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【社労士監修】社会保険料の引き上げはいつから?最新動向や企業負担が増える時期を解説

【社労士監修】社会保険料の引き上げはいつから?最新動向や企業負担が増える時期を解説

2025.03.26

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

少子高齢化や社会保険適用対象者拡大を背景に、数年、数十年のスパンで社会保険料が引き上げされています。本記事では、2025年度における社会保険料の引き上げ、引き下げ動向、社会保険料の仕組み、負担増を感じやすいタイミングについて解説します。

社会保険料とは?

社会保険料とは、相互扶助の理念に基づき、病気や高齢、介護、失業、労働災害などのリスクに備えるための公的保険制度の費用です。主に事業主と従業員が負担します。

社会保険の種類と負担額

社会保険の種類は主に以下の5つ(※)です。それぞれ負担する割合や保険料率が異なります。

※狭義では、健康保険・介護保険・厚生年金保険の3つを社会保険と呼び、雇用保険、労働者負担を労働保険とします。

社会保険の種類 仕組み・特徴

 

料率の目安(労災を除き労使合算)

 

健康保険 企業で働く人とその扶養家族のための公的医療制度。費用は給与(標準報酬月額)および賞与(標準賞与額)に料率を乗じて計算され、企業と労働者が半額ずつ負担する。個人負担分は毎月の給与・賞与から自動控除される。 9.91%(東京都例)
介護保険 40歳以上の被雇用者に加入義務がある制度で、40〜64歳の場合は月給と賞与から自動控除される。企業と労働者が半額ずつ負担する。 1.59%
厚生年金保険 老齢、障害、死亡の際に保険給付を行う年金制度。国民年金に上乗せする形で給付が行われる。費用は月給と賞与に共通料率を掛けて算出し、企業と労働者が半額ずつ負担する。個人負担分は毎月の給与・賞与から自動控除される。 18.3%
雇用保険 失業時の生活保障や職業訓練を行うための保険制度。費用は月給と賞与から自動控除される。事業の種類により料率や企業負担割合は変動し、企業側の負担比率がやや高い。 14.5/1,000~17.5/1,000
労災保険 業務中または通勤途上の事故等による負傷・疾病・障害・死亡への補償制度。原則として従業員が一人でも在籍すれば雇用形態を問わず加入必須。他の社会保険と異なり、費用は全額企業負担。 3/1,000〜88/1,000(業種により変動)

※2025年4月1日以降の保険料

社会保険料は給与から源泉徴収されるため、実質的な手取り収入に直接影響します。収入が増加するほど負担額も比例して増えますが、その分将来受け取れる保障内容も充実する仕組みです。

出典:
全国健康保険協会|令和7年度保険料額表(令和7年3月分から)東京支部
全国健康保険協会|令和7年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます
厚生労働省|令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内
厚生労働省|令和7年度の労災保険率等について~令和6年度と同率です~

2025年社会保険料の最新動向

2025年の社会保険料は上がるか下がるか、最新動向を見ていきましょう。

全体では引き下げの傾向

5つの社会保険料の変更は、以下のように全体としては引き下げの傾向です。

  • 健康保険料率:全体としては10%の平均を維持します。
  • 介護保険料:1.60%から1.59%へと微減します。
  • 厚生年金保険料:18.3%で変更ありません。
  • 雇用保険料:事業主負担も労働者負担も0.5%の引き下げです。
  • 労災保険料:令和6年と同率です。

出典:
全国健康保険協会|令和7年度都道府県単位保険料率
全国健康保険協会|令和7年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます
厚生労働省|令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内
厚生労働省|令和7年度の労災保険率等について~令和6年度と同率です~

高所得者向け厚生年金保険料の引き上げ

厚生年金保険料については、高所得者層に対しての変更が検討されています。現在、厚生年金保険料の対象となる標準報酬月額の上限は65万円ですが、厚生労働省は2027年9月を目処に段階的に引き上げる方針と報道されました。

対象となるのは、賞与を除く年収が798万円以上の従業員です。該当する従業員の保険料負担は最大で月額9,000円程度増加する見込みとなります。

出典:日本経済新聞|厚生年金保険料の上限上げ、29年9月まで3段階に 厚労省

社会保険料の引き上げはいつから?3つのタイミングを確認

企業や従業員が「社会保険料が上がった」と感じるタイミングは3つあります。詳細を確認しましょう。

1.社会保険料率が引き上げられる場合

社会保険料率は毎年見直しが行われ、通常は3月分、4月納付分から新しい料率が適用されます。2025年のように全体として微減する年もありますが、4月に納付するタイミングで「引き上げ」を実感することになります。

2.標準報酬月額の等級が変更される場合

標準報酬月額は、社会保険料のうち、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料の計算基準となる金額です。基準額が上がれば、割合を乗じて算出する社会保険料も値上がりします。改定される3つの主なタイミングを説明します。

定時決定|4月から6月までの給与に基づき9月から適用

定時決定は7月1日時点の被保険者を対象に、4月から6月までの3か月間に受けた報酬の平均額を基に、その年の9月から翌年8月までの標準報酬月額を定めます。4月に給与が上がると、9月の社会保険料から引き上げとなります。

随時改定|3か月連続で2等級以上の変動があった場合

報酬に大きな変動があった場合に行われるのが随時改定です。随時改定は昇給などにより3か月連続で標準報酬月額に2等級以上の差が生じた場合に適用されます。固定賃金の変動があった月から4か月目から金額が変わります。

標準報酬月額の上限引き上げ|制度改正

制度改正で、標準報酬月額の上限自体が引き上げられるケースです。2020年9月1日から、厚生年金保険の標準報酬月額の上限が「第31等級」から「第32等級」に引き上げられています。

また、健康保険料についても、2016年4月1日に級48〜級50を追加した経緯があります。このようなケースも、社会保険料が引き上げとなる要因です。

出典:厚生労働省|標準報酬月額の上限 第11回社会保障審議会年金部会 2023年12月26日 資料2

3.社会保険の適用対象者が増加する場合

社会保険の適用範囲が広がると、企業の保険料負担も増加します。2024年10月から、従業員51人超の企業でも、要件を満たすパート・アルバイト従業員に対して、社会保険への加入が義務化されました。多くの中小企業で社会保険料負担が増えたと実感されています。

社会保険料の引き上げ・負担増3つの理由

社会保険料の引き上げには、どのような理由があるのでしょうか。3つの理由を見ていきましょう。

1.少子高齢化の影響

日本の社会保険料率が変更される主な理由は少子高齢化です。高齢者が増えると医療費や介護費用が増大し、一方で保険料を負担する現役世代は減少しています。

社会保障制度を将来にわたって維持するためには、定期的な保険料率の見直しは避けられません。負担増加は厳しいものの、制度の持続可能性を確保するための必要な対応なのです。

2.社会保障制度の持続

社会保険料率は各制度の財政状況と将来予測に基づいて調整されます。たとえば健康保険料率は医療費水準によって毎年見直されるため、国民の健康維持や医療費の適正化が進めば、料率上昇を抑えられる可能性があります。

厚生年金の標準報酬月額上限の引き上げ(65万円から75万円へ)は、高所得層からより多くの保険料を集め、年金財政を強化するのが狙いです。世代間の公平性を高め、将来世代の負担軽減にもつながります。

3.政府の方針

政府は人生100年時代を見据え、「全世代型社会保障」の構築を目指して検討を重ねています。これは高齢者だけでなく、現役世代も含めたすべての世代が公平に負担し、支え合う制度を目指すものです。

「年収の壁・支援強化パッケージ」によるパート労働者などへの社会保険適用拡大や、在職老齢年金制度の廃止を含めた見直しの検討は、この方針に基づいています。負担増となる面もありますが、より多くの人が将来の保障を受けられるよう制度を強化する意図があります。

出典:内閣官房|全世代型社会保障構築会議


企業負担を抑える3つの施策

社会保険料の負担増は、引き上げ理由を考えると避けられない流れです。では、企業はどのように負担をカバーできるのでしょうか。

1.健康経営の推進

医療費抑制と生産性向上を両立する「健康経営」は社会保険料負担軽減の有効策です。2024年12月のJMDC調査では、健康増進に取り組む企業において男性従業員の医療費が減少しているというデータが示されました。

経済産業省も推奨する健康経営は、医療費・介護保険給付費の削減を通じて社会保障制度の持続に貢献します。同時に、企業の社会保険料負担を軽減する効果も期待できます。

出典:日本経済新聞|健康経営に医療費削減効果、生活習慣病も低下 民間調査

2.助成金の活用

新たに従業員が社会保険に加入する際は、「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」を活用できます。助成金申請に必要なキャリアアップ計画書は、令和5年から令和7年1月末までで約22万件申請済みで、労働者数としては約32万8,000人に上るなど、助成金は多くの企業で活用されています。

社会保険料 値上げ

出典:厚生労働省|キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)計画届受理件数(※速報値)

出典:厚生労働省|キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)

関連記事:【社労士監修】年収の壁を乗り越える!「社会保険適用時処遇改善コース」とは

3.福利厚生を賢く設計

企業の負担を抑えるには、税についても賢い還元策を活用しましょう。福利厚生の活用により、従業員ニーズに応えつつ企業負担の最適化が可能となります。

食事補助、社宅、企業型確定拠出年金などは、一定の要件を満たせば非課税で処理ができます。最大のメリットは、給与で支給するよりも従業員の実質手取りを増やせることです。加えて、企業は全額を福利厚生費(経費)扱いにできるため、税負担の軽減につながります。

非課税枠を活かすなら「チケットレストラン」

チケットレストラン」は、国税庁が示す食事に関する「非課税枠の要件」を満たす食事補助の福利厚生サービスです。月額最大3,500円(税抜)までの非課税枠を活用でき、企業は全額を福利厚生費として経費計上できます。給与で同額を支給する場合と比較して、従業員の実質手取りが増加し、企業の税負担も軽減されるため、双方にメリットがあるのが特長です。

初期投資や運用コストを抑えられるため、特に社会保険の加入者が増える局面に置かれている中小企業にとって、導入しやすい福利厚生策と言えるでしょう。

出典:国税庁|No.2594 食事を支給したとき

関連記事:【税理士監修】チケットレストランで食事補助を非課税に!控除方法とメリット完全ガイド

企業負担軽減になる施策は組み合わせが大切

令和7年度(2025年度)の社会保険料は、4月から変更が適用され、全体としては健康保険料率と介護保険料率の引き下げにより、負担は軽減される見込みです。一方で、高所得者については厚生年金保険料の標準報酬月額上限引き上げが検討されており、動向が注目されます。

社会保険料の変動に対応するには、助成金の活用や健康経営の推進、そして非課税枠を活用した福利厚生の見直しなど、複数の施策を組み合わせることが効果的です。特に中小企業においては、低コストで導入できる食の福利厚生サービス「チケットレストラン」が、従業員の満足度向上と企業負担の最適化を同時に実現する有効な選択肢となるでしょう。

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※助成金支給対象に該当するか否かのご相談については事業所がある自治体窓口までお問い合わせください。

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