福利厚生費の上限はいくらか
福利厚生費は勘定項目によって「上限額(非課税限度額)が存在するもの」と「上限額(非課税限度額)が存在しないもの」があります。
また、具体的な上限額が定められていない福利厚生費に関しては「社会通念上妥当な金額である」ことが求められるため、常識的に考えて支給される金額が多過ぎる場合には、給与の一部とみなされ所得税の課税対象となるケースがあります。
勘定項目別にみる福利厚生費の上限
法定外福利費は、上限規定の有無によって以下の2種類に分かれます。
| 区分 |
該当する主な項目 |
| 非課税限度額の規定あり |
通勤手当、食事補助、住宅(社宅)など |
| 一律の限度額なし(社会通念上の妥当性が必要) |
健康診断・人間ドック費用、慶弔見舞金、社員旅行費など |
各項目の内容や上限額に関する規定について、以下でより詳しくみてみましょう。
通勤手当
通勤手当の上限額は国税庁の規定により、電車・バス・新幹線・有料道路等を利用する場合、非課税上限は1か月あたり15万円とされています。一方、自動車や自転車による通勤の場合には、通勤距離に応じた上限額が適用されます。
雇用形態(正規従業員・パート・アルバイト)を問わず対象となりますが、「もっとも経済的かつ合理的な経路」であることが条件です。上限を超えた分は給与扱いとなり課税対象になります。
【マイカー・自転車通勤の非課税限度額(1か月あたり)】
※駐車場利用や有料道路の併用がある場合は別途加算あり(上限15万円)。
出典
:国税庁|No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
:国税庁|No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
社員旅行
社員旅行費が福利厚生費として非課税対象となるためには、次の3つの要件を全て満たす必要があります。
- 全従業員(非正規雇用含む)が参加対象かつその過半数が社員旅行に参加すること
- 旅行期間が4泊5日以内であること
- 不参加の従業員に対して現金等の支給がないこと
社員旅行費の具体的な上限額に関する規定はありませんが、「社会通念上妥当な金額」という観点から1人あたり10万円前後が上限額の目安とされています。
出典:国税庁|No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
食事代(食事補助)
食事補助を福利厚生費として非課税扱いにするには、次の2つの要件をいずれも満たす必要があります。
- 従業員が食事代の半分以上を負担していること
- 企業が負担する食事代が1か月あたり7,500円以下であること ※消費税及び地方消費税の額を除く
2026年4月1日より、国税庁の通達改正により企業負担の非課税上限が月額3,500円から7,500円(税別)に引き上げられました。なお、企業負担額が月額7,500円を超えてしまうと、企業負担額の全額が給与として課税対象となるため注意が必要です。
残業・宿日直時に支給する食事は、無料で提供しても給与課税の対象外です。深夜勤務者への現金支給は、夜食の支給ができない場合に限って、1食あたり650円(税別)以下が非課税扱いとなります。それ以外の現金補助は全額給与課税の対象です。
出典:国税庁|No.2594 食事を支給したとき
関連記事
:【税理士監修】食事補助の非課税上限が7500円へ!給与にしないための非課税の条件を解説
:【2026年版】食事補助とは?福利厚生に導入するメリットと支給の流れ
健康診断・人間ドック
健康診断や人間ドックによる受診費用を福利厚生費として計上するためには、次の4つの要件を全て満たす必要があります。
- 従業員全員が受診対象者であること
- 受診者全員分の費用を企業が全額負担すること
- 受診費用が従業員の健康管理に必要と考えられる常識的な範囲の金額であること
- 企業が医療機関に対して直接支払いを行っていること
特に4つ目の要件に関しては、従業員に現金を渡して受診してもらう形だと給与扱いとなってしまうので注意が必要です。
出典:国税庁|人間ドックの費用負担
住宅(社宅)
社宅制度については、企業が家賃を補助するのではなく、従業員から家賃を徴収する形式を取っている場合のみ福利厚生費として非課税対象となります。
社宅として住居を貸し出す費用を非課税扱い(福利厚生費)にするには、専用の計算式で算出された「賃貸料相当額」の50%相当額以上を企業が家賃として徴収していることが条件です。
出典:国税庁|No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
慶弔見舞金
従業員の病気・ケガへの見舞金や冠婚葬祭時の祝い金・贈答品を福利厚生費として計上するには、次の2つの要件を満たす必要があります。
- 全従業員に対して支給されること
- 社会通念上妥当な金額であること
なお、福利厚生費として計上可能なのは全「従業員」に対する支給のみです。企業の顧客や取引先の人間に対する見舞金は接待交際費として計上されます。
出典:国税庁|5 従業員等に支給する災害見舞金品
福利厚生費の上限を超えないようにする方法
福利厚生費の上限を超えないためには、上限額が存在する項目とその上限額について人事・総務担当者が正確に把握し、各項目の「社会通念上妥当な金額」の基準を全従業員が共有しておくことが出発点です。以下、実務で取り組みたい具体的な施策を紹介します。
社内規程に明記する
福利厚生費として計上するためには、それぞれの福利厚生が全従業員を対象としていることが大前提となります。一部の従業員のみしか利用できないサービスは、福利厚生費として認められません。
この点を踏まえ、公平性を証明するための方法としておすすめなのが、社内規定への明記です。社内規程に対象範囲・条件・金額を明記することで、公平性を担保できます。
関連記事:【社労士監修】福利厚生規定とは?必要な理由・記載項目・制度別作成ポイントを解説
従業員への周知・理解を徹底する
適切な運用には従業員の協力が欠かせません。証拠資料(レシート等)の提出を求められる場合もあるため、制度の内容とルールを事前に周知しておきましょう。
源泉徴収への対応
仮に、福利厚生費としての要件を満たせず、給与扱いとなった場合、企業側には源泉徴収税の徴収と納付の義務が生じます。事務負担が増えるだけでなく、従業員の手取りにも影響するため、各項目の要件を事前に確認しておくことが必要です。
食の福利厚生「チケットレストラン」の活用も
食事補助の非課税上限を最大活用するなら、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」が有用な選択肢のひとつです。
「チケットレストラン」は、専用のICカードを利用して提供する食の福利厚生サービスです。導入した企業の従業員は、全国25万店舗以上もの加盟店で食事を購入できます。国税庁の確認のもと提供されており、食事補助の非課税要件を満たした設計です。従業員利用率98%・継続率99%、導入企業4000社以上、最短では契約後2週間で導入できます。
2026年4月の非課税枠引き上げを受け、さっそく制度を拡充した企業も出ています。不動産事業を手がける株式会社sumarchは、2026年4月分よりチャージ額を月3,500円から7,500円に増額しました。営業職など外出先での食事機会が多い従業員の食費負担をさらに軽減し、実質的な手取り増加を実現しています。
導入事例ページ:株式会社sumarch
出典:PR TIMES|株式会社sumarch、福利厚生の食事補助を拡充
関連記事:【2026年版】食事補助とは?福利厚生に導入するメリットと支給の流れ
【Q&A】福利厚生の上限まつわるよくある疑問
企業の人事や総務担当者からよく寄せられる疑問をQ&A形式で紹介します
Q. 福利厚生費に年間の上限はある?
A. 福利厚生費の年間総額に法的な上限規定はありません。しかし、通勤交通費(月額15万円まで)や食事代の補助(税別月額7,500円まで)といった特定の勘定項目については、個別に非課税限度額が定められています。
出典:国税庁|No.2508 給与所得となるもの
Q. 忘年会・飲み会の費用は福利厚生費になる?
A. 忘年会や親睦会などの費用は、全従業員(非正規雇用を含む)を対象としているものであれば、福利厚生費としての計上が可能です。なお、欠席者の取り扱いについては「おおむね一律に供与される」ことが要件とされており、個別の状況によって判断が異なる場合があります。一方、外部の人間が加わる場合には「接待交際費」として扱います。詳細は顧問税理士・社労士にご確認ください。
出典:国税庁|No.5261 交際費等と福利厚生費との区分
関連記事:2026年版【税理士監修】福利厚生費の飲食における上限は?会議費や交際費との違いも
Q. 福利厚生費は給与と何が違うのですか?
A. 福利厚生費は全従業員を対象とした支給が前提で、非課税要件を満たせば従業員の所得税の対象外となります。一方、給与は個人への金銭支給のため原則所得税の課税対象です。
出典:国税庁|No.2508 給与所得となるもの
適切な運用のもと、福利厚生費を上限額内に収めよう
福利厚生費は、勘定項目ごとに設定されている非課税の上限を把握して正しく運用しましょう。中でも食事補助に関しては、2026年4月1日の通達改正により月額3,500円から7,500円(税別)へ上限が引き上げられ、これを機に金額を見直す動きが出てきています。
全国でランチ代が実質半額になる食の福利厚生サービス「チケットレストラン」なら、非課税の上限額内で食事補助を運用できます。
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