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【社労士監修】インフレ手当で社会保険料が上がる!?デメリットに対策しつつ導入する方法も解説

2024.08.14

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監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

インフレ手当の支給を行う場合、企業と従業員の社会保険料の負担が増えます。それでも導入すべき手当なのでしょうか?本記事では、インフレ手当のメリット、デメリットを見ていきましょう。また、社会保険料の負担を増やさずにインフレ手当を支給する方法として、福利厚生の導入があります。その代表例として、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」も紹介します。

インフレ手当とは?

インフレ手当とは、急激な物価上昇に対応するために企業が従業員に支給する特別な手当で、経済環境の変化から従業員の生活を守ることを目的としています。物価が急上昇すると、日常生活にかかる費用も増加します。そこで、インフレ手当を支給し、食料品や電気・ガス代などの値上がりにより、家計の負担が大きくなった状況をサポートするのです。インフレ手当は、物価状況下で従業員の実質的な収入が減少しないよう、企業が導入する支援策の一つと言えます。

企業ごとに呼び方は異なり、「物価対応手当」「生活支援金」「経済変動対策給付金」など、さまざまな名称が使われています。しかし、その本質は同じで、従業員の生活水準を維持し、働く意欲を支えることです。

インフレ手当の導入は、従業員の生活を守るだけでなく、企業の生産性や競争力の維持にも貢献します。経済の変動に柔軟に対応しながら、従業員と企業の双方にメリットをもたらす重要な施策として注目されています。

関連記事:インフレ手当・特別手当の支給や制度設計を詳しく解説!日本企業と海外企業の事例も多数紹介

インフレ手当の支給状況

企業が従業員へ提供する物価高の生活支援策「インフレ手当」は、具体的にはどの程度の支給率なのでしょうか。帝国データバンクが2022年11月に実施した「インフレ手当に関する企業の実態アンケート」によると、6.6%の企業がインフレ手当を支給済みと回答したそうです。これから支給予定の企業や、支給を検討中の企業を合わせると、4社に1社にあたる26.4%の企業が、インフレ手当に取り組んでいる結果でした。

出典:帝国データバンク|インフレ手当に関する企業の実態アンケート

インフレ手当の相場

次に相場を確認しましょう。インフレ手当の支給方式には、主に一時金と月額手当の2パターンがあります。

インフレ手当の相場「一時金」

同じく帝国データバンクの調査結果によると、一時金の場合、最も多く見られるのは1万円から3万円の範囲で、全体の約3割を占めています。3万円から10万円未満の範囲も次いで多く、合わせて4割以上の企業がこの金額帯を選択しています。平均すると、一括払いの金額は5万円強(5万3,700円)です。

インフレ手当の相場「月額手当」

一方、月額手当を選択した企業では、3千円から1万円未満の範囲が主流であり、全体の6割以上を占めています。3千円未満の支給も約4分の1の企業で見られます。月額手当の平均額は6,500円程度です。

これらの数字から、一括払いでは5万円前後、毎月払いでは6,000円程度が一つの目安になると言えるでしょう。ただし、企業の規模や業種、経営状況によって実際の支給額は大きく異なる可能性があります。

インフレ手当 社会保険出典:帝国データバンク|インフレ手当に関する企業の実態アンケート

関連記事:【社労士監修】インフレ手当の相場はいくら?支給の現状と実際の支給事例を多数紹介!

話題のインフレ手当は社会保険料の算定対象?

物価高騰の影響を受けている従業員の家計をサポートする目的があるインフレ手当は、報酬とは違うように感じられますが、実際はどのように扱われているのでしょうか?日本年金機構の事例集をもとに、インフレ手当は報酬に含まれ、社会保険料の算定対象になるのかを見ていきます。

社会保険料の算定対象にならない手当や費用

インフレ手当の扱いを知るため、まずは社会保険料の対象とならない手当や費用を、日本年金機構の「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」でチェックします。事例集によると、報酬等に該当せず社会保険料の算定対象とならない手当や費用は以下のようなものが挙げられます。

  • 労働の対償ではない傷病手当金、財産収入、適用事業所以外からの収入など
  • 従業員が立て替えていた出張旅費や赴任旅費などを本来負担すべき事業主が精算したときの費用
  • 事業主が恩恵として支給する見舞金、結婚祝い金、餞別金など
  • 労働の対償だが支給される条件等が不確定で定期的に発生しない大入袋といったもの

出典:日本年金機構|標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集

社会保険料の算定対象になるインフレ手当

社会保険料の算出対象にならない手当や費用にはいくつか種類ありますが、一般的にインフレ手当はこれらには該当しないと考えられます。日本年金機構の事例では報酬等に分類されるため、社会保険料を算出するときには当然対象です。

インフレ手当の支給による社会保険料への影響

インフレ手当は社会保険料を算出するときに対象です。社会保険料のうち、健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料は、事業主と従業員で折半するため、支給すると企業も従業員も負担が増えます。支給を決定するときには、あらかじめ社会保険料がどの程度増えるか試算しておくとよいでしょう。

また、インフレ手当の支給により報酬が増えるため、従業員の所得税負担も増えます。もともとの年収やインフレ手当の金額によりますが、所得税が大幅に増えるケースもあるでしょう。

扶養内で働くパートやアルバイトの場合、インフレ手当が支給されると扶養からはずれてしまうかもしれません。手当の支給がマイナスに働くこともあるため、そもそも支給することが従業員の生活支援になるのか、するならどのタイミングでいくら支給するのが好ましいかは、慎重に考える必要があります。

インフレ手当の支給における注意点・デメリット

インフレ手当の支給を決定するまえに、必要となる手続きやデメリットについて理解しておくことが肝要です。インフレ手当は報酬となり、保険料や税への影響、就業規則の変更などを伴い、慎重に導入への判断が求められるからです。次に詳しく見ていきましょう。

インフレ手当で就業規則も変更が必要

インフレ手当の支給形式には、主に「一時金」と「月額手当」の2種類があり、どちらの方式で支給するかによって就業規則の変更が伴います。どのような場合に変更の手続きが必要なのでしょうか?

「一時金」による「賞与扱い」のインフレ手当なら変更不要

インフレ手当を賞与に上乗せする形での「一時金」として支給する場合、必要なのは従業員への案内のみです。例えば経済状況に合わせ賞与に上乗せする形で臨時に1回限り支給されるインフレ手当であれば、就業規則を変更しなくても対応できます。

「月額手当」による「給与扱い」のインフレ手当なら変更が必要

「月額手当」として毎月の給与へ上乗せする場合、就業規則も変更しなければいけません。インフレ手当の支給が今後ずっと続くものである場合はもちろん、期間限定のものである場合も、就業規則の変更手続きを行い「賃金の決定、計算に関する事項」を変更します。

就業規則変更の手続き

就業規則を変えるとき、まずは条文を考えます。加えて所轄の労働基準監督署へ提出する届出書の作成も必要です。届出書には従業員の過半数を代表する者の意見と、署名もしくは記名押印のある意見書を添付しなければいけません。

従業員の過半数が加入している労働組合があるなら、労働組合が意見書を作成可能です。条件を満たす労働組合がない場合には、就業規則を変更するにあたって「意見を求められる人を選出する目的がある」と伝えた上で、投票や選挙を行い代表者を選びます。加えて就業規則は事業所ごとに定めるため、変更も事業所ごとに実施しなければならず、総じて手間のかかる手続きです。

本来の目的とは異なる使われ方をする可能性

一時金でも給与でも、現金でインフレ手当を支給した場合、使い方は従業員にゆだねられます。生活費をサポートする目的で支給する手当ですが、中には臨時収入が入ったからと普段なら買わない高額な買い物をする従業員もいるでしょう。

今後の経済状況や暮らしに不安感を抱いている従業員は、生活費を切り詰めインフレ手当を丸ごと貯金にまわすことも考えられます。用途が限定されていない自由度の高さは従業員にとって魅力ですが、企業が想定していた支援につながらない可能性がある点はデメリットです。

月額手当はインフレ収束後も手当をなくしにくい

月額手当として給与にインフレ手当を上乗せする場合、1度支給し始めると、インフレが収まってからも支給停止の判断が難しくなる場合も起こりえます。インフレ時の生活費をサポートする目的を果たしたからと手当をなくすと、従業員の反発を受ける可能性もあります。

企業の判断で必要に応じて手当の支給を止めにくい点はデメリットと言えるでしょう。

それでも導入すべき?インフレ手当のメリット

現金で支給すると報酬として扱われるインフレ手当は、社会保険料や税金の負担が増え、月額手当として支給する場合には就業規則の変更も必要です。加えて支給しても、企業が本来の目的と定めている生活費に使われないケースもあります。またインフレが収まったからといってすぐに手当をなくしにくいのもデメリットです。

インフレ手当には複数のデメリットがあると分かりましたが、次にメリットをチェックしてみましょう。

従業員との信頼関係構築

従業員との間に信頼関係を築きやすくなる点は、インフレ手当の大きなメリットです。物価高騰で生活費が足りないと感じているとき、手当の支給でサポートをすれば「従業員を大切にする企業である」と従業員は実感するでしょう。

信頼関係は企業のビジョン実現へ向け貢献したいと感じる意欲を示す「従業員エンゲージメント」の向上につながります。従業員エンゲージメントが高まれば、従業員は「何をすれば企業に貢献できるか?」を自ら考え行動し始めます。

全従業員が同じ方向を向いて仕事に取り組むため、活発なコミュニケーションが生まれ気持ちよく働ける環境が整いやすいのも特徴です。手当の支給に多少のコストをかけたとしても、よりよい職場作りが実現すれば、業績アップが期待できるのがメリットです。

企業イメージアップ

インフレで増えるのは従業員の生活費だけではありません。企業のコストも増加します。このようなタイミングで行うインフレ手当の支給によって、従業員を大切にする企業の意思を内外へ示せます。

従業員が企業へ抱くイメージはもちろん、顧客からのイメージアップも期待できるでしょう。従業員思いの企業として他社と差別化し、ブランディングするよい機会になるかもしれません。

優秀な人材の採用

従業員へのサポートを充実させると、今活躍する従業員の離職を防ぐのはもちろん、新たに優秀な人材を採用するのにも役立ちます。求職者は企業をさまざまな面から比較し、入社の決め手を探しているのです。

仮に自社と同じ仕事内容で条件が同程度の企業がある場合、求職者はその他の手当や福利厚生を比べ判断するのが一般的です。このとき十分なインフレ手当の支給が魅力となり、人材を採用しやすくなるかもしれません。少子高齢化に伴い生産年齢人口が減少している中、インフレ手当は人材確保にも役立つ施策と言えます。

デメリットを解消しつつインフレ手当を導入する方法

インフレ手当には従業員との信頼関係構築や、内外へ向けたイメージアップ、人材の確保などにつながるメリットがあると分かりました。これらのメリットがあると分かっていても、社会保険料の増額を始めとするデメリットと比較すると、導入を迷うのも無理はありません。

ただし「福利厚生」としてインフレ手当を支給すれば、デメリットを解消しながらインフレ手当を支給できます。税金の負担を増やさないのはもちろん、法人税の負担の軽減を実現しながら従業員をサポートできる方法です。また、制度によっては社会保険料に影響がでません。

福利厚生とは?

従業員やその家族に対し、暮らしを充実させるために企業が用意する手当やサポートなどを福利厚生といいます。福利厚生は法律で定められている「法定福利」と、企業が独自に実施する「法定外福利」の2種類です。

  • 法定福利:雇用保険、健康保険、介護保険、労災保険、厚生年金保険、子ども・子育て拠出金
  • 法定外福利:住宅手当、人間ドックの受診費用、慶弔手当、リフレッシュ休暇、財形貯蓄制度など

法定外福利の種類は企業ごとに異なります。中には同僚に感謝や称賛を伝えられる「ピアボーナス制度」や、疲労回復に役立つ昼寝が認められる「シエスタ」などユニークな福利厚生を設けている企業もあります。

関連記事:ユニークな福利厚生や制度のある企業を紹介!導入時のポイントも解説

福利厚生なら経費計上が可能

従業員へ福利厚生を提供するための費用は、以下に示す一定の条件を満たすと「福利厚生費」として経費計上し損金算入が可能です。

  • 社内規定が整えられている
  • 全従業員が対象
  • 社会通念上妥当な金額

3つの条件を満たし損金として扱えれば、法人税を算出するもとになる所得から福利厚生費を差し引けます。所得が減るため法人税を低く抑えられる方法です。

「チケットレストラン」なら食の福利厚生としてインフレ手当を導入可能

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は非課税の仕組みを有効活用し、ランチが実質半額になる食事補助の福利厚生サービスです。全国にある25万店舗の飲食店やコンビニ、ファミレス、 Uber Eats で利用可能な専用のICカードで飲食代を支払うだけの手軽さから、利用率98%と高い水準を示しています。ICカードは、事前に企業支給分と従業員負担分がチャージされており、カードでの支払いを通じてスマートな食事補助が可能です。福利厚生としてインフレ手当を導入する際にも活用できます。

食事補助で従業員の暮らしをサポートできる

3,000社以上で導入されているエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、ガストや吉野家などの飲食店で食事をするときや、全国各地にあるセブン-イレブンやファミリーマートなどコンビニで買い物をするときに利用できます。加入店舗は続々と増えており、2024年6月には、店内で焼き立てを提供する「チョコクロ」やオーダーをいただいてから豆を挽いて抽出する「一杯だて」コーヒーにこだわる「サンマルクカフェ」(全国146店舗)も加わりました。

食事補助のみに特化して、従業員の生活面のサポートができるため、企業が本来意図した使い方で利用してもらえるのも魅力です。もちろん、食事代を支援するインフレ手当としての利用もできます。

エデンレッドジャパンの調査によると、インフレ手当を受け取ったら食費に使いたいと回答した従業員は70.3%にのぼったそうです。勤務日の食事代を補助する「チケットレストラン」を利用すれば、多くの従業員の望む形でのサポートを提供できます。

出典:エデンレッドジャパン|ビジネスパーソンに聞く「インフレ手当」実態調査

低コストで継続しやすい

エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は国税庁の定める以下の条件を満たすと非課税で運用できます。

  • 従業員が食事にかかる金額の半分以上を負担していること
  • 「食事の金額-従業員の負担額」が3,500円(税別)以下であること

従業員は企業の負担分について、福利厚生として扱えることで所得税が非課税というメリットがあり、企業は福利厚生費として補助した金額が法人税の対象にならないメリットがあります。現金によるインフレ手当と比べ、双方にとってコスト面でのメリットが大きく、継続しやすいのが特徴です。

出典:国税庁|No.2594 食事を支給したとき

正規・非正規雇用の従業員に公平に提供できる

チケットレストラン」は、企業規模や従業員の雇用形態に関わらず、幅広く利用できるサービスとしても注目を集めています。正規従業員はもちろん、パートやアルバイトなど、多様な働き方をする従業員に平等に提供できるのが魅力です。

一定の条件を満たしていれば、所得税の対象にならないことから、年収の壁により就労調整をするパート従業員に対しても公平に福利厚生を提供できます。また、オフィスワーカーだけでなく、外回りの営業職や現場作業員など、さまざまな勤務形態の従業員にも食事補助ができるため、公平性が高いと評価されています。

チケットレストランの導入で、企業は従業員間の待遇格差を最小限に抑えつつ、同等の福利厚生を実現できるのです。結果として、職場の一体感や従業員満足度の向上も期待できます。

関連記事:インフレ手当で注目されるチケットレストランの魅力とは?お得なキャンペーン情報も

インフレ手当は社会保険料も考慮して導入を

従業員の生活費をサポートするインフレ手当は、従業員との信頼関係構築や企業のイメージアップに役立ちます。ただし現金で支給すると社会保険料や税金の負担が増える点がデメリットです。

支給を決定する際には、手当に必要な資金に加え、増加する社会保険料や税の負担も考慮しましょう。賞与や給与などとは別の形であり、企業にとっても従業員にとっても有益な形で支給できることから、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」をインフレ手当として導入する企業も増えています。多くの従業員に喜ばれる食事補助によるインフレ手当を導入しませんか?

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