2024年の冬のボーナス(年末一時金)について、大手企業を中心に支給額の増加が続いています。民間調査機関の労務行政研究所が実施した最新の調査によれば、東証プライム上場企業の支給水準は過去最高を記録しました。中小企業でも前向きな見通しが示されており、日本経済の回復基調を反映する結果となっています。本記事では、冬のボーナスの見通しや動向について大手企業と中小企業とにわけて解説します。
東証プライム企業の支給水準は83万円超
労務行政研究所が2024年10月3日に発表した「東証プライム上場企業の2024年年末一時金(賞与・ボーナス)の妥結水準調査」によれば、東証プライム上場企業183社の冬のボーナス支給額は、1人あたり平均83万5,133円となりました。前年同期と比較して3.4%増加しており、1970年の調査開始以来、過去最高額を更新しています。
産業別の内訳を見ると、製造業145社の平均支給額は86万7,759円で前年比3.2%の増加です。非製造業38社は71万641円で前年比4.3%増加となっており、多くの業界で支給水準が上がる見込みとなりました。
区分 | 社数 | 金額 | 平均年齢 | 対前年同期比 | 対前期比 | 2023年末実績額 | 2024年夏実績額 |
全産業 | 183社 | 835,133円 | 39.0歳 | 3.4% | △0.2% | 807,453円 | 836,522円 |
製造業 | 145社 | 867,759円 | 39.1歳 | 3.2% | △0.2% | 840,568円 | 869,170円 |
非製造業 | 38社 | 710,641円 | 38.7歳 | 4.3% | △0.2% | 681,094円 | 711,946円 |
出典:一般社団法人労務行政研究所|東証プライム上場企業の2024年年末一時金(賞与・ボーナス)の妥結水準調査
支給額では業種による格差が明確に
業種別の支給額を詳しく見ると、最も高額なのは輸送用機器で94万807円です。なかでも、自動車業界は102万円を超える高水準となっています。続いて鉄鋼が93万1,513円、電気機器が92万1,683円と、製造業の主要業種で高水準が目立ちました。
一方で、商業は57万5,481円、サービス業は69万9,985円、水産業は70万2,913円と、業種間で大きな格差が存在しています。
出典:一般社団法人労務行政研究所|東証プライム上場企業の2024年年末一時金(賞与・ボーナス)の妥結水準調査
妥結額3年連続プラスでコロナ禍からの回復傾向が鮮明に
冬のボーナスの推移を見ると、新型コロナウイルス感染症の影響で2021年には71万5,553円まで落ち込みました。しかし、2022年には78万6,945円(前年比8.5%増)と大幅に回復しています。2023年は80万28円(前年比1.5%増)、そして2024年は83万5,133円(前年比3.4%増)と、3年連続でプラスとなりました。コロナ禍からの回復傾向がボーナスへ反映されたと考えられます。
出典:一般社団法人労務行政研究所|東証プライム上場企業の2024年年末一時金(賞与・ボーナス)の妥結水準調査
妥結月数も増加傾向
妥結月数においても、全産業182社の平均で2.61か月となり、前年同期の2.57か月から0.04か月増加しました。最高月数は5.00か月、最低月数は1.30か月です。
製造業の平均支給月数は2.71か月で前年から0.04か月増加しています。非製造業は2.12か月で0.05か月の増加となり、いずれも小幅ながらプラスとなりました。
出典:一般社団法人労務行政研究所|東証プライム上場企業の2024年年末一時金(賞与・ボーナス)の妥結水準調査
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中小企業の2024年冬のボーナス動向と見通し|支給額は上向きながら課題も
株式会社フリーウェイジャパンが中小・零細企業を対象に実施した「2024年冬のボーナス調査」を元に、ここからは大企業に続いて中小企業の冬のボーナス動向と見通しを確認しましょう。課題も見えてきます。
出典:PR TIMES|株式会社フリーウェイジャパン 【中小・零細企業、個人事業主を対象とした実態調査】中小企業/零細企業の従業員・代表取締役、個人事業主223人を対象 2024年度 冬のボーナスに関するアンケートを実施
冬のボーナス支給企業数の減少と支給額の増加による二極化
フリーウェイジャパンの調査によると、2024年冬のボーナスを「支給予定あり/支給済み」とする中小企業は34.2%にとどまり、2023年の42.0%から7.8ポイント減少しました。
一方で、支給を実施する企業の平均支給額は51.2万円と、2023年の47.9万円から3.3万円増加しています。
また、具体的な支給額の見通しについて、「支給予定あり/支給済み」と回答した経営者の42.3%が「全体的に増加」、46.2%が「変わらない」と述べています。「減少」は11.5%にとどまりました。
株式会社フリーウェイジャパン【2024年度の冬のボーナス調査】
出典:PR TIMES|株式会社フリーウェイジャパン 【中小・零細企業、個人事業主を対象とした実態調査】中小企業/零細企業の従業員・代表取締役、個人事業主223人を対象 2024年度 冬のボーナスに関するアンケートを実施
株式会社フリーウェイジャパン【2023年度の冬のボーナス調査】
出典:PRTMIES|株式会社フリーウェイジャパン 【中小・零細企業を対象とした実態調査】中小企業/零細企業の従業員・代表取締役296人を対象「2023年度 冬のボーナス実態調査を実施」
賃上げ実績でも企業間格差あり
調査では、ボーナス支給と賃上げの関連性も明らかになりました。ボーナス「支給予定あり/支給済み」企業の73.1%が賃上げを実施済みです。対照的に「支給予定無し」企業では賃上げ実施率が39.1%となり、企業の体力差の違いが賃上げ実績でも表れていると考えられます。
出典:PR TIMES|株式会社フリーウェイジャパン 【中小・零細企業、個人事業主を対象とした実態調査】中小企業/零細企業の従業員・代表取締役、個人事業主223人を対象 2024年度 冬のボーナスに関するアンケートを実施
従業員は支給状況を明るく予測
従業員側の回答からは明るい見通しが示されています。ボーナス支給があった従業員の51.3%は、支給額が「増加した・やや増加した」と回答し、「変化なし」が48.7%となり、「減少」と回答した従業員は0%でした。支給額の分布を見ると、「10万円〜20万円未満」が23.1%で最多となり、次いで「30万円〜40万円未満」が15.4%、「50万円〜60万円未満」が12.8%と続いています。
出典:PR TIMES|株式会社フリーウェイジャパン 【中小・零細企業、個人事業主を対象とした実態調査】中小企業/零細企業の従業員・代表取締役、個人事業主223人を対象 2024年度 冬のボーナスに関するアンケートを実施
出典:PR TIMES|株式会社フリーウェイジャパン 【中小・零細企業、個人事業主を対象とした実態調査】中小企業/零細企業の従業員・代表取締役、個人事業主223人を対象 2024年度 冬のボーナスに関するアンケートを実施
中小企業が抱える課題
株式会社フリーウェイジャパンのアンケートでは、業績回復の恩恵を受けられる企業とそうでない企業の二極化が進んでいることを示しています。余力のある企業は支給額を増やす傾向にありますが、全体としてはボーナスを支給できる企業数の減少が課題となっています。
食の福利厚生「チケットレストラン」で従業員に還元
中小企業における冬のボーナスに関するアンケートでは、半数以上の中小企業でボーナスがそもそもない、あるいは支給がないことがわかりました。
企業体力がない中、従業員に貢献できる方法を探している経営者もいるのではないでしょうか。ここからは、ボーナスの代替策として食事補助の福利厚生を活用する方法を紹介します。
チケットレストランの概要
「チケットレストラン」は毎日の食事代を一定の利用条件下で半額にできる食事補助の福利厚生サービスです。全国25万店以上の加盟店で利用可能で、ファミリーレストランからコンビニエンスストアまで幅広く対応しています。
「チケットレストラン」を食事補助として従業員へ提供する場合、1か月の企業負担額上限は3,500円(税別)です。大きな金額ではありませんが、ボーナス代替策の一つとして有用です。
また、従業員にとって日々の生活に直結する支援となり、満足度向上や採用時のアピールポイントにもなります。勤務時間内であれば利用時間や場所の制限がなく、テイクアウトや Uber Eats でのデリバリーにも対応しており、従業員一人ひとりのライフスタイルに応じた活用が可能です。
景気回復を反映する冬のボーナス
2024年の冬のボーナスは、景気回復を背景に大手企業を中心として増加傾向が続いています。一方で中小企業では、経営状況から十分なボーナス支給が難しい企業も少なくありません。このため、従業員の待遇改善を目指す企業では、新たな福利厚生制度の導入を検討する動きが広がっています。
その一例として注目されているのが、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」です。一定の利用条件下で勤務中の食事代を半額にできる「チケットレストラン」は、ボーナスの補完や代替策として活用でき、それぞれの企業が抱える課題の解決を促します。「チケットレストラン」の導入を検討してみませんか。