最低賃金引き上げは2024年10月から
最低賃金は毎年10月に改定されています。2024年10月の改定により、最低賃金の全国加重平均が2023年より51円高い1,055円になりました。
ここでは都道府県別の最低賃金を見ていきましょう。半数に近い都道府県で、引き上げ額が全国加重平均を上回っていることが分かります。例えば徳島県では、2024年10月からの改定で、最低賃金が改定前より84円と他の都道府県と比べても大幅に引き上げられました。
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都道府県
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2024年改定後の最低賃金
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改定前の最低賃金
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引き上げ額
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発効年月日
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北海道
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1,010円
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960円
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50円
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2024年10月1日
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青森
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953円
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898円
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55円
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2024年10月5日
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岩手
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952円
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893円
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59円
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2024年10月27日
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宮城
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973円
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923円
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50円
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2024年10月1日
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秋田
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951円
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897円
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54円
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2024年10月1日
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山形
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955円
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900円
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55円
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2024年10月19日
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福島
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955円
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900円
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55円
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2024年10月5日
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茨城
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1,005円
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953円
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52円
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2024年10月1日
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栃木
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1,004円
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954円
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50円
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2024年10月1日
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群馬
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985円
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935円
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50円
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2024年10月4日
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埼玉
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1,078円
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1,028円
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50円
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2024年10月1日
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千葉
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1,076円
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1,026円
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50円
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2024年10月1日
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東京
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1,163円
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1,113円
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50円
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2024年10月1日
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神奈川
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1,162円
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1,112円
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50円
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2024年10月1日
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新潟
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985円
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931円
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54円
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2024年10月1日
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富山
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998円
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948円
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50円
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2024年10月1日
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石川
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984円
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933円
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51円
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2024年10月5日
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福井
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984円
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931円
|
53円
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2024年10月5日
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山梨
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988円
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938円
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50円
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2024年10月1日
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長野
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998円
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948円
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50円
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2024年10月1日
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岐阜
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1,001円
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950円
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51円
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2024年10月1日
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静岡
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1,034円
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984円
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50円
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2024年10月1日
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愛知
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1,077円
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1,027円
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50円
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2024年10月1日
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三重
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1,023円
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973円
|
50円
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2024年10月1日
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滋賀
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1,017円
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967円
|
50円
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2024年10月1日
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京都
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1,058円
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1,008円
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50円
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2024年10月1日
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大阪
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1,114円
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1,064円
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50円
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2024年10月1日
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兵庫
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1,052円
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1,001円
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51円
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2024年10月1日
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奈良
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986円
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936円
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50円
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2024年10月1日
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和歌山
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980円
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929円
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51円
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2024年10月1日
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鳥取
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957円
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900円
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57円
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2024年10月5日
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島根
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962円
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904円
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58円
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2024年10月12日
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岡山
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982円
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932円
|
50円
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2024年10月2日
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広島
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1,020円
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970円
|
50円
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2024年10月1日
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山口
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979円
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928円
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51円
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2024年10月1日
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徳島
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980円
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896円
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84円
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2024年11月1日
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香川
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970円
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918円
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52円
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2024年10月2日
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愛媛
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956円
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897円
|
59円
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2024年10月13日
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高知
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952円
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897円
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55円
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2024年10月9日
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福岡
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992円
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941円
|
51円
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2024年10月5日
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佐賀
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956円
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900円
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56円
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2024年10月17日
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長崎
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953円
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898円
|
55円
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2024年10月12日
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熊本
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952円
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898円
|
54円
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2024年10月5日
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大分
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954円
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899円
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55円
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2024年10月5日
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宮崎
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952円
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897円
|
55円
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2024年10月5日
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鹿児島
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953円
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897円
|
56円
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2024年10月5日
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沖縄
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952円
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896円
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56円
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2024年10月9日
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全国加重平均
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1,055円
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1,004円
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51円
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最低賃金引き上げは10月からですが、効力が発生する発効年月日は都道府県ごとに異なります。事業所がある都道府県の発効年月日を確認しておくと、自社の状況に合わせて適切に給与設計を変更可能です。
参考:厚生労働省|令和6年度 地域別最低賃金 答申状況
関連記事:2024年の最低賃金引き上げの動向は?企業への影響や対策をチェック
最低賃金制度の概要を解説
最低賃金とは最低賃金法に基づいて定められている賃金のことです。企業は従業員に対して、必ず最低賃金以上の賃金を支払わなければならないと定められています。ここでは最低賃金制度のポイントを押さえておきましょう。
参考:厚生労働省|最低賃金制度
対象となる従業員
2024年10月に引き上げられた最低賃金は、都道府県ごとに定められている「地域別最低賃金」です。正社員・派遣社員・パート・アルバイト・臨時社員などの雇用形態・名称に関係なく、従業員やその使用者といった働く人全員が対象となります。
ただし「地域別最低賃金」よりも高い「特定(産業別)最低賃金」では、18歳未満と65歳以上の人、雇用し始めて一定期間未満で技能習得中の人、対象の産業に特有な軽い業務に携わる人は対象外です。
対象となる賃金
最低賃金の対象となるのは、毎月の基本的な賃金です。残業代・ボーナス・慶弔手当・家族手当・通勤手当などは対象となりません。
賃金が最低賃金以上になっているか確認する方法
「地域別最低賃金」は時間給で決まっています。ただし賃金の支払方法には、時間給以外に日給・月給・出来高払制などがあります。それぞれの賃金が最低賃金以上になっているか確認するときには、以下の計算方法を使用しましょう。
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賃金の支払方法
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計算方法
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時間給
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金額をそのまま比較する
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日給
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日給÷1日の所定労働時間で計算した金額と比較する
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月給
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月給÷1カ月の所定労働時間で計算した金額と比較する
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出来高払制・その他の請負制
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賃金の総額を当該賃金算定期間に出来高払制・その他の請負制働いた総労働時間で割った金額と比較する
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4種類の支払方法の組み合わせ
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それぞれの方法で計算して足した金額と比較する。例えば基本給が日給・職務手当が月給なら、日給と月給の計算方法でそれぞれ計算して足した金額と比較する
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最低賃金より低い賃金による契約は無効
最低賃金より低い賃金で従業員を雇い入れる契約をした場合、法律によって無効となり、最低賃金と同額で契約したこととみなされます。企業と従業員の間で、最低賃金より低い賃金で契約を結ぶことに合意していたとしても、最低賃金を下回る契約は認められません。
企業が従業員に最低賃金を下回る賃金しか支払っていない場合には、従業員に対して差額を支払う必要があります。加えて最低賃金法には50万円以下の罰金が定められています。
最低賃金引き上げのメリットや経済効果
最低賃金引き上げは、賃金を支払う企業や受け取る従業員はもちろん、社会や経済にも影響を与えます。具体的にどのようなメリットや経済効果が期待できるのかを見ていきましょう。
従業員のモチベーションアップにつながる
厚生労働省の「令和5年版 労働経済の分析」によると、賃上げは従業員のモチベーションにつながっていることが分かります。
同資料では、年収が上がると、横ばいもしくは減少した場合に比べて「仕事への満足度が高まった」「生き生きと働けるようになった」「幸福度が高まった」という従業員の割合が増えることが指摘されています。
従業員のモチベーションが上がれば、仕事の質や効率が高まり、業績アップにつながるかもしれません。
参考:厚生労働省|令和5年版 労働経済の分析 -持続的な賃上げに向けて-|第2章 賃金引上げによる経済等への効果
人材確保につながる
賃上げは人材確保につながることも「令和5年版 労働経済の分析」で触れられています。特に正社員の求人は、賃金の設定が最低賃金より5%以上高い金額だと、募集人数1人あたりに対する紹介件数が増加することが分かりました。
また賃上げは離職防止にもつながります。雇用形態や性別によらず、離職理由として「収入が少ない」をあげた人は、「その他の個人的理由」を除くと高い割合です。賃上げにより収入が上がることで、働き続ける人の増加が期待できます。
参考:厚生労働省|令和5年版 労働経済の分析 -持続的な賃上げに向けて-|第2章 賃金引上げによる経済等への効果
貧困の解消につながる
最低賃金引き上げにより全ての企業の賃金が一定以上になれば、 週5日1日8時間勤務すれば生活に困らない労働者が増えるでしょう。貧困の解消につながるため、生活保護といったセーフティーネットにかかる費用の削減も期待できます。
関連記事:最低賃金1,500円はデメリット?賃上げの効果と限界をレポートから分析
少子化の解消につながる
働けば必ず暮らしに困らない賃金を得られるよう、最低賃金引き上げが実施されれば、結婚して子どもを持とうと考える人が増えることも期待できます。進行している少子化の解消にもつながるかもしれません。
最低賃金引き上げによる企業のデメリット
最低賃金引き上げは、企業や従業員・社会全体にとってプラスに働く一方で、企業にとってデメリットもあります。具体的にどのようなデメリットがあるのかを見ていきましょう。
人件費が増える
最低賃金引き上げより、これまで従業員に支払っていた賃金では最低賃金を下回る企業もあるでしょう。この場合、従業員に支払う賃金が最低賃金以上となるよう、給与設定を変更しなければいけません。
人件費にかかるコストが最低賃金引き上げ前より増大する点は、企業にとってデメリットといえます。
利益が減る
人件費にかかるコストが増えることで、利益が減る企業も出てくるでしょう。
帝国データバンクの「価格転嫁に関する実態調査-価格転嫁の状況分析(2024年2月・7月比較)-」によると、2024年2・7月の調査両方で、コストの上昇分を全て価格転嫁できていると回答した企業は2.5%です。またどちらか一方でも全て価格転嫁できている企業は、2月5.2%・7月5.0%でした。
一方で2・7月どちらも全く価格転嫁できていない企業も6.6%存在します。2月のみであれば13.0%、7月のみであれば10.4%が全く価格転嫁できていません。
2月より7月の価格転嫁率が拡大した企業が32.4%ある半面、縮小した企業も20.8%存在しており、コスト上昇に価格転嫁が追いついていない状況が見られます。
最低賃金引き上げにより人件費が増えれば、さらにコストが上昇するため、見込んでいた利益が出ない企業もあるかもしれません。
参考:帝国データバンク|価格転嫁に関する実態調査-価格転嫁の状況分析(2024年2月・7月比較)-
扶養内で働く従業員の労働時間が減る
パートやアルバイトとして働く従業員の中には、扶養内での勤務を希望している人もいるでしょう。最低賃金引き上げに合わせて、パートやアルバイトの時給を上げると、これまでの勤務時間では扶養を外れる従業員が出てくるかもしれません。
扶養内で働き続けるために労働時間を減らさなければならず、人手不足につながる企業もあるでしょう。不足する人材を補うために、新たな人材の採用や教育のコストも必要です。
正社員の負担が増える
最低賃金引き上げに伴い、扶養内での勤務を希望するパートやアルバイトの労働時間が減少すると、正社員が担う仕事の割合が増加するケースもあるでしょう。残業や休日出勤が増える恐れもあります。
最低賃金引き上げに企業ができること
最低賃金の引き上げにより、企業はコストアップや利益減少・人手不足などの影響を受けます。これらの影響に対して、企業が取れる対策をチェックしましょう。
関連記事:【社労士監修】中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)|概要と申請方法
自社の給与設定を見直す
まず実施するのは自社の給与設定の見直しです。現状を適切に把握した上で、必要な取り組みを検討しましょう。
最低賃金引き上げにより、自社の賃金が最低賃金を下回るようであれば、最低賃金以上になるよう変更が必要です。最低賃金引き上げ後も賃金が最低賃金以上なら、現状のままでも構いません。
新たな人材を採用する
最低賃金引き上げで人手不足が予想される場合には、新たな人材の採用に取り組みましょう。早いタイミングで採用活動を進めれば、自社に合う人材を採用しやすくなることが期待できます。
従業員のスキルアップで生産性向上を目指す
扶養内で働く従業員の労働時間が減り、正社員の負担が増えることへの対策には、従業員のスキルアップが役立ちます。一人ひとりがスキルアップし生産性を高めることで、パートやアルバイトの労働時間が減っても、無理なく対応できるかもしれません。
またスキルアップにより、これまでより効率的に仕事を進められるようになる可能性もあります。
業務の見直しやシステムの導入などで業務効率化する
今ある業務の見直しも生産性向上につながります。全体を見直すと、これまでの慣習で行っていた無駄な業務が見つかるかもしれません。これらを見直すことで、業務量を減らせる可能性があります。
またシステムを導入することによる業務効率化も、最低賃金引き上げによる人手不足の解消につながる取り組みです。業務効率化が進めば、コスト削減にもつながるかもしれません。
最低賃金引き上げへの対策には福利厚生も重要
最低賃金引き上げにより、扶養内で働く従業員が勤務時間を減らすことで起こる人手不足には、福利厚生による待遇改善も役立ちます。「令和5年版 労働経済の分析」によると「労働条件が悪い」は「その他の個人的理由」を除くと上位に入る離職理由です。
福利厚生を充実させることで、同業他社よりよい労働条件にすれば、今いる従業員の離職予防につながるでしょう。新たな人材のスムーズな採用にもつながるかもしれません。
参考:厚生労働省|令和5年版 労働経済の分析 -持続的な賃上げに向けて-|第2章 賃金引上げによる経済等への効果
福利厚生は実質的な手取り額アップにもつながる
福利厚生として支給する現金やモノは原則として給与として扱われます。ただし食事補助や社宅など一部の福利厚生は、一定の要件を満たすことで、支給しても給与として扱われません。
この仕組みを利用すると、従業員の税負担を増やすことなく実質的な手取り額アップを実現できます。
例えば扶養内で勤務するパートやアルバイトの待遇改善を行うときに、一定の要件を満たして食事補助を支給すれば、社会保険の加入に影響する給与を増やさずに手取り額を上げられる仕組みです。
関連記事:パート・アルバイト・契約社員 にも「第3の賃上げ」を!ラウンドテーブルを開催~“年収の壁”を抱える非正規雇用にも、福利厚生で実質手取りアップを実現~
最低賃金引き上げへの対策には「チケットレストラン」がおすすめ
最低賃金引き上げは毎年10月に行われています。2024年は2023年に引き続き、大きな引き上げとなりました。
企業が最低賃金引き上げによる影響に対策するには、給与設定の見直しや人材採用・従業員のスキルアップ・業務効率化といった取り組みが必要です。
加えて福利厚生による待遇改善は、離職防止やスムーズな採用につながる可能性があります。例えば食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入すれば、従業員の実質的な手取り額アップにもつながります。
最低賃金引き上げによる人手不足解消を目指しているなら、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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