『アジア地域における「働きがいのある会社」ランキング』は、GPTW(Great Place to Work)が独自の従業員アンケートの結果をもとに実施する、アジア・中東地域の優良企業ランキングです。本記事では、調査の概要や2024年のランキング結果をもとに、アジア地域の「働きやすさ」の現状を紹介します。加えて、企業規模によらず実践しやすい「働きがいのある職場づくりのヒント」についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
『アジア地域における「働きがいのある会社」ランキング』の概要
『アジア地域における「働きがいのある会社」ランキング』は、どのような地域を対象にどのような基準で実施されているのでしょうか。まずは、同ランキングの概要から解説します。
『アジア地域における「働きがいのある会社」ランキング』とは
『アジア地域における「働きがいのある会社」ランキング』は、GPTW(Great Place to Work)が発表するアジア・中東地域の優良企業ランキングです。
GPTWは、職場環境の調査・分析を行う世界的な専門機関で、従業員の職場体験にもとづくアンケート調査と企業文化に関する分析を行っています。
この調査・分析をもとに、一定の基準を満たした企業が「働きがい認定企業」として認定され、さらに、認定企業の中からさらに優良な企業を分析し、ランキング化したものが「働きがいのある会社ランキング」として発表されています。
例年、国別・業界別・規模別など、多様なランキングが発表されており『アジア地域における「働きがいのある会社」ランキング』もそのひとつです。
2024年8月29日に発表された2024年版『アジア地域における「働きがいのある会社」ランキング』では、GPTWが展開しているアジア・中東の各国690万人の従業員が調査対象となりました。
国別ランキングに選出された870社の中から「グローバル企業部門」「大企業部門(500名以上)」「中小企業部門(10~499名)」の3部門・計200社が選出されています。
参照:Home | Great Place To Work®
対象となる国
『アジア地域における「働きがいのある会社」ランキング』の対象国は、GPTWが展開しているアジア・中東の各国です。具体的には、以下の国々が含まれます。
- グレーターチャイナ(中国、香港、台湾を含む)
- インド
- インドネシア
- 日本
- シンガポール
- 韓国
- スリランカ
- クウェート
- バーレーン
- オマーン
- フィリピン
- カタール
- サウジアラビア
- アラブ首長国連邦
- ベトナム
参考:働きがいのある会社研究所(Great Place To Work® Institute Japan)|2024年版 アジア地域における「働きがいのある会社」ランキングを発表!
「働きがいのある会社」の定義
「働きがいのある会社」は、GPTW(Great Place to Work)が定める『全員型「働きがいのある会社」モデル』にもとづいて評価されています。
【全員型「働きがいのある会社」モデル】
出典:働きがいのある会社(Great Place To Work® Institute Japan)|認定・ランキング
『全員型「働きがいのある会社」モデル』のベースとなっているのが、従業員とリーダー間の「信頼関係」です。この信頼関係を構成するのは、リーダーへの「信用」・従業員への「尊重」・「公正」な扱いという3つの要素です。
このモデルは時代の変化や働き方の多様化にともない定期的にアップデートされ、現代の職場環境に即した評価基準の維持を実現しています。
なお、GPTWは「働きがいのある会社」を以下のように定義しています。
立場、仕事、働く場所に関係なく、あらゆる従業員が会社やリーダーを信頼し、自分の仕事に誇りを持ち、一緒に働いている人たちと連帯感を持てる会社のこと
「働きがいのある会社」5つの構成要素
「働きがいのある会社」を構成する重要な要素として、GPTWは「信用」「尊重」「公正」「誇り」「連帯感」の5つを挙げています。
要素 | 説明 |
---|---|
信用 | 従業員がマネジメントをどれだけ信頼しているかの指標。マネジメントのコミュニケーション能力や誠実さに対する従業員の認識を評価します |
尊重 | 従業員がマネジメントから尊重されていると感じる度合い。マネジメントが提供するサポートや配慮のレベルを測ります |
公正 | 職場での公平性や中立性、正義に関する従業員の認識。評価や処遇における公平さ、意思決定の透明性を評価します |
誇り | 自分の仕事や会社に対して感じるプライド。業務内容や会社の社会的意義に対する従業員の認識を測ります |
連帯感 | 職場での親密さやコミュニティの質。職場の人間関係や協力体制、帰属意識の強さを評価します |
関連記事:【社労士監修】企業が「働きがい」を高めるメリットとは?事例も紹介
2024年版『アジア地域における「働きがいのある会社」ランキング』
『アジア地域における「働きがいのある会社」ランキング』には、どのような企業がランクインしているのでしょうか。以下「グローバル企業部門」「大企業部門(500名以上)」「中小企業部門(10~499名)」の全3部門について、それぞれ1〜10位までを紹介します。
参考:Best Workplaces in Asia™ 2024 | Great Place To Work®
グローバル企業部門(Multinational)
順位 | 企業名 | 業種 | 展開国/地域 |
---|---|---|---|
1位 | DHL Express | 運輸 | 中国、香港、台湾、インド、インドネシア、日本、クウェート、オマーン、フィリピン、カタール、サウジアラビア、シンガポール、韓国、スリランカ、アラブ首長国連邦、ベトナム |
2位 | Hilton | ホスピタリティ | バーレーン、グレーターチャイナ、インド、インドネシア、クウェート、オマーン、フィリピン、カタール、サウジアラビア、シンガポール、スリランカ、アラブ首長国連邦、ベトナム |
3位 | Cisco | 情報技術 | グレーターチャイナ、インド、日本、フィリピン、カタール、サウジアラビア、シンガポール、韓国、アラブ首長国連邦、ベトナム |
4位 | Hilti | 製造・生産 | インド、日本、クウェート、フィリピン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ベトナム |
5位 | Apparel Group | 小売 | バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦 |
6位 | IHG | ホスピタリティ | バーレーン、インド、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦 |
7位 | Teleperformance | 専門サービス | グレーターチャイナ、インド、インドネシア、フィリピン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦 |
8位 | AbbVie | バイオテクノロジー・製薬 | 日本、クウェート、サウジアラビア、シンガポール、韓国、アラブ首長国連邦 |
9位 | Al Dabbagh Group | その他 | バーレーン、グレーターチャイナ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ベトナム |
10位 | Gastronomica ME | ホスピタリティ | バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、UAE |
グローバル企業部門では、運輸業界の「DHL Express」が堂々の1位に輝きました。アジア16カ国・地域に幅広く展開し、従業員の信頼を勝ち得ています。
上位10社を見ると、ホスピタリティ業界が3社を占め、中東地域への展開が目立ちます。特に中東湾岸諸国(アラブ首長国連邦・サウジアラビア・カタール・クウェート)は多くの企業が進出しており、働きやすさを重視した企業運営が推進されていることがよくわかる結果となりました。
また、情報技術や製薬など、専門性の高い業界が上位にランクインしているのも特徴です。
大企業部門(Large)
順位 | 企業名 | 業種 | 所在国/地域 |
---|---|---|---|
1位 | Hayleys Plantations | 農林水産 | スリランカ |
2位 | Al Mana Restaurants & Food Co. (McDonald's) | ホスピタリティ | カタール |
3位 | Dankotuwa Porcelain PLC | 製造・生産 | スリランカ |
4位 | Fakhro Restaurants Co. W.L.L. (McDonald's) | ホスピタリティ | バーレーン |
5位 | Emirates Fast Food Co. (McDonald's) | ホスピタリティ | アラブ首長国連邦 |
6位 | KEPCO-ENC | エンジニアリング | 韓国 |
7位 | Shanghai Totole Food Ltd. | 製造・生産 | グレーターチャイナ |
8位 | Nahdi Medical Company | 小売 | サウジアラビア |
9位 | TECHCOMBANK | 金融サービス・保険 | ベトナム |
10位 | UPES | 教育・研修 | インド |
大企業部門では、スリランカの農林水産業を営む「Hayleys Plantations」が1位を獲得しました。興味深いのは、2位・4位・5位をマクドナルドのフランチャイズ企業が占めていることで、中東地域における同ブランドの従業員満足度の高さが際立っています。
全体としては、製造業からサービス業まで多様な業種がランクインしており、アジア各国で地域の特性を生かした企業が働きがいのある環境を整えていることがわかります。
また、スリランカからは上位10社中2社がランクインしており、同国の職場環境への取り組みが注目される結果となりました。
関連記事:【2024年度版】働きやすい職場ランキング|働きやすさのポイントは?
中小企業部門(Small & Medium)
順位 | 企業名 | 業種 | 所在地 |
---|---|---|---|
1位 | Mood Rooftop Lounge | ホスピタリティ | アラブ首長国連邦 |
2位 | Oxford College of Business (Pvt) Ltd | 教育・研修 | スリランカ |
3位 | Century Financial | 金融サービス・保険 | アラブ首長国連邦 |
4位 | Kollab | 情報技術 | フィリピン |
5位 | Dr. Reddy's China | バイオテクノロジー・製薬 | グレーターチャイナ |
6位 | Luminary | 情報技術 | インドネシア |
7位 | Imperva | 情報技術 | シンガポール |
8位 | Adriatic Aluminium & Glazing | エンジニアリング | オマーン |
9位 | ATSUMARU Inc. | 専門サービス | 日本 |
10位 | Doha Drug Store | ヘルスケア | カタール |
地域別では、中東地域からの企業の躍進が顕著で、アラブ首長国連邦から2社、オマーン・カタールがそれぞれ1社ずつランクインしています。一方、東アジアからは日本の専門サービス企業の「ATSUMARU Inc.(あつまる)」が9位に入賞しました。
働きがいのある会社づくりのヒント
企業が従業員にとって働きがいのある環境を整える方法としては、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、企業の規模を問わず取り入れやすい主な施策を紹介します。
職場環境を整える
働きがいのある会社づくりの第一歩は、快適な職場環境の整備です。
清潔な空間・適切な照明や空調などの物理的な環境整備に加え、集中できるワークスペースの確保・ハラスメント防止ポリシーの徹底・公平な評価制度の確立も重要です。
また、オフィス内に休憩スペースやカフェテリアを設置するなど、リフレッシュできる場所を確保することで、従業員の満足度とパフォーマンスの向上につながります。
従業員のキャリアアップを支援する
従業員の成長を支援することは、企業の成長にもつながります。具体的な施策としては、社内研修プログラムの提供・外部セミナーへの参加支援・資格取得の補助などが挙げられます。
また、メンター制度や定期的なスキルアップ面談を通じ、個々の従業員に合わせたキャリアパスを明確にすることも、長期的なモチベーション維持と人材育成に効果的です。なお、成長機会の提供は離職率低下にも寄与します。
職場内のコミュニケーションを活性化させる
風通しの良い組織文化をつくるには、オープンなコミュニケーションが不可欠です。定期的な社内イベントや部署間交流会、シャッフルランチなどを通じ、縦横のコミュニケーションを促進しましょう。
また、従業員の意見や提案を積極的に取り入れる仕組みづくりも必要です。コミュニケーションの活性化は、チームワークの強化とイノベーションの創出につながります。
柔軟な働き方を導入する
多様なライフスタイルに対応できる柔軟な働き方の導入は、従業員満足度を高める重要な要素です。リモートワークやフレックスタイム、短時間勤務などの制度を整備することで、従業員一人ひとりのワークライフバランスをサポートできます。
併せて、勤務時間の長さだけでなく、業務の成果を重視する評価制度への移行も効果的です。個々の事情に合わせた働き方ができる環境は、多様な人材の確保と生産性向上にもつながります。
福利厚生を充実させる
従業員の健康と生活をサポートする福利厚生は、働きがいのある会社づくりの基盤となります。
健康診断やスポーツジム等の利用補助・家事代行サービスの利用料補助・食事補助など、日常生活を直接的にサポートする制度が効果的です。また、記念日休暇やリフレッシュ休暇などの特別休暇制度も従業員の満足度向上に寄与します。
充実した福利厚生は企業の魅力を高め、人材確保や企業ブランディングにも効果的です。
3,000社以上が導入する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」
数ある福利厚生サービスの中でも、近年特に人気を集めているサービスのひとつに、エデンレッドジャパンが提供する「チケットレストラン」があります。
「チケットレストラン」は、一定の条件下において、所得税の非課税枠を活用しながら全国25万店舗以上の加盟店での食事を実質半額で利用できる福利厚生の食事補助サービスです。加盟店には、有名ファミレスやカフェ・コンビニなどの人気店が名を連ね、勤務時間内であれば時間や場所の制限もありません。
月一回の一括チャージのみで運用できるため、バックオフィスの負担が最小限で済むことも大きな魅力です。
こうした利便性が高く評価され、「チケットレストラン」はすでに3,000社以上が導入する人気サービスとなっています。
関連記事:チケットレストランにデメリットはある?導入前の不安を徹底解消
働きがいのある会社づくりを推進しよう
『アジア地域における「働きがいのある会社」ランキング』が示すのは、従業員満足度を重視する企業が、規模や業種を問わず持続的な成長を遂げているという紛れもない事実です。
人手不足が深刻な現代において「働きがいのある会社」づくりは、優秀な人材を獲得し、定着させるための最重要戦略といってもおおげさではありません。
職場環境の整備・キャリア支援や「チケットレストラン」のような福利厚生などの施策を通じ、企業と従業員がともに成長して満足できる「働きがいのある会社」を目指しましょう。
参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~
:「賃上げ実態調査2025」を公開~歴史的賃上げだった2024年も“家計負担が軽減していない”は7割以上!
新キャンペーンのお知らせ①:従業員の生活支援に!「第3の賃上げ」導入応援キャンペーン開始 ~食事補助サービス「チケットレストラン」で“手取りアップ”を実現~
新キャンペーンのお知らせ② :【愛知県限定】
当サイトにおけるニュース、データ及びその他の情報などのコンテンツは一般的な情報提供を目的にしており、特定のお客様のニーズへの対応もしくは特定のサービスの優遇的な措置を保証するものではありません。当コンテンツは信頼できると思われる情報に基づいて作成されておりますが、当社はその正確性、適時性、適切性または完全性を表明または保証するものではなく、お客様による当サイトのコンテンツの利用等に関して生じうるいかなる損害についても責任を負いません。