世界規模で長引くインフレ(インフレーション)が暮らしに影を落とす中、従業員の生活補助のため、福利厚生でインフレ手当を支給する企業が増えています。インフレ手当の支給を検討する際の参考にして、支給するメリットや実際の導入例を確認していきましょう。
福利厚生でのインフレ手当として注目を集めている、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」についても紹介します。
インフレの現状
各企業がインフレ手当の支給を進める背景には、長期化するインフレへの深刻な懸念があります。2022年末時点におけるインフレの現状とはどのようなものなのでしょうか。
終わりの見えないインフレ
2022年9月、円は実に24年ぶりの低水準となる1ドル=140円台に突入しました。
帝国データバンクが発表した『「食品主要105社」価格改定動向調査(12月)』によると、2023年に値上げ予定の品目は11月末時点ですでに4,000品目を超えており、12月中には5,000品目に達すると見込まれています。
なお、厚生労働省が発表した『毎月勤労統計調査 令和4年10月分結果速報』を見てみると、2022年10月の労働者1人あたりの現金給与総額は、27万5,888 円と前年比1.8%増加しています。消費者物価指数は前年比4.4%上昇しているため、物価を反映した実質賃金は前年比−2.6%と7カ月連続減少となっています。
こうした物価上昇に伴う実質的な賃金低下を受け、日本労働組合総連合会(連合)は、2023年春闘においてベースアップ2%を含む5%の賃上げを求める方針を固めました(参考)。
「物価はどんどん上昇していくにもかかわらず実施賃金は増えない」という現状において、労働者の抱える不安は日に日に高まりつつあるといえるでしょう。
出典:帝国データバンク|「インフレ手当に関する企業の実態アンケート」(2022年11月17日)
インフレの背景
一般的なインフレは、需要が供給を大幅に上回ったときや、人件費・原材料費が高騰したときに起こります。
2022年現在のインフレは、主に以下の3つの要因によって引き起こされています。
- パンデミックの収束に伴う需要過多
- ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の高騰
- 急激な円安
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が収束へ向かうと同時に、あらゆるモノやサービスの供給不足が世界中で顕在化しました。不足するモノやサービスの価格は必然的に上昇することから、インフレの大きな要因の1つとなっています。
また、ウクライナ侵攻に対する制裁として行われたロシア産資源の輸入縮小は、エネルギーの供給不足による需要過多と、それに伴うエネルギー価格高騰を引き起こしました。
加えて円安が進む日本では、原材料費を主とする輸入品価格が相対的に上昇しています。輸入品価格の上昇は国内販売価格の高騰を招き、インフレをますます加速させる原因となっているのです。
注目されるインフレ手当
長引くインフレの中、従業員の生活補助の一環としてインフレ手当の支給を行う企業や自治体が増えています。インフレ手当とは何なのか、支給するメリットや現状を紹介します。
インフレ手当とは
インフレ手当とは、インフレに伴う実質的な賃金低下を背景に、生活補助として支給される手当のことをいいます。一定の金額を支給することで、実質的に減ってしまった賃金の補填を図るのがインフレ手当の趣旨です。
立憲民主党をはじめとして、他政党からもインフレ手当支給を含む対策案が公表されています。深刻なインフレへの懸念が深まる中、各対策案は大きな話題となりました。
一部、独自に支給を始めている自治体もありますが、現状支給されているインフレ手当はその大半が民間企業によるものといってよいでしょう。
インフレ手当を支給するメリット
企業がインフレ手当の支給を検討するにあたり、重要な判断材料となるのが「支給によって得られるメリットの大きさ」です。
以下、インフレ手当を支給することによって企業が得られる主なメリットを紹介します。
- インフレに対する従業員の不安の払拭
- 従業員エンゲージメントの向上に伴う離職率の低下、モチベーションの向上、業績向上(従業員エンゲージメント=従業員の企業に対する信頼や貢献意欲)
- 従業員の企業に対する信頼や貢献意欲
- 企業イメージの向上
- 採用活動にあたってのPR
インフレ手当を支給することは、従業員の企業に対する信頼や貢献意欲を高めるほか、「従業員のために行動する企業」としての企業ブランディングに大きく貢献します。
インフレ手当支給の現状
帝国データバンクが2022年11月に行った『インフレ手当に関する企業の実態アンケート』によると、従業員に対して特別手当(インフレ手当)を「支給した」と回答した企業は全体の6.6%でした。
合わせて5.7%の企業が「支給を予定」、14.1%の企業が「支給を検討中」と回答していることから、全体のおよそ1/4にあたる26.4%の企業がインフレ手当の支給に前向きと判断できます。
なお、実際の支給方法と金額を見てみると、「一時金」で支給した企業が66.6%で平均金額が約5万3,700円で、「月額手当」での支給は36.2%、平均金額は約6,500円となっています。
注目を集めるインフレ手当ですが、一方で、支給の有無について「分からない」と回答した企業は9.9%、「支給する予定はない」と回答した企業は63.7%に上っています。しかし、話題性もあり、従業員の満足度を得られるため、支給に取り組むことでより一層のブランディング効果が期待できます。
インフレ手当の支給例
すでにインフレ手当に取り組んでいる企業では、どのような形で支給しているのでしょうか?支給案を検討する際の参考として、実際の支給例を紹介します。
サイボウズ株式会社
2022年7〜8月にかけて、サイボウズ株式会社は世界的なインフレ傾向への対応として、サイボウズと直接雇用契約を結ぶ社員(無期・有期雇用問わず)を対象に「インフレ特別手当」を支給しました。
支給額は各国や地域におけるサイボウズの給与やインフレによる影響額・税金・社会保険負担等をもとに算出され、日本では以下のようになっています。
・128時間超/月(8時間/日で週4日超勤務):15万円
・96時間超128時間以下/月(8時間/日で週3日超勤務):12万円
・64時間超96時間以下/月(8時間/日で週2日超勤務):9万円
・64時間以下/月(8時間/日で週2日以下勤務):6万円
日本以外の拠点では、各拠点で金額を決定し支給しています。また、海外赴任中の従業員については、駐在先・駐在元拠点を比較し、多い方の支給額が選択されました。
オリコン株式会社
オリコン株式会社は、急激な円安や物価上昇に伴う従業員の生活支援として、「インフレ特別手当」を新設し、2022年10月より支給を開始しています。
対象はオリコングループの正社員・契約社員・嘱託社員・アルバイトで、1カ月あたり一律1万円です。当面は終了時期を決めず運用するとしています。
株式会社ノジマ
株式会社ノジマは、物価上昇に伴う従業員の生活費支援として、2022年6月度給与(7月支給分)より正社員・契約社員の約3000名を対象に毎月1万円の「物価上昇応援手当」の支給を開始しました。
終了時期未定で始まった措置でしたが、支給開始後も続く継続的な物価上昇に鑑み、さらなる生活支援を行うことが決定されました。
この結果、2022年12月度給与より、物価上昇応援手当に1万円を上乗せした合計2万円の一律ベースアップが実施されています。
ダイコク電機株式会社
ダイコク電機株式会社では、生活関連の物価上昇に伴う福利厚生の一環として、特別一時金「インフレ対応特別手当」の支給を決定しました。
2022年10月度給与と合わせ、以下のように支給されています。
・対象者と金額:正社員(3万円)/準社員・嘱託社員・契約社員・パートタイム社員(各1万5,000円)
株式会社鴻治組
株式会社鴻治組は、社員の家計に対する物価高騰の影響を緩和すること、また創業140周年に際し、日頃会社へ貢献している社員に報いることを目的に、「インフレ特別手当」の支給を決定しました。
対象となるのは支給日(2022年12月8日)に在籍している全社員で、一律10万円となっています。
インフレ手当の課題
企業が従業員を対象にインフレ手当を支給する場合、あらかじめ考慮しておくべきいくつかの課題があります。その詳しい内容を確認していきましょう。
生活補助のために使われるとは限らない
インフレ手当は、インフレに伴い実質賃金が低下した従業員の生活補助として支給するものです。
しかし現金で支給した場合、必ずしも生活補助のために使われるとは限りません。嗜好品や遊興費に使われたり、そもそも使われずに貯蓄に回ってしまったりといったケースも考えられるでしょう。
特に、日々の生活に対する不安が強ければ強いほど、将来の安心材料として貯蓄を重視したくなるのが一般的な人の心理といえます。
ある意味やむを得ないことではありますが、一定の支出をしている以上、本来の趣旨とズレた使われ方をされかねない点は企業側にとって大きな課題といえるでしょう。
継続的な支給が難しい
インフレ手当の支給方法には、「一時金」「月額手当(ベースアップ)」の2種類があります。
一時金の場合、支給されるのは基本的に1度きりです。支給金額にもよりますが、インフレの継続期間によっては焼け石に水で終わる可能性が考えられます。
対して月額手当の場合、インフレが続く限り支給を続けられますが、インフレ収束後に元に戻す際のハードルが高くなります。
支給期間が長くなればなるほどに、支給を取りやめた際の従業員の反発が大きなものとなる可能性が高く、従業員エンゲージメントの観点からするとむしろ逆効果となってしまうでしょう。
インフレが収束する兆しの見えない段階であればなおのこと、インフレ手当の支給方法は企業にとって大きな課題です。
税金・保険料の負担が増える
インフレ手当は従業員にとって所得です。従業員・企業ともに税金・保険料の負担が増すことも考慮する必要があるでしょう。
例えばインフレ手当を一時金として支給した場合、賞与として所得税・社会保険料・雇用保険料の処理が必要です。
一方、月額手当として支給した場合、毎月一定額の給与増となることから、所得税・雇用保険料・社会保険料もそれぞれ増額の対象となります。社会保険料については固定的賃金の変動にあたるため、企業側は必要に応じて随時改定(月額変更届)や就業規則改定の手続きをする必要があります。
なお、このとき注意が必要なのが、所得税は累進課税である点です。支給されるインフレ手当の金額にもよりますが、インフレ手当の支給によって負担する所得税額が大幅に増えてしまう従業員が出る可能性や、配偶者の扶養から外れてしまう従業員が出る可能性についてもひととおり考えておく必要があるでしょう。
福利厚生としてのインフレ手当を支給するメリット
インフレ手当の支給に伴う課題を解消する方法の1つに「福利厚生として、インフレ手当に該当する補助を行う」というものがあります。これにより企業が得られるメリットとはどのようなものなのでしょうか。
目的を生活補助に限定できる
福利厚生は、従業員の生活の質を向上させる目的で行われる金銭的な報酬以外の取り組みをいいます。
企業側には一定の支出が発生しますが、お金という形で支払われるものではないために、「何に使われるか分からない」といったことは起きません。
インフレ対策に見合った福利厚生制度を用意することで、使用目的をインフレに伴う生活補助に限定できます。これは、「生活補助のために使われるとは限らない」というインフレ手当の課題を払拭する大きなメリットといえるでしょう。
継続的な生活補助ができる
前述の通り、インフレ手当を一時金や月額手当の支給で行った場合、継続的な支給は難しいのが現実です。
インフレの終わりが見えない以上、従業員の生活補助としてどの程度の役割を担えるのかについては未知数と言わざるを得ません。
対して福利厚生の場合、いったん制度として取り入れれば、期間の定めなく従業員の生活補助が可能となります。従業員へのアピール度も高くなり、より一層の従業員エンゲージメント向上効果が期待できるでしょう。
税金・保険料の負担がない
福利厚生は、以下の条件下で運用する限り非課税です。
- 福利厚生の目的に沿っている
- 全従業員を対象としている
- 福利厚生として常識的な内容・金額である
通常のインフレ手当とは違い給与に該当しないため、社会保険料等の金額に影響することもありません。
現金で支給するインフレ手当が税金や保険料の負担を強いるものであることを考えると、福利厚生を通じたインフレ手当の支給は企業側・従業員側双方に大きなメリットがあるといえます。
福利厚生の種類
福利厚生を通じたインフレ手当の支給を検討するにあたり、まず整理しておきたいのが福利厚生の種類です。「法定福利厚生」「法定外福利厚生」それぞれの主な特徴や具体的な項目を紹介します。
法定福利厚生(法定福利)
福利厚生の種類のうち、法律や法令によって実施を義務づけられているものを「法定福利厚生(法定福利)」といいます。
以下、主な法定福利厚生の項目を紹介します。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
- 子ども・子育て拠出金
法定福利厚生によるサービスや利益を従業員へ提供することは、企業の義務です。用意されていない企業は罰則の対象となるほか、それによって従業員に損害が生じた場合には損害賠償を請求されることもあります。
法定外福利厚生(法定外福利)
企業が従業員に提供する福利厚生のうち、法定福利厚生以外のものを「法定外福利厚生(法定外福利)」といいます。
主な法定外福利厚生としては、以下のようなものが挙げられます。
- 住宅手当
- 交通手当
- 慰安旅行
- 慶弔見舞金
- 特別休暇
- レジャー・宿泊施設利用費の補助
- 人間ドック
- 資格取得費用補助
福利厚生は税金や保険料の対象外となるぶん、前述の通り「福利厚生の目的に沿っている」「全従業員を対象としている」「福利厚生として常識的な内容・金額である」といった条件をクリアしていなければなりません。
なお、一般社団法人 日本経済団体連合会が発表した「2019年度福利厚生費調査結果の概要」(最新)によると、2019 年度に企業が負担した法定外福利費は、1人あたり平均で2万4,125 円となっています。
企業が独自に用意するものだけに企業としての特徴や魅力が出やすいのが法定外福利厚生といえるでしょう。
福利厚生としてのインフレ手当にぴったりな「チケットレストラン」
福利厚生としてインフレ手当の支給を検討する企業の中で、近年注目度を高めているのがエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。「チケットレストラン」とはいったいどのようなサービスなのでしょうか。
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」とは
エデンレッドジャパンが提供する「チケットレストラン」は、電子カード配布型の福利厚生食事補助サービスです。
サービスを導入した企業の従業員は、従業員・企業がそれぞれ半額ずつ負担でチャージした専用の食事カードを提携店舗での支払いに利用することで、実質半額の食事補助を受けられます。
30年以上の歴史を持つサービスで、提携店舗は、コンビニ・ファミレス・チェーン店・カフェなど実に7万店舗を超えています。
いわば、社内に社員食堂を持たなくとも、全国各地に専用の社員食堂を持っているかのような充実した福利厚生を従業員へと提供できるのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。
サービス導入企業2,000社以上、1日あたりの利用者数10万人以上という実績も、サービスの魅力や満足度を物語るものといえるでしょう。
インフレ手当に「チケットレストラン」を利用するメリット
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、食事補助に特化したサービスです。食事以外を目的とした利用はできません。
福利厚生の1つであるために継続的な運用が可能で、なおかつ「食事に限定」「管理・証明ができること」の2つの条件が揃えば非課税で運用できます。なおこの場合、従業員1人に対して毎月3,500円(税別)を上限とし、かつ会社支給額に対し同額以上を従業員が負担する必要があります。
つまり、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、「生活補助のために使われるとは限らない」「継続的な支給が難しい」「税金・保険料の負担が増える」といった企業がインフレ手当を支給するにあたっての課題を一掃するサービスといえます。
なお経済産業省は、2022年6月に発表した「健康経営の推進について」において、従業員への健康投資は企業の業績向上や企業価値の向上に役立つと言及しています。
健康を考える上で食事は欠かせない要素であることから、食事補助を通じた生活補助は福利厚生としてまさにうってつけといえるでしょう。
また、食事補助という分かりやすい福利厚生を打ち出すことは、従業員エンゲージメントの向上や人材流出の抑止・人材獲得に向けたアピールとしても大いに役立ちます。
これらのことから、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」をインフレ手当として導入することにより、企業が得られるメリットは非常に大きいといえます。
お得なキャンペーンも
2022年12月現在、エデンレッドジャパンでは、「インフレ手当導入支援」として、2023年2月28日までにお問い合わせいただいた先着100社様を対象としたお得なキャンペーンを実施しています。(2022年12月12日以降、新規でお問い合わせいただいたお客様が対象です)
これは、期間中にお問い合わせいただいた企業様が「チケットレストラン」を導入された場合、通常発生する初期費用・カード代・配送料・手数料といった費用が3カ月間すべて無料となるものです。
このキャンペーンを利用することで、コストを最小限に抑えつつサービスの導入が可能となります。「チケットレストラン」の導入を検討するのなら、見逃せない絶好のチャンスといえるでしょう。
福利厚生としてのインフレ手当で企業の魅力向上を
終わりの見えないインフレにより、労働者の実質賃金は7年連続で減少しています。企業がインフレ手当を支給することは、従業員の生活補助として大いに役立つでしょう。
中でも注目を集めているのが、福利厚生としてのインフレ手当です。
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」であれば、「生活補助のために使われるとは限らない」「継続的な支給が難しい」「税金・保険料の負担が増える」といった通常のインフレ手当が抱える課題を一掃しつつ、従業員の生活補助を実現できます。
お得なキャンペーンも実施されているこの機会に、ぜひ「チケットレストラン」の導入を検討されてはいかがでしょうか。