型作業の自動化により、商品開発や顧客折衝など、人間にしかできない創造的な仕事に集中できるようになるのです。

3.顧客満足度向上

業務効率化により、顧客対応の質とスピードが向上します。たとえば、顧客情報をすぐに確認できるようになることで、問い合わせから回答までの時間が短縮され、待ち時間というストレスを解消できます。

4.従業員満足度向上

従業員一人ひとりの成長と満足度を高める効果が期待できます。不必要な業務の削減により、従業員の負担が軽減されれば、仕事への満足度が高まります。残業時間が減ることで自己啓発の時間が生まれ、より付加価値の高い業務にチャレンジする従業員も増えるでしょう。

5.市場競争力強化

効率的な業務プロセスの確立により、新商品の開発スピードを上げたり、価格競争力を高めたりできるため、市場競争力の強化が期待できます。

6.イノベーション創造

業務プロセスを根本から見直すことで、これまで気づかなかった新しいビジネスチャンスが見えてきます。「今までそうしてきた」という固定観念から解放されることで、革新的なアイデアが生まれやすくなります。

BPRに取り組むデメリット

BPRには以下のデメリットがありますが、適切な対策で軽減できます。

1.コスト負担増

全社的な業務プロセスの見直しには、多大な労力と時間、費用が必要です。新システムの導入や従業員研修のコストも発生しますが、優先度の高い部門から段階的に実施することで、初期投資を抑えられます。

2.従業員との摩擦

業務プロセスの大幅な変更は、従業員に不安や戸惑いをもたらします。「今のやり方で十分」という声は、長年の経験が通用しなくなることへの懸念から生まれます。このような声を現場の知見として活かし、新プロセスの設計に取り入れることで、より実践的な改革が可能になるでしょう。

3.失敗によるリスク

一度に業務プロセスを変更すると、混乱から生産性が低下する恐れがあります。まずは一部門での運用からスタートし、成功事例と課題を把握しながら他部門へ展開することで、リスクを最小限に抑えられます。

BPR推進の方法・フレームワーク

業務プロセスの再構築を効果的に進めるには、体系的なアプローチが必要です。そこで活用されるのが「フレームワーク(枠組み)」です。フレームワークを活用することで、現状分析から課題の特定、解決策の立案まで、より確実に進められます。以下に、代表的なBPRのフレームワークを紹介します。

ERP(Enterprise Resources Planning)

ERPシステム(統合基幹業務システム)を導入し、企業全体の業務プロセスを標準化・効率化します。ERPの導入により、経理・人事・在庫管理などの業務を一元管理でき、リアルタイムでの情報共有や意思決定の迅速化が可能になります。

シックスシグマ

1980年代にモトローラ社で開発された経営・品質管理手法を用いて業務プロセスの品質を改善し、ムダを削減します。

「DMAIC」(Define:定義、Measure:測定、Analyze:分析、Improve:改善、Control:管理)という体系的なアプローチで、継続的な改善を実現します。なお「σ(シグマ)」とは、統計学でデータのちらばりを意味する標準偏差のことです。

シェアードサービス

間接業務を「集める」ことで、効率化とコスト削減を図ります。具体的には、グループ企業の経理・人事・総務などの間接部門を統合し、専門組織として運営することで、業務の標準化と効率化、コスト削減を実現します。

BPO(Business Process Outsourcing)

業務の一部を外部委託し、企業の収益や業績に直結する「コア業務」への集中を図ります。データ入力や給与計算などの定型業務を専門業者に委託することで、自社の経営資源をより重要な業務に振り向けることが可能になります。

SCM(Supply Chain Management)

サプライチェーン(供給の鎖)全体の最適化を図り、効率的な業務プロセスを構築するのがSCMです。原材料の調達から製造、物流、販売までの一連の流れを一元管理することで、在庫の適正化や、受注から商品のお届けまでの時間(リードタイム)の短縮を実現できます。

BPRを進める5つのステップ

BPRを推進する具体的なステップについても紹介します。

1.検討

経営層と現場の意見をすり合わせながら、目的・目標の設定と対象業務を特定します。現状把握には業務棚卸表を活用し、部門ごとの業務を可視化するのが有効です。

2.分析

現状の業務の課題を特定します。業務フロー図で作業の流れを可視化したり、業務ごとの工数を棒グラフで比較したりすることで、非効率な工程が見えてきます。また、シックスシグマのDMAIC(定義・測定・分析・改善・管理)の手法を使えば、より体系的な分析が可能です。

3.設計

新しい業務プロセスを設計します。ITツールの選定(ERPシステムなど)や組織体制の見直し(シェアードサービス、BPOの利用など)も含めて検討しましょう。

4.実施

まずは一部門でテスト運用を行い、KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)で効果を測定します。たとえば、問い合わせ件数などの指標を設定し、改善の進捗を把握します。

5.評価

数値目標の達成度だけでなく、従業員満足度調査やカスタマーフィードバックなど、定性的な評価も組み合わせて評価します。課題が見つかれば、PDCAサイクルを回して継続的に改善します。

BPRに取り組む際のポイントや留意点

BPRを成功に導くためには、以下の3つの視点からの取り組みがポイントになります。

1.全社的な推進体制を確立すること

BPRは全社的な改革であり、トップダウンとボトムアップの両方のアプローチが必要です。経営層は明確なビジョンと方針を示し、全体会議やオンラインミーティング、社内SNSなどを活用して組織全体に浸透させます。一方で、現場からの改善提案も積極的に取り入れ、実践的な改革を目指します。

2.本質的な問いかけをすること

既存の業務プロセスを効率化する考え方ではなく、「なぜその業務が必要か」「誰のために行っているのか」という本質的な問いかけで新しい枠組みを作ることを意識しましょう。また、「処理時間の30%削減」など具体的な数値目標を設定することで、改革の進捗と成果を明確に把握できます。

3.持続可能な改革であること

業務プロセスは市場環境や技術の変化に応じて常に進化が必要であり、BPRを一時的な取り組みで終わらせてはいけません。現場の従業員を改革の当事者として巻き込み、月次での進捗報告や改善提案制度の活用を通じて、現場主導の継続的なPDCAサイクルを作り出します。

BPRは持続可能な企業への第一歩

少子高齢化による人口減少に備えるため、企業は規模によらずBPRに注目することになるでしょう。デジタル化推進の前段階としても、BPRは重要な役割を果たします。

しかし、BPRが成功するかどうかは、従業員の理解と協力にかかっています。業務プロセスの改革には、必ず従業員の働き方や業務内容の変更が伴うため、従業員満足度の維持・向上が重要な課題となります。

そこで、働きやすい環境づくりの一環として、食事補助などの福利厚生サービスの導入も有効な選択肢の一つです。たとえば「チケットレストラン」のような柔軟な食の福利厚生サービスは、従業員の満足度向上をサポートすることで、BPRをスムーズに進められます。

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