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【社労士監修】研修に使える助成金一覧2024年度版をチェック!

【社労士監修】研修に使える助成金一覧2024年度版をチェック!

2024.11.12

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

研修を行うとき、要件を満たすと助成金を利用できる可能性があります。どのような種類の助成金があるのか、一覧で見ていきましょう。併せて各助成金について、対象となる研修や、受け取れる助成額について解説します。

研修に使える助成金一覧

「人材育成でより高度な業務に従事できる従業員を増やしたい」「リスキリングでこれからの事業展開に備えたい」などの理由で研修を実施したいと考えているなら、助成金を活用するとよいでしょう。

研修を実施するには資金が必要ですが、今ある資金のみでは不十分な場合もあります。ここで紹介する助成金を使うことで、十分な質と量の研修を実施できるかもしれません。

助成金の種類

実施者

助成内容

人材開発支援助成金

厚生労働省

人材開発にかかる経費や訓練中の賃金をサポートする

キャリアアップ助成金

厚生労働省

非正規雇用で働く従業員の正社員化や処遇改善をサポートする

事業内スキルアップ助成金

東京しごと財団

従業員のスキルアップを目的とした自社で企画した研修を行う都内企業をサポートする

事業外スキルアップ助成金

東京しごと財団

従業員のスキルアップを目的に公開研修を利用する都内企業をサポートする

DXリスキリング助成金

東京しごと財団

自社のDXに向けて従業員のスキルアップのために研修を実施する都内企業をサポートする

育業中スキルアップ助成金

東京しごと財団

育児休業中に従業員の希望で受講するスキルアップのための研修を行う都内企業をサポートする

今回は、それぞれの助成金について、以下解説します。

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金とは、仕事に関する技術やスキルを従業員が身につけられるよう、計画的に職業訓練を実施している企業に対して、必要な資金や訓練中の賃金をサポートする制度のことです。

ここでは6種類のコースの中から、業種や従業員の特性によらず利用できす「人材育成支援コース」「教育訓練休暇等付与コース」「人への投資促進コース」「事業展開等リスキリング支援コース」の4種類を紹介します。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金

関連記事:【社労士監修】人材開発支援助成金の条件は?活用事例をチェック

職務に関するスキルアップや正社員化が対象「人材育成支援コース」

人材育成支援コースの対象訓練には以下の3種類があります。ここでいうOFF-JTとは事業活動と区別され業務の遂行と異なる過程で行われる訓練の、OJTとは指導者の指導を受けながら事業活動内で実務を通じて行われる訓練のことです。

訓練の種類

内容

人材育成訓練

職務に関連したスキルを習得する10時間以上のOFF-JTによる訓練

認定実習併用職業訓練

厚生労働大臣の認定を受けた実習併用職業訓練。OJTとOFF-JTを組み合わせて実施

有期実習型訓練

有期契約労働者等の正社員化に向けて行う訓練。OJTとOFF-JTを組み合わせて実施

要件を満たす訓練を実施すると、従業員1人1職業訓練実施計画届あたりのOFF-JTにかかる経費の一部が、以下のように支給されます。

企業規模

10時間以上100時間未満

100時間以上200時間未満

200時間以上

中小企業事業主・事業主団体等

15万円

30万円

50万円

中小企業以外の事業主

10万円

20万円

30万円

併せて従業員1人1訓練あたりにつき、1,200時間を限度として賃金の助成も受けられます。1人1時間あたりの賃金助成額は以下の通りです。

賃金助成額

賃金要件を満たす場合の賃金助成額

760円
※中小企業以外は380円

960円
※中小企業以外は480円

訓練にかかる経費と賃金、どちらの助成も、従業員1人につき1年度に3回までが上限です。

また1事業所もしくは1事業団体等が1年度に受給できる助成額の上限は、1,000万円と定められています。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内

休暇を取って訓練を受けるときに対象「教育訓練休暇等付与コース」

教育訓練休暇等付与コースでは、3年間に5日以上の有給休暇の取得や所定労働時間の短縮・免除の制度を教育訓練を受けられるよう導入して、実際に適用したときに助成金を受け取れます。

教育訓練休暇等付与コースに含まれる制度の要件と助成額は以下の通りです。

制度

要件

助成額

教育訓練休暇制度

・制度導入・適用計画期間(3年間)のうちに、被保険者数100人以上の企業は5人以上、100人未満の企業は1人以上の従業員に休暇制度を適用すること
・制度導入・適用計画期間(3年間)の初日から1年ごとの期間内に、被保険者1人以上に休暇を付与すること

・制度導入に対して1事業主あたり30万円 ※賃金要件か資格等手当要件を満たすと6万円加算

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース・人への投資促進コース)のご案内

デジタル人材や高度人材育成の研修に使える「人への投資促進コース」

人への投資促進コースでは、従業員へ訓練を実施すると、訓練にかかった経費や訓練期間中の賃金の助成を受けられます。社内でデジタル人材や高度人材の育成に取り組む場合に利用できる助成金です。

7種類の訓練ごとの賃金助成額と経費助成率を見ていきましょう。

支給対象となる訓練

賃金助成額

経費助成率

OJT実施助成額

高度デジタル人材訓練

960円
※中小企業以外は480円

75%
※中小企業以外は60%

成長分野等人材訓練

960円
※国内の大学院を利用した場合

75%

情報技術分野認定実習併用職業訓練

760円(賃金要件を満たすと960円)
※中小企業以外は380円(賃金要件を満たすと480円)

60%(賃金要件を満たすと75%)
※中小企業以外は45%(賃金要件を満たすと60%)

20万円(賃金要件を満たすと25万円)
※中小企業以外は11万円(賃金要件を満たすと14万円)

定額制訓練

60%(賃金要件を満たすと75%)
※中小企業以外は45%(賃金要件を満たすと60%)

自発的職業能力開発訓練 

45%(賃金要件を満たすと60%)

長期教育訓練休暇制度

960円

※中小企業以外は760円(賃金要件を満たすと960円)

※有給休暇の場合のみ

20万円(賃金要件を満たすと24万円)

教育訓練短時間勤務等制度

20万円(賃金要件を満たすと24万円)

また1事業所が1年度に受け取れる助成額の限度額は「成長分野等人材訓練」を除いて2,500万円、「成長分野等人材訓練」は1,000万円、「自発的職業能力開発訓練」は300万円と定められています。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金 人への投資促進コースのご案内

新規事業等に必要なスキル習得に役立つ「事業展開等リスキリング支援コース」

新規事業の立ち上げといった事業展開やDXの推進に向けて、従業員が新たな分野のスキルを習得できるようOFF-JTによる10時間以上の訓練を実施するときに利用できるのが、事業展開等リスキリング支援コースです。

事業展開に伴い必要な訓練については、訓練開始日から3年以内に実施予定の事業展開か、6カ月以内に実施した事業展開であることも満たしていなければいけません。

必要な要件を満たすと、訓練にかかった経費の75%(大企業は60%)、訓練中の賃金のうち960円(大企業は480円)の助成を受けられます。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用で働く従業員を対象に実施する研修や待遇改善が対象の制度のことです。

非正規雇用で働く従業員の正社員化をサポートする「正社員化支援」と、賃金アップや諸手当の制度化などを行う「処遇改善支援」があり、複数のコースがあります。

研修の実施によって助成金を受け取れるのは、正社員化支援のひとつである「正社員化コース」です。

非正規雇用の従業員を正社員化するときには、新たな知識やスキルを身につける研修が必要となるケースもあるでしょう。例えば正社員化支援の「正社員化コース」では、非正規雇用の従業員の正社員化や、人材定着に関する取り組みにかかった費用に対する助成を受けられます。従業員1人あたりの助成額は以下の通りです。

企業規模

正社員化前の雇用形態が有期雇用労働者

正社員化前の雇用形態が無期雇用労働者

中小企業

80万円(40万円×2期)

40万円(20万円×2期)

大企業

60万円(30万円×2期)

30万円(15万円×2期)

1事業所あたりの支給申請上限人数は、1年度に20人までです。また実施する措置に応じた加算額も設定されています。

また人材開発支援助成金による訓練を終了した労働者の場合、キャリアアップ助成金の「正社員化コース」を利用するときに必要な計画書提出の免除が可能です。

参考:厚生労働省|キャリアアップ助成金のご案内(令和6年度版)

関連記事:【社労士監修】キャリアアップ助成金正社員化コースが拡充!改正ポイントと注意点

東京都の企業が利用できるスキルアップ支援事業

助成金の中には地域限定で利用できるものもあります。ここで紹介するのは、東京しごと財団が実施しているスキルアップ支援事業に含まれる4種類の助成金です。

東京都内に本社もしくは事業所のある中小企業が対象となる、4種類の助成金について見ていきましょう。

事業内スキルアップ助成金

事業内スキルアップ助成金を利用するには、従業員が以下の要件を満たす研修を、総研修時間の8割以上受講する必要があります。

  • 企業内の従業員を対象としていること
  • 受講者が定められた時間に一斉に受講する集合研修であること
  • 受講者の職務に必要となる専門的な技能・知識の習得・向上又は専門的な資格の取得を目的とすること
  • 専門的な技能・知識を有する指導員・講師により行われること
  • 通常の業務と区別できるOFF-JTで行われること
  • 研修費用の全額を助成金を申請する企業が負担していること
  • 業務命令として労働時間内に研修を行い、所定の賃金を支払っていること
  • 助成を受けようとする研修について国や地方公共団体から助成を受けておらず、今後受ける予定もないこと
  • 交付申請時に提出した計画のとおりに研修を実施すること
  • 2024年4月1日から2025年3月31日までの間に開始し、2025年8月31日までに終了する研修であること
  • 1研修あたりの総研修時間数が3時間以上10時間未満であること
  • 受講者の人数が2名以上であること

助成額は1社あたり150万円を上限に「助成対象受講者数×研修時間数×760円」で計算した金額です。

参考:東京しごと財団|令和6年度 事業内スキルアップ助成金募集要項

事業外スキルアップ助成金

従業員が以下の要件を満たす教育機関の研修を受講する際、総研修時間の8割以上を受講している場合に受けられるのが、事業外スキルアップ助成金です。

  • 教育機関が企画した研修であり、広く受講者を募集している既存の公開研修であること
  • 受講者が定められた時間に一斉に受講する集合研修か、オンライン上で配信されるテキストや動画などで学ぶeラーニングであること
  • 受講の経費が1人1研修単位で定められており、公開されている受講案内に明記されていること
  • 受講者の職務に必要となる専門的な技能・知識の習得・向上又は専門的な資格の取得を目的とすること
  • 通常の業務と区別できるOFF-JTで行われること
  • 研修費用の全額を助成金を申請する企業が負担していること
  • 業務命令として労働時間内に研修を行い、所定の賃金を支払っていること
  • 助成を受けようとする研修について国や地方公共団体から助成を受けておらず、今後受ける予定もないこと
  • 交付申請時に提出した計画のとおりに研修を実施すること
  • 2024年4月1日から2025年3月31日までの間に開始し、2025年8月31日までに終了する研修であること
  • 1研修あたりの総研修時間数が3時間以上10時間未満であること。eラーニングの場合は標準学習時間が3時間以上10時間未満であること
  • 受講者の受講状況について、教育機関の証明を受けられること

助成の対象となる経費は「受講料」「教科書・教材代」「研修に付随する登録料・管理料」と定められており、受講者1人あたりの助成額は以下の通りです。

企業規模

受講者1人1研修あたりの助成額

小規模企業者

助成対象経費の2/3(上限2万5,000円)

中小企業等

助成対象経費の1/2(上限2万5,000円)
※非正規雇用労働者受講加算が適用される場合には、助成対象経費の2/3(上限2万5,000円)

なお1社あたりの上限額は150万円と定められています。

参考:東京しごと財団|令和6年度 事業外スキルアップ助成金募集要項

DXリスキリング助成金

DX人材の育成するために以下の要件を満たす研修を実施するときには、DXリスキリング助成金を利用できます。

  • 教育機関が一般に広く受講者を募集しており、集合研修かeラーニングで行われるレディメイド研修であること。もしくは申請企業の従業員を対象として計画し教育機関に委託して行う集合研修であること
  • 受講の経費が1人1研修単位で定められていること
  • 申請企業等のDX推進のために必要な知識・技能の習得・向上を目的とする研修又は専門的な資格を取得するための研修であること
  • 通常の業務と区別できるOFF-JTで行われること
  • 研修費用の全額を助成金を申請する企業が負担していること
  • 業務命令として労働時間内に研修を行い、所定の賃金を支払っていること
  • 助成を受けようとする研修について国や地方公共団体から助成を受けておらず、今後受ける予定もないこと
  • 交付申請時に提出した計画のとおりに研修を実施すること
  • 2024年4月1日から2025年3月31日までの間に開始し、2025年8月31日までに終了する研修であること
  • 1研修あたりの総研修時間数が3時間以上10時間未満であること。eラーニングの場合は標準学習時間が3時間以上10時間未満であること
  • 受講者の受講状況について、教育機関の証明を受けられること

助成の対象となる経費は「受講料」「教科書・教材代」「研修に付随する登録料・管理料」「研修を計画するためのヒアリング料」です。

これらの経費のうち、受講者1人1研修につき7万5,000円まで、全体で3/4までの助成を受けられます。また全体の上限額は1社につき100万円です。

参考:東京しごと財団|令和6年度 DX リスキリング助成金募集要項

育業中スキルアップ助成金

従業員の希望により、育児休業中に以下の要件を満たす研修を受けるときには、育業中スキルアップ助成金の対象となります。

  • 教育機関が企画した研修であり、広く受講者を募集している既存の公開研修であること
  • 受講者が定められた時間に一斉に受講する集合研修か、オンライン上で配信されるテキストや動画などで学ぶeラーニングであること
  • 育業中の従業員本人が希望して、育業期間中に受講する研修であること
  • 受講の経費が1人1研修単位で定められており、公開されている受講案内に明記されていること
  • 研修に要する経費の2分の1以上を申請企業等が負担していること
  • 助成を受けようとする研修について国や地方公共団体から助成を受けておらず、今後受ける予定もないこと
  • 交付申請時に提出した計画のとおりに研修を実施すること
  • 2024年4月1日から2025年3月31日までの間に開始し、2025年8月31日までに終了する研修であること
  • 受講者の受講状況について、教育機関の証明を受けられること

助成対象となる経費は「受講料」「教科書・教材代」「研修に付随する登録料・管理料」「研修受講時の託児サービス利用料」です。1社あたり100万円を上限に、中小企業は助成対象経費の2/3まで、大企業は1/2まで助成を受けられます。

参考:東京しごと財団|令和6年度 育業中スキルアップ助成金募集要項

研修の実施には助成金を活用しよう

企業が研修を実施するときには、助成金を活用すると、かかった経費の一部について助成を受けられます。上手に活用することで、今後の事業展開に役立てることや、従業員のモチベーションアップに役立てることが可能です。

ただし助成金を受け取れるのは、研修にかかった経費を支払ったあとのため、キャッシュフローには注意しましょう。

従業員のモチベーションアップには、併せて福利厚生の拡充も検討してみてはいかがでしょうか。エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入すれば、実質的な手取りアップにもつながります。

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