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【社労士監修】2025年版|介護離職防止のための両立支援等助成金を解説

【社労士監修】2025年版|介護離職防止のための両立支援等助成金を解説

2025.03.28

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

現代の高齢化が進む日本社会では、多くの労働者にとって、仕事と介護の両立は切実な課題です。働き手を確保するためには、介護と仕事を両立できる職場環境の構築が欠かせません。
政府は「両立支援等助成金」の一環として介護離職を防止するための「介護離職防止支援コース」を設け、特に制度拡充が進みにくい中小企業を支援します。本記事では、助成金制度の詳細と活用方法、そして2025年4月から変更される内容を徹底解説します。

※本記事は2025年3月時点での情報を元に執筆しており、予算決定前の事前資料に基づいております。最新情報はご確認くださいますようお願い申し上げます。

介護離職とは

介護離職とは、家族の介護を理由に仕事を辞めることです。介護は始まる時期や期間が予測できないことが多く、突然の離職につながりやすい特徴があります。また、介護は長期化することも多く、一度離職すると再就職が難しくなるケースも少なくありません。

介護離職は、個人の経済的な損失だけでなく、企業にとっても熟練した人材を失うリスクです。特に中小企業では、代替人材の確保が困難なため、企業課題として深刻に向き合う必要があります。

介護離職の現状

厚生労働省の「令和4年就業構造基本調査」によると、介護を理由に離職する方は年間約10万人に上ります。内訳としては、40代後半から50代にかけての働き盛りの世代に多く、企業の中核を担う人材の流出が課題となっています。

出典:総務省|令和4年就業構造基本調査の結果

政府は介護離職防止の義務化

介護離職は政府の重要課題です。そのため、2025年4月1日に施行となる育児・介護休業法の改正により、中小企業に対して新たな義務を課します。具体的には、介護休業を希望する従業員に対して、個別に意向を確認し、希望する働き方の聞き取りや雇用環境整備等の措置が義務化されます。義務化される内容は以下のとおりです。

  • 介護の両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備(研修の実施や相談窓口の設置等)
  • 介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
  • 介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供
  • 要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう事業主に努力義務化
  • 介護休暇について、引き続き雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止

    出典:厚生労働省|介護休業制度サイト

これらの義務化により、介護休業を取得しやすい環境づくりを促進し、介護離職の防止を図ります。

関連記事:【社労士監修】育児介護休業法の改正をわかりやすく解説。2025年から何が変わる?

介護離職防止支援コースとは

介護離職防止支援コースは、両立支援等助成金の一つで、労働者の円滑な介護休業取得や職場復帰、介護との両立を支援する中小企業事業主に対して助成金を支給する制度です。従業員の仕事と介護の両立を企業としてサポートすることで、優秀な人材の流出を防ぎ、企業の生産性向上にも寄与します。

2025年「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)」の内容

政府の介護離職防止に対する強い意思は、介護離職防止に努める企業を支援する助成金制度「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)」へも反映されます。育児・介護休業法改正施行となる2025年4月からの変更内容を見ていきましょう。

2025年の支援内容は、以下の項目に分類できます。

  • 介護休業支援(休業取得・職場復帰)
  • 介護両立支援制度(柔軟な働き方支援)
  • 業務代替支援(2025年4月から強化)
  • 雇用環境整備加算

介護休業支援

介護支援プランの作成と、プランに基づき介護休業を取得・復帰させた場合の支援です。対象労働者が介護休業を合計5日以上取得し、職場に復帰した場合に40万円、15日以上の介護休業では60万円の支給です。

  • 5日以上の介護休業を取得・復帰をセットで行った場合:40万円(15日以上の場合合計60万円)

改正前の2024年では、5日間の介護休業で取得時に30万円・復帰時に30万円、合計60万円となっています。改正後は5日間の介護休業の場合、減額となります。

政府は、5日間の介護休業だけでは介護離職の防止に不十分と判断し、より長期の介護休業取得(15日以上)を促進するために制度を変更しました。実質的に介護と仕事の両立ができる環境整備を目指す企業を支援する方針です。

出典:厚生労働省|持続的・構造的な賃上げに向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍推進

介護両立支援制度

介護支援プランを作成した上で、介護と仕事の両立を可能にする柔軟な就労形態の制度を導入した場合に支給されます。

  • 制度を1つ導入し、対象者が制度を1つ利用した場合:20万円(60日以上利用した場合、30万円)
  • 制度を2つ以上導入し、対象者が制度を1つ利用した場合:25万円(60日以上利用した場合、40万円)

改正により、制度導入数の要件が増えました。2024年では、制度を「1つ以上」導入し、対象者が「20日間」利用した場合に30万円支給です。制度の拡充数が多く、利用日数が長い場合は助成が上乗せされ、より柔軟な働き方の制度を導入しやすくなります。

対象となる制度は次のとおりです。

  • 所定外労働の制限制度
  • 時差出勤制度
  • 深夜業の制限制度
  • 短時間勤務制度
  • 介護のための在宅勤務制度
  • (法を上回る)介護休暇制度
  • 介護のためのフレックスタイム
  • 介護サービス費用補助制度

出典:
厚生労働省|持続的・構造的な賃上げに向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍推進
厚生労働省|両立支援等助成金(令和6年度)
厚生労働省|令和6年度両立支援等助成金リーフレット

業務代替支援制度

介護休業期間中に代替要員を新規雇用等で確保した場合、または周囲の従業員への手当支給により業務を代替させた場合に支給されます。これまでは介護休業支援の職場復帰時における加算という位置付けでした。改正後は支援の一つとして独立し、金額・内容ともに拡充されています。

【2024年業務代替支援加算の内容】

  • 代替要員を新規雇用確保で対応した場合:20万円
  • 周囲の従業員への手当支給で対応した場合:5万円

改正後は、次のとおりです。利用日数が長いと金額が増えることから、制度利用の促進が期待できます。

  • 介護休業中の新規雇用等の確保した場合:20万円(15日以上取得・利用は30万円)
  • 介護休業中の手当支給等:5万円(15日以上取得・利用は10万円)
  • 短時間勤務中の手当支給等:3万円(※15日以上利用の場合のみ)

出典:厚生労働省|持続的・構造的な賃上げに向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍推進
出典:厚生労働省|両立支援等助成金(令和6年度)

雇用環境整備等の加算

2024年の制度では、介護休業(休業取得時)または介護両立支援制度利用の支給申請時に、以下2つの項目実施で「個別周知・環境整備加算」として15万円が支給されます。

  • 【個別周知】受給対象労働者に、介護に係る自社制度の説明、介護休業の取得時の待遇の説明等、仕事と介護を両立しやすい雇用環境整備の措置を4つのうち2つ以上講じる

2025年の制度では、雇用環境整備措置を4つ全て実施した場合のみ、環境整備加算として10万円が加算されることになります。

出典:厚生労働省|持続的・構造的な賃上げに向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍推進

出典:厚生労働省|両立支援等助成金(令和6年度)

雇用環境整備措置について

雇用環境整備措置とは、2025年1月施行の育児・介護休業法改正施行で、以下4つのうちのいずれかが義務化される、制度整備の円滑な申し出を促進するための措置のことです。雇用環境整備加算を利用するためには、以下4項目を全て実施する必要があります。

  1. 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
  2. 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
  3. 自社の労働者への介護休業・介護両立支援制度等の取得事例の収集・提供
  4. 自社の労働者への介護休業・介護両立支援制度等の取得促進に関する方針の周知

出典:厚生労働省|育児・介護休業法令和6年(2024年)改正内容の解説

従業員への説明について

2025年4月からは、2024年の要件であった「個別周知の取り組みに関する要件」が見当たらなくなりました。これは、育児・介護休業法改正が2025年4月1日に施行され、「介護両立支援制度等の個別の周知・意向確認、早期の情報提供」が全企業の義務となったためです。以下の3つを全て従業員へ周知する必要があります。

  1. 介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)
  2. 介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など)
  3. 介護休業給付に関すること(例:制度の内容など)

出典:厚生労働省|育児・介護休業法令和6年(2024年)改正内容の解説

よくある質問をチェック

介護に直面している従業員からは、さまざまな質問を受けることがあります。ここでは、仕事と介護の両立に関して多く寄せられる質問を抜粋して紹介します。

Q1: 介護で働けない時の補助金はありますか?

A:雇用保険被保険者が介護休業する際は、労働者本人に対して「介護休業給付金」が支給され、休業前給与の約67%相当額が最大93日間支給されます。なお、「介護離職防止支援コース」と「介護休業給付金」は同時に利用可能です。

Q2: 介護離職者への支援制度はありますか?

A:介護離職者への支援制度として、失業保険(正式には、雇用保険の失業等給付)があります。過去2年間で雇用保険に12か月以上加入しており、再就職の意思がある場合は支給条件を満たします。

柔軟な働き方の導入で、介護離職を防止する場合は「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)」を活用することが可能です。

また、自治体ごとの支援制度として、ハローワークや民間の再就職支援サービスを通じて、介護と両立可能な働き方を探すサポートが受けられます。

関連記事:【社労士監修】2025年版|介護離職防止支援コース:種類・助成額・申請方法

介護離職防止には働きやすさを高める施策も有効

介護と仕事の両立支援は、企業の持続的成長と人材確保に不可欠です。2025年4月の育児・介護休業法改正施行に伴い、両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)の活用がさらに重要になります。

介護離職防止にまつわる法改正への対応にあたって、日常生活をサポートする福利厚生の充実も効果的です。介護と仕事を両立する従業員の負担軽減は、企業への帰属意識を高め、人材流出防止につながります。

例えばエデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、従業員の働きやすさを高めます。自宅で介護と仕事を両立する従業員にも、食事補助を利用してもらうことが可能です。両立支援の取り組みの一つとして、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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※助成金支給対象に該当するか否かのご相談については事業所がある自治体窓口までお問い合わせください

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