従業員満足度(ES)調査は、従業員の満足度を可視化し、職場の課題や改善点を特定するための重要な情報源です。調査結果を活用して、従業員の定着率向上や生産性向上、ひいては企業業績の向上に繋げられます。本記事では従業員満足度調査について詳しく解説します。
従業員満足度調査(ES調査)とは?
従業員満足度調査(ES調査)とは、企業が従業員に対して行う調査で、従業員一人ひとりが現在の職場環境や労働条件、人間関係などさまざまな面で満足しているかどうかを測るものです。
従業員満足度は、厚生労働省も向上することを促しており、満足度を高めるための方法として「魅力ある職場づくり」を支援しています。業績向上と人材確保ができている企業は顧客満足度に加え「従業員満足度」を重視している企業であるという厚生労働省「魅力ある職場づくり」に関するデータがあり、満足度を高める施策が企業の将来を握る鍵になるためです。
出典:厚生労働省|取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保
従業員満足度調査の目的
従業員満足度調査の目的は、主に以下の2点です。それぞれ詳しく解説します。
従業員の満足度を可視化し把握すること
従業員満足度調査は、職場の課題や改善点を特定し、従業員が働きやすい環境を整備するための情報源として役立てられます。低い値を示す項目、逆に現状で高い値を示す項目など、従業員が今抱えている課題を可視化できるためです。
従業員の定着率を高めること
満足度の高い従業員は離職しにくく、優秀な人材の確保につながります。前述した厚生労働省推進の「魅力ある職場づくり」のように、近年、少子高齢化による人材が懸念される中、従業員の満足度を高めることで優秀な人材を維持し、企業の業績向上やさらなる企業価値の向上に貢献することが期待されています。つまり、ES調査は従業員にとってもより良い職場環境づくりのきっかけとなり、企業にとっても将来的な発展の鍵を握る重要な取り組みです。
人事施策のPDCA(現状分析・課題抽出・対策立案)サイクルを回すこと
従業員満足度調査には、従業員の定着率を高めるだけでなく、企業の人事制度や施策の改善にも大きな役割があります。具体的には、従業員満足度調査の結果を活用して、以下のようなPDCAサイクルを回せます。
- P(Plan): 人事制度や施策を企画・立案する
- D(Do): 立案した制度や施策を実施する
- C(Check): 従業員満足度調査で従業員の本音を収集し、制度や施策の評価を行う
- A(Act): 評価結果を踏まえ、必要に応じて制度や施策を見直す
PDCAサイクルを継続的に回すことで、企業は効果的な人事制度や従業員重視の施策を構築し、改善に努めることが可能です。
従業員満足度調査と対策実施で得られる効果・メリット
従業員満足度調査と対策で得られる効果やメリットを解説します。
個人|パフォーマンス向上
従業員満足度向上により、職務態度が向上します。企業への信頼感と愛着が高まることで、職場でのマナーや勤務態度がよくなるでしょう。遅刻や欠勤が減り、モチベーション高く業務に精を出すことも期待されます。
働きやすい環境が整備され、意欲的に業務に取り組めるようになれば、パフォーマンス向上が期待でき、自然と生産性や業務効率が上がります。より質の高い成果を上げられるようになるでしょう。
メンタルヘルス改善にも効果的です。過重労働やハラスメントなどの問題点を把握し、従業員のメンタルヘルス対策に活かせます。
チーム|チーム力の向上
従業員満足度を高めることで、個人の活躍とチームワークの両面が高まり、結果として組織の総合力が大きく向上することもメリットです。個々の従業員がモチベーション高く自身のパフォーマンスを発揮できるようになれば、結果としてチーム全体の生産性や成果が向上します。
従業員が企業や上司、同僚から十分な評価を受け、安心して本来の自分らしく仕事ができる状態が心理的安全性です。この心理的安全性が高まることも期待でき、その結果、チーム内のコミュニケーションが円滑になり、新しいアイデアも生まれやすくなります。
組織|企業業績の向上
従業員満足度の向上は、企業にとって多くの好循環をもたらします。第一に、モチベーション高く働く従業員によってプロジェクトの成功が重なれば、自ずと企業の業績向上につながります。
さらに、活気に満ちた職場風土や企業文化の醸成も嬉しい効果をもたらすでしょう。従業員一人ひとりが前向きにポジティブに仕事に取り組めるようになれば、組織全体の空気や雰囲気も良い方向に変わっていきます。
コミュニケーションが活発になり、業務における視点も多様化するでしょう。このように、満足度の高い組織は、イノベーション創出の土壌となり、組織の可能性を切り拓けるのです。
従業員満足度調査の質問項目
従業員満足度調査を実施するときには、調査の目的に応じた質問項目を設定することも調査成功のために重要です。ここでは質問内容について、解説します。
従業員の業務に関する項目
従業員満足度調査では、仕事そのものに関するさまざまな側面からの質問ができます。主な質問項目は以下のとおりです。
- 仕事満足度(内容・人材育成・エンゲージメント)
- 職場満足度
具体的には、以下のような内容です。
- 役職や等級に見合った適切な仕事内容・仕事量が与えられているか
- 仕事内容・仕事量に満足しているか
- 仕事の質や専門性、難易度は適切なレベルか
- 仕事を通じて自己実現やスキルアップができているか
- キャリアアップの機会が与えられているか
労働環境に関する項目
従業員満足度調査では、労働環境全般に関する質問項目も設けられています。主な内容は以下のようなものです。
- 上司満足度
- 残業時間の適正
具体的には、以下となります。
- 所定労働時間や残業時間は適切な水準か
- 職場の設備や環境は快適で働きやすいか
- 上司とのコミュニケーションは円滑か
- 上司の部下に対する態度や指導方法は適切か
働く条件に関する項目
従業員満足度調査では、労働条件や待遇面についても詳しく質問があります。主な質問項目は以下のとおりです。
- 処遇満足度
- 福利厚生満足度
具体的な質問内容も紹介します。
- 給与水準への満足度
- 賞与・ボーナスなどの手当の適切性
- 各種手当・福利厚生(住宅・通勤・家族など)の充実度
- 健康保険や年金など社会保険の適切な加入
- 有給休暇や休日の取得のしやすさ
- 人事評価制度の透明性と納得性
企業の方針に関する項目
企業のビジョンや将来性に共感しているかも大事な質問事項です。従業員が存分に能力を発揮できる満足した職場環境を提供してくれる企業かどうかといった項目も該当します。主な質問項目をみてみましょう。
- 企業風土満足度
- 経営満足度
具体的な質問内容は以下のとおりです。
- 企業の経営理念や経営方針に共感できているか
- 企業の将来ビジョンや中長期的な展望に期待が持てるか
- 企業は従業員が全力を尽くせる職場環境を整備しているか
- 企業の働き方改革や多様性推進への取り組みに満足しているか
従業員満足度の集計・分析法
従業員満足度調査の結果はどのように分析されるのでしょうか。主な手法は以下の3つです。順番に解説します。
単純集計
各設問への回答割合を単純に集計する方法であり、最も基本的な分析方法です。企業全体の従業員満足度の平均値を算出できるため、全体傾向を把握できます。
クロス集計
年齢、性別、部署などの属性により回答を分けて集計するのがクロス集計です。属性ごとの従業員満足度の違いを明らかにできます。たとえば、男性と女性という条件で分ければ性別ごとの違いが明らかになり、管理セクションと営業セクションという条件で分ければ、部門ごとの差を把握することが可能です。
部長、課長、主任などの役職や等級ごとのクロス集計も役立ちます。役職ごとに企業において担うべき責務が異なるため、職務や企業に対する満足度に異なる問題を抱く傾向があるためです。
相関分析
相関分析とは、設問間の相関関係を分析する方法のことで、満足度項目間の因果関係を特定できます。たとえば「上司の満足度」と「総合満足度」に強い相関があるとわかった場合、上司の人間性が総合満足度に大きな影響を与えていると考えられます。相関分析では、複数の項目に相関関係がみられることも、ポイントとして覚えておきましょう。
また、従業員満足度調査では、以下のような指標との相関分析も可能です。
指標 | 分析例 |
従業員満足度と「業績指標(売上高、利益など)」の相関 | 高い従業員満足度は生産性の向上や離職率の低下をもたらし、結果として業績にプラスの影響を与える。 |
従業員満足度と「人事指標(離職率、欠勤率など)」の相関 | 満足度の高い従業員は企業に貢献意欲が高く、定着率が上がり離職率が低下する。 |
従業員満足度と「顧客満足度」の相関 | 従業員が企業に誇りを持ち、モチベーション高く業務に臨めば、顧客への良質なサービス提供につながる。 |
こうした分析結果を基に、課題が何かを特定し、優先的に取り組むべき対策を立案することになります。
自社で従業員満足度調査する方法
ここからは従業員満足度の調査方法について解説します。方法は自社で調査するか、業務委託するかの2つのパターンです。
自社で調査する
従業員満足度調査を自社で実施する場合の手順を解説します。
1.調査の目的を明確にする
従業員のモチベーション向上のためなのか、新しい人事施策の検討材料とするためなのかなど、調査の狙いを明確に設定します。
2.調査対象者を選定する
全従業員を対象とするのか、特定の職種や年齢層に絞るのかなど、調査の目的に合わせて対象者を決めます。
3.質問項目を吟味する
業務内容、労働環境、福利厚生、企業の方針など、目的に沿った質問項目を慎重に検討します。質問が多すぎると回答者の集中力が途切れる恐れがあるため、適量にすることが大切です。
4.調査の実施方法を決める
アンケート用紙への記入か、対面での面接形式かなど、調査実施の具体的な方法を決定します。事前に従業員へ調査の趣旨を説明するなど、協力を求めることも忘れずに行いましょう。
5.回答の集計と分析、管理を行う
回答をまとめ、分析します。分析結果は経営層が納得できるようレポートにまとめ、今後のデータとして適切に管理します。
6.分析結果を活用する施策を立案・実行する
調査結果を踏まえ、従業員満足度向上のための具体的な施策を立案し、実行に移します。施策の進捗状況は、調査に協力してくれていることも踏まえ、従業員に随時周知することが望ましいです。
外部へ調査依頼する
自社で従業員満足度調査を実施するのが困難な場合は、専門の調査企業やシステムベンダーに委託する方法も検討しましょう。外部サービスを利用する場合、手間暇を大幅に削減でき、よりスムーズに従業員満足度調査を実施できます。さらに、以下に解説するようなメリットも得られる点も魅力です。
◎専門的なスキルとノウハウの活用
質問項目の設計から集計・分析まで、調査企業には豊富な経験とノウハウを保持しています。適切な質問項目のテンプレートを用意してくれるなど、効果的な調査実施をサポートしてもらえるのがメリットです。
◎効率的な調査実施
調査企業やシステムベンダーに一括して業務を委託できるため、社内での人的リソースを従業員満足度調査に割く必要がありません。迅速かつ効率的に調査ができます。
◎客観的な立場からの助言・提案
社外の第三者目線から、課題や改善点を指摘してくれます。調査結果を分析し、適切な人事施策などの具体的な解決策を専門家の見地から提案してくれるでしょう。
◎費用対効果に優れたサービス
調査企業によっては、無料初期相談や、トライアル価格での調査実施サービスを提供している場合もあります。その場合、コストをかけすぎることなく、質の高い調査が可能です。
従業員満足度調査で意識したいポイント
従業員満足度調査を有意義なものとするために、意識したいポイントも押さえておきしましょう。
調査自体が目的化しないよう注意する
従業員満足度調査は、組織の課題を浮き彫りにする手段に過ぎません。本当に重要なのは、調査結果を基に適切な改善策を立案し、実行に移すことです。調査と改善のPDCAサイクルを定期的かつ継続的に実施することを重視します。また、調査後は速やかに従業員へフィードバックし、上司と振り返りの機会を設けることで、実効性の高い改善に繋げることが大切です。
従業員が素直に本音を答えられる環境を整備する
調査の目的は従業員の率直な意見を収集することです。質問項目を簡潔かつわかりやすく設定する、匿名性を確保するなど、従業員が無理なく回答できる環境を用意する必要があります。さらに、経営層からの協力要請や、繁忙期を避けた実施時期の設定など、細やかな配慮も求められるでしょう。
従業員満足度を高める福利厚生
企業が従業員の満足度を高め、定着率を向上させるためには、魅力的な福利厚生の提供も効果的です。その一つの選択肢として、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」というサービスが注目されています。
チケットレストランの概要
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」とは、従業員に対する食事補助の福利厚生サービスです。企業が従業員に専用のICカードを配布し、加盟する25万店舗以上の加盟店でそのカードを使えば、食事代が実質的に半額になります。企業が一定額を負担するため、従業員の手取り額が増えるといったメリットがあります。
主な加盟店は、コンビニエンスストア、カフェチェーン、牛丼チェーンなどです。勤務地や勤務形態を問わず利用できる点が魅力で、リモートワーク、出張、深夜勤務などでも勤務中の食事をサポートできます。さらに、条件を満たせば企業の食事補助額は非課税扱いになり、従業員の手取り増加にもつながるなど、時代に合ったハイブリッドな福利厚生です。
チケットレストランの導入効果
「チケットレストラン」を導入することで、さまざまな角度から従業員満足度向上にアプローチできます。とくに注目されているのは、賃上げ支援になることです。 物価高騰の中で賃上げをサポートし、従業員の実質的な賃金アップを実現できるため、従業員に喜ばれます。公平性の高さも魅力です。勤務地や勤務形態に関係なく、全従業員が同等のメリットを受けられるため、従業員満足度の全体的な向上が期待できます。実際、パートやアルバイトなど、年収の壁で就業調整する従業員も対象であることを理由に導入する企業は増えています。
このように「チケットレストラン」は従業員の満足度向上と定着促進に大きな効果があり、企業の業績向上にもつながる福利厚生サービスです。
企業の業績で好循環を産むために従業員満足度に注目
従業員満足度調査は、従業員の満足度を把握し、職場環境や人事制度の課題を見つけるために重要です。調査結果を活用して施策を立て実行することで、従業員のモチベーション向上、優秀な人材の確保と定着、生産性の向上などのメリットが期待できます。結果として企業業績の向上になるでしょう。
また、従業員満足度を高める施策の一つとして「チケットレストラン」の導入が有効です。従業員に食事補助を行うサービスは、実質的な賃金アップや公平性の高い福利厚生の提供ができ、従業員の定着と優秀な人材確保に役立ちます。まずは「チケットレストラン」の資料を請求していただき、導入を検討してみませんか。