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看護師の賃上げ完全ガイド|診療報酬改定の影響と賃上げしないリスクを解説

看護師の賃上げ完全ガイド|診療報酬改定の影響と賃上げしないリスクを解説

2025.01.14

近年、看護師の賃上げに対する注目度が高まっています。診療報酬改定によるベースアップ評価料の新設や、賃金アップの目標が掲げられる中、実際の賃金推移はどうなっているのでしょうか。本記事では、看護師の賃金の現状とともに、賃上げをしないでいることのリスクや、賃上げが難しい場合の効果的な代替案を紹介します。

看護師の賃金の推移と現状

看護師の賃上げを検討するにあたり、まず知っておきたいのが看護師の賃金の実態です。ここでは、賃上げの仕組みや過去数年間の賃金データを基に、平均的な看護師の賃金水準を具体的に解説します。

賃上げの基本的な仕組み

賃上げには「ベースアップ」と「定期昇給」という2つの手法があります。賃上げのトピックとして例年話題を集める「春闘」では、この2つを合わせた賃上げ率を目標値とするのが一般的です。

ベースアップ(ベア):企業全体の賃金水準を一律に底上げする施策。物価上昇や経済全体の動向に合わせて、基本給を一定の割合や額で増やす形で実施される。看護師の場合、診療報酬改定が賃上げの原資となるため、医療政策が直接影響を与える。

定期昇給:従業員個々の勤続年数や実績・スキルに応じて給与を増額する施策。貢献が賃金に反映されるため、モチベーション向上や雇用促進に効果的。看護師の多くは職能給の制度を採用しているため、資格や役職の変化が昇給につながる。

これら2つが組み合わさることで、看護師の賃金は年々変動します。ただし、医療機関の規模や財政状況により、賃上げの幅は大きく異なります。

看護師の賃金の推移

厚生労働省が毎年発表している「賃金構造基本統計調査」によると、2019年〜2023年の看護師の平均賃金は以下のように推移しています。

年度 きまって支給する現金給与額 所定内
給与額
年間賞与・その他特別給与額 年間給与計
2019年
(R元)
334,400円 302,400円 816,300円 4,829,100円
2020年
(R2)
338,400円 309,100円 857,500円 4,918,300円
2021年
(R3)
344,300円 312,600円 854,600円 4,986,200円
2022年
(R4)
351,600円 318,000円 862,100円 5,081,300円
2023年
(R5)
352,100円 319,300円 856,500円 5,081,700円

近年、看護師の賃金は増加傾向にありますが、年間給与計の上昇率は緩やかです。特に、所定内給与額の伸びが限定的で、過去5年間で17,000円程度の変化しかありません。一方、年間賞与は年度ごとに変動が見られ、経済状況や政策変更が反映されていると推察されます。

また、看護師の賃金は地域や施設規模によっても異なります。一般的な傾向として、大都市圏の大規模病院では全国平均を上回る水準が見られる一方で、小規模クリニックでは平均を下回ることも少なくありません。こうした格差が、看護師の離職率や地域間の人材流動に影響を与えています。

参考:賃金構造基本統計調査 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

看護師の給与水準は高い?低い?

看護師の賃金水準は、一般的に高いのでしょうか?それとも低いのでしょうか?

令和5年賃金構造基本統計調査の概況」を見ると、令和5年の一般労働者の平均所定内給与額は以下の通りです。

 

男性 350,900円
女性 262,600円
男女計 318,300円

これに対し、先ほどの表から同じ2023年(令和5年)の看護師の所定内給与額を見ると、319,300円となっています。これは、男女合計の平均値(318,300円)と同水準の金額です。

ただし、看護師の大半を占める女性の所定内給与額(262,600円)と比較した場合、看護師の賃金水準は高いといえます。

なお、所定内給与額に、時間外手当や休日出勤手当などは含まれません。どのような勤務体系で仕事をしているかによっても、看護師の賃金は大きく変わることが予想されます。

参考:厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況

2024年度診療報酬改定の概要

物価高や人手不足の深刻化を受け、2024年度の診療報酬改定では特例的な措置が実施されました。この改定では、新たに「ベースアップ評価料」が導入され、医療機関の賃金引き上げを支援する仕組みが設けられています。

以下、ベースアップ評価料の仕組みや、対象となる医療機関と職種について詳しく解説します。

参考:厚生労働省|令和6年度診療報酬改定と賃上げについて~ 今考えていただきたいこと(病院・医科診療所の場合) ~

ベースアップ評価料の仕組み

「ベースアップ評価料」は、下の表が示すように、医療機関が賃金引き上げを実施した場合に加算される診療報酬です。

ベースアップ評価料を中心とした施策により、政府は2024年度に2.5%・2025年度に2.0%のベースアップを目標としています。

評価料の種類 初診時 再診時 訪問診療時
外来・在宅
ベースアップ評価料(Ⅰ)
6点 2点 同一建物居住者以外:28点
同一建物居住者:7点
外来・在宅
ベースアップ評価料(Ⅱ)
8~64点 1~8点 8~64点
入院ベースアップ評価料 - 1~165点
(入院1日につき)
歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ) 10点 2点 同一建物居住者以外:41点
同一建物居住者:10点
歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ) 8~64点 1~8点 8~64点
訪問看護
ベースアップ評価料(Ⅰ)
- - 780円(月1回)
訪問看護
ベースアップ評価料(Ⅱ)
- - 10~500円(月1回)

ベースアップ評価料によって得られた収入は、原則として全額を対象職員の基本給または毎月支給する手当に充てなければなりません。また、この評価料による賃金引き上げは、賃上げ促進税制の税額控除対象となります。

対象となる職種と改定率

賃上げの対象となる職種と改定率は以下の通りです。

職種 改定率
薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・看護補助者・理学療法士・作業療法士・視能訓練士・言語聴覚士・義肢装具士・歯科衛生士・歯科技工士・歯科業務補助者・診療放射線技師・診療エックス線技師・臨床検査技師・衛生検査技師・臨床工学技士・管理栄養士・栄養士・精神保健福祉士・社会福祉士・介護福祉士・保育士・救急救命士・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゆう師・柔道整復師・公認心理師・診療情報管理士・医師事務作業補助者・その他医療に従事する職員(医師及び歯科医師を除く) +0.61%
40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師・事務職員・歯科技工所等で従事する者 等 +0.28%

なお、40歳以上の勤務医・歯科医師は対象外です。

 看護師の賃上げをしない場合のリスク

看護師の賃上げを行わないことは、医療機関にとってさまざまなリスクを伴います。ここでは、医療機関の安定的な運営に特に大きな影響を及ぼすリスクを3つ紹介します。

離職率の増加

離職率は、給与水準が競合と比較して低い場合に特に高くなる傾向があります。医療機関でも同様で、待遇が競合医療機関と比べて見劣りする場合、優秀な人材はより高い給与を提示する病院やクリニックへと移る可能性が高まります。

少子高齢化に伴う人手不足が深刻化する近年、離職率の高さは医療機関にとって深刻な課題です。

また、離職率が高く、看護師の回転が速い施設では、新人看護師の教育に投資したコストも回収できません。それどころか、離職した人材を補充するための求人広告や採用活動の費用が増加し、経営を圧迫する結果につながる可能性もあります。

従業員のモチベーションの低下

看護師の賃金が他の医療機関と比べて低い場合、職場に対する不満が蓄積し、モチベーションの低下を引き起こすリスクが高まります。

特に看護師は、夜勤や緊急対応といった過酷な勤務が求められがちな職種です。こうした労働環境で適切な報酬が支払われない場合、不満がモチベーションの低下に直結し、結果としてチーム全体のパフォーマンスが悪化する可能性が否定できません。

さらに、モチベーションが低下した従業員は、患者への対応や同僚とのコミュニケーションにも消極的になる傾向があります。これにより職場の雰囲気が悪化し、全体的な業務効率が低下する可能性もあります。

患者満足度の低下

看護師のモチベーションが低下し、業務効率やサービス品質が低下することで、患者満足度にも影響を及ぼします。医療機関にとって、患者満足度の低下は信頼の喪失につながる重大なリスクです。

看護師は患者と直接的に接する時間が最も長い職種であり、看護の質が医療全体の印象を左右します。対応が機械的になったり、コミュニケーションが不足したりした場合、患者は安心感を得られません。看護師個人はもとより、医療機関そのものに対する不満を抱く可能性があります。

さらに、患者満足度の低下は口コミや評判に反映され、新規患者の獲得にも悪影響を与えます。長期的に医療機関の収益が減少し、負の連鎖を引き起こすリスクが高まるでしょう。

賃上げが難しい場合の代替策

看護師の賃上げは、安定的な人材確保をかなえるための大切な施策です。一方で、小規模クリニックなどの予算制約が厳しい医療機関にとって、看護師の賃上げが必ずしも実現可能とは限りません。ここでは、大幅な賃上げが難しい場合の効果的な代替策を紹介します。

評価制度の見直し

看護師の賃金を引き上げることが難しい場合でも、適切な評価制度を導入することで、職場への満足度を高めることができます。たとえば、以下のような施策が考えられます。

  • スキルに応じた評価基準の設定
    経験年数や専門スキルの習得状況に基づいて評価を行い、昇進や特別手当を支給する仕組みを整備します。これにより、看護師がキャリアアップを目指して努力する動機づけが強化されます
  • 定期的なフィードバックの実施
    個々の看護師が行った業務の成果について定期的に評価を伝えることで、自己成長を実感しやすくなります。また、組織としての透明性も向上します
  • 感謝や貢献の可視化
    頑張りを称える表彰制度や、患者から寄せられる感謝の声を共有することで、看護師が自身の仕事に誇りを持てる環境を作ることができます

評価制度の見直しにより、金銭的な報酬だけでなく、心理的報酬を高める施策を講じることで、従業員のモチベーションを維持することが可能です。



福利厚生による第3の賃上げ

一般的な賃上げに用いられる「定期昇給」と「ベースアップ」に加え、近年注目されているのが、福利厚生による「第3の賃上げ」です。

これは福利厚生の非課税枠を利用した新しい賃上げの形で、従業員の実質手取りを増やしながら、企業の税負担も抑えられる効果的な手法です。

たとえば、同じ金額を福利厚生として従業員へ提供した場合と、給与として提供した場合とを比較すると、福利厚生として提供した場合の方が従業員の実質的な手取り額は多くなります。併せて、事業主側の法人税が軽減されるのも大きなメリットです。

物価上昇が続く現在、「第3の賃上げ」は、従業員の満足度向上と企業の持続的な成長を両立させる選択肢として注目を集めています。

参考記事:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト

食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」

第3の賃上げ」を検討・導入する企業の中で、近年特に注目を集めているサービスに、エデンレッドジャパンが提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」があります。

チケットレストラン」は、一定の条件下で利用することにより、全国25万店以上の加盟店での食事が半額になる福利厚生サービスです。

コンビニやファミレス・カフェなど選択肢が幅広く、勤務時間内であれば利用する時間や場所の制限もありません。これは、勤務時間が不規則になりがちな看護師へ提供する福利厚生として大きなメリットです。

日常に欠かせない食費のサポートを通じ、看護師の実質的な手取りを増やせる「チケットレストラン」は、大病院に比べて大幅な賃上げが難しい小規模な医療機関やクリニックにもぴったりのサービスです。

参考記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も

看護師を支える施策を検討しよう

看護師不足が深刻化する現代の医療現場において、賃上げや福利厚生の充実は、従業員の定着率向上や医療サービスの質向上に不可欠な施策です。

特に、賃上げが難しい小規模医療機関においては、柔軟な評価制度や福利厚生の導入が重要です。「チケットレストラン」のような食事補助の福利厚生サービスは、導入が手軽な上に利便性が高く、看護師の満足度を高める効果が期待されます。

看護師を支える施策は、医療機関の信頼性や患者満足度を向上させる重要な投資です。職場環境を改善し、魅力的な職場づくりを目指しましょう。

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