2024年度の介護職賃上げの実績
2024年の前半に、政府主導による介護職の賃上げが実施されています。内容をみていきましょう。
2024年前半(2月~5月):月額6,000円の補助金による賃上げ
2024年2月から5月にかけて、政府は「介護職員処遇改善支援補助金」として介護職員1人あたり月額平均6,000円程度の賃上げを支援しました。6,000円の数値は、収入を2%程度引き上げるための値です。
この措置は2024年4月から施行された介護報酬改定に先駆けて行われており、介護職員の処遇改善を目的としていました。また、介護職員ベースアップ等支援加算を取得している事業所の介護職員であれば、支給額は事業所判断とはなるもののパート従業員も支給対象に含まれます。
【令和6年2月からの介護職員処遇改善支援補助金の要点】
- 対象期間:2024年2月~5月の賃金引き上げ分
- 賃上げ額:介護職員一人当たり月額平均6,000円程度
- 対象者:介護職員(パート職員も労働時間に応じて対象)
- 適用条件:介護職員ベースアップ等支援加算を取得している事業所
出典:厚生労働省|令和6年2月からの介護職員処遇改善支援補助金について
2024年後半(6月以降):新処遇加算の一本化による賃上げ
2024年6月からの介護報酬改定(6月からの新処遇加算の施行)により、さらなる処遇改善が実施されています。厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」によると、
2024年の介護報酬改定における改定率1.59%のうち、0.98%が介護職員、0.61%が管理者や他職種など介護職員以外の処遇改善に充てられています。
政府は新たな処遇改善加算の創設により、2024年は2.5%、続く2025年は2.0%のベースアップを目標設定しました。たとえば、月額給与が32万円の場合、月額約8,000円の増加となり、年間増加額は約9万6,000円となります。
出典:厚生労働省|令和6年度介護報酬改定における改定事項について
【最新】2026年度の介護職賃上げ
続いて、2026年の介護職員の賃上げについて説明します。
2026年2〜5月:最大1.9万円の補助金による賃上げ
2025年12月16日、2025年度補正予算が成立し、介護従事者の賃上げに1,920億円が計上されました。この補正予算により、最大で月額1.9万円の賃上げが実施される見込みです。
支給対象と金額 :
今回の「介護分野の職員の賃上げ・職場改善事業」における賃上げは段階的な構造となっており、取り組み内容に応じて支給額が変わります。
- 基本支給(月額1万円):介護従事者に対して幅広く賃上げ支援。介護職員、ケアマネジャー、訪問看護師など幅広い職種が対象
- 追加支給(月額5,000円):生産性向上や協働化に取り組み(ケアプランデータ連携システム導入など)を行う事業所の介護職員
- 追加支給(月額4,000円):職場環境改善の取り組みを行う事業所の介護職員
パート・派遣職員も労働時間に応じて対象となります。ただし、最大1.9万円の支給を受けられるのは介護職員のみで、ケアマネジャーや看護師などは基本の1万円が上限です。
補助金の対象期間は2025年12月から2026年5月末までです。実際の支給開始時期は各自治体の申請スケジュール等によって異なります。
出典:
厚生労働省|令和7年度補正予算案の主要施策集
厚生労働省|介護保険最新情報 Vol.1467 令和8年2月4日
2026年6月〜:介護報酬臨時改定による賃上げ
補助金終了後の2026年6月には、介護報酬の臨時改定により、2.03%引き上げる方針です。次回2027年の介護報酬改定を待たず、処遇改善が恒久的な制度へと移行するよう調整が進んでいます。
出典:
厚生労働省|令和7年度補正予算案の主要施策集
福祉新聞Web|介護報酬臨時改定、来年6月に 処遇改善の要件も追加
福祉新聞Web|臨時報酬改定 介護職に月1万9000円の処遇改善 厚労・財務大臣折衝で合意
介護職の賃上げにまつわるよくある質問
よくある質問を紹介します。
Q1. 介護職のパート・派遣職員も2026年の補助金による賃上げ対象になりますか?
はい、対象です。処遇改善加算や補助金は雇用形態に関わらず、介護業務に従事する職員全体の処遇改善を目的としています。パート・派遣職員の場合、労働時間に応じて按分された金額が支給されますが、具体的な配分方法は各事業所の判断に委ねられています。
Q2. 2026年の補助金による賃上げ対象には、ケアマネジャーや看護師も含まれますか?
2026年の補助金では、ケアマネジャーや訪問看護師も月額1万円の対象となっています。これまでの処遇改善加算は介護職員のみが対象でしたが、今回は対象範囲が拡大されました。ただし、最大1.9万円の支給を受けられるのは介護職員のみで、ケアマネジャーや看護師などは基本の1万円が上限です。
Q3.満額1.9万円を受給するために事業所は何をすればよいですか?
3階建ての補助金をすべて受給するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 1階(1万円):処遇改善加算を取得していること
- 2階(5,000円):訪問・通所サービス等はケアプランデータ連携システムの導入、施設サービス等は生産性向上推進体制加算の取得
- 3階(4,000円):職場環境改善の取り組み(業務の棚卸しなど)
介護職の賃上げを給与推移で確認
介護職の賃上げはどのような推移を辿っているのでしょうか。ここでは常勤介護職員の給与推移から、実態を確認します。
介護職員(月給・常勤)の給与推移(厚生労働省調査より)
常勤の介護職員平均給与についての給与推移は以下のとおりです。2016年から2024年にかけて、8年間で約4万円増加しています。2024年度は前年よりも1万円を超える大幅な賃上げが実現されており、2024年度に行われた処遇改善が反映したものと考えられます。
| 年月 |
平均給与額 |
前調査との差 |
| 2016年(平成28年)9月 |
28万9,780円 |
- |
| 2017年(平成29年)9月 |
29万7,450円 |
7,670円 |
| 2018年(平成30年)9月 |
30万970円 |
3,520円 |
| 2020年(令和2年)9月 |
31万5,850円 |
14,880円 |
| 2021年(令和3年)9月 |
31万6,610円 |
760円 |
| 2022年(令和4年)9月 |
31万7,540円 |
930円 |
| 2023年(令和5年) |
32万4,240円 |
6,700円 |
| 2024年(令和6年) |
33万8,200円 |
1万3,960円 |
出典:厚生労働省|介護従事者処遇状況等調査 平成28年度、平成29年度、平成30年度、令和2年度、令和3年度、令和4年度、令和6年度
介護職の賃上げを実現する4つの方法
2026年に職員の賃上げを実現するには、どのような方法があるのでしょうか。ここからは企業ができる施策を具体的に紹介します。
資格取得によるキャリアアップを推進
介護職員がキャリアアップを目指すには、資格取得の推進が重要です。介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネージャー)などの資格を取得することで、より専門的なスキルを証明し、高い業務に就くことが可能です。
給与については資格がある方が高い水準となることが「令和6年度介護従事者処遇状況等調査 」では示されました。無資格者の月給29万620円に対し、介護職員初任者研修修了者は月給32万4,830円、介護福祉士取得者は月給35万50円と、資格の有無によって大きな給与差があることが示されています。
| 資格 |
平均給与額 |
| 保有資格あり全体 |
33万9,960円 |
| 介護福祉士 |
35万50円 |
| 社会福祉士 |
39万7,620円 |
| 介護支援専門員 |
38万8,080円 |
| 実務研修者 |
32万7,260円 |
| 介護職員初任者研修 |
32万4,830円 |
| (参考)保有資格なし |
29万620円 |
出典:厚生労働省|令和6年度介護従事者処遇状況等調査
長期的キャリア形成の支援
同一職場で長期勤続することで、給与や待遇は向上する可能性が高まります。さらに、リーダーシップを発揮し、チームを率いる役割や管理職として施設運営に関わる立場にステップアップすることも可能です。
「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果 」では、前述のとおり令和4年9月の全体での介護職員の平均給与額は33万8,200円、1年目では29万8,760円、5年目では33万1,010円、10年目では33万7,300円、20年以上では38万2,520円となりました。勤続年数が平均給与額に影響していることを示しています。
研修導入などでステップアップする機会を提供しつつ、介護職員の長期的なキャリアを支援することが重要です。
出典:厚生労働省|令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果
処遇改善加算の活用
2024年6月から新たな「介護職員等処遇改善加算」が始まり、これまでの3つの処遇改善制度(介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算)が一本化されました。制度改正により事務負担が軽減され、より多くの施設での加算取得が期待されています。
なお、厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、91.3%の事業所が加算対象事業所となります。
出典:厚生労働省|令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果
関連記事:介護報酬改定2024をわかりやすく解説!企業が取り組むべきことは?
福利厚生制度の活用
介護職員の収入アップには、国の処遇改善加算による基本給の引き上げだけでなく、各事業所が提供するさまざま手当や福利厚生制度の活用もポイントとなります。とくに夜勤手当は1回あたり3,000〜6,000円の収入増が見込め、月4〜5回の夜勤で大きな収入アップにつながるでしょう。
多くの介護施設では、資格手当、職務手当、通勤手当、住宅手当などの制度を設けているほか、食事補助や育児支援なども充実させています。直接的な収入増と実質的な家計の負担軽減につながる福利厚生制度は、給与の見直しが難しい介護職で重要な役割を果たします。
2026年度税制改正により、食事補助の非課税枠が月額3,500円から7,500円に引き上げられる見込みです。非課税枠を活用した食事補助であれば、給与として支給する場合と比べて税負担を抑えながら、職員の実質的な手取りを増やせます。
関連記事:
手当にはどんな種類がある?会社が支給する手当を一覧でチェック
【税理士監修】食事補助を非課税にする条件は?給与にしないための非課税限度額
食の福利厚生でランチ充実&賃上げを実現
生活に直結する福利厚生では、日常的に使える食事補助が人気です。エデンレッドジャパンが提供する「チケットレストラン」は、導入実績4000社以上を誇る食事補助の福利厚生サービスです。加盟店は25万店舗以上、コンビニや飲食店など全国どこでも使用できます。さらに、福利厚生費として経費計上しながら、非課税により職員の実質手取りを増やせます。
導入事例:株式会社ハートコーポレーション
介護・高齢者施設の経営と運営を行う株式会社ハートコーポレーションは、休憩時間に外食することが難しい職場環境です。職員の多くが出社前にコンビニで食事を購入していることに注目し、「チケットレストラン」を導入しています。
夜勤の日は2食分購入するといった柔軟性を備えている点が、介護職員の勤務スタイルとマッチし、満足度にも寄与しました。「プチ贅沢を楽しめる」といった賃上げ効果を喜ぶ声も届いており、人材定着にも貢献しています。
企業ホームページ:https://www.heartco.jp/
導入事例ページ:株式会社ハートコーポレーション様
関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も
介護職の賃上げでは他者と差別化できる対策も検討
介護職の給与は、国の施策により着実な上昇が見込まれています。さらに資格取得推進やキャリアアップ、福利厚生の活用など、複数の方法を組み合わせることで、さらなる処遇改善も視野に入れることができます。
ただし、介護報酬は明確な基準がある以上、簡単に収入増が叶わないケースもあるでしょう。本記事で紹介した「チケットレストラン」のような食事補助の福利厚生であれば、給与以外の方法で職員に還元することが可能です。介護職員の働きやすさを高めつつ、実質的な賃上げ、そして人材採用・定着の差別化にも貢献する「チケットレストラン」の導入を検討してみませんか。
資料請求はこちら