オフィスの休憩室は、従業員のリフレッシュやコミュニケーション促進など、多くの役割を担うスポットです。オフィスに休憩室を設けることで企業が得られるメリットとはどのようなものなのか、具体的な導入のステップと合わせて整理していきましょう。休憩室をより有効に活用するための食事補助サービス:エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」についても紹介します。
オフィスに休憩室が必要な理由とは
休憩室の設置には、スペースを用意したり、設備を購入・維持したりと、一定のコストが必要です。それにもかかわらず、多くの企業がオフィスに休憩室を設置しているのはいったいどうしてなのでしょうか。まずは、オフィスに休憩室が求められる理由から解説します。
「事務所衛生基準規則」による規定
休憩室は、従業員が仕事で疲れた心身を休めてリフレッシュを図る、企業内においてとても重要な役割を持つスポットです。しかし、多くの企業がオフィス内に休憩室を設けているのは、必ずしも従業員のリフレッシュのためだけではありません。
1972年、厚生労働省は「労働安全衛生法」に基づき、オフィス衛生にまつわる厚生労働省令「事務所衛生基準規則」を公布、施行しました。「事務所衛生基準規則」では、休憩室について以下のように言及されています。
第十九条 事業者は、労働者が有効に利用することができる休憩の設備を設けるように努めなければならない。
つまり、企業には、オフィスへ休憩室を設置するよう努める法律上の努力義務があります。
また、経済産業省は、「一般社団法人 ニューオフィス推進協会」と連携し、2007年に「クリエイティブ・オフィス推進運動実行委員会」を立ち上げました。「クリエイティブ・オフィス」とは、従業員の創造性・独創性を刺激する空間やICTツールなどが整備され、企業としての生産性向上が期待できるオフィスのことをいいます。休憩室の設置は「クリエイティブ・オフィス」に欠かせない要素のひとつでもあるのです。
オフィスに休憩室を設置するメリット
企業には、オフィスに休憩室を設置する法律上の努力義務があります。一方で、実際に休憩室を設置することにより、多くのメリットを得ている企業も少なくありません。オフィスに休憩室を設置することで、企業が得られる主なメリットとはどのようなものなのでしょうか。
社内のコミュニケーションが活性化する
オフィス内への休憩室の設置は、従業員間のコミュニケーション活性化に役立ちます。
休憩室がない企業では、従業員同士でコミュニケーションを図る機会に限りがあります。食堂のような共有スペースがある場合には話が別ですが、そうでない場合、業務で関わりのない人と接するチャンスはありません。
しかし休憩室がある企業では、部署を問わずさまざまな人とコミュニケーションをとる機会が得られます。従業員同士の横のつながりが広がることは、社内の情報伝達をスムーズにしたり、新しいアイデアが生まれたりと、経営の観点からも大きなメリットです。また、部署外の交友関係は、仕事へのストレスや部署内の人間関係で悩んだ際のよりどころにもなります。
社内のコミュニケーションが活性化することで、風通しがよく、活気にあふれた企業風土の実現が期待できます。
従業員満足度が向上する
従業員満足度(Employee Satisfaction)は、従業員が企業に抱く満足度を測る指標です。従業員満足度が高い企業では、従業員1人ひとりのパフォーマンスが高く、反対に従業員満足度が低い企業では、従業員1人ひとりのパフォーマンスが低い傾向にあります。このことから、従業員満足度を高めることは、業績向上を目指す企業にとって大きな課題です。
その点、休憩室の設置は、従業員の労働環境を整えるという点で、従業員満足度の向上に役立ちます。休憩室の利用でリフレッシュがしやすくなる・従業員仲間とのコミュニケーションを楽しめるなどの理由から、従業員の企業に対する愛着や信頼度が高まり、企業に対する貢献意欲の向上が期待できます。
仕事にメリハリができ、生産性が向上する
人間の集中力には限界があります。得意な作業にもかかわらず、長時間続けているうちにミスをしてしまったり、知らずしらずのうちにモチベーションやパフォーマンスが低下してしまったりといった経験がある人も多いのではないでしょうか。
高いモチベーションやパフォーマンスを維持するには、適度な休憩によるリフレッシュが必要不可欠です。さらにいうならば、仕事とはまったく違った環境に身を置き、オン・オフを完全に切り替えることが大切です。
その点休憩室は、「仕事とはまったく違った環境」「オン・オフを完全に切り替えられる場」の条件をともに満たしています。オフィス内に休憩室を設置することで、従業員の仕事にメリハリが生まれ、さらなる生産性の向上が期待できます。
優秀な人材の獲得や定着が期待できる
オフィスへの休憩室の設置は、優秀な人材の獲得や定着にも効果的です。
就職や転職を考えるにあたっては、誰であれ「より働きやすい企業を選びたい」「条件のよい企業で働きたい」と望むものです。給与や待遇などで大きな差がない場合、職場環境や職場の設備に注目し、エントリー先を検討する人が少なくありません。
休憩室の有無は、職場環境や職場の設備を考える上で重要な要素のひとつです。就職、転職活動中の優秀な人材への強力なアピールになるのはもちろんのこと、すでに働いてる優秀な人材を定着させる上でも大きな効果を発揮するでしょう。
他社との差別化・ブランディングができる
休憩室とひと口にいってみても、コンセプトや設備は企業によってさまざまです。独創的かつ従業員の満足度の高い休憩室を整備すれば、他社との差別化や企業としてのブランディング効果が期待できます。
「ユニークな企業」「先進的な企業」「従業員への貢献意欲の高い企業」などの好ましいイメージは、そのまま企業への好ましいイメージとなって世間に浸透します。また、企業イメージの向上は、消費者や取引先から選ばれる機会の増加につながることから、将来的なビジネスチャンスの拡大や業績の向上も期待できるのです。
オフィスに休憩室を設置するまでの5ステップ
オフィスへ休憩室を設置するにあたっては、どのような工程が必要なのでしょうか。実際に取り組む際のヒントとして、基本の5ステップを紹介します。
1.従業員のニーズをリサーチする
オフィスへ新しく休憩室を設置するにあたり、忘れずに行いたいのが「従業員のニーズをリサーチすること」です。
業種や地域、企業風土などの条件によって、従業員が求める休憩室の形態は大きく変わります。需要と乖離した休憩室を設置した場合、高い利用率は望めません。
そんな事態を招かないためにも、まずは従業員への丁寧なリサーチから始めましょう。より高い利用率を目指すなら、正社員のみに限らず、期間従業員やパートなど、あらゆる勤務形態の人から広く意見やアイデアを募るのがおすすめです。
従業員が望んでいる休憩室がどんなものなのかを知り、実際の施行に取り入れることこそ、利用率が高く愛される休憩室を実現するためのポイントです。
2.設置の目的を整理する
休憩室は、空間の広さやレイアウトによって、従業員の休憩以外の目的にも利用できます。スペースにあまり余裕のない企業であれば、打ち合わせや来客対応、社内イベント用のスペースなどを兼ねた休憩室の設計をするのもひとつの方法です。
あらかじめ目的を整理しておくことで、目的に応じたレイアウトやインテリアを選択できます。スペースを有効に活用するためにも、想定される利用シーンを事前に洗い出しておくことが大切です。
3.設置スペースとアイテムを決める
従業員のニーズと設置の目的が整理できたなら、次に行いたいのが設置スペースとアイテムの選定です。
設置スペースを考える上で、特に意識したいポイントとしては、「日当たり」と「執務スペースとの距離」があります。休憩室のようなリラックスを大きな目的とする空間に、日の当たらない暗い空間は適しません。日差しがよく入る方角に、大きな窓を設けるなど、明るさを意識するのがおすすめです。
合わせて意識したいのが、執務スペースとの距離です。仕事をする空間から近い場所に休憩室を設けてしまうと、オンとオフの切り替えがしにくくなってしまいます。また、休憩室の談笑の声が執務スペースに届いてしまった場合、業務の遂行に支障をきたす可能性も考えられます。
また、休憩室に設置するアイテムは、事前に整理したニーズや目的をもとに検討しましょう。打ち合わせスペースとしても利用するならば大きめのデスクが必要ですし、来客用として利用するならば応接セットが必要です。ニーズや目的に沿うことで、必要なアイテムは自然と明らかになるはずです。
4.利用ルールを作成する
つい後回しになってしまう項目ながら、休憩室のスムーズな運営を図る上で欠かせないのが「利用ルールの作成」です。
適切な利用ルールが定められていない休憩室は、利用の仕方が従業員1人ひとりに委ねられます。ごく一部でもマナーや一般常識を軽視する人がいた場合、それ以外の多くの人が迷惑を被ってしまいます。居心地のよさが感じられない空間となり、利用率が低下することも十分考えられるのです。
以下、誰にとっても快適な休憩室を目指す上で作成しておきたい休憩室の利用ルールを紹介します。
- 利用時間のルール:1日あたりの利用回数や1回あたりの最長利用時間など
- 清掃のルール:使用したテーブルを拭く・ゴミを片付けるなど
- 騒音のルール:音が出る機器はイヤフォンやヘッドフォンを使用するなど
ルールを決める際は、従業員へのヒアリングを行うのがおすすめです。想定される問題点を複数の視点からピックアップし、定められたルールを周知徹底しておきましょう。
5.施行・設置する
「従業員のニーズのリサーチ」「設置目的の整理」「設置スペースとアイテムの選定」「利用ルールの作成」それぞれのステップが完了したら、いよいよ休憩室の施行・アイテムの設置です。
この段階では、メインとして動くのは企業ではなく施工業者です。施工業者との連携をとりながら、要望どおりの休憩室となっているか、要望から外れているポイントはないかなどをチェックしましょう。万が一、計画と異なっていたり、実際に施行をしてみて問題点が分かったりした場合には、その都度速やかに対処します。
従業員がよろこぶ休憩室のアイデア
従業員からの評価が高く、利用率も高い休憩室には、それぞれに独自の魅力があります。従業員に喜ばれる休憩室を作るヒントとして、特に人気のアイデアをチェックしていきましょう。
リラックスできる空間づくりをする
休憩室は、本来、従業員が仕事の合間にリフレッシュをする目的で設置するものです。新しく休憩室を導入するにあたっては、何よりもまずリラックスできる空間づくりを意識しなければなりません。
以下、リラックスできる空間づくりのアイデアを紹介します。
- ゆったり座れるソファなど、リラックスをうながす家具を配置する
- 1人になれるスペースがある(レイアウトを工夫する・パーテーションを利用する)
- 部屋全体、もしくはエリアごとに防音にする
- 靴を脱げる場所を作る(畳敷きの小上がりなど)
これらの点を意識することで、どんな立場の人も気軽に利用でき、十分にリラックスできる休憩室になります。
自動販売機を設置する
休憩室は、飲食に利用されることも多いスペースです。仕事の流れでどうしても昼休憩をとれず、一息ついたタイミングで休憩室にてランチ休憩をとるというのはよくある話ではないでしょうか。
休憩室に自動販売機があれば、こうした事態に役立ちます。さらに、飲み物の自動販売機だけでなく、軽食の自動販売機も設置しておけば、より多くのシチュエーションに対応が可能です。
なお、飲食の空間は、オフ感が非常に強い空間でもあります。休憩室を来客対応にも利用する場合には、自動販売機そのものを含め、飲食が可能なエリアを利用ルールの中で定めておきましょう。
カフェスペースを設置する
自動販売機の代わりとして、もしくは自動販売機と併設で、カフェスペースを用意するのもおすすめのアイデアです。
カフェスペースでは、コーヒーサーバーや軽くつまめるおやつが並んだコーナーを設置します。豆の種類を変えたサーバーを複数用意するなど、こだわりのサービスを提供することで、従業員満足度をグッと高められるでしょう。
一方で、カフェスペースを提供する場合、コーヒー豆の交換やサーバーの清掃、おやつの補充などを「誰がどう行うか」を事前に決めておかなければなりません。特定の部署や従業員だけに負担をかけてしまうことのないように、休憩室の利用ルール内にしっかりと盛り込んでおくことが大切です。
ブックコーナーを併設する
オンとオフを切り替える手段として、雑誌をはじめとする本を利用する人は少なくありません。「休憩室でゆっくりしたいけれど、手持ち無沙汰で落ち着かない」という従業員へのサポートとしても、ブックコーナーの併設は有効です。
ブックコーナーに設置する本については、あるとうれしい雑誌や本のジャンルを事前アンケートでリサーチしておくのがおすすめです。本が従業員同士の共通の話題となり、従業員間のコミュニケーションがより促進される効果も期待できるかもしれません。
執務室と雰囲気を変える
休憩室は、従業員がいっとき仕事から離れ、仕事で疲弊した心身を回復させる役割を担う場です。スムーズに気持ちを切り替えられるよう、仕事をする執務室とはまったく違った雰囲気の空間にするのがおすすめです。
違いを意識したい具体的なポイントとしては、部屋全体の色合いや、設置する家具のテイスト、レイアウトなどが挙げられます。これらのポイントで執務室との差をアピールすることにより、休憩室のリラックス効果をより高めることが可能です。
インテリアにこだわる
設置するインテリアにこだわることも、従業員が喜ぶ休憩室にするために意識したいポイントのひとつです。具体的には、以下のような要素が挙げられます。
- 観葉植物などグリーンを取り入れる
- アロマを取り入れる
- デザイン性の高いソファやテーブルを選ぶ
- 暖かみのある照明を選ぶ
- 高級感のある壁紙や絨毯(じゅうたん)を選ぶ
インテリアにこだわり、高級感やおしゃれ感を演出することで、「利用したい」と考える従業員は増えます。さらに、企業コンセプトをテーマとして取り入れるなど、企業ブランディングを意識したインテリアにすることで、広報活動の一環としても活用できるでしょう。
ミニキッチンを設置する
従来の休憩室の概念にとらわれず、より自由で独創的な空間づくりを進める企業で人気を集めているアイデアに、「ミニキッチンの設置」があります。
休憩室内に簡易的なキッチンを設置することで、利用する従業員は簡単な調理をしたり、お湯を沸かしたりが可能です。カップラーメンや、湯煎が必要なレトルト食品にも対応できるため、ランチの選択肢が広がります。
また、休憩室のスペースが広く、ちょっとした車内イベント用のスペースを兼ねた設計をしているのであれば、慰労会や打ち上げなどでできたての料理を提供したり、料理イベントを開催したりといった使い方もできます。ミニキッチンの設置は、休憩室の利用シーンを大きく広げられるアイデアです。
予算やスペースに限りがある場合には?
従業員に喜ばれる休憩室を用意したいと思っても、予算や利用できるスペースの関係で、思うような設備が整えられない企業は珍しくありません。条件に制約がある中で、従業員がリラックスできる休憩室を実現するにはいったいどうすればよいのでしょうか。
「休憩室=休憩するための場」と割り切る
予算やスペースなどの前提条件に制約がある場合には、設備やインテリアにこだわることは困難です。この場合、「休憩室=休憩するための場」として、一定の空間に机と椅子を配置するといったシンプルな形態に留めざるを得ません。
この空間に電子レンジや電気ポットがあれば、休憩室としての最低限の機能は果たせます。飲食物の持ち込みを制限せず、ランチや休憩時のおやつを楽しめるようにすることで、特別な設備はなくともリラックスの場として、または、従業員同士のコミュニケーションの場として広く活用されるでしょう。
休憩室の満足度を高めるサービス「チケットレストラン」
休憩室内で飲食物を自由に手に入れることができない企業や、社員食堂を持たない企業の中で、近年急速に注目度を高めているのがエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。その詳しいサービス内容を紹介します。
「 Uber Eats 」も利用できる福利厚生の食事補助サービス
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、30年以上の運用実績を持つ福利厚生の食事補助サービスです。
「チケットレストラン」では、専用の電子カードを利用することにより、提携店舗での食事を半額で利用できます。提携店舗のジャンルは幅広く、全国各地のコンビニやファミレス、カフェなどで利用が可能です。2023年3月には「 Uber Eats 」と業務提携され、提携店舗数は約25万店となりました。
「チケットレストラン」を利用すれば、近隣の店舗にて割安で購入したランチやおやつを持ち寄り、同僚たちと楽しむといった休憩室の使い方も可能です。「 Uber Eats 」を活用すれば、外出する必要すらもありません。
休憩室の設備がどのようなものであったとしても、従業員へ充実した休憩時間を提供できるサービスとして、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
従業員が自然と集まる休憩室づくりを
オフィスの休憩室は、ただ心身を休めるだけでなく、社内コミュニケーションの起点としても重要な役割を担うスポットです。休憩室を充実させることにより、企業は従業員のパフォーマンスの向上や業績向上、優秀な人材の獲得など、多くのメリットを得られます。
中には、予算やスペースの都合により休憩室の整備にあまり手をかけられないケースも見られますが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」などのサービスを導入することで、従業員に愛される休憩室は十分に実現が可能です。
できる範囲で工夫を重ね、従業員が自然と集まる休憩室を目指しましょう。