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時給・最低賃金アップで倒産の危機?中小企業への対応戦略を解説

時給・最低賃金アップで倒産の危機?中小企業への対応戦略を解説

2024.11.06

2024年10月、最低賃金の大幅な引き上げがおこなわれました。これにより、中小企業の経営環境はますます厳しさを増しています。本記事では、最新のデータをもとに、最低賃金の引き上げが中小企業に与える影響をわかりやすく解説しています。賃上げを妨げる要因や人手不足倒産のリスク・実質的な賃上げを実現する具体的な対応策まで網羅していますので、ぜひ参考にしてください。

2024年10月から最低賃金が大幅アップ

2024年10月、最低賃金が全国規模で大幅に改定されました。厚生労働省の発表によると、全国加重平均は1,055円です。前年から51円(5.1%)引き上げられ、過去最高水準の上げ幅となっています。

都道府県名 最低賃金時間額【円】 引上げ率【%】 発効年月日
北海道 1,010 (960) 5.2 令和6年10月1日
青森 953 (898) 6.1 令和6年10月5日
岩手 952 (893) 6.6 令和6年10月27日
宮城 973 (923) 5.4 令和6年10月1日
秋田 951 (897) 6.0 令和6年10月1日
山形 955 (900) 6.1 令和6年10月19日
福島 955 (900) 6.1 令和6年10月5日
茨城 1,005 (953) 5.5 令和6年10月1日
栃木 1,004 (954) 5.2 令和6年10月1日
群馬 985 (935) 5.4 令和6年10月4日
埼玉 1,078 (1,028) 4.9 令和6年10月1日
千葉 1,076 (1,026) 4.9 令和6年10月1日
東京 1,163 (1,113) 4.5 令和6年10月1日
神奈川 1,162 (1,112) 4.5 令和6年10月1日
新潟 985 (931) 5.8 令和6年10月1日
富山 998 (948) 5.3 令和6年10月1日
石川 984 (933) 5.5 令和6年10月5日
福井 984 (931) 5.7 令和6年10月5日
山梨 988 (938) 5.3 令和6年10月1日
長野 998 (948) 5.3 令和6年10月1日
岐阜 1,001 (950) 5.4 令和6年10月1日
静岡 1,034 (984) 5.1 令和6年10月1日
愛知 1,077 (1,027) 4.9 令和6年10月1日
三重 1,023 (973) 5.1 令和6年10月1日
滋賀 1,017 (967) 5.2 令和6年10月1日
京都 1,058 (1,008) 5.0 令和6年10月1日
大阪 1,114 (1,064) 4.7 令和6年10月1日
兵庫 1,052 (1,001) 5.1 令和6年10月1日
奈良 986 (936) 5.3 令和6年10月1日
和歌山 980 (929) 5.5 令和6年10月1日
鳥取 957 (900) 6.3 令和6年10月5日
島根 962 (904) 6.4 令和6年10月12日
岡山 982 (932) 5.4 令和6年10月2日
広島 1,020 (970) 5.2 令和6年10月1日
山口 979 (928) 5.5 令和6年10月1日
徳島 980 (896) 9.4 令和6年11月1日
香川 970 (918) 5.7 令和6年10月2日
愛媛 956 (897) 6.6 令和6年10月13日
高知 952 (897) 6.1 令和6年10月9日
福岡 992 (941) 5.4 令和6年10月5日
佐賀 956 (900) 6.2 令和6年10月17日
長崎 953 (898) 6.1 令和6年10月12日
熊本 952 (898) 6.0 令和6年10月5日
大分 954 (899) 6.1 令和6年10月5日
宮崎 952 (897) 6.1 令和6年10月5日
鹿児島 953 (897) 6.2 令和6年10月5日
沖縄 952 (896) 6.3 令和6年10月9日
全国加重平均額 1,055 (1,004) 5.1

※括弧書きは、改定前の地域別最低賃金額

参考:厚生労働省|地域別最低賃金の全国一覧

最低賃金は都道府県ごとに異なり、もっとも高いのは東京都の1,163円、次いで神奈川県の1,162円です。さらに、大阪府の1,114円・埼玉県の1,078円・愛知県の1,077円と続き、大都市圏ほど高い傾向にあることがわかります。一方、もっとも低いのは秋田県の951円で、最高額の東京都との差は212円に及びます。

今回の改定では、徳島県が前年比9.4%という高い上昇率を記録し、岩手県や愛媛県も6.6%の上昇となるなど、地方部での上昇率が目立つ結果となりました。これは、地域間格差の是正を目指す動きの表れとも考えられます。

また、今回の改定により、全都道府県で最低賃金が950円を超えました。昨年度の改定で「全国加重平均1,000円」という政府目標を超えて以降、さらなる賃金底上げが進んでいることがわかります。

関連記事:東京都の最低賃金は全国最高の1,163円!推移と2024年最新情報

中小企業における賃上げの厳しい現状

最低賃金の引き上げが進む中、中小企業の多くが厳しい現実に直面しています。

2024年の春闘結果を見ると、大企業(従業員300人以上)の平均賃上げ率が5.19%だったのに対し、中小企業(300人未満)は4.45%に留まりました。この0.74ポイントの差は、中小企業における賃上げの構造的な難しさを示すものです。

さらに2024年度は、春闘での賃上げに加えて最低賃金の大幅な引き上げがおこなわれたことで、中小企業の多くが想定以上の人件費負担を強いられています。年度初めの事業計画で見込んでいた人件費を大幅に上回る事態を迎え、経営計画の見直しを迫られている中小企業も少なくありません。

参考:日本労働組合総連合|33 年ぶりの 5%超え!~2024 春季生活闘争 第 7 回(最終)回答集計結果について~

関連記事:【2024春闘】賃上げ率5.10%を達成!持続可能な賃上げ戦略とは

最低賃金引き上げが中小企業にもたらす3つの影響

最低賃金の引き上げは、中小企業の経営にさまざまな影響を及ぼします。中でも特に重要なポイントを3点ピックアップして紹介します。

人件費の負担が増える

最低賃金の引き上げは、パート・アルバイトの給与増加だけでなく、企業全体の人件費の増加を招きます。

最低賃金の引き上げにより、パートやアルバイトの時給が上昇すると、正規雇用の従業員との給与差が縮小します。正規雇用の従業員の賃金水準によっては、モチベーションや貢献意欲の低下を招く可能性が否定できません。この場合、企業は正規雇用の従業員を含めた給与体系の見直しを迫られ、最低賃金引き上げ分以上の人件費の負担が必要です。

また、賃金の上昇に伴い、社会保険の適用対象となる従業員が増加すると、社会保険料の事業主負担も増加します。こうした想定以上の人件費負担が原因で、企業の資金繰りに影響を及ぼすことも懸念されます。

人手不足問題が深刻化する

最低賃金の引き上げは、企業にとって給与負担を増大させるだけでなく、人手不足問題にも悪影響を与えます。

パート・アルバイト従業員は、その多くが配偶者控除や扶養控除の収入限度額を超えないように労働時間を調整しています。しかし、最低賃金の引き上げによって賃金が増加した従業員は、労働時間を減らさざるを得ません。結果として、企業はシフトの編成が困難になります。

サービス業を中心に、パート・アルバイト従業員への依存度が高い業種では、その労働時間減少を補うために正規雇用の従業員の業務負担が増加しがちです。これは、正規雇用の従業員の企業に対する不満、ひいては離職の原因となります。

少子高齢化が進む現代日本では、人材の確保は多くの企業にとって喫緊の課題です。最低賃金の引き上げは、この人手不足問題をさらに深刻化させる可能性があるのです。

人手不足倒産のリスクが高まる

令和6年上半期|人手不足倒産

出典:株式会社 帝国データバンク[TDB]|人手不足倒産の動向調査(2024 年度上半期)|(2024年10月4日)

帝国データバンクの調査によると、2024年度上半期(4ー9月)における人手不足倒産は163件に達しています。これは、年度として過去最多のペースです。

従業員数別のデータを見ると、従業員10人未満の小規模事業者が全体の82.2%を占めています。この事実は、小規模企業ほど人手不足の影響を深刻に受けていることを示すものです。

この傾向は建設業(55件)と物流業(19件)で顕著で、全体の45.4%を占めています。これらの業種では、時間外労働の上限規制適用も影響し、状況はより深刻です。

この傾向は今後も続くと見られることから、特に労働条件が厳しい小規模事業者を中心に、人手不足倒産は今後も高水準で推移すると予想されています。

参考:株式会社 帝国データバンク[TDB]|人手不足倒産の動向調査(2024 年度上半期)|(2024年10月4日)

関連記事:人手不足倒産はなぜ起こるのか?業種の傾向や中小企業ができる対策は

中小企業の賃上げを妨げる4つの要因

大企業と比べ、中小企業の賃上げが進まないのはどのような理由によるものなのでしょうか。ここでは、中小企業が直面する課題を4つの角度から解説します。

価格への転嫁が困難

帝国データバンク|価格転嫁率

帝国データバンクの調査によると、2024年2・7月の両調査において、コストの上昇分を販売価格に完全に転嫁できている企業はわずか2.5%に留まっています。また、まったく価格転嫁できていない企業も6.6%存在します。

これは、取引先との力関係により、価格転嫁が難しい中小企業ならではの背景によるものです。中小企業の多くは、コスト上昇分を自社で負担せざるを得ません。この結果、従業員への賃上げに必要な原資が削られる状況が続いています。

参考:株式会社 帝国データバンク[TDB]|価格転嫁に関する実態調査-価格転嫁の状況分析(2024 年 2 月・7 月比較)ー(2024年9月26日)

原材料費・エネルギー費の高騰

東京商工リサーチが2023年におこなった調査によると、賃上げできない理由として「原材料価格が高騰」が2位・「電気代が高騰」が3位・「燃料代が高騰」が5位と、コスト上昇に関する項目が上位を占めました。

また、光熱費の上昇は、事業所の維持管理費用も押し上げています。特に、空調設備や冷蔵設備など、エネルギー消費の大きい設備を有する企業では、その影響が大きくなりがちです。

これらのコスト増は、直接的に企業の収益力を低下させ、賃上げの余力を奪う要因となっています。

参考:東京商工リサーチ|2023年度の賃上げ予定企業 80.6% 「賃上げしない」理由 「価格転嫁できていない」が最多の6割 | TSRデータインサイト

採用・教育コストの増加

中小企業の賃上げを妨げる要因として、無視できないのが人材確保のための採用コストです。

人手不足が社会問題となる中、企業が新たに人材を獲得するにあたっては、求人広告費の増加に加えて採用時の給与水準の引き上げも必要です。特に、即戦力となる人材の採用では、市場相場を上回る給与を提示せざるを得ないケースも増えています。

また、業務のデジタル化やコンプライアンスの強化により、採用後の教育研修にかかるコストも上昇しています。その結果、一人前の戦力として活躍できるようになるまでの期間が長期化傾向にあり、その間の人件費負担が企業にとって大きな課題となっているのです。

資金調達面での制約

一般的に、中小企業は大企業と比べて資金調達の選択肢が限られています。金融機関からの借入れでも、相対的に高い金利を求められることが多く、設備投資や運転資金の確保に苦慮するケースが少なくありません。

中には、必要な資金を調達できず、賃上げの実施を見送らざるを得ないケースも発生しています。

また、事業規模が小さい企業ほど、担保となる資産も限られるため、資金調達が困難です。そのため、積極的な賃上げや従業員待遇の向上を図る余裕が生まれにくい傾向にあります。

関連記事:中小企業の賃上げができない原因と解決策|助成金と福利厚生をチェック

福利厚生で実現!低コストな実質的賃上げ

最低賃金は守らなければならない法的な基準ですが、一方で、最低賃金を満たしただけでは、優秀な人材の獲得や、既存従業員の満足度向上は望めません。人材にとってより魅力ある企業としてアピールするためには、他社との差別化を実現するプラスアルファの施策が必要です。

そこで注目を集めているのが、福利厚生を通じた実質的な賃上げです。

給与とは異なり、福利厚生費は一定の条件下で経費として計上できます。これにより企業は法人税の軽減効果を得られ、従業員は所得税の負担増なく実質的な手取りを増やすことが可能です。給与として受け取る場合と比較して手取り額が増えるため、実質的な賃上げの効果が期待できます。

また、充実した福利厚生は「従業員を大切にする企業」としてのブランディングにつながります。これは、採用市場での競争力を求める企業にとって強力な強みです。

関連記事:NHKニュース7でも紹介された「第3の賃上げ」活用で福利厚生充実

日本一の実績を持つ食事補助の福利厚生「チケットレストラン」

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、日本一の実績を持つ食事補助の福利厚生サービスです。

チケットレストラン」を導入した企業の従業員は、一定の利用条件を満たした場合に加盟店での食事が半額で利用できます。25万店舗を超える加盟店のジャンルはコンビニエンスストアやファミリーレストラン、三大牛丼チェーンなど多種多様で、さまざまなニーズに対応します。

導入手続きも簡単で、契約から利用開始までは約1カ月です。運用に必要なのは月1回のチャージのみのため、バックオフィスの負担もありません。人的リソースが限られる中小企業でも安心して導入できます。

食事補助で従業員の生活を支えつつ、節税効果や従業員の実質的な手取りアップもかなえられるサービスとして、すでに3,000社を超える企業に導入されているサービスです。

最低賃金上昇時代を生き抜く中小企業の戦略

最低賃金の上昇は、今後も継続することが予想されます。大企業に比べて資金力に乏しい中小企業では、人件費の高騰が人手不足に拍車をかけ、人手不足倒産の危機も高まっているのが現状です。

この環境下では、限られた経営資源を最大限に活用し、従業員の満足度向上につながる効果的な施策を選択することが求められます。その意味で、導入が容易でアピール度が高い食事補助などの福利厚生は、単なる給与に依存しない魅力を提供できるため、企業の競争力を高めます。

最低賃金の上昇という課題に直面する今こそ、自社に適した処遇改善策を検討・実施する好機です。ぜひこのタイミングで「チケットレストラン」のような新たな施策の導入を検討されてはいかがでしょうか。

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関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も